運命に花束を

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運命に祝福を

望まざる邂逅 ①

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 怒涛の如く変化していく世情の中で、まるで置き去りにされたかのようなのどかな故郷ルーンでひと月半程を過ごしたのち、俺は再び故郷を離れた。
 現在俺は馬車の中、眠くなるような振動に揺られて馬車の外を眺めている。
 ルーンに滞在している間、俺を好きだと言い続けたヒナノは最後まで俺に行くなと言い募ったが、俺はそれに対し首を横に振った。
 もうこれ以上あなたが傷付く必要はないのだとヒナノは瞳に涙を浮かべるようにして何度も俺にそう言ったが、俺にはもうその言葉は届かない。ここまで傷を付けられたらこれ以上傷の一つや二つ増えたところで所詮誤差の範囲でしかない。それよりも俺はそんな傷を怖がる事より、どうしても真実が知りたかったのだ。
 ルーンは田舎であるため世の中の出来事が伝わってくるのがとても遅い、そんな中で故郷に伝わってくる世情の流れは俺には良いとも悪いとも言えなかった。
 良い面で言えばランティス王国で蔓延していた薬物の取り締まりが厳しくなって摘発が増えているという話、その一方でそれに抗う一派が雨後の筍のように湧いてきて治安の悪化を招いているという事。
 元はランティスから始まった取り締まりであったのだけど、薬害はランティスだけに留まらずメリア王国やファルス王国にも魔の手は伸びていて、大陸全土が不穏な空気に包まれている。
 その薬物の主原料である葉を持つ樹木はメリア王国にしか自生しておらず、それに関してメリアとランティスはまたもや反目し一瞬即発の空気が流れた時もあったと聞いたが、それを薬として調合販売をしていたのがランティスの人間だと知れ渡ればお互いそれ以上は何も言えずにお互い黙りこむしかない。
 こんなものは卵が先か鶏が先かの水掛け論と同じで、ここまで被害が広がってしまっては諸悪の根源を探るのは二の次で、まずは全ての薬物を無くすことに腐心するしかない。
 その薬は摂取量によって中毒症状が違っていて、ある一定量を超えると途端に危険度を増すらしい。一回二回の使用では害よりも良い効能の方が強く出るので、巷で噂になっている薬がどれ程のものかと安易に考え手を出して破滅に向かう者もいるらしい。
 ここまで大事になっているのに今更それに手を出す奴は馬鹿だとしか思えないのだけれど、それでもそんな事件は各所で起きているのだとか。今まで簡単に手に入っていた物が摘発によって手に入らなくなり裏では価格の高騰もあると聞き、本当に馬鹿なのかと思わずにはいられない。
 確かにその薬は使用者の能力や気持ちを著しく上げるらしい、けれどその所詮一過性でしかない能力向上、もしくは気分の向上のために命を縮めるのなら本末転倒だと俺は思う
 メリアに自生していたその薬物の主原料となった樹木のあった集落の名を「スラン」と言い、薬物の名は暫定的に「スラン」と呼ばれるようになった。
 村は既に連合軍に抑えられ、その村に住んでいた住民達はある者は捕らえられ、またある者は保護施設に送られたと聞いた。
 俺がユリウスを探しにメリアまで行った時に最終的に辿り着いた村がそのスランだと知った時には多少驚いたものの、心の半分ではやっぱりかという気持ちもあった。
 あそこの村人の様子はどこかおかしく活気もなかった、願わくばあの時出会った女性の腹の子供は健やかに育ってくれていたらいいなと思わずにはいられない。

 そういえば現在俺は馬車に揺られている訳なのだが、何故自動車を利用していないのかと言えば自動車の所有者であるレイシア姫がルーンに残っているからだ。所有者が残っているという事はもちろん運転手であるグレンさんも現在そのままルーンに残っている。
 レイシア姫のルーン滞在は物見遊山の観光のはずで、メルクードに戻る時には一緒に戻るものだと思っていたのだが、何故か彼女はメルクードには戻らないとそう言ったらしい。
 だったらメリアに帰るのかと思えばそういう訳でもなく、彼女はルーンに居座るつもりでいるらしい。あんな我が儘で傲慢な姫様の心の内など俺には分かるはずもないので勝手にすればいいと思うのだが、家に居座られている領主様やロディ様は堪らないだろうなと思わずにはいられない。
 そんな中、姫の件が関係しているのかどうか分からないけれど一緒にメルクードに戻ると思っていたロディ様も何故かルーンに留まった。
 ロディ様曰く「俺があそこに居ても何の役にも立たないだろ?」という一言で、確かに俺達が役に立てる可能性は限りなく低いだろうけれど、それはないだろう……と少し思った。
 だってあそこでは友人であるツキノやカイトだって矢面に立って奮闘しているのだ、それでも役に立たないなりに何かできる事はあるだろう。
 けれどロディ様は「行かない」と頑なに首を横に振った。ルーンに戻ってからのロディ様は今までと少し雰囲気が違う。メルクードからルーンへと戻る旅路の間は特に変わった様子はなかったので、それはやはりルーンに戻ってからの事だと思う。
 突然なんでそんな事を言うのか理由が全く分からないのだが、行きたくないと言っている人間を無理やり連れて行くような権限は俺にはないし、ロディ様が決めた事ならと俺は頷いた。
 一方で逆に俺達の旅に新たについて来た人もいる。それはカルネ領の領主であるエドワード・R・カルネ様だ。

「妻が危険な場所に無謀に突っ込んで行こうとしているのに、黙って見送る馬鹿な夫がいるか!」

 と、不機嫌顔全開で俺達に付いて来た。お陰で今回の旅路は領主様が雇い入れた御者付きの豪華な馬車での旅である。自動車も充分に豪華な乗り物だったが、いかんせん少し小ぶりで狭かった、けれど領主様の用意した馬車はとても広々とした四頭引きの馬車である。庶民の俺からしたら豪華すぎて居たたまれないくらいだ。
 けれど奥方様はそんな領主様との旅が嬉しいみたいで、どこに敵がいるかも分からないような場所が目的地だというのにとても楽しそうだった。そんな奥方様を領主様は苦虫を噛み潰したような顔で見ているのだけど、それは決して嫌がっている訳ではなく奥方様を案じているだけだと分かってしまうから、二人の仲睦まじさにちょっと羨ましいなと俺は思う。
 四頭立ての馬車は室内がかなり広く、宿屋に泊まる必要もない程設備がしっかり整っている。きちんと宿を取れる場合は取るのだが、そうでない場合は馬車での車中泊もできるようになっている。
 だからと言う訳でもないが、ファルス国内ではともかくランティス王国内では相変らず俺の赤髪は厄介者扱いなので、領主様たちがきちんと宿をとっていたとしても俺は馬車の中で寝る事がしばしばあった。
 そもそも俺はただ単にこの馬車に便乗して乗せてもらっているだけで、彼等の使用人ですらない。お世話になっているので小間使いのような事ももちろん率先してやってはいるが、領主様達はそんな事はしなくていいとまるで俺を息子のように扱ってくれるので実は少し困るのだ。
 領主様ご夫妻が泊まる宿泊施設はやはりそれなりに高級宿屋が多いのだが、当然俺はそんな宿屋に泊まれる程の宿泊費など持ち合わせていない、かと言って領主様のご厚意とはいえ無償でそんな高級宿屋に泊めてもらえるほど厚かましくなれない俺はその申し出を断って「馬車の警護をしておきますので!」とそこに居座る事に成功した。
 それなりに高級な宿屋ならばもちろん警備だってしっかりしている、本当ならそんな風に馬車に残る必要などないのだろうが、あまりに頑固に俺が言い張るので領主様ご夫妻もなんとか折れてくれた。

「坊主、お前は変わり者だな。領主様が良いというのだからご厚意に甘えればいいものを……」

 そう言って雇われ者の馬車の御者は俺に食事を運んでくれる。彼はルーンの町の者ではない。ルーンの町から少し離れた川辺にある比較的新しい町で商人を相手に運び屋のような仕事をしているらしい。当然御者の仕事もその一環で、馬の扱いや荷運びの仕事には馴れている。彼は馬を連れて各地を回っているため俺の知らない土地の事もよく知っていた。

「ただでさえ旅に同行させてもらっているのに、これ以上は厚かましいですよ。それよりも食事、ありがとうございます」

 俺が食事を受け取って礼を述べると御者の男はどうという事もないという態度で「一緒に食べよう」とそう言った。
 御者の男は常に各地を回っているので各地に知り合いがいるらしく、最近この辺りでは盗賊が出て困っているらしいという情報をどこからか仕入れてきて俺に聞かせてくれた。

「同業者間でのこういう情報共有は大事でな、避けられる厄介は避けたい所だが……」
「避けられないんですか?」
「う~ん……ファルスとランティスの間には大きな渓谷があるだろう、その渓谷を避けて行き来しようとすると自ずと道は限られる、陸路を止めて海路に切り替えれば避けられるかもしれないが、そうすると時間が倍かかってしまうからな」
「そうなんだ……でも、それなら逆に盗賊の方だって襲ってくる場所が限られてる訳だから、何らかの対処ができるのでは?」

 俺の言葉に男は「そうなんだが」と言葉を濁らせた。

「何か他にも理由が?」
「それがな、盗賊が襲ってくる日は決まって大雨が降るらしい。だから同業者は天気が良く見晴らしが良い日を選んで進むんだが、まるでそれを見計らったかのように嵐になって、それに乗じて荷を奪われるんだそうだ。今回の俺達の旅は貴重品を運んでいる訳ではないが、領主様方に何かあったらと思うと気が気じゃないよ。そんな訳だから領主様に渓谷を超える間は念のため用心棒になりそうな傭兵を雇った方がいいかもしれないと進言しようかと思っている所だ」

 確かに、このまま順調に道を進めばもう明日には国境に辿り着く、即ち渓谷へと到着するのだ。そんな事になっているなら傭兵を雇うのは早い方が良いだろう。
 けれど、傭兵を雇うとなれば余分な出費がかかるのでどうしようかと男が少し躊躇う様子を見せたので俺は立ち上がり「俺、領主様に言ってきますよ!」と男に告げた。

「ん? いいのか?」
「はい! なのであなたは町で良さそうな人を探しておいてください」

 俺は食事を終えたその足で領主様たちの部屋へと向かい、事の次第を領主夫妻に告げると領主様は二つ返事で傭兵を雇い入れる事に頷いてくれた。
 「確かにこの辺りは昔から盗賊が多いよね」と、奥方様も訳知り顔で、俺が小首を傾げていると奥方様は「昔、襲われた事があるから」と、何という事もない話のように語ってくれた。

「まだ僕が君くらいの年の頃だよ、ユリウス君のお母さんのグノーと二人でこの辺を旅していてね、グノーは僕を囮にするみたいにしてよく盗賊達から逆にお金を巻き上げていたんだよ。善良な市民から金を盗るのは犯罪だけど、襲ってくるような犯罪者から金を盗るのは罪にはならないって言ってさ。可笑しいよね」
「その話は初耳なんだが? お前を囮に……?」

 領主様が険しい顔で奥方様を見ている。

「僕、箱入りだったからお金持ちの家の子だって雰囲気でバレちゃうみたいでさ、それを狙って来た盗賊を返り討ちに……って、エディ顔怖いよ」
「ふざけるな! 奴はお前にそんな事をさせていたのかっ! しかも犯罪の片棒まで担がせやがって!」
「もう大昔の話だよ、当時僕は怪我もしなかったし、今はもうグノーだってそんな事しやしない」
「当たり前だっ!」

 憤懣やるかたなしという表情の領主様、あれ? もしかして領主様ってグノーさんと仲悪いのかな? 子供達を受け入れているくらいだし家族ぐるみで仲が良いのかと思っていたのだけれど「あいつだけは本当に!」と領主様は怒り心頭だ。その一方で奥方様は相変らずにこにこしている。

「そういえばノエル君はグノーとは会った事があるんだっけ?」
「ああ、はい。イリヤで少しだけ」

 最初は女性だと思ったくらいに綺麗な人で、実は男性だって聞いて驚いたんだよな。俺が生まれる少し前までルーンに居た唯一の赤髪の男性という事で皆に俺の父親かも? なんて疑われて困った顔をしていたのを思い出す。
 けれどその綺麗な顔立ちの麗人と俺を並べてしまえば、俺にはそんな麗人の血が流れていないのなんて一目瞭然で分かるのにと俺は苦笑する。
 奥方様は「そっか」と頷いて、少し瞳を伏せると「たぶんメルクードに着いたら久しぶりにグノーに会えると思うけど、僕、グノーになんて声をかけていいか分からないよ」と誰に言うでもなく呟いた。

「アジェはいつも通りにしていたらいい、お前に気を遣われればあいつはまた自分で自分を追い詰めるだろう。こんな状況でまた記憶喪失になんてなられたら洒落にならん」
「? 記憶喪失?」

 俺が首を傾げると奥方様が少し困ったように眉を下げて「グノーは少し心が弱いんだ」とそう言った。

「これは自己防衛本能みたいなものなんだけどね、耐えきれない苦痛から自分を守る為に忘れるんだ。これはグノーに限った事じゃなくて誰にでも起こりうる現象なんだけど、グノーは過去にもそんな事が何度かあってね……幼かったルイちゃんやユリウス君を忘れてしまった事もあって、あの時は大変だったよ」

 そんな事を言いながら奥方様は何かを思い出そうとしているかのように窓の外を眺めやる。母親が子供の事まで忘れてしまうような辛い事って一体何だったのかな? と、俺は知りもしない彼等の過去に想いを馳せた。


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