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運命の子供たち
番外編:スタール・ダントン
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俺の名前はスタール・ダントン。この国ファルス王国の第五騎士団長を務めている。騎士団長といえば聞こえはいいが、所詮は第五、一番の下っ端騎士団長だ。俺たち第五騎士団の仕事は雑務が多い、他の騎士団がやらないような地味な仕事だ。
それでも仕事は仕事でこなすのが俺達の役割で、どんな地味な仕事でも文句はねぇ。今日も今日とて街のドブ攫いなんて地味な仕事を割り当てられたうちの団の下っ端どもは不満たらたらだが、どのみち誰かがやらなけりゃならない仕事ならさっさと終わらせてしまうに限る。
「ちょっと団長何やってるんですか!」
「何ってなんだよ、今日の仕事はドブ攫いだろう?」
「それはそうですけど、団長自らドブ攫いをする必要ないでしょう! 貴方は上で皆の指揮を取るのが仕事でしょう!?」
「ドブ攫いに指揮もクソもあるかよ、人数が多ければ多いほど早く終わる単純な仕事じゃねぇか、ほらお前も小奇麗な格好してねぇで、手伝え手伝え」
そう言って俺はうちの団の副団長をドブの中に引きずり込む。
「ちょ……団長!」
第五騎士団の副団長は3人、彼はその内の1人、一番若いハリー・ブライトは困ったような表情でこちらを見上げた。
うちの騎士団は俺が団長を務めているだけあって、端から見ると少々柄の悪い男の集まりとなっている、そんな中でこのハリーは1人だけうちの騎士団の中で浮いている。説明が難しいのだが、育ちが違うというのだろうか? どうもいまいち馴染みが悪い。
別に仲間に嫌われたりしている訳ではないが、少しだけ遠巻きにはされている、言ってしまえば掃き溜めに鶴のような存在で、どうもうちの奴らにはとっつき難いらしい。
それでも彼は副団長、馴染めないなどとは言ってはいられないので、こうやって仲間内に引きずり込もうとするのだが、彼はやはりいつも少し困ったような表情をしている。
彼と俺とは別に短い付き合いではない、なんだかんだで付き合いは10年ほどにもなるのに、少年時代から青年期を経て相変わらずこの男は俺達には染まらない。それはそれで凄い事だと思う。
ハリーは騎士団に入ったかなり早い段階から俺の下で働いている。正しく言えば俺が配下を勤めていた第一騎士団長ナダール・デルクマンの下で一緒に働いていた、というのが正しいのだが、その時分彼は平の兵卒、俺は彼の上司である分団長だったのだから、俺がハリーの上司だったというのは正しい認識だと思う。
本当は俺が騎士団長、彼が副団長に就任した一年前の武闘会、彼は第一騎士団ナダール騎士団長の副団長になるものだと俺は勝手にそう思っていた。恐らく彼と第一騎士団は相性がいい、第一騎士団には育ちの良さそうな団員が集まっている、彼も勿論そうだ。
あの騎士団では俺が異質で浮いていたのだ。
ナダールはそんな異質な俺を何の疑問も抱かずに受け入れ、重宝に使ってくれていたおかげで、そんな場所でも俺は自分に違和感を抱く事もなく生活ができた。
けれど今思えばそれはそれで凄い事だったのだと改めて思うのだ。ナダールはあの育ちの良さそうな騎士団に俺を馴染ませた、だから俺はこの育ちの悪そうな人間の中に彼を馴染ませてやらなければならない。
けれど、俺はそれがどうもうまくいかずに困っている。
彼を変える必要はない、彼を彼のままで受け入れる、俺がそうされたように。けれどそれがなかなか難しい事なのだと俺は最近気が付き始めていた。
今日の仕事が終わり、ハリーは俺に付いてくる。
団長と副団長が連れ立って歩いている事に別段おかしな所はひとつもないのだが、仕事が終わってプライベートとなると俺達の組み合わせは人の目にとても異質に映る……らしい。
歳が近い訳でもない、雰囲気が似ている訳でもない、明らかに育ちが違う2人が並んで歩いている事にどうやら回りは違和感を覚えるらしい。俺はそれが不思議でならない。
ナダールと俺だって似たようなものだったろう? 確かに俺とナダールの歳は近かった、体格も似ていた、けれどそれだけだ。
ナダールとはいつも掛け合いのように喧嘩をしていて、価値観で同じ所なんてほぼなかった。むしろ俺はナダールの嫁との方が話は合った。今思えばあいつの嫁が俺とあいつの潤滑剤になっていたのかもしれないなと思わなくもない。
俺にはそういう潤滑剤になってくれるような相手はいないからな……と、何とはなしに思う。
「団長、今日は何が食べたいです?」
「んん? 何でもいいが、飲みてぇなぁ」
「最近飲み過ぎでしょう、駄目ですよ」
「堅い事言うなって、お前は嫁か」
俺達は連れ立って飯を食いに行く。昔はそうやって一緒に飲み食いする仲間が幾らもいたが、いつしか皆家庭を持ち、その数は減って、俺の隣にはこいつだけが残った。
「心配しているんでしょう? 飲むなら三杯までですよ」
「ちっ、この小姑が……」
「聞こえてますよ」
俺たちは2人でいてお互いに違和感は特にない、と思う。少なくとも俺の方には全くない。ハリーの方も嫌な顔ひとつしないで俺に付いてくるのだから、嫌な訳ではないと思う。
一回り以上年上のおっさん相手に、何かと世話を焼いてくれる彼はずいぶんな世話焼きに育ったと思う。
出会った当初は本当にビクビクした子供だったのに、今となってはうるさい小姑だ。
「本当にお前は可愛げがなくなった……」
「昔の事をいつまでも、私だって成長したんですよ。あの頃はただただ怖かった貴方が、怖くない所か、意外としょうもない人だと気が付いてしまったのですから、仕方がないでしょう」
「しょうもないって言うな。お前なんかチビのままの癖に」
「身長は関係ないでしょう! これでもあの頃よりは10cm以上伸びてます!」
ひょろりとした体躯、正直騎士団員としては些か貧弱に見える体躯の彼はそれをとても気にしている。それでも副団長にまでなったのだ、実力は折り紙つきなのだが。
「なぁ、ハリー、お前は何で俺の所に来た?」
「突然何ですか?」
首を傾げたハリーが怪訝そうな表情を見せる。
「俺は、お前は第一騎士団に残るもんだと思ってた。俺の所に来た時にゃあ、黒の騎士団がそうやって配属先を決めたのかと思ったが、お前、俺の下に志願して来たんだってな?」
「誰に聞いたんですか、その話……」
「この間飲みに行ったらキースに愚痴られた。お前とキースは昔っからいつも一緒にいたもんな、キースが1人でやるのは思いのほか大変だって愚痴ってたぞ」
キース・グレンジャー、現在第一騎士団の副団長、ハリーより一足先に副団長になった彼とハリーは親友だった。
「はは、キースは意外と適当な所があるから、そういう小さなミスを指摘する人間が多いのかもですね」
「手伝ってやろうとは思わなかったのか?」
「同じ副団長では自分の事で手一杯ですよ、今だってそうでしょう?」
確かにその通りだ、けれどそれでも同僚に気心が知れた仲間がいるのはとても心強いと思うのだ。けれど第五ではそんな甘えも許されない。なにせ新規で立ち上げられた騎士団だ、仲間はあまり者、はぶれ者がほとんどだった。
「それでもうちは大変だろう?」
「迷惑でしたか?」
「え? いや、そんな事はねぇがな」
「だったらいいじゃないですか、私が自分で選んだ道です。苦ではないですよ」
「まぁ、そんならいいけどよ」
それにしても、やはり何故わざわざ俺の所だったのか? と思わずにはいられないのだ。ハリーは少年の頃、本気で俺の事を怖がってキースの後ろに隠れていた。
それが、普通に話せるようになったのはいつからだったか……? しかもこんな風に世話を焼かれるようになったのはいつからだっただろうか?
「そういやぁ、キース、今度結婚するんだってな」
「あぁ、そうらしいですね」
「お前からは、そういう話しは聞かねぇが、浮いた話しはないのか?」
「そんな話があったら、今こうして貴方と夕飯を一緒にしてたりしませんよ」
「俺のせいだとでも言うつもりか?」
「そんな事言ってないでしょう?」
俺は家庭を持たないと決めている。自分が家庭に向かない男だというのも分かっている。だから俺はこうして40を過ぎてもふらふらと過しているのだが、こいつの歳ならそろそろ身を固めてもいい頃合いだ。
「私より切羽詰ってるのは団長の方でしょう? そろそろ老後の心配でもした方がいいんじゃないですか?」
「うっせ、俺はいいんだよ。食うに困ったら適当にどこかで野たれ死ぬって決めてんだ」
「騎士団長ともあろう人が何を言っているのやら……」
「俺は1人で生きて、1人で死ぬって決めてんだよ、それでいいんだ」
またハリーが俺を見上げた。
「それは、贖罪なのですか?」
「あ? 何を突然?」
「それは母親に対する贖罪なのでしょうか?」
「ふん、別にそんなんじゃねぇよ」
別に隠している訳でもなかったが、こいつはいつの間にか俺の過去をかなり詳しく知っていた。俺がメリアの生まれで幼年時代は荒んだ生活を送っていた事、ファルスに越して母を自死に追いやった事、その後、女相手に不能になった事も、こいつ相手に直接語った事は一度もなかったはずなんだがなぁ。
「貴方はそんな自暴自棄に生きるのではなく、もっと自分の幸せを考えるべきです」
「1人で充分幸せだから問題ない」
「端から見ていてそんな風に見えないのですよ……」
ハリーは微かに瞳を伏せた。何を思ってそんな表情を見せるのか、俺にはまるで分からない。
「俺の幸せは俺が決める」
「そうですね、貴方はそういう人ですものね」
「だから、お前もいつまでも俺に付き合う必要はねぇぞ」
「……私は、迷惑ですか?」
「だからそんな事は言ってねぇ、俺なんかに付き合って、自分の人生を疎かにしてんじゃねぇって言ってんだ。若いんだから、こんなおっさんに付き合ってねぇで、もっと遊び倒せ」
「そういうのはあまり得意ではないです」
そう言って困ったように彼は笑った。
「私は自分の人生を疎かになんてしていませんよ。それこそ好きで貴方の隣に立っています、迷惑でなければ傍に置いてください」
む……なんだそれは? どうにもこうにもむず痒いぞ?
「やはり私は迷惑ですか……?」
「いや、そんな事はねぇってさっきから言ってる」
不安そうな表情の彼の顔がぱあっと晴れた。何だよこれ、可愛いな。
いやいやいや、男相手にそれはないだろ? 待て待て自分、ナダールの感覚に侵されてるぞ、それは駄目だ、考えるな自分。
そもそも一回り以上歳下の人間におっさんが相手にされる訳ねぇだろう?
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもねぇ。行くぞ行くぞ、今日は飲み倒す!」
「だからお酒は三杯までと言いましたよ!」
「けち臭い事言ってんな」と肩を抱いて、ばんばん叩くと「止めてください!」と怒られたのだが、その叩いた肩が思いのほか細くて、少し戸惑った。
翌朝目覚めたら、何故か自分のベッドの上で隣にハリーが寝ていた。
「は!?」
慌てて飛び起きたら布団が落ちたのだが、俺もハリーも普通に服を着ていて、とりあえず安堵の息を漏らす。
いや、どのみち俺の息子は役立たずだし、そんな事には万が一にもならないはずだけどな、はは。
それにしても、これはどういう状況だ? と、昨晩の事を思い出す。ハリーと飯を食いに居酒屋に入り、ハリーが止めるのも聞かず飲み倒し、そういえば途中から記憶がないな……
「ん……」
傍らのハリーが吐息を零して身動ぎをした。彼も寝惚けているのだろう、瞳を擦って、目をしばたかせ、俺と目が合うと飛び起きた。
「な……え? やっ……あれ?」
彼も状況が瞬時に理解できなかった様子で、うろたえたような表情を見せる。
「はよ」
「え!? あ……おはようございます」
「朝飯食うか?」
「え……あ、はい……」
俺はのそりと起き上がりキッチンに立ってはみたものの、基本食事は外食で台所には碌な物がない。
「あの……団長?」
「なんだ?」
「私、やっぱり帰ります。すみません、昨晩は私も酔っていたようであまり記憶はないのですが、自宅にまで押しかけるつもりは……」
「酔った翌朝にはよくある事だ、気にすんな」
実際今までだってこんな事がなかった訳じゃない。仲間と飲んだくれ、団子になって寝入っていたり、気が付けばどこぞの店の娘が同衾していたなんて事もなくはなかった。
知っての通り俺の息子は役立たずなので、それでも大概何もなく、連れ込まれた娘は酷くご立腹で帰宅する所までがお約束だ。
「それより飯が何もなかった、食いに出るか」
「団長は朝食までそんな感じなのですか?」
「あ? 悪いか?」
「そんな生活続けていたらそのうち身体を壊しますよ」
「今、動けていればそれでいい」
俺の言葉にハリーは呆れたように溜息を零した。
「第一騎士団の頃はナダール団長の家に入り浸って食べていたので、健康でいられたかもしれませんけど、気を付けないと本当に駄目ですからね!」
「お前は本当に小姑かよ」
「心配しているのですよ」
「大きなお世話だ」
「だったら大きなお世話ついでに私が朝食を作ります」
そう言ってハリーは台所を覗き込み、本当に酒くらいしかストックがないのを確認してまた溜息を零した。
そしてその後、何故か俺は怒られながら一緒に食材を買いに行き、ハリーが作ってくれた朝食はこれでいてなかなか旨かった。
そんなこんなな生活を続けていたら、騎士団長生活二年目頃には何故かハリーが俺の家に入り浸るようになっていた。面倒くさいので鍵を渡したら、半分同居生活のようになった、そして間もなく三年目という今、やはり彼は俺の隣にいる。
「もしかして、お前は俺が好きなのか……?」
外食ばかりの俺だったのに、気が付けば宅飲みが増え、差し向かいにはハリーがいる。
「今更それを言うのですか?」
「お前は何も言わなかっただろう?」
「鍵を寄越した辺りでもう気が付いていると思っていましたよ」
ほろ酔い気味のハリーは上機嫌に笑う。
「俺は何もしてやれないし、お前に何も残せないぞ?」
「そんな事は百も承知で、団長の傍にいると知っているでしょう?」
「こんなおっさん相手に、なんでそうなったのか……」
「んふふ~、スタール団長は格好いいから」
酔ったハリーは饒舌だ、だから今夜は飲ませてみたのだが、いつも喋らない事までよく喋る。
「おっかない顔して、誰より優しいの知ってますよ、寂しいの嫌いなくせに一人になりたがるのも、僕知ってますからぁ」
一人称が格好付けた「私」から「僕」に変わった。これ完全に酔ってんな……
「こんなくたびれたおっさん捕まえて、格好いいはねぇぞ」
「でも、騎士団長ですよぉ、凄いです。凄い人がたくさんの中で騎士団長、凄いです」
「お前だって副団長だろうが……」
「僕なんかぎりぎりセーフの滑り込みじゃないですかぁ、もしかしたら次には降格だってありえます」
確かにその通りだ、ハリーは15人いる副団長の末席15番目。それで言ったら俺も騎士団長の末席なんだけどな。
「でもぉ、頑張ります。次はきっとスタール団長はもっと上にいくでしょうから、喰らいついていきたい所存ですよぉ」
「おっ前、簡単に言ってくれる……」
俺だって次の武闘会ではどうなっているか分からない身の上だというのに、こいつはどうやら俺が更に上に行くものと信じて疑っていない様子だ。
「あぁ! そういえばぁ、僕スタール団長に聞きたい事があったんですよぉ」
「ん? 何だ?」
「ノエルって、誰ですか?」
「あ?」
「ノエルってどこのどちら様ですかぁ?! ずっと、ずっっっと、聞きたかったんですぅ。団長の馴染みの店にもそんな人いないし、昔の彼女ですか? 好きな人ですか!?」
「俺はどこでその名前をお前に言ったんだろうなぁ、別に聞きたきゃいつでも聞けば良かったじゃねぇか」
「聞けないですよ、詮索なんて、格好悪いじゃないですかぁ」
完全な酔っ払いと化したハリーが俺に絡んでくる。これはちと飲ませすぎたな。
「ノエルってのは、俺の母親の名前だよ。まぁ、俺の昔の女って意味じゃ間違いでもないけどな」
「母親……」
「おう、母親だ」
ハリーが呆けたようにこちらを見ている。
「どうした?」
「僕はその人嫌いです」
「んん?」
「貴方の人生を縛ってる、その人が大嫌いだっ」
「まぁ、俺も好いてはいなかったがなぁ」
俺の言葉にハリーはむくれて「嘘吐き!」と声をあげる。
「なんでそう思う?」
「だって、団長はいつもノエル、ノエルって愛しい人を呼ぶみたいに、その名前を呼ぶじゃないですかっ」
「俺がいつ……?」
「飲みすぎた時はいつもですよっ、僕がそれをどんな気持ちで聞いていたか、貴方に分かります!? 分からないですよねっ!」
「いや、そう言われても。俺自身覚えていない事を責められてもなぁ……」
ふらりと立ち上がって、ハリーが俺の傍らにやって来た。
「そんなしょうもない女に縛られているくらいなら、もっと僕を見てください」
「んん……お前その台詞、酔いが醒めたら絶対後悔するやつだぞ?」
「後悔なんか、しませんっ」
「本当にか?」
ハリーの目は完全に据わっているのだが、その瞳は何故だか潤んでいて、そのまま彼は俺に抱きついてくる。俺はそれを抱き抱えるようにして、その背を撫でた。
「抱いてやる事はできないけどな、見てるくらいなら俺でもできる」
「だったらずっと見ていてください」
「わがまま坊主だな、はは、面白い。いいぜ、ずっと見ていてやるよ、だから泣くな」
「泣いてません」
そんな感じに押し問答を続けていたら、いつの間にやらハリーは俺の腕の中で寝息を立てていて、完全に酔っ払いが寝落ちた状態だが、明日起きた時のこいつの反応が見ものだな、と俺は彼を抱えたまま、もう一度酒を煽った。
翌朝、目覚めたハリーが俺の腕の中で案の定大慌てをするのを俺はげらげら笑って見ていたのだが、そんな中で彼は顔を真っ赤に染めて「それでも後悔はしてませんからっ!」と言った言葉を俺は素直に受け止めることにした。
それでも仕事は仕事でこなすのが俺達の役割で、どんな地味な仕事でも文句はねぇ。今日も今日とて街のドブ攫いなんて地味な仕事を割り当てられたうちの団の下っ端どもは不満たらたらだが、どのみち誰かがやらなけりゃならない仕事ならさっさと終わらせてしまうに限る。
「ちょっと団長何やってるんですか!」
「何ってなんだよ、今日の仕事はドブ攫いだろう?」
「それはそうですけど、団長自らドブ攫いをする必要ないでしょう! 貴方は上で皆の指揮を取るのが仕事でしょう!?」
「ドブ攫いに指揮もクソもあるかよ、人数が多ければ多いほど早く終わる単純な仕事じゃねぇか、ほらお前も小奇麗な格好してねぇで、手伝え手伝え」
そう言って俺はうちの団の副団長をドブの中に引きずり込む。
「ちょ……団長!」
第五騎士団の副団長は3人、彼はその内の1人、一番若いハリー・ブライトは困ったような表情でこちらを見上げた。
うちの騎士団は俺が団長を務めているだけあって、端から見ると少々柄の悪い男の集まりとなっている、そんな中でこのハリーは1人だけうちの騎士団の中で浮いている。説明が難しいのだが、育ちが違うというのだろうか? どうもいまいち馴染みが悪い。
別に仲間に嫌われたりしている訳ではないが、少しだけ遠巻きにはされている、言ってしまえば掃き溜めに鶴のような存在で、どうもうちの奴らにはとっつき難いらしい。
それでも彼は副団長、馴染めないなどとは言ってはいられないので、こうやって仲間内に引きずり込もうとするのだが、彼はやはりいつも少し困ったような表情をしている。
彼と俺とは別に短い付き合いではない、なんだかんだで付き合いは10年ほどにもなるのに、少年時代から青年期を経て相変わらずこの男は俺達には染まらない。それはそれで凄い事だと思う。
ハリーは騎士団に入ったかなり早い段階から俺の下で働いている。正しく言えば俺が配下を勤めていた第一騎士団長ナダール・デルクマンの下で一緒に働いていた、というのが正しいのだが、その時分彼は平の兵卒、俺は彼の上司である分団長だったのだから、俺がハリーの上司だったというのは正しい認識だと思う。
本当は俺が騎士団長、彼が副団長に就任した一年前の武闘会、彼は第一騎士団ナダール騎士団長の副団長になるものだと俺は勝手にそう思っていた。恐らく彼と第一騎士団は相性がいい、第一騎士団には育ちの良さそうな団員が集まっている、彼も勿論そうだ。
あの騎士団では俺が異質で浮いていたのだ。
ナダールはそんな異質な俺を何の疑問も抱かずに受け入れ、重宝に使ってくれていたおかげで、そんな場所でも俺は自分に違和感を抱く事もなく生活ができた。
けれど今思えばそれはそれで凄い事だったのだと改めて思うのだ。ナダールはあの育ちの良さそうな騎士団に俺を馴染ませた、だから俺はこの育ちの悪そうな人間の中に彼を馴染ませてやらなければならない。
けれど、俺はそれがどうもうまくいかずに困っている。
彼を変える必要はない、彼を彼のままで受け入れる、俺がそうされたように。けれどそれがなかなか難しい事なのだと俺は最近気が付き始めていた。
今日の仕事が終わり、ハリーは俺に付いてくる。
団長と副団長が連れ立って歩いている事に別段おかしな所はひとつもないのだが、仕事が終わってプライベートとなると俺達の組み合わせは人の目にとても異質に映る……らしい。
歳が近い訳でもない、雰囲気が似ている訳でもない、明らかに育ちが違う2人が並んで歩いている事にどうやら回りは違和感を覚えるらしい。俺はそれが不思議でならない。
ナダールと俺だって似たようなものだったろう? 確かに俺とナダールの歳は近かった、体格も似ていた、けれどそれだけだ。
ナダールとはいつも掛け合いのように喧嘩をしていて、価値観で同じ所なんてほぼなかった。むしろ俺はナダールの嫁との方が話は合った。今思えばあいつの嫁が俺とあいつの潤滑剤になっていたのかもしれないなと思わなくもない。
俺にはそういう潤滑剤になってくれるような相手はいないからな……と、何とはなしに思う。
「団長、今日は何が食べたいです?」
「んん? 何でもいいが、飲みてぇなぁ」
「最近飲み過ぎでしょう、駄目ですよ」
「堅い事言うなって、お前は嫁か」
俺達は連れ立って飯を食いに行く。昔はそうやって一緒に飲み食いする仲間が幾らもいたが、いつしか皆家庭を持ち、その数は減って、俺の隣にはこいつだけが残った。
「心配しているんでしょう? 飲むなら三杯までですよ」
「ちっ、この小姑が……」
「聞こえてますよ」
俺たちは2人でいてお互いに違和感は特にない、と思う。少なくとも俺の方には全くない。ハリーの方も嫌な顔ひとつしないで俺に付いてくるのだから、嫌な訳ではないと思う。
一回り以上年上のおっさん相手に、何かと世話を焼いてくれる彼はずいぶんな世話焼きに育ったと思う。
出会った当初は本当にビクビクした子供だったのに、今となってはうるさい小姑だ。
「本当にお前は可愛げがなくなった……」
「昔の事をいつまでも、私だって成長したんですよ。あの頃はただただ怖かった貴方が、怖くない所か、意外としょうもない人だと気が付いてしまったのですから、仕方がないでしょう」
「しょうもないって言うな。お前なんかチビのままの癖に」
「身長は関係ないでしょう! これでもあの頃よりは10cm以上伸びてます!」
ひょろりとした体躯、正直騎士団員としては些か貧弱に見える体躯の彼はそれをとても気にしている。それでも副団長にまでなったのだ、実力は折り紙つきなのだが。
「なぁ、ハリー、お前は何で俺の所に来た?」
「突然何ですか?」
首を傾げたハリーが怪訝そうな表情を見せる。
「俺は、お前は第一騎士団に残るもんだと思ってた。俺の所に来た時にゃあ、黒の騎士団がそうやって配属先を決めたのかと思ったが、お前、俺の下に志願して来たんだってな?」
「誰に聞いたんですか、その話……」
「この間飲みに行ったらキースに愚痴られた。お前とキースは昔っからいつも一緒にいたもんな、キースが1人でやるのは思いのほか大変だって愚痴ってたぞ」
キース・グレンジャー、現在第一騎士団の副団長、ハリーより一足先に副団長になった彼とハリーは親友だった。
「はは、キースは意外と適当な所があるから、そういう小さなミスを指摘する人間が多いのかもですね」
「手伝ってやろうとは思わなかったのか?」
「同じ副団長では自分の事で手一杯ですよ、今だってそうでしょう?」
確かにその通りだ、けれどそれでも同僚に気心が知れた仲間がいるのはとても心強いと思うのだ。けれど第五ではそんな甘えも許されない。なにせ新規で立ち上げられた騎士団だ、仲間はあまり者、はぶれ者がほとんどだった。
「それでもうちは大変だろう?」
「迷惑でしたか?」
「え? いや、そんな事はねぇがな」
「だったらいいじゃないですか、私が自分で選んだ道です。苦ではないですよ」
「まぁ、そんならいいけどよ」
それにしても、やはり何故わざわざ俺の所だったのか? と思わずにはいられないのだ。ハリーは少年の頃、本気で俺の事を怖がってキースの後ろに隠れていた。
それが、普通に話せるようになったのはいつからだったか……? しかもこんな風に世話を焼かれるようになったのはいつからだっただろうか?
「そういやぁ、キース、今度結婚するんだってな」
「あぁ、そうらしいですね」
「お前からは、そういう話しは聞かねぇが、浮いた話しはないのか?」
「そんな話があったら、今こうして貴方と夕飯を一緒にしてたりしませんよ」
「俺のせいだとでも言うつもりか?」
「そんな事言ってないでしょう?」
俺は家庭を持たないと決めている。自分が家庭に向かない男だというのも分かっている。だから俺はこうして40を過ぎてもふらふらと過しているのだが、こいつの歳ならそろそろ身を固めてもいい頃合いだ。
「私より切羽詰ってるのは団長の方でしょう? そろそろ老後の心配でもした方がいいんじゃないですか?」
「うっせ、俺はいいんだよ。食うに困ったら適当にどこかで野たれ死ぬって決めてんだ」
「騎士団長ともあろう人が何を言っているのやら……」
「俺は1人で生きて、1人で死ぬって決めてんだよ、それでいいんだ」
またハリーが俺を見上げた。
「それは、贖罪なのですか?」
「あ? 何を突然?」
「それは母親に対する贖罪なのでしょうか?」
「ふん、別にそんなんじゃねぇよ」
別に隠している訳でもなかったが、こいつはいつの間にか俺の過去をかなり詳しく知っていた。俺がメリアの生まれで幼年時代は荒んだ生活を送っていた事、ファルスに越して母を自死に追いやった事、その後、女相手に不能になった事も、こいつ相手に直接語った事は一度もなかったはずなんだがなぁ。
「貴方はそんな自暴自棄に生きるのではなく、もっと自分の幸せを考えるべきです」
「1人で充分幸せだから問題ない」
「端から見ていてそんな風に見えないのですよ……」
ハリーは微かに瞳を伏せた。何を思ってそんな表情を見せるのか、俺にはまるで分からない。
「俺の幸せは俺が決める」
「そうですね、貴方はそういう人ですものね」
「だから、お前もいつまでも俺に付き合う必要はねぇぞ」
「……私は、迷惑ですか?」
「だからそんな事は言ってねぇ、俺なんかに付き合って、自分の人生を疎かにしてんじゃねぇって言ってんだ。若いんだから、こんなおっさんに付き合ってねぇで、もっと遊び倒せ」
「そういうのはあまり得意ではないです」
そう言って困ったように彼は笑った。
「私は自分の人生を疎かになんてしていませんよ。それこそ好きで貴方の隣に立っています、迷惑でなければ傍に置いてください」
む……なんだそれは? どうにもこうにもむず痒いぞ?
「やはり私は迷惑ですか……?」
「いや、そんな事はねぇってさっきから言ってる」
不安そうな表情の彼の顔がぱあっと晴れた。何だよこれ、可愛いな。
いやいやいや、男相手にそれはないだろ? 待て待て自分、ナダールの感覚に侵されてるぞ、それは駄目だ、考えるな自分。
そもそも一回り以上歳下の人間におっさんが相手にされる訳ねぇだろう?
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもねぇ。行くぞ行くぞ、今日は飲み倒す!」
「だからお酒は三杯までと言いましたよ!」
「けち臭い事言ってんな」と肩を抱いて、ばんばん叩くと「止めてください!」と怒られたのだが、その叩いた肩が思いのほか細くて、少し戸惑った。
翌朝目覚めたら、何故か自分のベッドの上で隣にハリーが寝ていた。
「は!?」
慌てて飛び起きたら布団が落ちたのだが、俺もハリーも普通に服を着ていて、とりあえず安堵の息を漏らす。
いや、どのみち俺の息子は役立たずだし、そんな事には万が一にもならないはずだけどな、はは。
それにしても、これはどういう状況だ? と、昨晩の事を思い出す。ハリーと飯を食いに居酒屋に入り、ハリーが止めるのも聞かず飲み倒し、そういえば途中から記憶がないな……
「ん……」
傍らのハリーが吐息を零して身動ぎをした。彼も寝惚けているのだろう、瞳を擦って、目をしばたかせ、俺と目が合うと飛び起きた。
「な……え? やっ……あれ?」
彼も状況が瞬時に理解できなかった様子で、うろたえたような表情を見せる。
「はよ」
「え!? あ……おはようございます」
「朝飯食うか?」
「え……あ、はい……」
俺はのそりと起き上がりキッチンに立ってはみたものの、基本食事は外食で台所には碌な物がない。
「あの……団長?」
「なんだ?」
「私、やっぱり帰ります。すみません、昨晩は私も酔っていたようであまり記憶はないのですが、自宅にまで押しかけるつもりは……」
「酔った翌朝にはよくある事だ、気にすんな」
実際今までだってこんな事がなかった訳じゃない。仲間と飲んだくれ、団子になって寝入っていたり、気が付けばどこぞの店の娘が同衾していたなんて事もなくはなかった。
知っての通り俺の息子は役立たずなので、それでも大概何もなく、連れ込まれた娘は酷くご立腹で帰宅する所までがお約束だ。
「それより飯が何もなかった、食いに出るか」
「団長は朝食までそんな感じなのですか?」
「あ? 悪いか?」
「そんな生活続けていたらそのうち身体を壊しますよ」
「今、動けていればそれでいい」
俺の言葉にハリーは呆れたように溜息を零した。
「第一騎士団の頃はナダール団長の家に入り浸って食べていたので、健康でいられたかもしれませんけど、気を付けないと本当に駄目ですからね!」
「お前は本当に小姑かよ」
「心配しているのですよ」
「大きなお世話だ」
「だったら大きなお世話ついでに私が朝食を作ります」
そう言ってハリーは台所を覗き込み、本当に酒くらいしかストックがないのを確認してまた溜息を零した。
そしてその後、何故か俺は怒られながら一緒に食材を買いに行き、ハリーが作ってくれた朝食はこれでいてなかなか旨かった。
そんなこんなな生活を続けていたら、騎士団長生活二年目頃には何故かハリーが俺の家に入り浸るようになっていた。面倒くさいので鍵を渡したら、半分同居生活のようになった、そして間もなく三年目という今、やはり彼は俺の隣にいる。
「もしかして、お前は俺が好きなのか……?」
外食ばかりの俺だったのに、気が付けば宅飲みが増え、差し向かいにはハリーがいる。
「今更それを言うのですか?」
「お前は何も言わなかっただろう?」
「鍵を寄越した辺りでもう気が付いていると思っていましたよ」
ほろ酔い気味のハリーは上機嫌に笑う。
「俺は何もしてやれないし、お前に何も残せないぞ?」
「そんな事は百も承知で、団長の傍にいると知っているでしょう?」
「こんなおっさん相手に、なんでそうなったのか……」
「んふふ~、スタール団長は格好いいから」
酔ったハリーは饒舌だ、だから今夜は飲ませてみたのだが、いつも喋らない事までよく喋る。
「おっかない顔して、誰より優しいの知ってますよ、寂しいの嫌いなくせに一人になりたがるのも、僕知ってますからぁ」
一人称が格好付けた「私」から「僕」に変わった。これ完全に酔ってんな……
「こんなくたびれたおっさん捕まえて、格好いいはねぇぞ」
「でも、騎士団長ですよぉ、凄いです。凄い人がたくさんの中で騎士団長、凄いです」
「お前だって副団長だろうが……」
「僕なんかぎりぎりセーフの滑り込みじゃないですかぁ、もしかしたら次には降格だってありえます」
確かにその通りだ、ハリーは15人いる副団長の末席15番目。それで言ったら俺も騎士団長の末席なんだけどな。
「でもぉ、頑張ります。次はきっとスタール団長はもっと上にいくでしょうから、喰らいついていきたい所存ですよぉ」
「おっ前、簡単に言ってくれる……」
俺だって次の武闘会ではどうなっているか分からない身の上だというのに、こいつはどうやら俺が更に上に行くものと信じて疑っていない様子だ。
「あぁ! そういえばぁ、僕スタール団長に聞きたい事があったんですよぉ」
「ん? 何だ?」
「ノエルって、誰ですか?」
「あ?」
「ノエルってどこのどちら様ですかぁ?! ずっと、ずっっっと、聞きたかったんですぅ。団長の馴染みの店にもそんな人いないし、昔の彼女ですか? 好きな人ですか!?」
「俺はどこでその名前をお前に言ったんだろうなぁ、別に聞きたきゃいつでも聞けば良かったじゃねぇか」
「聞けないですよ、詮索なんて、格好悪いじゃないですかぁ」
完全な酔っ払いと化したハリーが俺に絡んでくる。これはちと飲ませすぎたな。
「ノエルってのは、俺の母親の名前だよ。まぁ、俺の昔の女って意味じゃ間違いでもないけどな」
「母親……」
「おう、母親だ」
ハリーが呆けたようにこちらを見ている。
「どうした?」
「僕はその人嫌いです」
「んん?」
「貴方の人生を縛ってる、その人が大嫌いだっ」
「まぁ、俺も好いてはいなかったがなぁ」
俺の言葉にハリーはむくれて「嘘吐き!」と声をあげる。
「なんでそう思う?」
「だって、団長はいつもノエル、ノエルって愛しい人を呼ぶみたいに、その名前を呼ぶじゃないですかっ」
「俺がいつ……?」
「飲みすぎた時はいつもですよっ、僕がそれをどんな気持ちで聞いていたか、貴方に分かります!? 分からないですよねっ!」
「いや、そう言われても。俺自身覚えていない事を責められてもなぁ……」
ふらりと立ち上がって、ハリーが俺の傍らにやって来た。
「そんなしょうもない女に縛られているくらいなら、もっと僕を見てください」
「んん……お前その台詞、酔いが醒めたら絶対後悔するやつだぞ?」
「後悔なんか、しませんっ」
「本当にか?」
ハリーの目は完全に据わっているのだが、その瞳は何故だか潤んでいて、そのまま彼は俺に抱きついてくる。俺はそれを抱き抱えるようにして、その背を撫でた。
「抱いてやる事はできないけどな、見てるくらいなら俺でもできる」
「だったらずっと見ていてください」
「わがまま坊主だな、はは、面白い。いいぜ、ずっと見ていてやるよ、だから泣くな」
「泣いてません」
そんな感じに押し問答を続けていたら、いつの間にやらハリーは俺の腕の中で寝息を立てていて、完全に酔っ払いが寝落ちた状態だが、明日起きた時のこいつの反応が見ものだな、と俺は彼を抱えたまま、もう一度酒を煽った。
翌朝、目覚めたハリーが俺の腕の中で案の定大慌てをするのを俺はげらげら笑って見ていたのだが、そんな中で彼は顔を真っ赤に染めて「それでも後悔はしてませんからっ!」と言った言葉を俺は素直に受け止めることにした。
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