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運命に祝福を
夜会 ①
しおりを挟む煌びやかな夜会、あちこちに着飾った男女が集ってちらちらとこちらを見やる。まさかこんな宴席に借り出されるとは思っていなかった俺達は、壁にへばりついて溜息を零した。
『なんか話があるってあの人が言うから、ロディも一緒に来て』
俺の隣にいるのはカイト・リングス、彼の言う『あの人』と言うのは彼の父親、即ちこの国の王子様だ。話って何だ? と思って出向いて来た俺達だったのだが、何故かまた綺麗な衣装で飾り立てられ、こんな場所にいる。そして俺達を呼び出したエリオット王子は一向に現れる気配もない。
「これ、本格的な社交界だな……」
「帰りたい~何で僕がこんなの出なきゃいけないのさ! 僕、他にやる事たくさんあるのに!」
「それは俺も同じなんだが……?」
「ロディはいいじゃん、元々貴族でこういうの得意だろ」
「俺が田舎貴族だってこと、知っているだろう? こんな大きな宴席、俺だって経験ないよ」
不満たらたらな俺の従兄、俺の事を言う前に、お前なんかこの国の王子じゃないか、と突っ込みたいのだが、彼にその自覚はまるでないとみえる。
「お前達、少し静かにしろ。こういう場は空気になってやり過ごすのが一番だ」
俺の反対隣にはカイトの護衛のイグサルさん、彼は従者の扱いでそこまで着飾ったりはしていないのだが、護衛らしくぴんと背筋を伸ばし、宣言通りに気配を押し殺している。ある意味この場の空気に一番馴染んでいるのは彼だと言っても過言ではない。もしかして、こういう宴席には慣れているのか?
「でもどう考えたって僕達この場に不相応じゃない? 居る意味ある?」
「それを俺に言われてもな……」
「君達、見慣れない顔だね、どこの家の御子息かな?」
恰幅のいい紳士が一人寄って来て、俺達に問いかける。表情は柔和な笑みを浮かべているが、俺達を値踏みしているのは一目瞭然だ。
「あ……私、ロディ・R・カルネと申します。ファルス王国からやって参りましたカルネ領主の息子です。とは言えカルネ領は田舎で、こういった宴席に招かれる事には不慣れなものですから、挨拶もせずに申し訳ございません」
「はは、君達はファルスからの客人でしたか、ランティスには旅行で?」
「はい、見聞を広げる為にこうしてやって来たのですが、見るもの聞く事、全てがファルスと違っていて、大変勉強させていただいております」
当たり障りのない会話、しばらく会話を続けると男は俺を格下認定したようで「勉強頑張りたまえよ」とにこやかに去って行った。
「はぁ……疲れた」
「ロディ凄いね、僕あんな受け答え出来ないよ」
「これでも一応領主の息子として教育は一通り受けているからな」
「じゃあ、この場の対応は全部任せた」
「ちょ……ずるい!」
その後も何人かに声をかけられたりしたのだが、カイトは俺の背に隠れるようにしてその対応を全て俺に丸投げた。俺はアルファ、カイトはオメガ、社交界にバース性の人間が多いのは当然で、その様子は自身のオメガを守るアルファのように見えただろうが、それもちょっと納得いかない。
「君達はよく似ているね、ご兄弟?」
問われた言葉にカイトはにっこり笑って、まるで恥ずかしがってでもいるように、またしても俺の背中に逃げ込むのだ。
「一応従兄なのですけど、よく言われます」
俺は愛想笑いで受け答え、カイトはどうやら本気で彼等の相手をする気はないらしい。
そんな時、ざわりと会場の空気が揺れた。皆がこぞって来場したある人物に視線を集中させているのだ、それはここランティスにおいてはこんな場所で見かけるはずもない、真っ赤な赤髪を靡かせた一人の女性、そしてその傍らにはまるで人形のように見目麗しい一人の少女。
「なんでメリア人がこんな所に……」
驚いたように囁き交わされる声、女性はその赤髪を隠す素振りもなく、堂々と歩いて来る。ドレスはその赤髪が映えるモスグリーン、地味な色目ではあるがそれが逆に彼女の容姿の華やかさを際立たせる。そして、きちんと誂えられたそのドレスからは彼女のスタイルの良さも窺い知れた。
そんな彼女が1人で歩いていても充分に目立つのに、彼女が連れた少女がまたとても目立っている。あれは侍女なのか?
まるで置物の人形が立って歩いているような格好の少女。フリルたっぷりの衣装を着て、やはり人形のような無表情で彼女に付き従っている。その人形のように整った顔立ちはある種の凄みすら感じさせられた。
つばの広い、とても可愛らしく飾り立てられた帽子を被っているので、その髪色までは分からないのだが、きっと彼女もメリア人なのだろう。
誰もが彼女達に目を奪われている、それは勿論俺も同じ、その一挙一動から目が離せない。
「あれ……」
俺の背後に隠れていたカイトが顔を覗かせ、まじまじと彼女達を見やる。何だ、お前もそれでいて、女に興味がない訳じゃないんだな。
その時、彼女達の進行を阻むように一人の男が彼女の前に立ち塞がった。
「これはこれは、どちらのご令嬢ですかな? ずいぶんお美しい綺麗な赤髪をしておられる」
「ありがとうございます、私もこの髪は気に入っておりますのよ。けれど名を尋ねられるのなら、まず先に、貴方の方からお名乗りになられるのが礼儀ではございませんか?」
女性はにこりと笑って男に答えた。
「おやおや、私の顔をご存知ではない、と?」
男はそう言って、嫌な笑みを浮かべる。って言うか、そんな言い方! そもそも俺だってお前の事は知らないし、知ってる奴ばかりでもないだろうよ。それともこいつ、この国ではそこまで有名な人間なのか?
「ごめんなさい、全く存じ上げませんわ」
女の方もいい度胸だ、にっこり笑みを浮かべて、慌てる素振りもなければ自分から名乗りを上げる気もないらしい。男の表情がひくりと引き攣った。
「これは失礼致しました。私の名は……」
男が名乗りを上げようとした所で「名乗る必要はない!」と強い語気で割って入った男がまた一人。
「どこの女狐かは知らないが、恥知らずにもそんな赤髪を晒し、このような場に出てくるとは言語道断、さっさと帰られるがよかろう」
「あら……ずいぶん失礼な方」
そんな風に言われる事も予想済みだったのか、やはり彼女は然程嫌悪の表情も見せずに扇子で口元を覆い「ランティス王国にはずいぶん野蛮な殿方がいらっしゃるのね」と、瞳を細めた。
「招かれてやって参りましたのに、やはり私は招かれざる客であったようね、帰りましょう。行くわよ」
女はくるりと踵を返す。彼女自身も来たくて来た訳ではなかったのだろう。
「お前のようなメリアの女が一体誰に招かれたと?」
「ランティス王国グライズ領の領主様、サムエル・グライズ様ですけれど、それが何か?」
彼女の返答に、またしても場の空気が揺れた。サムエル・グライズ、グライズ領の領主、それは俺達の間でも散々話題に上っているグライズ公爵の名だ。彼はランティス国内では相当な権力者で通っているらしいので、客の動揺も顕著で隠しきれない。もしかしてこの宴席には件の公爵も来ているのか?
「何故グライズ公爵が?」
「私、招かれて未来の旦那様に会いに参りましたのよ」
「旦那様……?」
「えぇ、そう。ランティス王家の第一王子、エリオット王子ですわね」
騒ぎは一層大きくなる。確かにエリオット王子には縁談が持ち上がっている、そしてその相手はメリアのお姫様。待て待て待て、これはもしかして、あの人……!
「ふざけるな! メリア人は本当に息を吐くように嘘を吐く、皆さん騙されてはいけませんぞ!」
「だが、最近エリオット王子はすっかりメリア贔屓になられたと聞いている、もしかしたらそんな事も……」
「いや、そんな話しは聞いていないぞ、どうせ口からでまかせだ」
再び場が騒然となる中「それでは失礼いたします」と、またしても彼女は踵を返した。
「お前、先代のメリア王の娘か……?」
次に声を上げたのは、また別の男だった。着飾るだけの紳士淑女の中で、その男はイグサルさんのように少し地味な格好の男だ。彼も誰かの護衛なのだろうか? その腰には無骨な剣も携えている。
「あら? 貴方は私をご存知?」
「いや、知りはしない。だが、エリオット王子にメリア王国の姫との縁談が持ち上がっているらしいという噂は聞いている」
「うふふ、どうやら皆さま、私の事が気になって仕方のないご様子ね」
「はぐらかすな!」
険しい表情で男は彼女を怒鳴りつける、そんな彼女を守ろうとでもしているかのように、人形のような娘がすっと一歩前に出た。
「おぉ、恐い。本当にランティスは野蛮な殿方が多いのね。そうよ、私はレイシア。先代のメリア国王の一人娘レイシア・ファースト・メリアと申します。どうぞお見知りおきを」
ドレスの裾を持ち上げて彼女は綺麗に会釈をしてみせる、それは少し彼を馬鹿にしたような態度にも見えて、更に騒ぎは大きくなった。
それにしてもやっぱりだ、あの女性、メリア王国のレイシア姫! 俺がカイトに同意を求めるように視線を向けると、彼は彼女達を見詰めたまま、何かに操られているのではないかと思うような動きですいっと前に進み出た。
「え? カイト……?」
「このっ! よくも図々しい! お前のような女狐がよくこの国に顔を出せたものだな! しかも王子と結婚だと!?」
「そんな大声でお話してくださらなくても聞こえていますわ。貴方がどちらの方か存じ上げませんが、私はランティス王家に望まれてこの国へとやって参りましたのよ」
「ふざけるなっ!」
男が姫へと手を伸ばす、その手を彼女の侍女と思われる人形のような娘が払い除けた。
「無礼な方、女性の扱いが分かっていらっしゃらないのね」
姫はまた扇子で口元を覆って瞳を細めた。男は振り払われた手を拳に握って、再び彼女に腕を伸ばそうとする、そして、そんな彼に賛同でもするように、幾人かの男達が彼女の周りを取り囲んでいた。あれ? これ、やばいんじゃね?
男の伸びてきた手を、再び姫の侍女はそんな衣装でそんな動きが出来るのか? というような素早い動きで払い除ける。
「貴様……!」
男の標的が姫から侍女へと移る、そして周りを取り囲む男達もその輪を縮め一触即発、そんな争いを止めなければと周囲の人間が気付いた時には、既に戦闘は始まっていた。
でもちょっと待って、姫を守るように前方に侍女、そして何故か後方にカイト、次々と襲いくる男達を制圧していく。
侍女とカイトの息はぴったり過ぎるほどにぴったりで、しかもそれはあまりにも一瞬で、周りが呆然としている間に全ての事は済んでしまった。
「あら、あっけないのね」
姫はまた瞳を細める。この姫、こんな事態に悲鳴のひとつも上げやしない、恐い女だな……
「帰りましょう、ヒナ」
彼女は何事もなかったかのように踵を返し、扉へと歩いて行く、そして誰もが恐れおののいたのだろ、すんなりと道を開けた。
でも、待って待って、そんな彼女達と一緒に何故かカイトが付いて行ってしまう。イグサルさんもそれを見咎め慌てたように彼等を追った。
これまさか、ユリウスさんと同じ展開って事ないよな? 彼は『運命の番』と出会い、まるで人が変わったようになって失踪したと聞いている。まさか、あの2人のどちらかがカイトの『運命』? いや、でもカイトにはツキノという、れっきとした番相手がいるじゃないか!!
もう本当に訳が分からなくて、俺もイグサルさんに続いて彼等の後を追う。
彼女達は周りの騒ぎを我関せずの姿勢で悠々と歩いて行く、そしてそんな彼女達にカイトは本当に満面の笑みで付いて行くのだ。
建物の外には中に集う紳士淑女達の馬車が所狭しと並んでいる、そんな中、彼女達が向かうのは馬車というには奇妙な荷台。というか、あれ馬車か? 馬どこだ?
「姫、ちょっと早過ぎやしませんか?」
荷台で待っていた男は、困ったような表情で彼女に気安く声をかけた。
「すっかり顔は売れたもの、もう充分よ」
「アレクセイさんは?」
「グライズ公爵と難しい話があるみたいだから置いてきたわ」
そう言って彼女は、くるりと振り返り、そこで初めて付いて来ていたカイトに気付いたようで、怪訝な表情を見せると「あなた誰?」と首を傾げた。
「カイト! お前何処に行く気だ!」
ようやく俺達は彼女達に追い付いて、更に彼女は怪訝な表情を見せる。
「カイト……? この子が?」
姫は傍らの侍女を見やると、侍女は何故か大きく大きく溜息を零して「なんでお前、ここに居んの?」とカイトに問う。あれ? この娘、カイトの知り合いか?
「えぇ? そっちこそ、その服可愛いね! どうしたの?」
と、カイトは満面の笑みで人形のように無表情な娘をぎゅむぎゅむと抱き締めた。あれ? なんかこれ、物凄く既視感があるんだけど……?
「姫、こちらの方々は?」
「私が知る訳ないでしょう? 勝手に付いて来たのよ。だけど、その子の名前は聞いているわね、その子貴方の番相手なのでしょ、ツキノ」
え? は? ツキノ? その人形のような格好をした侍女はもう一度大きな溜息を零して「言っておくが、好きで着ている訳じゃないから……」と、眉間に皺を刻んだ。
あれ? マジでツキノ? なんでこんな所にいるんだよ? 何でメリアの姫と一緒に? しかもその格好、似合いすぎだろ!
カイトはこれだけツキノが化けているにも関わらず彼女達が室内に入ってきてすぐにツキノの存在に気付いたのか……『運命の番』ってホント凄いな。
その後の大立ち回りも、なんの打ち合わせもなしに息ぴったりだったし、本当に恐れ入る。
「でも良かったぁ、ツキノ無事だった!」
カイトは彼を抱き上げるような勢いで抱きすくめ、頬ずりをしている。けれど当のツキノは疲れきったような無表情だ。
「もう、本当に心配したんだから! ここ何週間か本当の本当に生きた心地しなかったんだから!!」
「分かった、分かったから、離せって。皆が見てるだろ」
「皆とかどうでもいいよ、僕もう絶対ツキノのこと離さない!」
暴走気味のカイトはツキノを離そうとせずに、ぎゅうぎゅうと彼を抱き締める。俺達はそれにちょっと呆れてしまうのだが、それはメリアのお姫様達も同じだったようで、薄っすら苦笑いを浮かべている。
「ヒナ、貴方の番相手は相当情熱的なようね」
「あ、いや、これは……」
「ヒナ? なんでヒナ? あぁ、女装だから?」
「はぁ……ツキノのままでこんな格好してられるか……」
そう言って大きな溜息を吐くと、彼は飾り立てられた帽子を外し、自分を抱きすくめるカイトの頭にその帽子を被せた。
「凄く似合ってるのに」
「嬉しくない」
本当に心底嬉しくはないのだろう彼は、険しい顔でカイトの身体を押しやってどうにか彼の腕の中から脱出する。それでも、カイトは嫌がるように彼の腰に手を回すのだが、ツキノは「それは後でな!」と、その手をぺちりと叩いた。
そんな2人のやり取りを見ていたメリアのお姫様は、カイトを上から下まで眺め回し、一言「悪くないわね」と呟いた。
「な……姫!?」
「良いじゃない、彼。その帽子もよく似合っているし、貴方と2人で並べておけば目の保養になるわ」
カイトはその帽子を両手で押さえて「え? そう?」とちょっと嬉しげだ。お前はそういうのも平気なんだな……ノリノリで女装した俺も人の事は言えないけど。
恐らくそういう格好が一番似合うであろうツキノだけが渋い顔で、また大きな溜息を吐いた。
「姫、とりあえず車に乗って、ここじゃ目立つ」
「そうね、野次馬が増えてきたみたい」
紳士淑女の集まる夜会だ、そこまであからさまに覗き込む人間はいないが、ちらりちらりとこちらを遠巻きに見詰める瞳に姫はまた瞳を細めた。
彼女がその荷台に乗り込み、続いてツキノ、そして当然とばかりにカイトが乗り込もうとするので思わず腕を掴み「何でだよ!」と俺は突っ込んでしまう。
「僕、さっき言わなかったっけ? 僕はもうツキノを離す気ないもん」
「あら、別にいいわよ、いらっしゃい。どのみちアレクセイを待たなければいけないのだもの、貴方達の話を聞かせてちょうだい」
そう言って姫さまはカイトとついでに俺まで、その荷台に招き入れてくれたのだが、そこまでで荷台は定員オーバー、イグサルさんとこの荷台で待っていた男の人は外で待機だ。
それにしてもこの荷台本当に豪華だ。メリアの姫さまの乗り物なのだから当然といえば当然なのかもしれないが、ちょっと気後れするほどに豪奢な造りになっている。
だが馬は? どこか別の場所で休ませているのか? それともまさかこのまま動く? いやいやさすがにそれは無いよな?
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