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第一章
ライムの活躍
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僕の胸元くらいまでしか背丈のないその小さなおっさんは完全に草陰に隠れ唐突に僕の前に現れた。肌の色は緑がかったくすんだ茶色、目はぎょろりとしていて耳は尖り、衣類は汚い腰蓑のみ、手にはこん棒のようなものを握っている。そいつは僕を見ると歯を剥きだして「ぎぎぎ」と歯ぎしりのような奇声をあげた。
僕は驚いて後退ったのだけど、その背中が何かに当たって体勢を崩す。倒れ込む瞬間見たのは背後にも立ち塞がるゴブリン二体、全く気付いていなかったのだが前に一体、後ろに二体計三体のゴブリンが僕を囲むようにしてそこに居たのだ。
「うわあぁぁぁぁ!」
「タケル!?」
倒れ込んだ僕は完全に草陰に埋まり、そんな僕をその三体のゴブリンはひょいと担いで走り出した。
ちょ! 嘘だろ!?
仰向けに担がれてしまった僕は身を捻って逃げようとするのだが、ゴブリンの力は思いのほか強く腕や足を掴まれて僕は身動きが取れないまま輸送されてしまう。
「た、助けてぇぇ!」
ゴブリン達は意外にも足が速く、驚いたような表情のアランとロイドの姿が瞬く間に遠くなっていく、僕の腕の中にはライムがいつも通りに収まっているのだけど、プルプル震えるだけで声も発しない。まぁ、こんな状況怖いに決まってる、僕だって怖いよ! ってか、僕何処に連れてかれんの!?
三体のゴブリン達は「ぎぎぎ」と奇声を発し続け、まるで会話でもしているようだが、僕にはその言葉を理解する事はできない。
「放せっ、放せよっつ!」
抵抗を試みるも僕はそのまま仰向けのまま運ばれて、着いた先は洞窟のような薄暗い洞の中だった。洞の中に着くとゴブリンは乱暴に僕を地面に放り投げる。
「っ、いったぁ……」
「ぎぎぎぃぃ」
無理やり掴まれ運ばれて放り出された僕の身体は痛むけど、そんな事を言っていられる状況ではない事は僕にだって分かっている。飛び起きて辺りを見回せば、ゴブリンの数はさらに増え、僕はゾッと身を震わせた。
洞の入り口方向には僕を運んできた三体とそんな三体を囲むように更に数体、洞の奥の方は暗がりでよく見えないのだが、闇の中にギラギラ光る瞳が複数見える。
これ、一体何体いるんだ? 少なくとも洞の奥へは絶対に行ってはいけないと僕の直感がビシビシ使えてくる。
「火球!」
ここはもう逃げ一択、僕が洞の入口へと向けて火球を放つと、僕を運んできたゴブリン達が散り散りに逃げ出した。その隙を突いて僕が逃げようとした時、洞の奥から「助けて!!」と人の叫び声が聞こえた。
「誰かいるんでしょ!? 早く助けて、誰か!!」
洞の奥に誰かいる。声からして恐らく女性、でもそちらには無数のゴブリンがいる。僕は瞬間逃げるのを躊躇した、ここは逃げるのが正しい選択だと頭では分かっている、けれど奥には助けを求める人がいる。
でも今の僕に一体何ができる? こんな子供の姿でロクな装備もしていない。戦う事には不慣れで、未だ魔物の一匹も倒した事のない僕が助けに向かって複数のゴブリンを退けられるのか?
逡巡している間に再び奥から悲鳴が聞こえた。本当なら助けを呼ぶのが正解だと思う、けれど僕がここで逃げて奥で捕まっている人に何かあれば僕はきっとその選択を一生後悔する。せっかく神様に貰った新しい人生だ、こんな序盤で一生分の後悔を抱えて生きたくはない!
僕は無数のゴブリンが待ち構える洞窟の奥に向かって駆け出した。
『タケル、タケル、にげないの?』
ずっとだんまりを決め込んでいたライムが不安そうに声をかけてくる。ああ、そうだな、僕のこの無謀な選択にこの子を巻きこむ訳にはいかないんだった。
「奥に助けを待ってる人がいる、だから……」
『タケルはその人たすけたいの?』
「うん、助けたい」
『じゃあ、ボクたちをあいつらにぶん投げて』
ライムの言っている意味が理解できない。それはこの子を敵の真ん中に放り投げろとそういう意味か?
『タケル、はやくはやく~』
「え、でも……」
もう眼前にはゴブリンの集団が迫っている。僕が火球を放てばそれを避けるようにゴブリンは散るが動かない的を狙うのと動く的を狙うのでは勝手が違い、その攻撃はあまり意味を成しているように見えない。一体二体は焦げ付いて倒れるけれど数が多いので戻って来たゴブリン達は僕を囲むように迫ってくる。
『タケル、まだ~?』
ぎゅっとライムを抱き締めるとライムは腕の中でプルプルと震えている。本当にライムの言う通りにゴブリンの中にライムを投げ込んで大丈夫なのか?
だってスライムは魔物の中で最弱、こんなゴブリンの集団の中に投げ込んだら一瞬で潰されてしまう。
「だ、ダメだよ。ライムは僕が守るから!」
『え~? ダメ? だってゴブリンたくさんいるよ?』
「そうだけど!」
って言うか、むしろたくさんいるから駄目なんだろう!? ライムは自分の事を分ってなさ過ぎる、そんなだから簡単に討伐されちゃうんだぞ!
その時、僕の顔を何かが掠め飛んできた。それは何かと確認する間もなく二発三発と弓矢が飛んでくる。その弓矢の腕前は決してうまいとはいえず、最初の一発以外は僕に掠る事もなく後方へと飛んで行ったけど、目の前に弓を構えるゴブリンが何体も出てきて僕はさらにゾッとした。
何故なら先程ここに来る道すがらアランが僕たちに教えてくれたのだ、ゴブリンというのは知能が低くてこん棒以外の武器は扱えない。だがもしまともな武器を扱うゴブリンがその中にいたら、そこにはゴブリンの大きな巣があって上位種がいる可能性が高い、と。
そして今、僕の目の前にはこん棒以外の武器を扱うゴブリンがいる、ここはもう間違いなくゴブリンの巣で、僕なんかの手には負えない。
「あ、あ、あああ」
怖気が全身に昇ってくる。捕らえれられている人を助けたいと思った、行かなければ後悔すると思った、だけど僕は選択を誤った。
『勇敢と無謀を履き違えると大怪我するぞ』
アランの言葉が何度も頭に浮かんでは消えていく。僕はこんな場所で死ぬのか?
ゴブリンの放つ弓矢が僕を掠め飛んでいく。そのうちの一本が真っ直ぐ僕に向かって飛んできた。僕はそれが分かっていたのに、恐怖にすくんで逃げられない。瞬間、腕の中のライムがまた大きく震えた。
プルプルプルプルと震え続けるライムは僕の腕の中でぐにゃりと安定感をなくし零れ落ちる。
「ライム!?」
『みんな~』『いっくよ~』『せぇ~の』『ど~ん!!』
それは本当に一瞬の出来事だった。僕の腕の中から崩れ落ちたライムが瞬く間に膨れ上がって僕の前にはライムの弾力のある身体が立ち塞がる。ゴブリンの弓矢はそんなライムの身体に突き刺さったのだが、突き刺さったそばからライムの身体の中でしゅわしゅわと溶けて消えてしまった。
一体何が起こっている? ライムに怪我はないのか?
そんな事を考えているとまたしても賑やかな声が頭に響く。
『もういちど』『いっくよぉ~』『せぇ~の』『ど~ん!!』
「ど~ん!!」の掛け声と共に今度は目の前の巨大なスライムが跳ねあがり、ゴブリン達の頭上に落ちる。その巨体は逃げる間を与えずゴブリン達の上に圧し掛かりそいつ等を一気に押しつぶした。
いやぁ……これはなかなかえげつない……
スライムの身体は半透明のため、押しつぶされたゴブリン達のひしゃげた身体がよく見える。
呆然とそれを見ていたら、今度はその押しつぶしたゴブリンの死体を巨大スライムは体内に取り込んで溶かしていく。
おかしいな、スライムってこんなに強い魔物だったっけ? 確か魔物の中で最弱なんじゃなかったか?
ゴブリン達が甲高い嫌な奇声を発して逃げ惑い始めた。展開に驚きすぎて立ち尽くしていた僕だけど、ハッと我に返り洞の奥を見やる。
これなら、イケる!
僕は驚いて後退ったのだけど、その背中が何かに当たって体勢を崩す。倒れ込む瞬間見たのは背後にも立ち塞がるゴブリン二体、全く気付いていなかったのだが前に一体、後ろに二体計三体のゴブリンが僕を囲むようにしてそこに居たのだ。
「うわあぁぁぁぁ!」
「タケル!?」
倒れ込んだ僕は完全に草陰に埋まり、そんな僕をその三体のゴブリンはひょいと担いで走り出した。
ちょ! 嘘だろ!?
仰向けに担がれてしまった僕は身を捻って逃げようとするのだが、ゴブリンの力は思いのほか強く腕や足を掴まれて僕は身動きが取れないまま輸送されてしまう。
「た、助けてぇぇ!」
ゴブリン達は意外にも足が速く、驚いたような表情のアランとロイドの姿が瞬く間に遠くなっていく、僕の腕の中にはライムがいつも通りに収まっているのだけど、プルプル震えるだけで声も発しない。まぁ、こんな状況怖いに決まってる、僕だって怖いよ! ってか、僕何処に連れてかれんの!?
三体のゴブリン達は「ぎぎぎ」と奇声を発し続け、まるで会話でもしているようだが、僕にはその言葉を理解する事はできない。
「放せっ、放せよっつ!」
抵抗を試みるも僕はそのまま仰向けのまま運ばれて、着いた先は洞窟のような薄暗い洞の中だった。洞の中に着くとゴブリンは乱暴に僕を地面に放り投げる。
「っ、いったぁ……」
「ぎぎぎぃぃ」
無理やり掴まれ運ばれて放り出された僕の身体は痛むけど、そんな事を言っていられる状況ではない事は僕にだって分かっている。飛び起きて辺りを見回せば、ゴブリンの数はさらに増え、僕はゾッと身を震わせた。
洞の入り口方向には僕を運んできた三体とそんな三体を囲むように更に数体、洞の奥の方は暗がりでよく見えないのだが、闇の中にギラギラ光る瞳が複数見える。
これ、一体何体いるんだ? 少なくとも洞の奥へは絶対に行ってはいけないと僕の直感がビシビシ使えてくる。
「火球!」
ここはもう逃げ一択、僕が洞の入口へと向けて火球を放つと、僕を運んできたゴブリン達が散り散りに逃げ出した。その隙を突いて僕が逃げようとした時、洞の奥から「助けて!!」と人の叫び声が聞こえた。
「誰かいるんでしょ!? 早く助けて、誰か!!」
洞の奥に誰かいる。声からして恐らく女性、でもそちらには無数のゴブリンがいる。僕は瞬間逃げるのを躊躇した、ここは逃げるのが正しい選択だと頭では分かっている、けれど奥には助けを求める人がいる。
でも今の僕に一体何ができる? こんな子供の姿でロクな装備もしていない。戦う事には不慣れで、未だ魔物の一匹も倒した事のない僕が助けに向かって複数のゴブリンを退けられるのか?
逡巡している間に再び奥から悲鳴が聞こえた。本当なら助けを呼ぶのが正解だと思う、けれど僕がここで逃げて奥で捕まっている人に何かあれば僕はきっとその選択を一生後悔する。せっかく神様に貰った新しい人生だ、こんな序盤で一生分の後悔を抱えて生きたくはない!
僕は無数のゴブリンが待ち構える洞窟の奥に向かって駆け出した。
『タケル、タケル、にげないの?』
ずっとだんまりを決め込んでいたライムが不安そうに声をかけてくる。ああ、そうだな、僕のこの無謀な選択にこの子を巻きこむ訳にはいかないんだった。
「奥に助けを待ってる人がいる、だから……」
『タケルはその人たすけたいの?』
「うん、助けたい」
『じゃあ、ボクたちをあいつらにぶん投げて』
ライムの言っている意味が理解できない。それはこの子を敵の真ん中に放り投げろとそういう意味か?
『タケル、はやくはやく~』
「え、でも……」
もう眼前にはゴブリンの集団が迫っている。僕が火球を放てばそれを避けるようにゴブリンは散るが動かない的を狙うのと動く的を狙うのでは勝手が違い、その攻撃はあまり意味を成しているように見えない。一体二体は焦げ付いて倒れるけれど数が多いので戻って来たゴブリン達は僕を囲むように迫ってくる。
『タケル、まだ~?』
ぎゅっとライムを抱き締めるとライムは腕の中でプルプルと震えている。本当にライムの言う通りにゴブリンの中にライムを投げ込んで大丈夫なのか?
だってスライムは魔物の中で最弱、こんなゴブリンの集団の中に投げ込んだら一瞬で潰されてしまう。
「だ、ダメだよ。ライムは僕が守るから!」
『え~? ダメ? だってゴブリンたくさんいるよ?』
「そうだけど!」
って言うか、むしろたくさんいるから駄目なんだろう!? ライムは自分の事を分ってなさ過ぎる、そんなだから簡単に討伐されちゃうんだぞ!
その時、僕の顔を何かが掠め飛んできた。それは何かと確認する間もなく二発三発と弓矢が飛んでくる。その弓矢の腕前は決してうまいとはいえず、最初の一発以外は僕に掠る事もなく後方へと飛んで行ったけど、目の前に弓を構えるゴブリンが何体も出てきて僕はさらにゾッとした。
何故なら先程ここに来る道すがらアランが僕たちに教えてくれたのだ、ゴブリンというのは知能が低くてこん棒以外の武器は扱えない。だがもしまともな武器を扱うゴブリンがその中にいたら、そこにはゴブリンの大きな巣があって上位種がいる可能性が高い、と。
そして今、僕の目の前にはこん棒以外の武器を扱うゴブリンがいる、ここはもう間違いなくゴブリンの巣で、僕なんかの手には負えない。
「あ、あ、あああ」
怖気が全身に昇ってくる。捕らえれられている人を助けたいと思った、行かなければ後悔すると思った、だけど僕は選択を誤った。
『勇敢と無謀を履き違えると大怪我するぞ』
アランの言葉が何度も頭に浮かんでは消えていく。僕はこんな場所で死ぬのか?
ゴブリンの放つ弓矢が僕を掠め飛んでいく。そのうちの一本が真っ直ぐ僕に向かって飛んできた。僕はそれが分かっていたのに、恐怖にすくんで逃げられない。瞬間、腕の中のライムがまた大きく震えた。
プルプルプルプルと震え続けるライムは僕の腕の中でぐにゃりと安定感をなくし零れ落ちる。
「ライム!?」
『みんな~』『いっくよ~』『せぇ~の』『ど~ん!!』
それは本当に一瞬の出来事だった。僕の腕の中から崩れ落ちたライムが瞬く間に膨れ上がって僕の前にはライムの弾力のある身体が立ち塞がる。ゴブリンの弓矢はそんなライムの身体に突き刺さったのだが、突き刺さったそばからライムの身体の中でしゅわしゅわと溶けて消えてしまった。
一体何が起こっている? ライムに怪我はないのか?
そんな事を考えているとまたしても賑やかな声が頭に響く。
『もういちど』『いっくよぉ~』『せぇ~の』『ど~ん!!』
「ど~ん!!」の掛け声と共に今度は目の前の巨大なスライムが跳ねあがり、ゴブリン達の頭上に落ちる。その巨体は逃げる間を与えずゴブリン達の上に圧し掛かりそいつ等を一気に押しつぶした。
いやぁ……これはなかなかえげつない……
スライムの身体は半透明のため、押しつぶされたゴブリン達のひしゃげた身体がよく見える。
呆然とそれを見ていたら、今度はその押しつぶしたゴブリンの死体を巨大スライムは体内に取り込んで溶かしていく。
おかしいな、スライムってこんなに強い魔物だったっけ? 確か魔物の中で最弱なんじゃなかったか?
ゴブリン達が甲高い嫌な奇声を発して逃げ惑い始めた。展開に驚きすぎて立ち尽くしていた僕だけど、ハッと我に返り洞の奥を見やる。
これなら、イケる!
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