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28week

それでも腹は減るんだよな

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 とはいえ、人はどん時でも腹は減るわけで、、、。


 午前中んは取引先に、出張不在から戻った挨拶と近況伺いをネンゴロニに。

 んで内部には、幾つか企業コンペの進捗みつつ。昼休み前には、営業アシスタントチーフちゃんに、

「今日うちは、ランチタイム2時間にするから、コースランチしてきな。部屋も取ってるよ。」

 の営業1課長顔で休み時間オーバー大振る舞い!ゴマすり!!の術式炸裂。

『え、課長も社食ですか!♪1課の皆んなに連絡します♪』

 早速アシスタントチーフちゃんが、ご機嫌で1課イントラに掲示するとたんにフロアのあちこちから、

『おおー!!』
『やったーコースメニュー何?』とか声が上がったわっけー。

 ほい、これ社食ランチの話ね!外のランチコースなんざ大判振る舞いは、流石に出来んし!!

 でもよ!!
 僕はさ普段ほとんど外で仕事相手とランチするから、うちの社食に顔を出すなんざ珍獣出現よー。
 ラッキーアイテム並み!

 ちなみに福利厚生優良な、我が企業の社食ちゃんは
朝・昼・ティー・晩とオールマイティー利用可能かつ全て激安ときたもんだ。そりゃ、コース使いは月利用制限あっけど、どんだけーーな福利ね?

「じゃ!そろそろ休憩にするか。」

 仕事ん目先も見えてきた頃合い。僕の鶴の一声で、1課はラーンチ・タアーイム。

 しっかし和中洋エスニックごとにさ、専属シェフが
オープンキッチングで焼きたてパンまで提供すん。
 豪華デリスタイルビュッフェとレストランスタイルの二段構えときてるし。

 本当、ふだん使いしたいけどねー。うち社内恋愛多いん社食のせいやぞ、うん。

 僕も久々の社食ランチだーいと、メニューは入口の電光掲示板で見れるけんど、イントラチェックやん? 

 キヨヒコ曰く

「毎日メニューが違うから、1週間通っても、同じ料理は食べないんだよな、ここって。」
 だと。

 そんな万能社食は、他社企業との懇親ランチや軽く接待も出来る優れもん。
 まあ、テレビ局とかんケータタリングなんか、うちのレセプションサポート部食い込んでっから、デモ意図もあるやね。

 ともあれ何とっ言ってもだな、高層テラス席の眺めサイコーさ。このご時世で特筆もん。

「たくさ、どんだけ会長個人趣味かって思うべ?わざと競合させて、ビール各社のサーバーを置かせてんだかんな。飲み放題1500円のタワー見ながらビアガーデンとか普っ通会社にぁないしょ?!」

 とかいいつつ、僕はキヨヒコをランチに誘って社食フロアに来たわけよ。

 なのにさーーっ!!なんでこないシュチュなんかな?よもやよもや監視されとるかな?

 イートスペースは、ディスタンス完璧の3フロアも常設なんよ?

 間接照明が映えるカフェ風やけやない、ボックス席も個室フレンチルームも庭園和座敷席と多様なんよ?

 にもかかわらず個室でキヨヒコとコースランチ
待っとったら、迷わず個室くるのがおりよる怒!

『こんにちわ。アマネさん。よろしければ、ご一緒させてもらってもいいかしら?』

 はいー華の受付コスチュームん、ヤシロ女史が現れた↘️↘️

「悪いね?今日は1課の懇親ランチなんだよ。長めの出張で課の皆んなには迷惑かけたから。」

 僕は思いっきり相手に分かる、営業スマイルで牽制する。

『あら、でも2課長さんも同席されてるじゃありませんの?』

 今時か今更か知らんが、ワンレンかき揚げのー迫力美人圧でキヨヒコを見る。

「彼こそ、この場に呼ぶべき1人なんだけどな。僕が不在の間は彼が僕の代理で決済してくれた功労者なんだよ。じゃ、また。」

 食い付いてくるよねー。

 更に僕は忌々しそうな笑顔を表面に出して、丁重にお断りします。

 でも、さすがのヤシロ砲。スカーフ弄りながらも真っ赤なルージュを面白そうに上げて、

『それは残念ですわ。せっかく奥様から何かご相談されたの ではないかと思って心配してますのに。懇親の場なら、仕方ないですわね。また頼ってくださいね、アマネさん。』

 わざわざこの場で、あえての意味深セリフを吐いて
いきやがる。

 僕の中では、妻カレンに絡むっちゅー禁忌を犯して、好感度爆下がりのヤシロ女史に何言われよーが、気ーせんけど?何か?

 シッシッとばかりに手を振って、アシスタント女子達がキャーキャーいうて写真とる、前菜の"彩り野菜のサーモンマリネ "に手ぇつける。

 ヤシロ女史はふんぞり返ってハイヒール鳴らすと、個室から出て行った。

「アマネ、今のも見ようによっちゃどうかと思うぞ。いっそのことヤシロ女史には営業スマイルでも愛想笑いはやめとけよ。」

 まだ呑気な僕に、ポタージュを飲みながらキヨヒコが忠告とばかり回りを見てみろって、顎しゃくる。

個室ゆーても、ここんフロアは半個室で開口部はドアがない。半分はボックス席やしな。

「あれでもか?まじ勘弁ぞ。」

 確かに、ヤシロ女史と僕らん事を何気に見てくるパパラッチ社員数名。

 見ようによっちゃ、聴きようで仲よさげに見えると?

「あと、あれ何だ?カレンさんにまだ突っ掛かる言い方?」

 キヨヒコは続けて、"白身魚のポワレ 檸檬ソース掛け"を綺麗に口に頰ばる。

 こーゆーとこ元ホストん仲間でも、キヨヒコは飯食う姿でもバエるとか言うてたなーなんて思いつつ、

「もしやの、まだ嫌がらせとるかもしれんゆーこったか?」

「ありゃ、まだなんかカレンさんに送りつけてるかもな。しかしアマネって、昔っから気の強いタイプに変にモテたよな?カレンさんもヤシロ女史と似た系統だろ?もしかしてアリか?」
 
 わざわざ、見えるボックス席に座るヤシロ女史を見やるキヨヒコ。

「キヨでも許さん!カレンさんと一緒にすな!!悪役令嬢顔なだけで、カレンさんはツンデレ極上妻なん。あれとは別な。」

 て言うてキヨヒコの視線の先を見て、僕は固まる。

  うっ!あ、あー、、、

「ん?アマネどうした?顔色悪いぞ。ポワレ嫌いか?」

 向かいのキヨヒコが怪訝な顔をして、うっまそーにバゲットを口にした。

「いや、僕はロースグリル焼きやて、ちゃうて。おるんよ。」

 今日のメインは魚と肉の2種。

 僕らはいつも違うん頼むやん。やからこっちは"道産豚ロースグリル焼きをマスタードソース"でって、それは置いといて。

「何が?」

 淡々キヨヒコに、

「僕んカレンさんが。後ろ姿で、、」

 息も切れ切れ返したら

「何処に?いないぞ。てか、そんなもんまだ、見えてるのか本人が居るわけないだろ?」

 キヨヒコが凄い勢いで、僕ん目線を追いかけて、やれやれと肩をすくめた。

「そやけどでも、居るん。」

「何処。」

 何故や?

「ヤシロ女史の、後ろ、、」

 先にデザートを女子達が頼んだろーな、目の前を"ピスタチオと苺のパリブレスト"が通り過ぎた先、

 ボックス席に座るヤシロ女史の後ろに座る、後ろ姿の妻カレン。

「、、、怖っ!!ホラー、?、」

「いやファンタジーやて。」

 あれから、外にも現れるが、 何や。

「お出でませ異世界?か」

「真実の、、愛かも?」

「逃避か?アマネ。」

 何を言うても、逃げも隠れもせんよ、僕は。受けて立とう!!

   
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