僕のもふもふ異世界生活(仮)

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僕達中央都市に来ちゃったみたいです③

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 僕の名前は大崎昴、ただの男子高校生だった僕が異世界に紛れ込み、白い狼獣人のシロさんに愛されて僕の人生は大きく変わった。今、僕の腕の中にはシロさんの子供がいるんだけど、現在元気に僕の腕の中から逃げ出そうとしている。

「ちょ……みぃお、どこ行く気!?」
「あぁ、う」

 澪は生まれて生後数日、身体は人で言う所の未熟児サイズなのだけど既に首が座るどころか元気にはいはいまでできる活発さで僕の腕の中を暴れまわる。だから僕は澪からおちおち目を離す事が出来ない。何故なら動き回る事が出来ても制御ができる訳じゃない、言葉なんてまったく通じないのに好奇心は人一倍で勝手に危ない事をしようとする。本当に一瞬目を離した隙に死にかけていたりする事もあって僕は恐ろしくて寝る事も出来ないのだ。
 今日は久しぶりにぐっすり寝たので意識もはっきりしているが、澪を産んでここ数日僕はいつでも朦朧としていた。

「昴、こっちに寄こしな、お前まだ本調子じゃないんだから無理すんな」

 そう言って大樹さんが澪を抱き上げると、澪はきゃっきゃと大喜びだ。ちょっと喜び過ぎじゃない? 澪は僕より大樹さんの方が好きなの!? シロさんも澪に泣かれてショックを受けていたけど、お母さんも大ショックだよ!

「なんか、お兄ちゃんってばママみたい、こんなに子供の扱いが上手いなんて予想外だわ」

 そう言いながら美鈴は澪を被写体にスマホカメラを何度も連写している。ちょっと撮り過ぎじゃない?

「言っておくが俺は子守りは得意だぞ、なんせ子供の頃からお前の子守りをしてきてるからな」

 そう言って笑った大樹さんに美鈴は少しだけ不満顔だ。
 今、僕達が何処にいるかというとシロさんと別れて同じ建物の別の階の美鈴の部屋へと向かう所だ。シロさんや北斗はこれから打倒ヨセフの作戦会議らしいんだけど、僕達三人+澪は最初から戦力外通告で追い出されてしまったのだ。
 僕達が向かっているのは建物の上階層、そこには『人』が保護されているのだと美鈴は言った。

「なにせこっちの世界じゃ人間は短命で希少種なもんだから、どこに行っても扱いは厚遇よ、だけどそのせいかちょっとアレな人が多いんだけどね……」
「本当にそうだよな、昨日一晩あそこで世話になったが、俺は無理だわ。根本的に仲間に入れる気がしない……」

 そう言って大樹さんは苦笑するし、美鈴はため息を吐くし、一体どういう事なんだろう?
 辿り着いた上層階、そこは廊下の時点ですでに下層階に比べて華やかさを醸し出している。廊下には一面絨毯が敷かれているし、灯りは煌びやかなシャンデリア。そしてあちこちに綺麗な花が飾られている。良くも悪くも下層階は何もないシンプルで機能的な造りになっていたのに、なんだか別世界にでも迷い込んだみたいだ。

「あらいやだ、なんでここに半獣人がいるのかしら?」

 聞こえてきた声に僕がそちらに視線をやるとそこに居たのは煌びやかな衣装を纏った女性だった。美鈴や大樹さんには笑みを浮かべ「ごきげんよう」と彼女は挨拶するのだが、僕はまるで見えていないかのようにガン無視だ。扇を片手に自分の姿を見られる事すら嫌がるように顔を背けられた。
 美鈴は気にしたそぶりもなく「ごきげんよう」とだけ返してさっさとそんな彼女の前を通り過ぎると「気にしちゃダメよ」と僕に言った。

「この世界のヒエラルキーって相当なものでね、人間は中央から出ずに獣人達からちやほやされて生きているものだから、自分たちは偉いんだって勘違いしている輩が多いのよ。獣人は自分達の下僕でひれ伏して生きる者、半獣人は獣人のなりそこないの奇形みたいな扱いで、人は半獣人を嫌うのよ」

 へぇ……そうなんだ。そういえば僕はこの世界で人に会うのは初めてだ。獣人世界の中ではそこそこ良くしてもらってきたけど、人社会の中では半獣人って底辺なんだね。
 獣人の方の世界では人は産む道具みたいにも言われていたのに、人の方から見ると獣人は下僕なのか……なんて言うかお互いがお互いを尊重し合わない関係って好きじゃないなぁ。
 この世界では子供の数が減っているって聞くけど、確かにそんな感じじゃ子供が増えないのも納得だよ。

「あぁ、なんで私達がこんな所に押し込められなければならないのかしら、何か事件が起きていると聞くけれど、さっさと解決して欲しいものだわ」
「まったくだ、私も早く自宅へ帰りたい」

 そこには老若男女の人がいるのだが皆とても煌びやかだ。けれど、彼らは自分たちの不遇を嘆くばかりでさっさと帰りたいとひそひそと話しているだけで何が起こっているのか、自分達がどうしてここにいるのかも分かっていない様子がうかがえる。

「ここにいるのは、ほとんどが仲間の配偶者達よ。だけど今の現状を理解している人なんて誰もいないわ、彼らは知ろうともしないのよ。面倒ごとは全て獣人が片付ける事で自分達には関係ないと思っているの。関心ごとは今日の自分の衣装が他人よりも勝っているかどうかってそれくらいで、彼等は他の誰よりも幸せな人生を謳歌している事を競うのが趣味なのよ。間もなくこの世界が消えてなくなるだなんて誰も考えてもいないのでしょうね」

 先程大樹さんが『嘆くばかりで何もしない奴』という話をしていた時、僕はカトリーヌの事かと思ったんだけど、もしかしてこの人達の事だったのかな? 確かに綺麗な人達だけど、僕もちょっと好きになれないかも。
 内装は違えど建物の造りは下層と大差はないようで、廊下にはいくつかの扉が並ぶ、そのひとつに僕は招き入れられたのだけど、そこは予想外に広い部屋だった。
 隣の扉との間隔を考えればその扉の内側がそんなに広いとは考えられないのだけど、ここは不思議が支配する魔法の世界だ、きっとこの部屋にも魔法がかかっているのだろう。
 部屋の中には獣人サイズの大きなベッド、その上に我が子を乗せると一生懸命に這いずり動き回ろうとする澪にちょっとはらはらする。
 そんなに大急ぎで成長しなくてもいいのにと思うのは人間である僕の感覚で、こっちの世界では普通なのかもしれないからダメとは言えないんだけど、やっぱりちょっと成長が早すぎる。

「それにしても、僕、この世界には実は男の人しかないのかもって思ってたんだけどそんな事なかったなぁ……」
「あら昴、いい所に気付いたわね。私も実はここ中央に来るまではもしかしてそうなのかも? って思ったのよ、それはそれで萌える設定……いえ、こほん、なかなか興味深い事象ではあるのだけども、そういう訳でもないみたい。だけど人の種類はそう多くはないみたいね」
「? 人の種類?」
「そう、言ってしまえば人のパーツ? ゲームなんかのアバターをパーツを組み合わせて作るみたいに人は皆似たり寄ったりの顔立ちをしているの。綺麗なんだけどね、少し気味が悪いわ。獣人達はこっちが獣人の見分けが付きにくいのと同じように、向こうも人の造作なんてあんまり気にしていないみたいでね男も女も関係なし、人なら男性体でも子供が産めるし、細かい設定は本当にざるよ」

 美鈴の言葉に大樹さんが「ふぅん」と呼応する。

「それはもしかしたら元々ヨセフがこの世界を創ったのが子供の時分だったからかもしれないな、子供ってさ、あまり男女の性差って考えないだろ? そういう精神性とかも反映されてのこの世界って感じ?」
「確かにそう言われてしまえば納得ね。だけどこの世界にはもう自我を持って生きている人達がたくさんいるんですもの、どうにか存続の道が見つかるといいのだけど」

 目の前では産まれたばかりの我が子がきゃっきゃと遊んでいる、命の営みは続いているのだ、それを全部切り捨てて創り直そうというヨセフの想いには賛同しかねる。
 美鈴がベッドの上の澪に手を伸ばした。すると澪は何故かずるずると後退していく。

「はは、美鈴嫌われてやんの」
「うるさい、お兄ちゃん! 泣かれてないもの、嫌われた訳じゃないわ。澪ちゃん、おいで~」

 ベッドの上に座り込んだ澪が僕を見て、美鈴を見て、大樹さんを見て、僕の方へと手を伸ばした。

「やっぱり母親が一番か」
「そうじゃなきゃ子育てなんてやってられないよ」

 澪が僕の方へと這ってくるのを手を広げて待っていると、ひょいと横から美鈴が澪を抱き上げた。

「うわぁ、本当にちっちゃい、可愛い~」
「こら、美鈴!」
『だって、本当に可愛い……』

 ぞくっと背筋に怖気が走った。それは美鈴の声なのに何かが違う、それは……

『まさか、こんなに良い器を用意してくれるなんて……ありがとう、これでヨセフを救えるわ』
「お前、カトリーヌか!」

 僕が慌てて美鈴の手から澪を奪い返そうとすると、美鈴はふわりと浮かび上がりくすくすと笑う。

『自我が育ちすぎると中に入るのは難しくなるの、この子はまだ自分の事だってはっきり分かっていないもの、苦しむ事もないわ。そして世界は存続していくのよ、あなた達も満足でしょう?』
「ふざけんなっ、澪を返せ!」
「そうだぞ美鈴! なに簡単に身体乗っ取られてんだよ! 澪をこっちに渡せ!」
『ふふふ、嫌よ、だってこれで何もかも上手くいくわ、あはははは』

 美鈴の姿のカトリーヌは笑い、そして澪もろとも美鈴の姿は目の前からかき消えた。



「ミオが攫われた……?」

 目の前で愛しい妻が「ごめんなさい」を繰り返し泣き崩れている。

「僕がもっとちゃんと目を離さずに澪を見てれば、ごめんなさい、シロさん、ごめ……」

 最後の方は泣き声でもう何を言っているのか分からない。けれど何を謝る必要がある? スバルは何も悪くない、悪いのはミオを攫った犯人でスバルを責めるのはお門違いだ。
 私はスバルを抱きしめた、この場で一番つらいのは間違いなくスバルであるのだろうに、謝り続けるスバルが憐れでならない。

「あの野郎、やっぱり裏切りやがった!」

 シリウスが机を拳で殴りつける。

「ここはある意味あいつのホームだ、油断したオレの落ち度だ、すまん」
「ホーム? ここが?」
「あぁ、この建物の所有者はカトリーヌなんだよ。オレ達はカトリーヌに導かれてここまで来たって言っただろう? ヨセフの目からは完全に隠れていると奴は言っていたが、こうなってくるとそれも怪しいもんだな……いや、そもそもこの世界にいる限りあいつ等の瞳から逃げられる事なんて出来ないのかもしれんがな」

 シリウスが苛々と部屋を歩き回りながら爪を噛む。ミオと一緒に消えたミスズはシリウスの恋人だ。そんなミスズがカトリーヌに身体を乗っ取られミオを攫って行ったのだ、攫われているのはミオだけではない。ミスズもそれは同様で、現在奴等の手の内だ。

「奴等の居場所さえ分かれば……」
「…………あ」

 間抜けな声に振り返ると、そこにいたのはミスズの兄ダイキ。スバルやミスズと一緒に居ながらみすみすミオとミスズを奪われた。役に立たぬ奴め、と思うがダイキは所詮異世界から来た『人』である。何ができたかと言われたら、たぶん何もできなかったであろう。
 どうやらダイキにはスバルのように特別に強い魔力がある訳でもなく、強く強靭な肉体を持っている訳でもない、いくら口で偉そうな事を言った所でダイキはこの世界では私以上に役立たずだ。

「そうだ、そうだよ! ミスズはスマホを持っている。この世界、繋がりさえすれば魔法で向こう側まで飛んでいけるんだろう? スバルが俺達をこっちに運んだように、場所さえ分かれば転移魔法が使えるじゃないか!」
「スマホ……そうか!」

 シリウスが自身のスマホで何やら操作を始め耳に当てる、けれどしばらくすると「ちっ」と舌打ちを打って「着信拒否られてる」と憎々しげにその画面を眺めた。

「着信拒否なら電源は入ってるんだよな、GPSがあれば場所も特定できるのに……でもさすがにそんなものこっちにはないもんな。そもそも衛星とかないだろうし」
「じーぴーえす? エイセイ? それは何の呪文だ?」
「GPSってのはその物の位置情報を割り出す機能みたいなもので、大体どのスマホにもその機能は付いてる。衛星ってのはその場所を特定するために宇宙にある基地? かな」
「言っている意味がさっぱり分からん。だが、そういえば前にミスズが迷子になった時の為にとか言って何かこいつを弄っていた時があったな」
「!? ちょっとそれ貸して!」

 シリウスの言葉に驚いたようにダイキがスマホに飛びつき何か操作をし始めた。一体何が始まったのだろうか? スバルも私の腕の中で真っ赤な瞳をさせつつも、顔をあげた。

「うわっ、マジか! GPS生きてる! どうなってんのかさっぱり分からんが、もしかして……ってビンゴ! やった! あぁ、でもさすがに地図までは出ないか……」
「おい! 大樹! 何がどうなってんだ!? 説明しろ!」

 シリウスがダイキの手の中のスマホを覗き込む。弾かれたようにスバルもそれに倣い、私はそんなスバル達の上からその小さな画面を覗き込んだ。そこに映っていたのは矢印と幾つかの数字、そして真っ白い画面に赤い点がひとつ、私にはそれが一体何を意味するのかさっぱり分からない。

「矢印が向いてるのが方向、数字は距離、そんでもってこの点が美鈴のスマホのある場所だ! これ、そんなに遠くない!」

 ダイキがそう言って「あっち方向におよそ5km!」と指さす先、それは中央の中心部を指す。

「5kmって、どんくらいの距離だよ!」
「そっからか! 大体この歩幅一歩で一mって考えたら、真っすぐ5000歩の距離だと思ってくれ」

 ダイキが足を広げた歩幅は私達獣人からすればとても小股で、確かにそう思うと大した距離ではないように思う、だがそこは誰もが入れる訳ではない中央の官吏が集うこの世界の中心部だ。まぁ、今となってはそこがちゃんと機能しているかどうかも怪しいものだが。

中央セントラルか……いよいよもって乗り込む時が来たって事だな」

 シリウスが複雑な表情で窓の外を見やる。その視線の先には大きく巨大な塔が聳え立っている。その塔がまさしく中央のど真ん中なのだが、もしかしてミオ達はそこに居ると言うのだろうか?

「行かなきゃ……」

 スバルがふらりと踵を返した。その足取りは覚束ない、まだ本調子ではないのだろう。私はそんなスバルを抱き寄せ、抱き上げた。

「シロさん、なんで止めるの! 早く行かなきゃ! 澪が泣いてる! シロさんは澪が心配じゃないの!?」
「それは勿論心配だが、スバル、お前はまだ体力も回復しきってはいないだろう?」
「もう平気だよ! こっちに来てからすごく身体が軽いんだ、だから行かせて! 早く澪を助けなきゃ!」

 平気だと言いながらもスバルの顔色は優れない、無理をしているのは一目瞭然で私はそれを看過できない。

「昴、お前は留守番だ」

 シリウスの言葉にスバルは瞳を見開き涙を浮かべて「嫌だ」と首を振った。

「お前は足手まといなんだよ昴。魔力だけあってもろくに扱えもしない、魔法を使えば使ったですぐにぶっ倒れるようじゃ、オレ達に付いて来ても足を引っ張るだけだ」

 たぶんシリウスの言う事は間違っていない、この先私達にどんな危険が待ち受けているかは未知数だ、スバルの体力は完全に回復している訳ではないし、魔術を使えば倒れてしまうのもいつもの事だ。
 『スバルは足手まとい』それはきっと間違いようのない事実で、私もそれを重々承知している、それでも私はその言葉を言われた方がどれだけ傷付くかも分かっている。

「私がスバルを護る」
「あ?」
「スバルはミオの母親だ、子を助けたいと思う気持ちは誰にも否定できないし、止める事などできはしない。スバルは私が護る、足手まといにはさせない」
「お前! 自分だって大した戦力にならねぇ癖に!」

 シリウスの怒声、反論しようと口を開きかけた所で「シロウはもう、お前の知っているシロウとは違うぞ、シリウス」と、口を挟んできたのは私達を取り囲むように見守っていた仲間の中の一人、グレイだった。

「シロウはもう自信なさげに私達の後ろをついてくるだけのシロウじゃない、スバルを娶る為に集落の試練にも合格してみせた、シルス遺跡でも数多の免状持ちの中に混ざって調査にあたっていたんだ、シロウはもう以前のシロウとは違う」
「そうだぞ、シリウス! シロウはこんなでっかい魔物を自分の手で倒して見せたんだ、オレだって驚いたんだからな!」

 まるで援護射撃のようにロウヤが身振り手振りで試練の内容を語ってくれるのだが、シリウスはそれでも尚渋い表情だ。

「だがな……」
「僕だってまったく戦えない訳じゃない」

 私の腕の中のスバルが身を捩りシリウスの方を向くと腕を伸ばしてその指先をシリウスへと向ける。

「乱発はできないと思う、だけど……」

 シリウスに向けていた指先を下にさげ指を振る、すると床には何かに吹き飛ばされたように亀裂が入った。

「僕だって戦える」

 シリウスがその床の亀裂を見やり、大きなため息を吐くと「どうなっても知らねぇぞ……」とぼそりと零した。

「お、俺も行く!」

 安堵したように私に抱きついたスバルの背を撫でていると、また傍らから声が上がった。それはミスズの兄ダイキだ。

「あん? それこそあんたこの世界じゃ何にもできないだろうが、足手まといはいらないって言ってんだ、それともあんた何か出来る事あんのかよ?」
「え……いや、えっと……それでも俺は美鈴の兄だし!」
「却下、それだけの理由じゃ連れてく理由にならない」
「えっと……澪の子守りもできるぞ!」

 ダイキのとっさの言葉に「いらねぇ……」とシリウスの冷めた言葉。いや、まぁ、私もいらないとは思うし、恐らくダイキ自身もそれはそう思ったのだろう「いや、違う、待て!」と、何か役に立てる方法を考え込むようにぐるりと周りを見渡した。

「あ! そうだっ! それっ! スマホっ!! そいつを使いこなせるのはきっと俺だけだと思うぞっ」
「いや、オレのこれは元々昴の持ち物だろうが? 持ち主がそこにいるんだから必要ねぇよ」
「あ、ごめん北斗。僕、GPSとかそういう機能、基本的に使ってなかったら使い方よく分かんない」
「なん……」
「おっしゃ! 俺はそういうの得意だぞ!」

 喜色満面のダイキ、シリウスは「好きにしろ」とため息を零した。


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