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第七章
召喚勇者と僕
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急に黙りこんでしまった僕にロイドとアルバートの二人は顔を見合わせて『どうしたんだ?』『分からない』というような無言のやり取りをしているのが分かる。
「とりあえず、そのコタロー? とかいう奴も話しに加えた方がよくないか?」というアルバートの言葉に、ロイドは部屋の外へと小太郎を呼びに行った。
「タケル、何か思う所があるのなら、別に魔王討伐なんてする必要ないんだからな」
ロイドが出て行った二人きりの室内でアルバートが僕に告げる。
「確かに冒険者たちを里近くに寄せ付けない為には有効な手段だとは思うが、懸念事項があるのなら無理をする必要はない」
懸念事項……それはエルフ達の生活やエルフの里の秘密を護るという点から考えると、とても個人的で些末な事である。
僕はただ小太郎君がルーファウスの初恋の相手であるタロウさんである事が心情的に嫌なだけだ。それはとても身勝手な話だという自覚もある。
今まで自分が矢面に立つのが嫌で、魔王には関わらないと決めていた。僕をこの世界に導いた神様にも魔王討伐は荷が重いと言って拒否をしておきながら、自分勝手な事であると思う。
けれど、これは魔王の話であって魔王の話ではない。
でもそう言えば、神様は言っていた。この世界に魔王という存在がいないという訳ではない、と。
実際にルーファウスも幼い代替わりした魔王を見た事があると言っていたのだ、魔王はどこかに確実に存在している。
そしていずれ本物の魔王は魔王領と呼ばれる場所、即ち、現在の魔の森に現れるのだろう。
平和を愛する魔王様は人族の領地に攻め込む事もしないと聞いているけれど、一体どんな人物なのか。そしてどのタイミングで現れるのだろう。
そもそも僕の知っている魔王領と現在の魔の森の様子はあまりにも違っていて、それがどうして成されるのか僕にはまるで分からないのだ。
「タケル、コタロー連れて来たぞ」
ロイドに連れられてやって来た小太郎君はやはり僕の顔を見ようとはしない。けれどこれは僕に限った話ではなく、常時伏せ気味な彼の視線は誰とも交わる事はない。
「あ、あの、僕、なんで呼ばれたんですか?」
「うん、単刀直入に言えば、小太郎君に魔王を倒してもらおうかって話しに……」
「な、なな、ななんでっ!? 嫌ですよっ! 絶対嫌だっっ! 僕、そういうの駄目だってタケルさんも知ってますよね!?」
「落ち着けコタロー、これはそこまで危ない話じゃない」
ロイド君が小太郎君の肩を抱くようにして顔を覗き込むと、小太郎君はびくりと固まり、ロイドを見やる。
ああ、なるほど。ロイド君が人の顔を覗き込むのは小太郎君が常に俯き気味で表情が見えにくいからこそついた癖だったのか。なにせ2人は10年来の相棒だものな。
そこには積み重ねてきた二人だけの時間と信頼関係があるのだろう。
「なに? どういう事?」
「説明の前に彼にも魔術の誓約をしてもらってもいいだろうか?」
あ、ああ、そうだった。ロイド君には秘密厳守の誓約をしてもらったのだから、当然小太郎君にもそれは施さなければダメだろう。
アルバートがすっと一歩進み出ると、小太郎はまたびくりと身を竦ませる。
「別に痛くないから大丈夫だよ。これからされる話を他に漏らさなければ問題ない話だし」
「またロイドはそうやって、簡単に魔術契約を結んだの!? そういう軽率な契約はダメだって、僕いつも言ってるだろう! 下手すれば命の危険だってあるんだから!」
お? 珍しく小太郎君がロイド君に食ってかかってる。
「まあ、相手はタケルだし」
「それでもダメだよ、見せて! 契約解除するから!」
「いや、でもなあ……」
困ったように髪を掻き上げたその腕に魔力の残滓を見付けたのだろう小太郎君が無理やりその腕を掴んで何やら唱えると、アルバートの施した魔術契約はあっという間に解除されてしまい僕達は言葉を失う。
「僕に無理やり魔術での誓約魔法をかけようとしても無駄ですよ、大概のものは自力で解除できますから」
珍しくきっ! と小太郎がこちらを睨み付けた。
「これは……驚いたな。エルフの里でも一部の者にしか使えない誓約魔法を何故人族であるお前が解除できる?」
「僕自身に付けられた紋印を消すために勉強しました」
そういえば彼の身体にはグランバルト王国の総務大臣であるアルバートに刻まれた紋印があった事を思い出す。そんな彼の紋印を消すために学んだというのなら、確かに紋印を刻んだ相手と同一人物であるアルバートの契約魔法を破棄する術くらいは身に付けていても不思議ではない。
なにせ小太郎もまた異世界から呼ばれた勇者であり、チート持ちでもあるのだから。
「どんな理由があって魔術の契約を結んだのか知りませんけど、一方的に結ばされる契約なんて破棄されて当然でしょう!」
「コタロー、一応俺は同意の上……」
「ロイドは黙ってて!」
先程までおどおどしていた小太郎君が前を向く。その視線はやはり僅かに揺れているのだけれど、彼は彼なりにロイド君を護ろうとしているのだろう。
「そもそもタケルさんは勝手です! 10年間何の音沙汰もなかったくせに、突然目の前に現れて、自分の思う通りにロイドを使おうとするのやめてください!」
「僕はそんなつもりじゃ……」
「貴方にそんなつもりがなくたって、ロイドは貴方の言う事は何でも聞いてしまうでしょう!? 皆で旅していたあの時だって旅の中心は常に貴方だった、皆が皆貴方の事が大好きで、誰もかれもが貴方の言う通りに動いてしまう。さっき貴方は僕に言いたい事を言えって言いましたよね……」
小太郎君がひとつ大きく息を吸う。
「僕はあの頃から貴方が嫌いです!」
言い切られて言葉に詰まる。
言えと言ったのは自分なのだけれど、オブラートにも包まれていない直球での『嫌い』は心にダイレクトに刺さるのだと知り、僕はぐっと拳を握った。
「僕はずっと虐められっ子で、学校ではいつも一人ぼっちでした。僕の周りには僕を傷付ける人達しかいなくて、いつだって孤独で寂しくて、なのに貴方はこんな異世界に来ても孤独を感じる事もなく能天気に皆に愛され笑ってて、僕はそんな貴方が本当に大嫌いだったんだ!」
「お、おいコタロー、どうした?」
ロイドがおろおろと僕と小太郎の二人を見やる。突然怒りだした小太郎君に彼も戸惑っているのだろう。
「だけど、この世界に来て、ロイドと二人助け合って冒険して、僕にも仲間って呼べる人達も増えて、ようやく僕にも居場所ができたと思っていたのに、なのに、なんで……」
小太郎君の言葉は尻すぼみに小さくなっていく。
元々感情表現を表に出すのが苦手そうなのは分かっていた、そんな彼が声を荒げて言い返した事は驚きだけれど、それくらい僕は彼の心を傷付けていたのだろう。
「タケルさん、は、何でもその手に持ってるじゃないですか。なのに、なんで、僕から大事な人まで取り上げようとするんですか。僕はただこの平穏な生活を壊されたくないだけなのにっ」
小太郎君の瞳が赤い。
それは浮かべた悲愴な表情と相まって泣いているのかと思ったけれど、違う、そう思った瞬間にぞわりと背筋に寒気が走った。
部屋の温度が急に下がった気がする。それはたぶん恐らくアルバートとロイドも感じ取ったのだろう、瞬間的にアルバートが僕の腕を掴み自身の後方へと待避させた。
それと同時にロイドが小太郎の頭を抱え込むようにして抱き締めたのが瞳の端に映る。
「止めろ、コタロー。それは使うなって言っただろ!」
「うっ、ふ……うぅ」
完全にアルバートの背に隠されてしまった僕に二人の姿は見えなくなってしまったのだが、微かに小太郎の呻くような声が聞こえる。
「彼は、闇魔法の使い手なのか」
アルバートがぽつりと零した呟き。ああ、そうだ確かに彼には闇魔法の才能があるのだったと思い出す。
先程感じた恐ろしい程の殺気、あれは闇の魔力そのものか。
僕自身闇魔法は使えるものの、周りの者達が使う事を制限するのでここまでぼほ闇魔法は使ってこなかったし、スキルレベルも高くはない。けれど、これは……
「使っちゃダメだって言っておいたのに」
どの口がそれを言うのかと思われそうだけれど、小太郎君は僕よりも余程心が弱そうで、使うごとに心が闇に呑まれてしまうという闇魔法は危険だと僕だって思ったのだ。
だから、彼の闇魔法のスキルレベルが高いと分かった時点で使っては駄目だと釘を刺しておいたのだけれど……そんな僕の呟きが聞こえたものか、小太郎君から溢れる寒気を伴う魔力がまた部屋の温度を下げる。
「ええ、そうですよ。貴方は僕にこれは使うなと言いました。けれど、あの当時、僕にとって一番強い攻撃魔法が闇魔法だった。ロイドと二人、冒険を重ねる中、足手纏いにしかなれない僕には強い力が必要だった!」
慟哭とも取れる小太郎の心の叫び、アルバートの背からそっと顔を覗かせれば、彼のその瞳からはボロボロと涙が零れ落ちていた。
そんな彼を落ち着かせようとロイドは必死に小太郎を抱き締めているのだけれど、小太郎はそれをも拒むように彼の腕の中で暴れている。
「僕だってこの10年必死に生きてきたんだ! こんな現代社会の常識が通用しない訳の分からない世界に放り出されて、それでも必死に生きるために頑張ったんだ! そうして掴んだ平穏と、大事な人との生活が、貴方が簡単に放った一言で全部崩れるんだ! こんなのっ、こんなのあんまりだろっっ!」
「落ち着け、コタロー! これは本当にそこまでの話じゃないんだ!」
ロイドの腕の中で暴れていた小太郎がピタリとその動きを止めた。
「どうせ何を言われたって、ロイドはタケルさんの言いなりだもんな」
「なに?」
「最初からずっと、あんたはあいつに首ったけで、僕とだってあの人が言うからずっと一緒に居ただけ、なんだもんな」
涙を浮かべながら酷薄な笑みを浮かべる小太郎からは闇の魔力が溢れ返り、誰も身動きが取れない。
「相棒だなんだって周りから持て囃されて、僕もちょっとその気になってた。ごめんね? 僕のお守りは大変だったろ」
「違う、コタロー! 俺はそんな事思ってない!」
「いいよもう、何もかもうんざりだよ。皆あんた達の好きにすればいい、だけど、僕はそれに協力なんか絶対にしないから」
小太郎がロイドの腕から抜け出すように姿を消した。恐らく転移魔法だろう。
闇の魔力の飽和で重苦しく冷え込んでいた部屋の空気がすんっと軽くなった感覚と同時に、ずんっと今度は疲労が肩に乗る。怖かった……
『闇魔法』自分でも使える魔法ではあるけれど、ほとんど行使をしていないのでどんなものかはっきりと認識していなかったけれど、これは駄目だ。
闇の魔力に晒されただけでこんなに体の自由が奪われ、そして体力を消耗するなんて想定外。
闇魔法というのは恐らく場を支配する事で他者の魔力をも奪うのだろう、僅かに自身の手が震えている。
「お、俺、コタロー探してくる!」
無言で言葉も出なかった僕達の中で一番に立ち直ったロイドが慌てたように部屋を飛び出して行く。
「アレは――とんでもない怪物だな」
「そういう事言わないで。友達、なんだよ」
「向こうはそう思っているようにはとても見えなかったが」
彼に嫌われている事には薄々気付いていた。だけど僕的には仲良くしているつもりだったんだよ……
だけど彼から見たら僕は随分と無神経な人間だったのかもしれない。
いつでも能天気に笑っていたと言われたら、まさにその通り過ぎて何も言えない。だってこっちの世界、僕にとってはとても楽しいものだったのだから。
だって僕、向こうの世界では天涯孤独で恋人なしの独身童貞40歳だよ? 孤独死まっしぐらの中年男性だよ? それが若返って美形にしてもらって、ついでにチート特典まで付けられたら、そりゃ人生楽しくて笑っちゃうのも仕方ないと思わないか?
小太郎君とはこちらにやって来た前提条件が違い過ぎる。神様、なんでそんな依怙贔屓したのさ? まあ、小太郎君にだってチート能力はあるのだから、僕だけを依怙贔屓という話にはならないのだろうけど。
それでもそれに加えて僕の若返りと美少年化はやはり神様の依怙贔屓だったのだろうな。
ああ、でも小太郎君は神様に呼ばれてこっちの世界にきた訳じゃない、確か勇者召喚? とかいう秘術で彼と茉莉ちゃんはこちらの世界に呼ばれたのだ。
そういえば、それを先導したの、よく考えたら目の前のこの人だ……
じっとアルバートさんを見やれば「なんだ?」と彼は首を傾げる。
「アルバートさんは勇者召喚って知ってますか?」
「あ? なに? 勇者を、召喚? するのか? どうやって? そもそも召喚術なんて秘術中の秘術だろうが」
「! 召喚術はあるんだ!」
「あ……いや、まあ、ないことはない、らしいぞ?」
途端にアルバートの歯切れが悪くなり、しまったというような表情で視線を泳がせ始めた。これは恐らく何かを知っていて隠している事があるのだろう。エルフの里の秘め事はあらかた聞いたと思っていたけれど、まだまだ僕の知らない秘密はあるんだな。ビックリだよ。
「僕、その召喚術の事を知りたいんですけど」
「それは……召喚術は秘術だと言っているだろう、私だってそういう術があると聞いた事があるだけで、使った者を見た事はない。それに召喚術というのは人ならざるモノを呼び出す術であって、誰かその辺に居る者を呼び出す術じゃないんだ、それだったら転移魔法で充分だろう!」
それは、確かに!?
人ならざるモノ、例えばゲームの世界だと神様だとかイフリートやセイレーンみたいな精霊なんかを呼び出す事がよくあったけれど……ん? 精霊?
「召喚する人ならざるモノって、もしかして精霊ですか?」
「んなっ! お前、どういう思考でその考えに行きついた!? お前の思考回路は私にはさっぱり分からない」
「そんな事はどうでもいいんですよ、僕は召喚術の事が知りたいんです」
エルフの里には精霊がいるのだ、僕にはさっぱり見えない精霊達だけど、エルフの里の者達はそんな精霊と共に暮らしている。そんな彼等が乞い願えば精霊達だって実体化して召喚に応じるのではなかろうか?
「言わん! これ以上の事を私は知らない!」
これは何か知っているというのと同義だな。
「そんな事よりも、さっきの二人を放っておいていいのか?」
あからさまにアルバートに話を逸らされた。僕はもう少し現実逃避をしたかったのに。
「僕が追いかけたら更に小太郎君を怒らせるだけですよ」
「まあ、それはそうなんだろうな」
「僕、ここまで小太郎君に嫌われてるとは思ってなくて、これでも結構傷付いてるんですよ」
「そうか」
なんか意外とあっさりだ。
はっきり言って痴情の縺れみたいな感じになってたし、もっとこう興味半分に色々と突っ込まれたりするかと思ったんだけどな。
僕は机に突っ伏すようにして「それだけですか?」と零すと「なんだ、慰めて欲しいのか?」と、アルバートは呆れたように片眉を上げた。
「別にそういう訳じゃないですけど、もっとこう、聞きたい事とかないんですか?」
「そこまで他人の交友関係に干渉する気はないし、人族というのは短命なくせにどいつもこいつも自分勝手で、自ら命を縮めていく種族だってのも知っているからな」
「アルバートさん、冷たい。僕達だってもう10年来のお付き合いなのに」
「たった10年だ」
こういう所は本当に種族間の感覚の違いなのだろう。アルバートにとっては10年は『たった』と表現される程度の時間でしかないのだ。
この10年でロイド君と小太郎君は唯一無二の相棒という関係にまでなったというのに、僕の方はやはりどこまでもエルフの里のお客様で居候なのだろう。
「あ~あ、それにしても小太郎君がタロウさんだったのは想定外だったなぁ」
「ん? そうなのか? タロウってのは凄い魔術師で、タケルの師匠の師匠なんじゃなかったか?」
「ん~そうなんですけど、状況的にそうとしか思えないんですよねぇ。まあ、それもロイド君と小太郎君が魔王討伐をしてくれたら辻褄が合う、ってそういう話でしかないんですけど」
そう、この仮定は大前提として魔王討伐の話をあの二人が受けてくれたらという前提条件付きではある。
でも正直な所、魔王討伐ができる人材は他にはいないのだ。
だって魔王は実在しないのだから、そんな存在しないはずの魔王を倒せる人間は事情を知っている人間に限られる。
別に『フロイド』という名の勇者と『タロウ』という名の魔術師を用意するという事もできなくはない、けれど現在既にSランク冒険者でもある二人は魔王討伐という偉業を成すのにはうってつけで、魔王の呪いという話しにも信憑性を持たせるには充分すぎる知名度を持っている、これを利用しない手はないと僕は考える。
だけどロイド君は言えばやってくれそうな気がするけど、小太郎君のあの様子だと話を受けてくれるかは正直微妙。
これは危険を伴う話ではない、ただ盛大に世間に嘘を広めるだけの話しなのだけれど、そう説得すれば小太郎君もなんとかならないかな?
正直タロウさんはそこに居てくれるだけでいいのだけど……ああ、でもそれだけならタロウさんって誰でも良くないか?
「そうか、その手があるか」
「ん?」
そうだ、そうだよ、だって巷の噂ではエルフの里に居る凄い魔術師のタロウさんは僕の事なのだ、だったら僕がタロウを名乗れば問題なくないか?
僕には勇者の称号はないけれど、どのみち魔王討伐なんて形だけの事、魔王を討伐したというその事実があればそれだけでいいのだ、討伐者が誰かなんてどうでもいい。
なんなら僕は小太郎君の姿でそれをしたって構わない。それなら小太郎君には何の危険も及ばないのだから、そこまで強固に反対する必要もないだろう。
彼には今まで通り平穏な生活を約束できる。
ついでにタロウさんが僕なのならば、僕がルーファウスの初恋相手にだってなれるかもしれない!
「僕、小太郎君ともう一度きちんと話をしてみようと思います」
「それはいいが、何処に行ったのか分かるのか?」
「それは分かりませんね」
けれど何となくだけど、ロイド君がちゃんと小太郎君を説得して僕の前にもう一度連れて来てくれるような気がするんだよ。
何だかんだでロイド君はとても面倒見がいいからさ。
「とりあえず、そのコタロー? とかいう奴も話しに加えた方がよくないか?」というアルバートの言葉に、ロイドは部屋の外へと小太郎を呼びに行った。
「タケル、何か思う所があるのなら、別に魔王討伐なんてする必要ないんだからな」
ロイドが出て行った二人きりの室内でアルバートが僕に告げる。
「確かに冒険者たちを里近くに寄せ付けない為には有効な手段だとは思うが、懸念事項があるのなら無理をする必要はない」
懸念事項……それはエルフ達の生活やエルフの里の秘密を護るという点から考えると、とても個人的で些末な事である。
僕はただ小太郎君がルーファウスの初恋の相手であるタロウさんである事が心情的に嫌なだけだ。それはとても身勝手な話だという自覚もある。
今まで自分が矢面に立つのが嫌で、魔王には関わらないと決めていた。僕をこの世界に導いた神様にも魔王討伐は荷が重いと言って拒否をしておきながら、自分勝手な事であると思う。
けれど、これは魔王の話であって魔王の話ではない。
でもそう言えば、神様は言っていた。この世界に魔王という存在がいないという訳ではない、と。
実際にルーファウスも幼い代替わりした魔王を見た事があると言っていたのだ、魔王はどこかに確実に存在している。
そしていずれ本物の魔王は魔王領と呼ばれる場所、即ち、現在の魔の森に現れるのだろう。
平和を愛する魔王様は人族の領地に攻め込む事もしないと聞いているけれど、一体どんな人物なのか。そしてどのタイミングで現れるのだろう。
そもそも僕の知っている魔王領と現在の魔の森の様子はあまりにも違っていて、それがどうして成されるのか僕にはまるで分からないのだ。
「タケル、コタロー連れて来たぞ」
ロイドに連れられてやって来た小太郎君はやはり僕の顔を見ようとはしない。けれどこれは僕に限った話ではなく、常時伏せ気味な彼の視線は誰とも交わる事はない。
「あ、あの、僕、なんで呼ばれたんですか?」
「うん、単刀直入に言えば、小太郎君に魔王を倒してもらおうかって話しに……」
「な、なな、ななんでっ!? 嫌ですよっ! 絶対嫌だっっ! 僕、そういうの駄目だってタケルさんも知ってますよね!?」
「落ち着けコタロー、これはそこまで危ない話じゃない」
ロイド君が小太郎君の肩を抱くようにして顔を覗き込むと、小太郎君はびくりと固まり、ロイドを見やる。
ああ、なるほど。ロイド君が人の顔を覗き込むのは小太郎君が常に俯き気味で表情が見えにくいからこそついた癖だったのか。なにせ2人は10年来の相棒だものな。
そこには積み重ねてきた二人だけの時間と信頼関係があるのだろう。
「なに? どういう事?」
「説明の前に彼にも魔術の誓約をしてもらってもいいだろうか?」
あ、ああ、そうだった。ロイド君には秘密厳守の誓約をしてもらったのだから、当然小太郎君にもそれは施さなければダメだろう。
アルバートがすっと一歩進み出ると、小太郎はまたびくりと身を竦ませる。
「別に痛くないから大丈夫だよ。これからされる話を他に漏らさなければ問題ない話だし」
「またロイドはそうやって、簡単に魔術契約を結んだの!? そういう軽率な契約はダメだって、僕いつも言ってるだろう! 下手すれば命の危険だってあるんだから!」
お? 珍しく小太郎君がロイド君に食ってかかってる。
「まあ、相手はタケルだし」
「それでもダメだよ、見せて! 契約解除するから!」
「いや、でもなあ……」
困ったように髪を掻き上げたその腕に魔力の残滓を見付けたのだろう小太郎君が無理やりその腕を掴んで何やら唱えると、アルバートの施した魔術契約はあっという間に解除されてしまい僕達は言葉を失う。
「僕に無理やり魔術での誓約魔法をかけようとしても無駄ですよ、大概のものは自力で解除できますから」
珍しくきっ! と小太郎がこちらを睨み付けた。
「これは……驚いたな。エルフの里でも一部の者にしか使えない誓約魔法を何故人族であるお前が解除できる?」
「僕自身に付けられた紋印を消すために勉強しました」
そういえば彼の身体にはグランバルト王国の総務大臣であるアルバートに刻まれた紋印があった事を思い出す。そんな彼の紋印を消すために学んだというのなら、確かに紋印を刻んだ相手と同一人物であるアルバートの契約魔法を破棄する術くらいは身に付けていても不思議ではない。
なにせ小太郎もまた異世界から呼ばれた勇者であり、チート持ちでもあるのだから。
「どんな理由があって魔術の契約を結んだのか知りませんけど、一方的に結ばされる契約なんて破棄されて当然でしょう!」
「コタロー、一応俺は同意の上……」
「ロイドは黙ってて!」
先程までおどおどしていた小太郎君が前を向く。その視線はやはり僅かに揺れているのだけれど、彼は彼なりにロイド君を護ろうとしているのだろう。
「そもそもタケルさんは勝手です! 10年間何の音沙汰もなかったくせに、突然目の前に現れて、自分の思う通りにロイドを使おうとするのやめてください!」
「僕はそんなつもりじゃ……」
「貴方にそんなつもりがなくたって、ロイドは貴方の言う事は何でも聞いてしまうでしょう!? 皆で旅していたあの時だって旅の中心は常に貴方だった、皆が皆貴方の事が大好きで、誰もかれもが貴方の言う通りに動いてしまう。さっき貴方は僕に言いたい事を言えって言いましたよね……」
小太郎君がひとつ大きく息を吸う。
「僕はあの頃から貴方が嫌いです!」
言い切られて言葉に詰まる。
言えと言ったのは自分なのだけれど、オブラートにも包まれていない直球での『嫌い』は心にダイレクトに刺さるのだと知り、僕はぐっと拳を握った。
「僕はずっと虐められっ子で、学校ではいつも一人ぼっちでした。僕の周りには僕を傷付ける人達しかいなくて、いつだって孤独で寂しくて、なのに貴方はこんな異世界に来ても孤独を感じる事もなく能天気に皆に愛され笑ってて、僕はそんな貴方が本当に大嫌いだったんだ!」
「お、おいコタロー、どうした?」
ロイドがおろおろと僕と小太郎の二人を見やる。突然怒りだした小太郎君に彼も戸惑っているのだろう。
「だけど、この世界に来て、ロイドと二人助け合って冒険して、僕にも仲間って呼べる人達も増えて、ようやく僕にも居場所ができたと思っていたのに、なのに、なんで……」
小太郎君の言葉は尻すぼみに小さくなっていく。
元々感情表現を表に出すのが苦手そうなのは分かっていた、そんな彼が声を荒げて言い返した事は驚きだけれど、それくらい僕は彼の心を傷付けていたのだろう。
「タケルさん、は、何でもその手に持ってるじゃないですか。なのに、なんで、僕から大事な人まで取り上げようとするんですか。僕はただこの平穏な生活を壊されたくないだけなのにっ」
小太郎君の瞳が赤い。
それは浮かべた悲愴な表情と相まって泣いているのかと思ったけれど、違う、そう思った瞬間にぞわりと背筋に寒気が走った。
部屋の温度が急に下がった気がする。それはたぶん恐らくアルバートとロイドも感じ取ったのだろう、瞬間的にアルバートが僕の腕を掴み自身の後方へと待避させた。
それと同時にロイドが小太郎の頭を抱え込むようにして抱き締めたのが瞳の端に映る。
「止めろ、コタロー。それは使うなって言っただろ!」
「うっ、ふ……うぅ」
完全にアルバートの背に隠されてしまった僕に二人の姿は見えなくなってしまったのだが、微かに小太郎の呻くような声が聞こえる。
「彼は、闇魔法の使い手なのか」
アルバートがぽつりと零した呟き。ああ、そうだ確かに彼には闇魔法の才能があるのだったと思い出す。
先程感じた恐ろしい程の殺気、あれは闇の魔力そのものか。
僕自身闇魔法は使えるものの、周りの者達が使う事を制限するのでここまでぼほ闇魔法は使ってこなかったし、スキルレベルも高くはない。けれど、これは……
「使っちゃダメだって言っておいたのに」
どの口がそれを言うのかと思われそうだけれど、小太郎君は僕よりも余程心が弱そうで、使うごとに心が闇に呑まれてしまうという闇魔法は危険だと僕だって思ったのだ。
だから、彼の闇魔法のスキルレベルが高いと分かった時点で使っては駄目だと釘を刺しておいたのだけれど……そんな僕の呟きが聞こえたものか、小太郎君から溢れる寒気を伴う魔力がまた部屋の温度を下げる。
「ええ、そうですよ。貴方は僕にこれは使うなと言いました。けれど、あの当時、僕にとって一番強い攻撃魔法が闇魔法だった。ロイドと二人、冒険を重ねる中、足手纏いにしかなれない僕には強い力が必要だった!」
慟哭とも取れる小太郎の心の叫び、アルバートの背からそっと顔を覗かせれば、彼のその瞳からはボロボロと涙が零れ落ちていた。
そんな彼を落ち着かせようとロイドは必死に小太郎を抱き締めているのだけれど、小太郎はそれをも拒むように彼の腕の中で暴れている。
「僕だってこの10年必死に生きてきたんだ! こんな現代社会の常識が通用しない訳の分からない世界に放り出されて、それでも必死に生きるために頑張ったんだ! そうして掴んだ平穏と、大事な人との生活が、貴方が簡単に放った一言で全部崩れるんだ! こんなのっ、こんなのあんまりだろっっ!」
「落ち着け、コタロー! これは本当にそこまでの話じゃないんだ!」
ロイドの腕の中で暴れていた小太郎がピタリとその動きを止めた。
「どうせ何を言われたって、ロイドはタケルさんの言いなりだもんな」
「なに?」
「最初からずっと、あんたはあいつに首ったけで、僕とだってあの人が言うからずっと一緒に居ただけ、なんだもんな」
涙を浮かべながら酷薄な笑みを浮かべる小太郎からは闇の魔力が溢れ返り、誰も身動きが取れない。
「相棒だなんだって周りから持て囃されて、僕もちょっとその気になってた。ごめんね? 僕のお守りは大変だったろ」
「違う、コタロー! 俺はそんな事思ってない!」
「いいよもう、何もかもうんざりだよ。皆あんた達の好きにすればいい、だけど、僕はそれに協力なんか絶対にしないから」
小太郎がロイドの腕から抜け出すように姿を消した。恐らく転移魔法だろう。
闇の魔力の飽和で重苦しく冷え込んでいた部屋の空気がすんっと軽くなった感覚と同時に、ずんっと今度は疲労が肩に乗る。怖かった……
『闇魔法』自分でも使える魔法ではあるけれど、ほとんど行使をしていないのでどんなものかはっきりと認識していなかったけれど、これは駄目だ。
闇の魔力に晒されただけでこんなに体の自由が奪われ、そして体力を消耗するなんて想定外。
闇魔法というのは恐らく場を支配する事で他者の魔力をも奪うのだろう、僅かに自身の手が震えている。
「お、俺、コタロー探してくる!」
無言で言葉も出なかった僕達の中で一番に立ち直ったロイドが慌てたように部屋を飛び出して行く。
「アレは――とんでもない怪物だな」
「そういう事言わないで。友達、なんだよ」
「向こうはそう思っているようにはとても見えなかったが」
彼に嫌われている事には薄々気付いていた。だけど僕的には仲良くしているつもりだったんだよ……
だけど彼から見たら僕は随分と無神経な人間だったのかもしれない。
いつでも能天気に笑っていたと言われたら、まさにその通り過ぎて何も言えない。だってこっちの世界、僕にとってはとても楽しいものだったのだから。
だって僕、向こうの世界では天涯孤独で恋人なしの独身童貞40歳だよ? 孤独死まっしぐらの中年男性だよ? それが若返って美形にしてもらって、ついでにチート特典まで付けられたら、そりゃ人生楽しくて笑っちゃうのも仕方ないと思わないか?
小太郎君とはこちらにやって来た前提条件が違い過ぎる。神様、なんでそんな依怙贔屓したのさ? まあ、小太郎君にだってチート能力はあるのだから、僕だけを依怙贔屓という話にはならないのだろうけど。
それでもそれに加えて僕の若返りと美少年化はやはり神様の依怙贔屓だったのだろうな。
ああ、でも小太郎君は神様に呼ばれてこっちの世界にきた訳じゃない、確か勇者召喚? とかいう秘術で彼と茉莉ちゃんはこちらの世界に呼ばれたのだ。
そういえば、それを先導したの、よく考えたら目の前のこの人だ……
じっとアルバートさんを見やれば「なんだ?」と彼は首を傾げる。
「アルバートさんは勇者召喚って知ってますか?」
「あ? なに? 勇者を、召喚? するのか? どうやって? そもそも召喚術なんて秘術中の秘術だろうが」
「! 召喚術はあるんだ!」
「あ……いや、まあ、ないことはない、らしいぞ?」
途端にアルバートの歯切れが悪くなり、しまったというような表情で視線を泳がせ始めた。これは恐らく何かを知っていて隠している事があるのだろう。エルフの里の秘め事はあらかた聞いたと思っていたけれど、まだまだ僕の知らない秘密はあるんだな。ビックリだよ。
「僕、その召喚術の事を知りたいんですけど」
「それは……召喚術は秘術だと言っているだろう、私だってそういう術があると聞いた事があるだけで、使った者を見た事はない。それに召喚術というのは人ならざるモノを呼び出す術であって、誰かその辺に居る者を呼び出す術じゃないんだ、それだったら転移魔法で充分だろう!」
それは、確かに!?
人ならざるモノ、例えばゲームの世界だと神様だとかイフリートやセイレーンみたいな精霊なんかを呼び出す事がよくあったけれど……ん? 精霊?
「召喚する人ならざるモノって、もしかして精霊ですか?」
「んなっ! お前、どういう思考でその考えに行きついた!? お前の思考回路は私にはさっぱり分からない」
「そんな事はどうでもいいんですよ、僕は召喚術の事が知りたいんです」
エルフの里には精霊がいるのだ、僕にはさっぱり見えない精霊達だけど、エルフの里の者達はそんな精霊と共に暮らしている。そんな彼等が乞い願えば精霊達だって実体化して召喚に応じるのではなかろうか?
「言わん! これ以上の事を私は知らない!」
これは何か知っているというのと同義だな。
「そんな事よりも、さっきの二人を放っておいていいのか?」
あからさまにアルバートに話を逸らされた。僕はもう少し現実逃避をしたかったのに。
「僕が追いかけたら更に小太郎君を怒らせるだけですよ」
「まあ、それはそうなんだろうな」
「僕、ここまで小太郎君に嫌われてるとは思ってなくて、これでも結構傷付いてるんですよ」
「そうか」
なんか意外とあっさりだ。
はっきり言って痴情の縺れみたいな感じになってたし、もっとこう興味半分に色々と突っ込まれたりするかと思ったんだけどな。
僕は机に突っ伏すようにして「それだけですか?」と零すと「なんだ、慰めて欲しいのか?」と、アルバートは呆れたように片眉を上げた。
「別にそういう訳じゃないですけど、もっとこう、聞きたい事とかないんですか?」
「そこまで他人の交友関係に干渉する気はないし、人族というのは短命なくせにどいつもこいつも自分勝手で、自ら命を縮めていく種族だってのも知っているからな」
「アルバートさん、冷たい。僕達だってもう10年来のお付き合いなのに」
「たった10年だ」
こういう所は本当に種族間の感覚の違いなのだろう。アルバートにとっては10年は『たった』と表現される程度の時間でしかないのだ。
この10年でロイド君と小太郎君は唯一無二の相棒という関係にまでなったというのに、僕の方はやはりどこまでもエルフの里のお客様で居候なのだろう。
「あ~あ、それにしても小太郎君がタロウさんだったのは想定外だったなぁ」
「ん? そうなのか? タロウってのは凄い魔術師で、タケルの師匠の師匠なんじゃなかったか?」
「ん~そうなんですけど、状況的にそうとしか思えないんですよねぇ。まあ、それもロイド君と小太郎君が魔王討伐をしてくれたら辻褄が合う、ってそういう話でしかないんですけど」
そう、この仮定は大前提として魔王討伐の話をあの二人が受けてくれたらという前提条件付きではある。
でも正直な所、魔王討伐ができる人材は他にはいないのだ。
だって魔王は実在しないのだから、そんな存在しないはずの魔王を倒せる人間は事情を知っている人間に限られる。
別に『フロイド』という名の勇者と『タロウ』という名の魔術師を用意するという事もできなくはない、けれど現在既にSランク冒険者でもある二人は魔王討伐という偉業を成すのにはうってつけで、魔王の呪いという話しにも信憑性を持たせるには充分すぎる知名度を持っている、これを利用しない手はないと僕は考える。
だけどロイド君は言えばやってくれそうな気がするけど、小太郎君のあの様子だと話を受けてくれるかは正直微妙。
これは危険を伴う話ではない、ただ盛大に世間に嘘を広めるだけの話しなのだけれど、そう説得すれば小太郎君もなんとかならないかな?
正直タロウさんはそこに居てくれるだけでいいのだけど……ああ、でもそれだけならタロウさんって誰でも良くないか?
「そうか、その手があるか」
「ん?」
そうだ、そうだよ、だって巷の噂ではエルフの里に居る凄い魔術師のタロウさんは僕の事なのだ、だったら僕がタロウを名乗れば問題なくないか?
僕には勇者の称号はないけれど、どのみち魔王討伐なんて形だけの事、魔王を討伐したというその事実があればそれだけでいいのだ、討伐者が誰かなんてどうでもいい。
なんなら僕は小太郎君の姿でそれをしたって構わない。それなら小太郎君には何の危険も及ばないのだから、そこまで強固に反対する必要もないだろう。
彼には今まで通り平穏な生活を約束できる。
ついでにタロウさんが僕なのならば、僕がルーファウスの初恋相手にだってなれるかもしれない!
「僕、小太郎君ともう一度きちんと話をしてみようと思います」
「それはいいが、何処に行ったのか分かるのか?」
「それは分かりませんね」
けれど何となくだけど、ロイド君がちゃんと小太郎君を説得して僕の前にもう一度連れて来てくれるような気がするんだよ。
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