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29話 小さき者の反乱②
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チハルに手を引かれる様にして、奴等の溜まり場である屋上内のプライベートルームまでやってきた。
「ちょ、チハル!まじで止まれって!こんな所まで来て何する気だよ!」
チハルは奴等に俺への仕打ちを辞めさせるように文句を言いに来たに違いない。
それはダメだ。
俺とチハルだけで大雅らをどうこう出来るわけがないんだから、、
追い返されるのが落ちだろう
いや、それだけで済むかもわからない
「チハル、帰ってくれ!アイツらを怒らせて、チハルまで被害に遭ったら俺がアイツらの要求を飲んだ意味が無くなるんだ!」
思わず、大きな声で叫んでしまい、ハッとしてチハルの顔を見た。
チハルの目元は赤くなり、涙を堪えているのがわかった。
それでも、大きな目でキッと俺を睨みつけて、必死に言葉を投げつけてくる。
「・・健太がさ、優しい人だってことはわかるよ?っだけどさ、自分を犠牲にしてまで庇われたくないよ!僕達、友達でしょ?一方的に守るのは違うと思う!」
チハル・・
「・・まだ出会って数ヶ月だけど、健太はね、自分が思ってるよりすっごく優しい人だよ。本当のこと言うとね、僕ってぜんぜん良い子じゃないんだ。健太のことも、最初は僕がよく読む小説みたいにハチャメチャな役割になっちゃえば面白いなあ、とか思ってたんだけど、、今じゃ全く思わない。」
睨んでいた目は力を無くし、じわりじわりと涙を作り、床に一滴こぼれ落ちた。今まで見た中で1番綺麗な涙だと思った。
チハル・・
「だって、健太は僕の友達だもん。大切にしたいし、一緒にいたい。アイツらの親衛隊にさせられてから、健太が僕とアイツらを関わらせない為に僕に話しかけるタイミングを図ってるのも知ってる。僕を守ってくれてたんだよね。健太、ありがとね!大好きだよ!」
最後にニコッと笑う姿はいつもの可愛いチハルだ。
ありがとう。チハル
優しいのはチハルだよ、
でも、、
だからこそ、、アイツらの魔の手から遠ざけたい。
自己犠牲とかそんなんじゃない。ただ純粋に、巻き込みたくないんだよ。
ーー大切な友達だからーー
「・・チハル、ありがとな。けど、やっぱり気持ちだけ貰っとく。俺も、お前のこと、すっげー好きだよ(お前は俺の大好きな親友だ。)」
「健太・・」
「ほら!今なら大丈夫だから、教室戻って、『あはは。もう遅いって!全部聞こえちゃってるよ~、稲垣健太くん。』」
っ!!!?
俺たちのすぐ後ろ、屋上の扉がいつの間にか開いていて生徒会長が顔を覗かせていた。
楽しいことでも思いついた様な、いつも以上にニンマリと口元が怪しげに歪んでいる。
「はあ。また余計なことを、このサルは。まあ、稲垣君の最後の一言さえ無ければもう少しマシだったのでしょうが。」
こればっかりは仕方ありませんね、と肩をすくめた貴志先輩が生徒会長を押しのけて、俺たちの前にやってきた。
「稲垣君、若がかなりご立腹です。覚悟して下さいね。」
「待って!健太が行くなら僕も一緒に行く!」
「サ・・ごほん。まあ、いいでしょう。小尻君も入りなさい。(その方が面白くなりそいですしねえ。)」
貴志先輩に促されるも、足が動かない。ふと背後を見ると、いつの間にか生徒会長が俺らの後ろにまわり込み逃げ道を塞いでいる。
ーー俺達を逃さないつもりか!
「ダメだチハル!戻ってろ!」
「はいはい、そう言うの聞き飽きたからさ~。いい加減言うこと聞いてね?」
なかなか動かない俺たちに痺れをきたしたのか、イライラした様子で、不機嫌そうに声を低くした生徒会長が、俺とチハルの背中を押して無理矢理、部屋の中に押し込んだ。
「ちょ、チハル!まじで止まれって!こんな所まで来て何する気だよ!」
チハルは奴等に俺への仕打ちを辞めさせるように文句を言いに来たに違いない。
それはダメだ。
俺とチハルだけで大雅らをどうこう出来るわけがないんだから、、
追い返されるのが落ちだろう
いや、それだけで済むかもわからない
「チハル、帰ってくれ!アイツらを怒らせて、チハルまで被害に遭ったら俺がアイツらの要求を飲んだ意味が無くなるんだ!」
思わず、大きな声で叫んでしまい、ハッとしてチハルの顔を見た。
チハルの目元は赤くなり、涙を堪えているのがわかった。
それでも、大きな目でキッと俺を睨みつけて、必死に言葉を投げつけてくる。
「・・健太がさ、優しい人だってことはわかるよ?っだけどさ、自分を犠牲にしてまで庇われたくないよ!僕達、友達でしょ?一方的に守るのは違うと思う!」
チハル・・
「・・まだ出会って数ヶ月だけど、健太はね、自分が思ってるよりすっごく優しい人だよ。本当のこと言うとね、僕ってぜんぜん良い子じゃないんだ。健太のことも、最初は僕がよく読む小説みたいにハチャメチャな役割になっちゃえば面白いなあ、とか思ってたんだけど、、今じゃ全く思わない。」
睨んでいた目は力を無くし、じわりじわりと涙を作り、床に一滴こぼれ落ちた。今まで見た中で1番綺麗な涙だと思った。
チハル・・
「だって、健太は僕の友達だもん。大切にしたいし、一緒にいたい。アイツらの親衛隊にさせられてから、健太が僕とアイツらを関わらせない為に僕に話しかけるタイミングを図ってるのも知ってる。僕を守ってくれてたんだよね。健太、ありがとね!大好きだよ!」
最後にニコッと笑う姿はいつもの可愛いチハルだ。
ありがとう。チハル
優しいのはチハルだよ、
でも、、
だからこそ、、アイツらの魔の手から遠ざけたい。
自己犠牲とかそんなんじゃない。ただ純粋に、巻き込みたくないんだよ。
ーー大切な友達だからーー
「・・チハル、ありがとな。けど、やっぱり気持ちだけ貰っとく。俺も、お前のこと、すっげー好きだよ(お前は俺の大好きな親友だ。)」
「健太・・」
「ほら!今なら大丈夫だから、教室戻って、『あはは。もう遅いって!全部聞こえちゃってるよ~、稲垣健太くん。』」
っ!!!?
俺たちのすぐ後ろ、屋上の扉がいつの間にか開いていて生徒会長が顔を覗かせていた。
楽しいことでも思いついた様な、いつも以上にニンマリと口元が怪しげに歪んでいる。
「はあ。また余計なことを、このサルは。まあ、稲垣君の最後の一言さえ無ければもう少しマシだったのでしょうが。」
こればっかりは仕方ありませんね、と肩をすくめた貴志先輩が生徒会長を押しのけて、俺たちの前にやってきた。
「稲垣君、若がかなりご立腹です。覚悟して下さいね。」
「待って!健太が行くなら僕も一緒に行く!」
「サ・・ごほん。まあ、いいでしょう。小尻君も入りなさい。(その方が面白くなりそいですしねえ。)」
貴志先輩に促されるも、足が動かない。ふと背後を見ると、いつの間にか生徒会長が俺らの後ろにまわり込み逃げ道を塞いでいる。
ーー俺達を逃さないつもりか!
「ダメだチハル!戻ってろ!」
「はいはい、そう言うの聞き飽きたからさ~。いい加減言うこと聞いてね?」
なかなか動かない俺たちに痺れをきたしたのか、イライラした様子で、不機嫌そうに声を低くした生徒会長が、俺とチハルの背中を押して無理矢理、部屋の中に押し込んだ。
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