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世界一メンドくさい君を想う
世界一メンドくさい君を想う:閑話
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「ルイちゃん、久しぶり」
そう言ってその人はあたしの頭を撫でた。
あたしが赤ちゃんの頃からちょこちょこ家に遊びに来ては、あたしや弟のユリと遊んでくれるそのお兄ちゃんがあたしは大好きなのだけど、お兄ちゃんがうちに来ると、何故かママは少し困ったような顔をする。
パパはお兄ちゃんが好きではないようで、パパが家にいる時はお兄ちゃんはいつも追い帰されていてちょっとかわいそう。
パパはいつでもにこにこしてるんだけど、お兄ちゃんが来た時だけはいつも怒ったような顔をしていて、それがなんでなのかルイにはよく分からない。
お兄ちゃんいい人なのに、なんでなのかな?
今日はそのルークお兄ちゃんともう一人お客様がいるみたい。
お兄ちゃんはいつも一人で来る事が多いのに、珍しい。
もう一人のお兄ちゃんにも少しだけ見覚えがある、裏に住んでるシキ君達のお兄ちゃん。
本当は『おじさん』って言うみたいだけど、まだ若いからお兄ちゃん。時々シキ君達のおうちで見かけるからルイも知ってるの。
「ママ、いる?」
「うん、呼んでくるね」
あたしは奥の部屋で片付け物をしているママを呼んだ。
ママは2人の顔を見て少し驚いたような顔をしていた。
2人は笑ってママに「報告」に来たんだって。
「正式にお付き合いする事になりまして、今まで散々ご迷惑かけていた謝罪に来ました」
「へ? ……や、別にいいけど。そうなんだ……驚いた。けど、良かったな」
ママが言うとルークお兄ちゃんは照れたように笑った。
「お付き合い」ってなんだろう? あとでママに聞かなくちゃだわ。
「それでこれからどうするんだ? 一緒に暮らすの?」
「はい、それなんですけど、ちょっとご相談が……」
ママは首を傾げる。
「グノーさん達、イリヤに引越し決まったって聞いたんで、もし良かったらこの家譲ってもらえないかと思って……」
「え? いいの? それならそれで助かる。どうしようかってナダールと言ってたんだ。そのままにしておく訳にもいかないし、売るにしても貸すにしても時間が無くてな。片付けも終わらないし、お前達がここに住むって言うなら置いてく家具とか全部使って貰えれば凄く助かる」
「こちらもそうして貰えると助かります」
なんだかママ達はにこにこしてる、なんのお話だろう?
お兄ちゃん達、この家に住むの? ルイのお部屋どうなっちゃうのかな?
「どうした、ルイ?」
ママが見上げるあたしに気が付いて、身をかがめて話しかけてくれる。
「ルイ達のおうちなくなっちゃうの?」
「え……いや、新しいおうちに引っ越すからって……う~ん、まだルイには難しかったか」
「ルイちゃんのおうちはなくならないよ。ずっとここにあるから、いつでも帰っておいで」
そう言ってお兄ちゃんはママと同じように屈んでルイの頭をまた撫でてくれた。
そう言ってその人はあたしの頭を撫でた。
あたしが赤ちゃんの頃からちょこちょこ家に遊びに来ては、あたしや弟のユリと遊んでくれるそのお兄ちゃんがあたしは大好きなのだけど、お兄ちゃんがうちに来ると、何故かママは少し困ったような顔をする。
パパはお兄ちゃんが好きではないようで、パパが家にいる時はお兄ちゃんはいつも追い帰されていてちょっとかわいそう。
パパはいつでもにこにこしてるんだけど、お兄ちゃんが来た時だけはいつも怒ったような顔をしていて、それがなんでなのかルイにはよく分からない。
お兄ちゃんいい人なのに、なんでなのかな?
今日はそのルークお兄ちゃんともう一人お客様がいるみたい。
お兄ちゃんはいつも一人で来る事が多いのに、珍しい。
もう一人のお兄ちゃんにも少しだけ見覚えがある、裏に住んでるシキ君達のお兄ちゃん。
本当は『おじさん』って言うみたいだけど、まだ若いからお兄ちゃん。時々シキ君達のおうちで見かけるからルイも知ってるの。
「ママ、いる?」
「うん、呼んでくるね」
あたしは奥の部屋で片付け物をしているママを呼んだ。
ママは2人の顔を見て少し驚いたような顔をしていた。
2人は笑ってママに「報告」に来たんだって。
「正式にお付き合いする事になりまして、今まで散々ご迷惑かけていた謝罪に来ました」
「へ? ……や、別にいいけど。そうなんだ……驚いた。けど、良かったな」
ママが言うとルークお兄ちゃんは照れたように笑った。
「お付き合い」ってなんだろう? あとでママに聞かなくちゃだわ。
「それでこれからどうするんだ? 一緒に暮らすの?」
「はい、それなんですけど、ちょっとご相談が……」
ママは首を傾げる。
「グノーさん達、イリヤに引越し決まったって聞いたんで、もし良かったらこの家譲ってもらえないかと思って……」
「え? いいの? それならそれで助かる。どうしようかってナダールと言ってたんだ。そのままにしておく訳にもいかないし、売るにしても貸すにしても時間が無くてな。片付けも終わらないし、お前達がここに住むって言うなら置いてく家具とか全部使って貰えれば凄く助かる」
「こちらもそうして貰えると助かります」
なんだかママ達はにこにこしてる、なんのお話だろう?
お兄ちゃん達、この家に住むの? ルイのお部屋どうなっちゃうのかな?
「どうした、ルイ?」
ママが見上げるあたしに気が付いて、身をかがめて話しかけてくれる。
「ルイ達のおうちなくなっちゃうの?」
「え……いや、新しいおうちに引っ越すからって……う~ん、まだルイには難しかったか」
「ルイちゃんのおうちはなくならないよ。ずっとここにあるから、いつでも帰っておいで」
そう言ってお兄ちゃんはママと同じように屈んでルイの頭をまた撫でてくれた。
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