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第七章
閑話:青年ロイドの想いの行き先(小太郎side)
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僕の名前は蓮見小太郎、異世界に勇者として召喚されて勇者らしい事を何もせぬまま早十年ほどの月日が流れようとしている。
現在僕は大好きな人と大嫌いな人から逃げ出して、これから一人でどうしようかと、考えているところだ。
仲間だ、友だ、相棒だ、と僕の事を散々に持ち上げてくれていた僕の大好きな人は、僕の嫌いな人の事が大好きで、十年ぶりに再会してみれば以前と変わらず彼に尻尾を振った。
それどころか、僕とこの十年一緒に居たのは『タケルとそう約束したから』とケロッと言ってのけたのだ。衝撃なんてものではない。
僕だって最初からロイドが好き好んで僕と一緒に居てくれているなんて思ってはいなかった。僕は自分に自信がないし、同情心だけで一緒に居るのだろうなと一歩引いたお付き合いというのをしてきていたつもりだった。
けれど、そんな僕の一線をガンガンと踏み越えてきたのは彼の方なのに、それもこれも何もかも、前提条件が『タケルとの約束』なのだと思ったら、何だか全てが馬鹿馬鹿しくなった。
これでもこの十年、僕は僕なりに頑張って生きてきたつもりだったのだけどな……
他人に迷惑をかけないように、できる事は何でもやった。そんな僕をロイドは認めてくれているものだとばかり思っていたのだけど、それは僕の思い上がりだったようだ。
僕は腕に嵌った魔道具を撫でた。現在腕輪の魔道具は絶賛稼働中で鈍く明滅を繰り返している。
この魔道具は僕の魔力を吸収して必要な時に溜め込んだ魔力を放出してくれる優れモノだ。
度々闇の魔力をダダ洩れさせてしまう僕にとってはなくてはならない魔道具で、この腕輪には現在禍々しい程の闇の魔力が蓄えられている。
「はは、まるで呪いのこもった呪物みたい」
この腕輪を手に入れてからは僕が闇の魔力を暴走させる事はほぼなくなっていた。普段から漏れている僕の魔力を勝手に吸い込み、戦闘時には強力な攻撃魔法として還元してくれるので重宝しているけれど、それそのもの自体はいつでも禍々しいオーラを放っている。
見る人が見れば呪いの腕輪と勘違いしそうな程にこれは闇の魔力で溢れているから。
「さすがに溜め込みすぎかな……」
最近ロイドは冒険者ギルドでもあまり危険な依頼は受けない。だから余計に腕輪に魔力が溢れてしまっているのだ。
それは僕を慮っての事なのだろうと思っていたけれど、実際のところは年齢を重ねて無謀な行動を慎んでいただけなのかもしれない。
既に彼は冒険者として最高ランクのSを持っていて、年齢的には後進を育て始めていてもいい年齢だ。
実際にシュルクの街を旅立ってから仲間になった三人にロイドは己の知識を分け与える事を厭わない。
この世界の平均寿命は僕の元居た世界より圧倒的に短いし、同年代は普通に家庭を持ち生活している。
僕達は冒険者稼業一辺倒で家庭を持つ事なんて考えた事もなかったけれど、いつまでも若いままでいられないのは何処の世界でも同じだ。
「一人立ち、か」
本当は迷いの森のダンジョンを攻略した時に僕は彼から離れようと思っていたのだ。けれど、それを嫌がったのは彼の方だったのだけどな……
一人は寂しい。
それは確かにその通りで、平気なふりをしていても誰も知り合いのいなくなったこの地で孤独を感じていたのはロイドも同じだったのだとその時に知った。
僕達はお互いの寂しさを共有して慰め合う関係でしかなく、そこにかつての想い人が現れれば、そちらに靡く事なんて簡単に予想できる事だった。
だからこそ、会いたくなかったと思う気持ちをまるで見透かすみたいに「言いたい事を言え」と言われて、思いきり言いたい事を吐き出してしまったのは悔しい気持ちもあったから。
僕達の積み重ねてきた十年をまるで無かったみたいに踏み荒らす彼が憎くて仕方がなかった。
今まで言えずに飲み込んできた感情を吐き出してスッキリした気持ちもない訳ではないけれど、現在抱えているのは虚無感で、何もしたくないし考えたくもない。
現在僕がいるのは仲間と共に泊っている宿屋の一室だ。私物を置いているので、それを回収してさっさと立ち去ってしまえばいいと思うのだけど、ベッドに仰向けに転がったら、もうどうにも身体が動かない。
けれど、いつまでもここに居ればそのうちロイドも帰ってきてしまうかもしれないと思い、僕は重い身体を無理やりに起こした。
僕の纏うローブのポケットからは従魔のスライムの響が心配そうに肩によじ登り、その身体を僕の頬へと摺り寄せた。
「はは、ありがとう。君だけはいつまでも僕と一緒にいてくれる?」
『おいらはコタローとずっと一緒だぞ』
可愛い僕のスライムは、言う事までも可愛くて僕は思わず破顔する。
うん、大丈夫。僕は一人じゃない。
「さて、と。行くか」
全ての私物を回収して部屋を見渡し、少しだけ感傷に浸りながら転移魔法で移動しようとしたその時、バンッ! と、勢いよく部屋の扉が開いた。
「っ……早かったね」
部屋の扉を開いたのは、荒い呼吸を繰り返し、肩で息をするロイド。
話し合いの場から一直線にここまで走って来なければ到底やって来られるはずはない時間しか経っていないというのに、ここで鉢合わせするとはな、と僕は溜息を吐いた。
「っ、はぁ、は……コタロー、っ、行くな」
時にロイドの勘は鋭い。僕が居る場所も、何処かへ行こうとしているその行動も丸っとお見通しだったようで、ずかずかと部屋に入ってきたと同時にむんずと腕を掴まれた。
「痛いよ、ロイド。放して」
淡々と感情を乗せる事なくそう言うと、更に腕を引かれて彼の腕の中に閉じ込められた。
「放したらっ……、帰ってこない、つもりなんだろっ」
まだ呼吸の整わないロイドの声は途切れ途切れな必死な声音で、まるで僕に本気で行って欲しくないみたいに聞こえる。
こんな時じゃなかったら、こうやって抱き締められるのも本当に嬉しく思ったんだろうけどな。
こんな風にロイドが僕を抱き締めるのは僕が魔力暴走を起こした時だけだ。ロイドは今も僕が魔力暴走を起こしかけているとでも思っているのだろうか。
確かに先程、僕は闇の魔力を解放させて見せたけれど、今の僕は至って平静。闇の魔力だってきっちりコントロール下に置けている。
一秒先がどうなるかも分からない戦闘中の緊張状態とは違っているから、腕輪の効果もあって僕は現在至って普通の状態なのに、ロイドの腕の力は緩まる気配もない。
「タケルさんが見付かったんだ、僕はもう必要ない、だろ?」
「なんでっ!」
「なんでって、こっちこそ『なんで?』だよ。ロイドが僕と一緒に居た理由なんて一人は嫌だとかそんな理由だろ。事情が全て分かっていて寂しさを共有できる相手が欲しかっただけ。それが僕である必要なんてないんじゃないか。そもそもロイドはタケルさんが大好きなんだから、僕の事なんかほっとけばいい。僕だってやりたくもない冒険者稼業なんてやらなくてすむ」
「っっ」
まあ、それでも冒険者という仕事は何かとお金になるから続けていたとは思うけれど。
ただ僕は危険な場所へ自ら飛び込んでいくような趣味はないので、彼と一緒でなかったら、それこそ薬草採取でもしながら地味に生計を立てるつもりでいたのだ。それを引き止めたのはロイドで、そしてやはり引き続き冒険へと引っ張り回してくれたのもロイドなのだけど。
僕は彼が楽しそうに冒険をしている姿を見るのは好きだった。
そう、それこそテレビの中のキャラクターを見ているようにただ傍観できる立場であるのであれば冒険というのはとても楽しいものだから。
ただそれを、自分の身で体験する必要性は感じない。だって危険と隣り合わせの冒険が自分に向いていないのは僕が一番知っているのだ。
「コタローは、俺が冒険している姿を見るのは好きだって、言ってくれただろ」
「見てるのは好きだよ。見てるだけならね。だけど、僕自身は冒険なんてしたくなかった」
知ってただろう? と思い、彼の腕の中から顔を上げれば言葉に詰まったロイドは気まずげにふいっと瞳を逸らす。
やっぱりロイドは分かってて僕を連れ回していたんじゃないか。
「タケルさんほどじゃないけど、僕は冒険に連れて行くには便利な存在だったもんね?」
なにせ僕は勇者としてこの世界に召喚された人間だ、最初こそ何も出来なかったけれど、この世界に馴染んでからはそこそこ便利なスキルを行使する事ができていたと思う。いわゆるチートと呼ばれる存在だ。
ただ性格までは変えられなかったから結局目立った活躍は出来なかったし、何かあれば彼に前に立ってもらって守ってもらっていたのも事実。
だけどタケルさんが戻ってきた今、僕はもう君には必要ないだろう?
「俺は! そんな利用目的で、コタローと一緒にいた訳じゃない!」
「だったら僕を憐れんで、だったのかな?」
僕を抱き込むロイドの腕の力が急に強くなった。
痛いんだよ、馬鹿力め! 僕は君が思うより遥かに心身共に非力なんだからな! 褒められた事じゃないけれど!
彼と出会った当初の僕は自分で言うのもなんだけど、ずいぶん情けない存在だったのは間違いない。何かと言えばべそべそ泣いて、ずいぶん彼を困らせたはずだ。
しかも面倒ごとを押し付けて、それでいて一緒にいて欲しいと望んでいたのだから、我が儘で困った奴だったと自分でも思う。
「…………だから」
小さな声が耳を掠める。吐息が首筋にかかってくすぐったい。
だけど、何を呟いたのかまでは聞こえない。
「なに? 放してよ、何言ってるのか分からない」
「放さない、お前の事が、す、好きだから!」
思考が止まる。
誰が誰を好きだって? 君が僕を? それをなんで今言うの?
「そんな思ってもない事言ってまで、僕の事を引き止めたいの?」
「なっ、思ってもないって、俺は本気で!」
「それを言ったのが『今』じゃなかったら、僕だってロイドの本気を信じただろうけどさ、タイミング最悪だよ」
僕は最初からロイドに好意を寄せていた。だからタケルさんに再会する前に同じように告白されていたら僕はたぶん素直に彼の気持ちを受け入れられたと思う。
だけど今、なんで今? 僕が逃げ出したから、追いかけてきて懐柔しようとしてるとしか思えない。それも偏に彼の為に。
「まずは一旦落ち着いて、俺の話を聞いてくれ」
そう言ってロイドは僕に彼等のを事情を一通り説明してくれたわけだけど、僕はその内容に鼻白む。
「それって、一方的にあっちに都合のいい話だよね。それをする事で僕達に何かメリットある? 面倒ごとが増えるだけだろ。それともロイドは魔王を倒した英雄ってのになりたいわけ?」
ロイドがグッと言葉に詰まり「別にそういう訳じゃ……」と、もごもご言っているので、やはりこの話は結局のところタケルさんの為でしかないのだ。
「だけど皆に危険がないなら、好きにしたらいいんじゃない?」
「コタロー」
「僕は協力する気はないけどね」
瞬間喜色を浮かべたロイドは、僕が協力しないと告げるとまた少し哀しげな表情を見せる。なんだよ、それ。
「僕、さっき言ったよね? 僕はタケルさんの事が好きじゃない。どっちかと言えば大嫌いなんだけど、それでも僕に協力しろと?」
「コタローは、そんな人を下げるような事は言わないだろ。これも闇の魔力の影響なのか?」
は? 馬っ鹿じゃないの!?
どれだけ僕にフィルターかけて見ているのか知らないけど、僕は元々こういう性格だ。
陰気で臆病で、できれば争いごとには関わりたくない平和主義者ですけど、なにか!? でも……
「そう思うなら、そうなんだろ。僕の事、軽蔑した? だったらそろそろこの腕放してくれる? 痛いんだよ」
「あ……」
力一杯に抱き締められていた腕の力が僅かに緩む、だけど解放してくれる訳ではない彼の対応に溜息を零す。
「ロイドの取れる選択は二択だよ。タケルさんの手を取って名声を手に入れ英雄の道を歩むのか、僕の手を取って平和で退屈なありきたりな人生を送るのか。どっちでも好きな方を選べばいい。だけど、どちらにしても僕はもうロイドと一緒に旅する冒険者はやめにするよ、僕だって早死にはしたくないからね」
何処か皆の知らない土地に定住して、危険のない範囲で狩りや採取をしながら、時にはそれを売って生活する。僕にはそういう地味な生活がお似合いだ。
「………………」
沈黙が続く。何かを考え込んでいるロイドの沈黙が長すぎる。
答えなんか分かりきっているだろうに、もうさっさと僕を解放して欲しい。
「俺の天職は冒険者だ」
ようやく口を開いたロイドの言葉。まあ、そうだよね、分かってた。君はやはり華々しい英雄への道を選ぶのだろう。
「だけど、それをコタローに強要したのは間違いだった。冒険者稼業は辛かったか?」
無言は肯定、僕は返事を返さない。
「ごめんな」とロイドは謝罪の言葉を述べて、僕達の冒険の旅もここで終わりかと思った瞬間「だけど……」とロイドは言葉を続ける。
「俺はお前を手放せない」
「……え?」
「言っただろ、コタローの事が好きなんだよ。愛、してるんだ」
驚きすぎて言葉が出ない。ロイドの口から『好き』より上の『愛』が出てきた。
嘘だろ? 本気か? ついに脳にまで闇の魔力が侵食してきて、僕に都合のいい夢でも見させているのだろうか?
「都合のいい事を言っていると思われるかもしれないが、それでも俺の天職は冒険者で、それ以外の職を俺は考えられない。だけど……だから、コタローは俺の帰る家になってくれないか?」
「帰る……家?」
「何処へ旅に出ても、必ずお前の所へ帰るから。だから、これからも、俺と一緒にいて欲しい。一生食うに困る生活はさせないから!」
えっと、なにこれ? これはどういう意味で受け取ればいい? これではまるでプロポーズのようなのだけど……
「ダメ、かな?」
「えっと……それはロイドが僕を養ってくれるって話? まるで求婚してるみたいに聞こえるんだけど?」
「俺は、そのつもりだけど……」
「付き合ってもないのに、いきなりプロポーズ?」
「あ……」と一言呟いてロイドは顔を真っ赤に染めて「順番、間違えた」と、ぶつぶつと零したのだけど、そのうちに開き直ったのか「結婚を前提にお付き合いしてください!」と、言い直した。
結婚って言っちゃったよ。
「僕、男だよ?」
「知ってる」
「子供とか、産めないよ?」
「そんな事は分かってる」
こっちの世界の性教育とかどうなってるのかよく分からないから、分かってないのかと思ったけど、そんな事はないらしい。
まあ、今までだってある程度歳を重ねて、飲み屋で酔っ払いたちと猥談なんて普通にあったし、知らないなんて事はないとは思ったけど、念の為。
「本気?」
「真面目に本気だ」
「本気なんだ」
「やっぱりダメか? 嫁さんは可愛い女の子の方がいい、よな……コタローだって男だもんな」
急にしょんぼりしてしまったロイド。いや、僕、今まで可愛い女の子に懸想した事なんて一度もないけど?
「僕、女性には嫌われるたちだから。ロイドだって知ってるだろ?」
かと言って男にモテる訳でもないけどさ。
一応同性愛者だと自覚している僕は今までも目立たず騒がず大人しく暮らしていたのだけれど、一般的に自分が人に好かれにくい性格なのは自覚している。
「嫌われるなんてそんな、現にその腕輪をくれた彼女だってお前の事……」
ああ、アレは僕に同情してくれてただけだと思うけどなぁ。
彼女はやんわりと僕のフォローはしてくれたけれど、人の悪口を平気で言えるような人達と仲間というだけでお察しだよなと僕は思っていた。
というか、僕は彼女とは似た者同士なのだと思う。
彼女自身は悪い人ではないのだろうけど、嫌な事にはっきりNOを言えず、周りに迎合して生きている。その生き方は周りに敵を作らないという意味では賢い生き方だけれど、八方美人と言われたらそれまでだ。
そしてそんな生き方は僕の生き方ととてもよく似ているのだから、アレは同類相憐れむというやつなのだろう。
「僕も、ロイドの事は、好き、だよ」
「!?」
またしてもロイドの僕を抱き締める腕の力が強くなった。
「だから、力強いって! 骨が折れる!」
「ああ、悪い」
今度こそ僕はロイドの腕から解放されたのだけど、彼は掴んだ僕の腕だけは離さい。この期に及んで、まだ逃げるとでも思われているのだろうか?
流石に10年も相棒をしているのだ、僕のそういう逃げ腰な気質はとっくに彼に見抜かれているという事なのだろう。
ロイドが僕の顔を覗き込んでくる。これはいつも俯いてしまう僕を慮って付いてしまった彼の癖なのだと思う。
真正面から視線を合わせられるの、好きじゃないんだけどな。
「僕、ね、付き合うなら、僕を一番に考えてくれる人じゃないと、嫌なんだ」
「なんだ、そんな事……」
そんな事、そんな事なのかな……
「だってロイドの一番は、タケルさん、だろ?」
「いや、タケルの事はもうとっくに諦めてたし、今はコタローが一番だけど?」
はっきり、さっぱり、あっさりと言ってくれる。言葉が軽すぎて信じられないんだけど。
「それってさ、それこそ誓約魔法で宣誓してって言っても、同じこと言えるの?」
「? 別に全然大丈夫だけど」
「対価が、命、だとしても?」
「コタローがそれを望むなら」
本気か? 本当に本気なのか? 対価は自分の命だぞ? あれ程、簡単に魔術の誓約はするなって口を酸っぱくして注意してきたのに!
「僕を裏切ったら、ロイドは死ぬんだよ? 本当に分かってる!?」
「裏切る気はないから問題ないな」
そんな、あっさりと……色々考えて落ち込んで、感情のままに怒ってた僕がまるで馬鹿みたいじゃないか。
本当に馬鹿。
僕もロイドも馬鹿すぎて、信じてもいいのかなってそう思えてきた。例えこれが闇の魔力が魅せる、僕に都合のいいだけの夢だとしても。
「病める時も、健やかなる時も?」
「コタローを愛するって誓うよ」
ロイドがにぱぁと満面の笑みで僕を見る。
ぐうぅぅ、こんなの断れる訳ないだろう!! だって、僕だってロイドの事はずっと好きだったのだから。
「裏切ったら、本気で殺すから!」
「望むところだ」
捕まれていた腕が今度こそ完全に解放され、今度は指を絡め合って僕達は初めての口付けを交わした。
現在僕は大好きな人と大嫌いな人から逃げ出して、これから一人でどうしようかと、考えているところだ。
仲間だ、友だ、相棒だ、と僕の事を散々に持ち上げてくれていた僕の大好きな人は、僕の嫌いな人の事が大好きで、十年ぶりに再会してみれば以前と変わらず彼に尻尾を振った。
それどころか、僕とこの十年一緒に居たのは『タケルとそう約束したから』とケロッと言ってのけたのだ。衝撃なんてものではない。
僕だって最初からロイドが好き好んで僕と一緒に居てくれているなんて思ってはいなかった。僕は自分に自信がないし、同情心だけで一緒に居るのだろうなと一歩引いたお付き合いというのをしてきていたつもりだった。
けれど、そんな僕の一線をガンガンと踏み越えてきたのは彼の方なのに、それもこれも何もかも、前提条件が『タケルとの約束』なのだと思ったら、何だか全てが馬鹿馬鹿しくなった。
これでもこの十年、僕は僕なりに頑張って生きてきたつもりだったのだけどな……
他人に迷惑をかけないように、できる事は何でもやった。そんな僕をロイドは認めてくれているものだとばかり思っていたのだけど、それは僕の思い上がりだったようだ。
僕は腕に嵌った魔道具を撫でた。現在腕輪の魔道具は絶賛稼働中で鈍く明滅を繰り返している。
この魔道具は僕の魔力を吸収して必要な時に溜め込んだ魔力を放出してくれる優れモノだ。
度々闇の魔力をダダ洩れさせてしまう僕にとってはなくてはならない魔道具で、この腕輪には現在禍々しい程の闇の魔力が蓄えられている。
「はは、まるで呪いのこもった呪物みたい」
この腕輪を手に入れてからは僕が闇の魔力を暴走させる事はほぼなくなっていた。普段から漏れている僕の魔力を勝手に吸い込み、戦闘時には強力な攻撃魔法として還元してくれるので重宝しているけれど、それそのもの自体はいつでも禍々しいオーラを放っている。
見る人が見れば呪いの腕輪と勘違いしそうな程にこれは闇の魔力で溢れているから。
「さすがに溜め込みすぎかな……」
最近ロイドは冒険者ギルドでもあまり危険な依頼は受けない。だから余計に腕輪に魔力が溢れてしまっているのだ。
それは僕を慮っての事なのだろうと思っていたけれど、実際のところは年齢を重ねて無謀な行動を慎んでいただけなのかもしれない。
既に彼は冒険者として最高ランクのSを持っていて、年齢的には後進を育て始めていてもいい年齢だ。
実際にシュルクの街を旅立ってから仲間になった三人にロイドは己の知識を分け与える事を厭わない。
この世界の平均寿命は僕の元居た世界より圧倒的に短いし、同年代は普通に家庭を持ち生活している。
僕達は冒険者稼業一辺倒で家庭を持つ事なんて考えた事もなかったけれど、いつまでも若いままでいられないのは何処の世界でも同じだ。
「一人立ち、か」
本当は迷いの森のダンジョンを攻略した時に僕は彼から離れようと思っていたのだ。けれど、それを嫌がったのは彼の方だったのだけどな……
一人は寂しい。
それは確かにその通りで、平気なふりをしていても誰も知り合いのいなくなったこの地で孤独を感じていたのはロイドも同じだったのだとその時に知った。
僕達はお互いの寂しさを共有して慰め合う関係でしかなく、そこにかつての想い人が現れれば、そちらに靡く事なんて簡単に予想できる事だった。
だからこそ、会いたくなかったと思う気持ちをまるで見透かすみたいに「言いたい事を言え」と言われて、思いきり言いたい事を吐き出してしまったのは悔しい気持ちもあったから。
僕達の積み重ねてきた十年をまるで無かったみたいに踏み荒らす彼が憎くて仕方がなかった。
今まで言えずに飲み込んできた感情を吐き出してスッキリした気持ちもない訳ではないけれど、現在抱えているのは虚無感で、何もしたくないし考えたくもない。
現在僕がいるのは仲間と共に泊っている宿屋の一室だ。私物を置いているので、それを回収してさっさと立ち去ってしまえばいいと思うのだけど、ベッドに仰向けに転がったら、もうどうにも身体が動かない。
けれど、いつまでもここに居ればそのうちロイドも帰ってきてしまうかもしれないと思い、僕は重い身体を無理やりに起こした。
僕の纏うローブのポケットからは従魔のスライムの響が心配そうに肩によじ登り、その身体を僕の頬へと摺り寄せた。
「はは、ありがとう。君だけはいつまでも僕と一緒にいてくれる?」
『おいらはコタローとずっと一緒だぞ』
可愛い僕のスライムは、言う事までも可愛くて僕は思わず破顔する。
うん、大丈夫。僕は一人じゃない。
「さて、と。行くか」
全ての私物を回収して部屋を見渡し、少しだけ感傷に浸りながら転移魔法で移動しようとしたその時、バンッ! と、勢いよく部屋の扉が開いた。
「っ……早かったね」
部屋の扉を開いたのは、荒い呼吸を繰り返し、肩で息をするロイド。
話し合いの場から一直線にここまで走って来なければ到底やって来られるはずはない時間しか経っていないというのに、ここで鉢合わせするとはな、と僕は溜息を吐いた。
「っ、はぁ、は……コタロー、っ、行くな」
時にロイドの勘は鋭い。僕が居る場所も、何処かへ行こうとしているその行動も丸っとお見通しだったようで、ずかずかと部屋に入ってきたと同時にむんずと腕を掴まれた。
「痛いよ、ロイド。放して」
淡々と感情を乗せる事なくそう言うと、更に腕を引かれて彼の腕の中に閉じ込められた。
「放したらっ……、帰ってこない、つもりなんだろっ」
まだ呼吸の整わないロイドの声は途切れ途切れな必死な声音で、まるで僕に本気で行って欲しくないみたいに聞こえる。
こんな時じゃなかったら、こうやって抱き締められるのも本当に嬉しく思ったんだろうけどな。
こんな風にロイドが僕を抱き締めるのは僕が魔力暴走を起こした時だけだ。ロイドは今も僕が魔力暴走を起こしかけているとでも思っているのだろうか。
確かに先程、僕は闇の魔力を解放させて見せたけれど、今の僕は至って平静。闇の魔力だってきっちりコントロール下に置けている。
一秒先がどうなるかも分からない戦闘中の緊張状態とは違っているから、腕輪の効果もあって僕は現在至って普通の状態なのに、ロイドの腕の力は緩まる気配もない。
「タケルさんが見付かったんだ、僕はもう必要ない、だろ?」
「なんでっ!」
「なんでって、こっちこそ『なんで?』だよ。ロイドが僕と一緒に居た理由なんて一人は嫌だとかそんな理由だろ。事情が全て分かっていて寂しさを共有できる相手が欲しかっただけ。それが僕である必要なんてないんじゃないか。そもそもロイドはタケルさんが大好きなんだから、僕の事なんかほっとけばいい。僕だってやりたくもない冒険者稼業なんてやらなくてすむ」
「っっ」
まあ、それでも冒険者という仕事は何かとお金になるから続けていたとは思うけれど。
ただ僕は危険な場所へ自ら飛び込んでいくような趣味はないので、彼と一緒でなかったら、それこそ薬草採取でもしながら地味に生計を立てるつもりでいたのだ。それを引き止めたのはロイドで、そしてやはり引き続き冒険へと引っ張り回してくれたのもロイドなのだけど。
僕は彼が楽しそうに冒険をしている姿を見るのは好きだった。
そう、それこそテレビの中のキャラクターを見ているようにただ傍観できる立場であるのであれば冒険というのはとても楽しいものだから。
ただそれを、自分の身で体験する必要性は感じない。だって危険と隣り合わせの冒険が自分に向いていないのは僕が一番知っているのだ。
「コタローは、俺が冒険している姿を見るのは好きだって、言ってくれただろ」
「見てるのは好きだよ。見てるだけならね。だけど、僕自身は冒険なんてしたくなかった」
知ってただろう? と思い、彼の腕の中から顔を上げれば言葉に詰まったロイドは気まずげにふいっと瞳を逸らす。
やっぱりロイドは分かってて僕を連れ回していたんじゃないか。
「タケルさんほどじゃないけど、僕は冒険に連れて行くには便利な存在だったもんね?」
なにせ僕は勇者としてこの世界に召喚された人間だ、最初こそ何も出来なかったけれど、この世界に馴染んでからはそこそこ便利なスキルを行使する事ができていたと思う。いわゆるチートと呼ばれる存在だ。
ただ性格までは変えられなかったから結局目立った活躍は出来なかったし、何かあれば彼に前に立ってもらって守ってもらっていたのも事実。
だけどタケルさんが戻ってきた今、僕はもう君には必要ないだろう?
「俺は! そんな利用目的で、コタローと一緒にいた訳じゃない!」
「だったら僕を憐れんで、だったのかな?」
僕を抱き込むロイドの腕の力が急に強くなった。
痛いんだよ、馬鹿力め! 僕は君が思うより遥かに心身共に非力なんだからな! 褒められた事じゃないけれど!
彼と出会った当初の僕は自分で言うのもなんだけど、ずいぶん情けない存在だったのは間違いない。何かと言えばべそべそ泣いて、ずいぶん彼を困らせたはずだ。
しかも面倒ごとを押し付けて、それでいて一緒にいて欲しいと望んでいたのだから、我が儘で困った奴だったと自分でも思う。
「…………だから」
小さな声が耳を掠める。吐息が首筋にかかってくすぐったい。
だけど、何を呟いたのかまでは聞こえない。
「なに? 放してよ、何言ってるのか分からない」
「放さない、お前の事が、す、好きだから!」
思考が止まる。
誰が誰を好きだって? 君が僕を? それをなんで今言うの?
「そんな思ってもない事言ってまで、僕の事を引き止めたいの?」
「なっ、思ってもないって、俺は本気で!」
「それを言ったのが『今』じゃなかったら、僕だってロイドの本気を信じただろうけどさ、タイミング最悪だよ」
僕は最初からロイドに好意を寄せていた。だからタケルさんに再会する前に同じように告白されていたら僕はたぶん素直に彼の気持ちを受け入れられたと思う。
だけど今、なんで今? 僕が逃げ出したから、追いかけてきて懐柔しようとしてるとしか思えない。それも偏に彼の為に。
「まずは一旦落ち着いて、俺の話を聞いてくれ」
そう言ってロイドは僕に彼等のを事情を一通り説明してくれたわけだけど、僕はその内容に鼻白む。
「それって、一方的にあっちに都合のいい話だよね。それをする事で僕達に何かメリットある? 面倒ごとが増えるだけだろ。それともロイドは魔王を倒した英雄ってのになりたいわけ?」
ロイドがグッと言葉に詰まり「別にそういう訳じゃ……」と、もごもご言っているので、やはりこの話は結局のところタケルさんの為でしかないのだ。
「だけど皆に危険がないなら、好きにしたらいいんじゃない?」
「コタロー」
「僕は協力する気はないけどね」
瞬間喜色を浮かべたロイドは、僕が協力しないと告げるとまた少し哀しげな表情を見せる。なんだよ、それ。
「僕、さっき言ったよね? 僕はタケルさんの事が好きじゃない。どっちかと言えば大嫌いなんだけど、それでも僕に協力しろと?」
「コタローは、そんな人を下げるような事は言わないだろ。これも闇の魔力の影響なのか?」
は? 馬っ鹿じゃないの!?
どれだけ僕にフィルターかけて見ているのか知らないけど、僕は元々こういう性格だ。
陰気で臆病で、できれば争いごとには関わりたくない平和主義者ですけど、なにか!? でも……
「そう思うなら、そうなんだろ。僕の事、軽蔑した? だったらそろそろこの腕放してくれる? 痛いんだよ」
「あ……」
力一杯に抱き締められていた腕の力が僅かに緩む、だけど解放してくれる訳ではない彼の対応に溜息を零す。
「ロイドの取れる選択は二択だよ。タケルさんの手を取って名声を手に入れ英雄の道を歩むのか、僕の手を取って平和で退屈なありきたりな人生を送るのか。どっちでも好きな方を選べばいい。だけど、どちらにしても僕はもうロイドと一緒に旅する冒険者はやめにするよ、僕だって早死にはしたくないからね」
何処か皆の知らない土地に定住して、危険のない範囲で狩りや採取をしながら、時にはそれを売って生活する。僕にはそういう地味な生活がお似合いだ。
「………………」
沈黙が続く。何かを考え込んでいるロイドの沈黙が長すぎる。
答えなんか分かりきっているだろうに、もうさっさと僕を解放して欲しい。
「俺の天職は冒険者だ」
ようやく口を開いたロイドの言葉。まあ、そうだよね、分かってた。君はやはり華々しい英雄への道を選ぶのだろう。
「だけど、それをコタローに強要したのは間違いだった。冒険者稼業は辛かったか?」
無言は肯定、僕は返事を返さない。
「ごめんな」とロイドは謝罪の言葉を述べて、僕達の冒険の旅もここで終わりかと思った瞬間「だけど……」とロイドは言葉を続ける。
「俺はお前を手放せない」
「……え?」
「言っただろ、コタローの事が好きなんだよ。愛、してるんだ」
驚きすぎて言葉が出ない。ロイドの口から『好き』より上の『愛』が出てきた。
嘘だろ? 本気か? ついに脳にまで闇の魔力が侵食してきて、僕に都合のいい夢でも見させているのだろうか?
「都合のいい事を言っていると思われるかもしれないが、それでも俺の天職は冒険者で、それ以外の職を俺は考えられない。だけど……だから、コタローは俺の帰る家になってくれないか?」
「帰る……家?」
「何処へ旅に出ても、必ずお前の所へ帰るから。だから、これからも、俺と一緒にいて欲しい。一生食うに困る生活はさせないから!」
えっと、なにこれ? これはどういう意味で受け取ればいい? これではまるでプロポーズのようなのだけど……
「ダメ、かな?」
「えっと……それはロイドが僕を養ってくれるって話? まるで求婚してるみたいに聞こえるんだけど?」
「俺は、そのつもりだけど……」
「付き合ってもないのに、いきなりプロポーズ?」
「あ……」と一言呟いてロイドは顔を真っ赤に染めて「順番、間違えた」と、ぶつぶつと零したのだけど、そのうちに開き直ったのか「結婚を前提にお付き合いしてください!」と、言い直した。
結婚って言っちゃったよ。
「僕、男だよ?」
「知ってる」
「子供とか、産めないよ?」
「そんな事は分かってる」
こっちの世界の性教育とかどうなってるのかよく分からないから、分かってないのかと思ったけど、そんな事はないらしい。
まあ、今までだってある程度歳を重ねて、飲み屋で酔っ払いたちと猥談なんて普通にあったし、知らないなんて事はないとは思ったけど、念の為。
「本気?」
「真面目に本気だ」
「本気なんだ」
「やっぱりダメか? 嫁さんは可愛い女の子の方がいい、よな……コタローだって男だもんな」
急にしょんぼりしてしまったロイド。いや、僕、今まで可愛い女の子に懸想した事なんて一度もないけど?
「僕、女性には嫌われるたちだから。ロイドだって知ってるだろ?」
かと言って男にモテる訳でもないけどさ。
一応同性愛者だと自覚している僕は今までも目立たず騒がず大人しく暮らしていたのだけれど、一般的に自分が人に好かれにくい性格なのは自覚している。
「嫌われるなんてそんな、現にその腕輪をくれた彼女だってお前の事……」
ああ、アレは僕に同情してくれてただけだと思うけどなぁ。
彼女はやんわりと僕のフォローはしてくれたけれど、人の悪口を平気で言えるような人達と仲間というだけでお察しだよなと僕は思っていた。
というか、僕は彼女とは似た者同士なのだと思う。
彼女自身は悪い人ではないのだろうけど、嫌な事にはっきりNOを言えず、周りに迎合して生きている。その生き方は周りに敵を作らないという意味では賢い生き方だけれど、八方美人と言われたらそれまでだ。
そしてそんな生き方は僕の生き方ととてもよく似ているのだから、アレは同類相憐れむというやつなのだろう。
「僕も、ロイドの事は、好き、だよ」
「!?」
またしてもロイドの僕を抱き締める腕の力が強くなった。
「だから、力強いって! 骨が折れる!」
「ああ、悪い」
今度こそ僕はロイドの腕から解放されたのだけど、彼は掴んだ僕の腕だけは離さい。この期に及んで、まだ逃げるとでも思われているのだろうか?
流石に10年も相棒をしているのだ、僕のそういう逃げ腰な気質はとっくに彼に見抜かれているという事なのだろう。
ロイドが僕の顔を覗き込んでくる。これはいつも俯いてしまう僕を慮って付いてしまった彼の癖なのだと思う。
真正面から視線を合わせられるの、好きじゃないんだけどな。
「僕、ね、付き合うなら、僕を一番に考えてくれる人じゃないと、嫌なんだ」
「なんだ、そんな事……」
そんな事、そんな事なのかな……
「だってロイドの一番は、タケルさん、だろ?」
「いや、タケルの事はもうとっくに諦めてたし、今はコタローが一番だけど?」
はっきり、さっぱり、あっさりと言ってくれる。言葉が軽すぎて信じられないんだけど。
「それってさ、それこそ誓約魔法で宣誓してって言っても、同じこと言えるの?」
「? 別に全然大丈夫だけど」
「対価が、命、だとしても?」
「コタローがそれを望むなら」
本気か? 本当に本気なのか? 対価は自分の命だぞ? あれ程、簡単に魔術の誓約はするなって口を酸っぱくして注意してきたのに!
「僕を裏切ったら、ロイドは死ぬんだよ? 本当に分かってる!?」
「裏切る気はないから問題ないな」
そんな、あっさりと……色々考えて落ち込んで、感情のままに怒ってた僕がまるで馬鹿みたいじゃないか。
本当に馬鹿。
僕もロイドも馬鹿すぎて、信じてもいいのかなってそう思えてきた。例えこれが闇の魔力が魅せる、僕に都合のいいだけの夢だとしても。
「病める時も、健やかなる時も?」
「コタローを愛するって誓うよ」
ロイドがにぱぁと満面の笑みで僕を見る。
ぐうぅぅ、こんなの断れる訳ないだろう!! だって、僕だってロイドの事はずっと好きだったのだから。
「裏切ったら、本気で殺すから!」
「望むところだ」
捕まれていた腕が今度こそ完全に解放され、今度は指を絡め合って僕達は初めての口付けを交わした。
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