この度、不良のボスの親衛隊隊長に任命されました。

1話 突然の引越し宣言

「「先輩！ありがとうございました！！」」

「おう！頑張れよ！」

引退したにも関わらず、後輩らに頼まれて一日中バレーボール部の練習に付き合い、くたくたになりながら自宅に帰宅した俺を嬉しそうな笑顔で出迎えた母親は俺に告げた。


「◯っ越しよ」



「え？今なんて言ったの母さん」

母親に言われた言葉が信じられなくて、もう一度聞く。

「だから、引っ越すのよ」

「どこに…？」

「東京よ、覚えてない？昔住んでいたでしょう？また父さんの仕事で戻ることになったの」

今度は長く住めそうよ。

ほっと安心したように言った母親には悪いが俺は正直戻りたくはない。

アイツを思い出すだけで苦い思い出が蘇って来る。



これはこの物語の主人公、稲垣健太がまだ平穏な毎日を送り幸せだった頃の話だ。この日を境に健太は前途多難な日々を送ることになる。