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君と僕の物語:番外編
子作り指南⑧
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「違和感は感じていた。始めてお前とした時、お前と番になった時、確かにお前は俺のものだと確信できた。だけど、お前がメリアから帰ってきてから、お前の匂いは微かに変化していた。気のせいかと思っていた。お前の俺に対する態度は変わらなかったし、お前は俺を拒む事はなかったから」
「ごめんね、エディ……でも、僕が黙っていればもう何が起こる事もないから、もう全て終わった事だから言わずにいようと思ってた」
「……お前の本当の『運命』はメリアにいたのか……? 今も、いるのか……?」
僕は黙って首を横にふる。
「もういない。どこにもいない。あの人は死んでしまったもの……」
「死んだ……?」
今度は首を縦にふる。
「エディと番になってなかったら僕は発狂していたかもしれない。あの人もあの人ですでに番がいたから、お互い最後まではっきりとは認識できなかった。僕は元々フェロモンが薄いし、たぶんあの人も同じだったんだ。あの人は自分の事はβだと思っていたよ、だけどね、こんなに匂いに鈍い僕が、あの人の匂いだけは間違える事もなく認識できたんだ……」
込み上げる涙、言っては駄目だと心に蓋をして押し殺してきた感情たち。
「ごめんね、エディ。僕はずっとエディを裏切っていた。でも信じて、僕達は本当に何もしていない、通わせたのは少しの心だけ。僕達はどこにも向かえなかった、あの人の先には絶望しかなかった、僕も何も変える事はできなかった……」
「そいつ……誰?」
エディの呟きには何の熱もなく、冷めた瞳は凍えるようだった。
「名前は……結局最後まで教えてもらえなかった……」
「お前が大事そうに持ってた鍵の持ち主……?」
「エディ、知ってたの……?」
エドワードは瞳を伏せる。
「俺はたぶんお前が思っているよりずっとお前ばかりを見てるんだ。こっちに帰ってきてしばらく、お前がずっと落ち込んでいたのも知っていたさ」
「知ってて、なんで黙ってたの?」
「……怖かった……お前がまた俺の傍からいなくなるんじゃないかって。問い詰めたらお前はまた俺の元から逃げ出すんじゃないかって……そんな事ばかり考えていた」
僕は「もうそんな事、しないよ」と首を振った。
「僕の隠し事はこれで全部。エディは僕を軽蔑する? ふふ……当然だよね、僕はエディを裏切ってたんだから……」
「……もう、そいつが死んでいるのは間違いないのか?」
「間違いないよ。あの人はどこにもいない」
「だったら、お前を俺から奪おうとする奴はもういないという事だな?」
「エディの『運命の番』はまだどこかにいるかもしれないけどね……」
自嘲気味に僕が笑うとエディは機嫌を損ねたのか不機嫌な表情を見せた。
「俺の『運命』はお前だと言っている」
「どれだけそう思っていても本物の『運命』と遭遇したらその運命に抗うのは難しいよ」
「お前は心はともかく身体まで許す事はなかったんだろう? だったら『運命』には抗えるという事だ。俺は絶対にお前を裏切らない自信がある」
僕は曖昧に微笑んだ。それは会ってみなければ分からない。『運命』とはそういう物だ。
ただ、Ωの数はαに比べても遥かに少ない。一生そうやって番に遭遇しないαの数はとても多くて、彼が僕の為にこんな田舎で暮らしていってくれるのならば、エディが本物の『運命』に遭遇せずに一生を終える可能性は格段に上がる事だろう。
僕がいなければ、きっとエディはブラックさんについて行っただろうし、もしそれがなかったとしても、僕がいなければここカルネ領の領主の息子として自分に相応しいΩを探し出していただろうと思うのだ。
僕がエディの運命を狂わせている、それは偶然なのか必然なのか僕には分からない。
「俺にとってはお前が唯一の『運命の番』だ。だから、俺を拒むな、俺を受け入れて、俺の子供を産んでくれ」
「本当に、こんな僕でいいの? 僕はエディが思ってるほど綺麗な人間じゃないよ?」
「俺だってお前が思っているほど格好いい男じゃない」
「意外と割れ鍋に綴じ蓋?」
「そうかもな……」
2人は額を合わせてくすくすと笑いあう。
ずっと黙っているつもりだった事を話してしまってすっきりした。ずっと後ろめたい想いを抱いていた、それでも彼は僕を受け入れてくれた。
「僕もエディの子供欲しいよ。畑の土壌が貧相だから種付けは難しいかもしれないけど、それでも大丈夫?」
「どんな貧相な土壌だってちゃんと耕して手を入れていけば、いずれ実を付け花は咲く。俺は手間暇を惜しむつもりはない」
「エディって短気なくせに、そういう所だけは気が長いよねぇ」
「お前が言ったんだ、跡継ぎは必ず必要だとな。俺はお前以外の人間と子供を作る気はない。だったら、お前を孕ませるまで頑張るしかないだろう?」
彼のその言葉で僕は自分の顔に血が上るのが分かった。
「そう思ってたんなら、それこそもっと抱いてくれても良かったのに……そしたらもっと早くにわだかまりも解けてたかもしれないよ」
「あの家で、領主様の屋敷でそんな事できる訳ないだろう……俺にとってみればあの屋敷は自宅というより義理の親の住む家なんだよ。そんな場所で落ち着いてお前を抱くなんて事できなかった。ヒートの間は子作りっていう大義名分がある、だけどそれ以外の時なんて基本しなくてもいい事だ、お前も嫌がっている、そう思ったら抱きたいと思っても手は出せなかった……」
「エディらしくもない……ううん、そうじゃないね。僕もそういう空気を出してたんだからエディを責めるのはお門違いだ」
「ここなら、誰も来ない。どれだけ声を上げても聞こえない、お前が声を殺す必要もない」
「……え?」
エディはまた少し困ったような表情を見せた。
「お前は無意識かもしれないが、あの屋敷でやっている時はいつでも声を殺している。だから余計に俺はお前がどこを触れられれば気持ちが良いのか分からなかった。ヒートの時は俺の方も冷静ではいられない、そんな場所を探っていられる理性もない。だから、ここだったら、思う存分お前を堪能できると思ったんだよ」
「僕を閉じ込めようとしてたんじゃなかったの?」
「閉じ込めて陵辱するにはうってつけの場所だろう?」
「陵辱……」
エディの口からそんな単語が出てくるとは思わず、僕はまた顔に朱を昇らせた。
「ここでするのと、ソファーの上どっちがいい?」
「どっちって……」
「それ以外の場所は片付けてないから選択肢は少ない。埃まみれでも構わないと言うなら寝室も選択肢に入れられるがな」
「もう、そんなの選択の余地なんかないじゃん……」
せめて横になれる場所くらい確保しておいて欲しかったと思うのは贅沢な願いだろうか?
僕はソファーの上にちょこんと座り、まだ床に座ったままのエディを見やる。
「こんな狭い場所でできる?」
「さてな、やってみなけりゃ分からない」
そう言ってエディはゆっくりと、もう一度僕へと圧し掛かってきた。
※ ※ ※
「んふっ、はぁ……やぁ、そこばっかり……やめて……」
圧し掛かってきたエディの手はまず僕の服に手をかけて、あっという間に僕は上半身を剥かれてしまった。
額、頬、唇から首筋へ、彼の唇はだんだん下へと下りていく。
いつもは押し殺している声を「我慢するな」と囁かれ、一度声を上げてしまったらもう止められなくて、僕はさっきからずっと切ない喘ぎを繰り返している。
触られて、舐められて、感じる場所は幾つかあって、その場所を見付けるたびにエディはそこを何度も責め立てた。
「ここが好き?」
「うん、でも……恥ずかしい、っふ……」
首筋に息を吹きかけられるだけで、胸を触られるだけで、僕の身体は過敏に反応を返してしまう。
そう思うと確かに声を上げてしまえば自分自身のその甘い嬌声に彼も自分も興奮してしまうのだと始めて知った。
狭いソファーの上、最初は僕の上に圧し掛かっていた彼もやはりその狭さに諦めたように僕を抱え上げた。
彼の上に乗り上げるようにして僕は彼の膝の上で喘ぎ声を上げ続ける。
「アジェ、もっと声……呼んで、俺のこと」
「うぅ……エディ、はぁ、もう……」
エディは僕を撫で回すばかりで、まだ自分は服を脱ごうともしない。
焦れたように僕がその服に手をかけると「俺はまだいい」とやんわりとその手を取られて指を舐め上げられた。
「なんで僕ばっかり……」
脱がされ、責められ、喘ぎ声を漏らすのは僕ばかりで恥ずかしくて仕方がない。
「言っただろう? お前のいい所を教えて欲しいんだ。俺は後でいい」
「でも……あっ、ん……」
エディの手が僕の下着にかかり、その中にまで忍んできて僕は彼に縋りついた。
ヒートの時は何もしなくても身体中が性感帯のようになってしまって放っておいても勝手に下肢は濡れていく。
だが、通常時はそう上手くはいかなくて、興奮して前は勃ち上がっても後ろはなかなか濡れてはこない。そこは同じΩでも男女の性差で身体は違うと突き付けられているようで切なくなる。
彼の指が僕の最奥の蕾を撫で上げるが、まだ僕のそこは彼を受け入れる準備は整っていなくて、指一本入れるのがせいぜいだ。
「やっぱり狭い……ヒートの時みたいには濡れないんだな……」
呟くようなエディの声が耳を擽る。
「ふっ、ん……あの、あのね、エディ……」
「ん……?」
「指、中で動かしてみてもらえる?」
「まだ、ほとんど濡れてない、そんな事をしたら痛いかもしれないぞ?」
「でもね、グノーが言ってた。男の身体でも突かれていい場所はあるんだぞって、それはエディに探してもらえって……ひうっ!」
先ほどまで優しく入り口付近を撫でていた指が急に奥まで突き入れられた。
「やっ、エディ……やめっ……」
「お前はなんであんな男とそんな話をしているんだ?! お前達は一体いつも俺に隠れてどんな話をしてんだよっ」
「やっ、痛い……ごめん、怒らせるつもりじゃ……はうっ」
奥を突かれて悲鳴とは違う嬌声が出た。
「やっ、エディ、そこ……なんかっ……」
身体が痺れるように快感が突き抜けた。
グノーが言っていたのだ『男でも感じる場所はある』と『そこを責められたら、痛いとか感じてる暇がないくらい気持ち良くなれる』という言葉。
「ここ? ここか?」
「あんっ、ダメ、ダメ、そんなにしたら……」
何度も指でそこを責められ、頭の中は身体中を突き抜けるような快感で真っ白になった。
「あぁっ、エディ……」
縋りつくようにして僕は精を吐き出す。前は触られてもいなかった、後ろだけでいってしまった事に驚きしか出てこない。
「凄い、濡れてきた……これもう一本いけそうだな……」
突き入れられる指を増やされ、更に身を震わせる。
下肢からはぐちゃぐちゃと水音が響いて、それが自分の下肢で自分の体液が溢れ出して立てている音なのだと思ったらどうにも恥ずかしくて居ても立ってもいられない。
「待って、エディ……僕、怖い」
「何を怖がる? ここがいいんだろう?」
またしても、そこに指を突き入れられ、本数を増やされた指は更にそこを撫で回すような動きを繰り返すので、僕は堪らず悲鳴を零した。
「ひうっ……やあぁ、いいっ、いいけど……感じ過ぎて怖いよっ」
「いい事だ、ヒートの時以外でこんな風にお前を感じさせる事ができたのは初めてだ。もっと、乱れて、もっと俺を感じてくれ」
「んんっ、あぁぁ……やぁぁ」
そこからは、もう何度も何度もいかされた。
指は僕の最奥を責め続け、同時にそこまでにエディがひとつひとつ確認するように僕が感じると言った場所を同時に責め立てるので、本当にどうにかなってしまうかと思った。
「もうやだっ、エディ、僕ばっかり、嫌だよ……」
「まだだ、もう少し」
僕の下でエディ自身も硬く屹立しているのが分かるのに、彼はそれを無視するかのように僕ばかりを責め立てる。
もうどうにもいたたまれず、僕はそこに手を伸ばした。
「アジェ、俺はいいと言っているだろう?」
「嫌だよ、僕だけ気持ち良くなっても意味ないよ。エディも僕を感じてよっ、僕の中にエディをちょうだい」
「……手加減できる自信がない」
「もう今すでに手加減なんかしてないじゃん、だからお願い……」
エディに抱き付き、僕はあの日のリベンジのように彼の耳元に囁く。
「お願いだから、僕を抱いてよ……」
言い終わるかどうかという所で腰を強く抱き寄せられた。
「そんな誘い文句、どこで覚えた。あの時もそうだった、お前はそんな事今までできなかったし、しなかった」
「え……」
「そんな手管をどこで覚えた?」
エディの瞳が細められた。喜んでいる顔ではない、むしろこれは怒っている顔だ。
「手管って……僕も少し不安になってたんだよ、エディ全然僕に触ってくれないし、だからどうしたら触ってもらえるかってグノーに相談したら……」
「また、あいつかっ!」
「だって、他に相談できる人なんていないし……あんっ」
またしても僕の中に指が突き入れられた。その指はもう先ほどの場所を突いてはいなかったのだが、抵抗もなく彼の指は僕の中に飲み込まれていく。
「もういいか……だったら、ご要望通りをお前を抱くぞ。手加減はしない、お前が俺を煽ったんだからな」
そう言って彼は自分の前を寛げると、そのまま僕の腰を抱き寄せてぐいっと彼の肉棒を僕の中へと突き立てた。
「あぁっ、はぁ、あぁぁ……んんっ……」
今までヒートの時は何も考えてはいなかった、それ以外の時は痛くて怖くてどうしようもなかったのに、今日、僕のその濡れそぼった蕾は何の抵抗もなく彼を受け入れる。
いつもは慣らすようにゆっくりと入れてくれる彼なのに、その乱暴な挿入に頭の中は真っ白だ。それでも、そこは過去の挿入のように抵抗もなくて、それに自分自身言葉も出ない。
「あぁ……もう、どうしよう……これ、気持ちいい……」
「それは結構なことだ、なっ」
「あんっっ」
エディが下から突き上げると合わせるように僕の腰も勝手に揺れて、恥ずかしくて仕方がない。
「足、もっと開いて。俺に全部見せろ」
尻を掴むようにして持ち上げられては、落とされる。自分の体重で彼自身をすべて飲み込んでしまう僕のそこはうねるように彼を受け入れた。
「ちっ、やっぱり狭いな。思うようにいかない……」
「あんっ、はぁ、ぁあ、エディ……」
ソファーの上はやはりとても狭くて、エディは舌打ちを打つ。
一度彼は己を中から抜き去り、僕の向きを前からではなく後ろに変えて僕を刺し貫いた。
「おくっ、深いっ……っあ、あん……そんなに激しくしたらっ、壊れちゃうっっ」
思う存分自分のペースで動く彼に、先ほどまでの優しさはない。
肌の打ちつけられる音が、激しくなって、それに合わせるように上がる自分の甘い嬌声が恥ずかしくて、思わず声を殺そうとしたら口の中に指を突っ込まれた。
「んふぅ、んんっ」
「声は殺すな、いい声で鳴いていろ。お前のいい場所は……この辺だったか……」
再び、一番感じる場所を今度は角度を変えて責め立てられ、身も世もなく涙が零れた。
「やあっ、こんなのっ……頭、おかしくなっちゃうっっ」
今まで感じた事もないほどの快感だ、僕は怖くて仕方がなかった。
こんな気持ちよさを知ってしまったら、僕は一体どう自分が変わってしまうのか分からない。
「おかしくなればいい、お前は俺だけを見ていればいいんだ。ほら、ここ好きだろ?」
「ひぅ、あんっ、あぁ……もう、エディ……お願い、もう、そこっ、やめてぇ……あぁぁ」
何度目かも分からない絶頂に身体が震える、僕のその締め付けにエディも搾り取られるように僕の中に精を吐いた。
身体の奥に生暖かい感触、それでも彼はまだゆるりゆるりと僕の中で律動している。
「エディ……」
「まだ、だぞ」
「もう、無理ぃ……」
それでも彼の動きは止まらなくて、僕はその後、その快感の波に完全に意識と理性を飛ばしてしまった。
「ごめんね、エディ……でも、僕が黙っていればもう何が起こる事もないから、もう全て終わった事だから言わずにいようと思ってた」
「……お前の本当の『運命』はメリアにいたのか……? 今も、いるのか……?」
僕は黙って首を横にふる。
「もういない。どこにもいない。あの人は死んでしまったもの……」
「死んだ……?」
今度は首を縦にふる。
「エディと番になってなかったら僕は発狂していたかもしれない。あの人もあの人ですでに番がいたから、お互い最後まではっきりとは認識できなかった。僕は元々フェロモンが薄いし、たぶんあの人も同じだったんだ。あの人は自分の事はβだと思っていたよ、だけどね、こんなに匂いに鈍い僕が、あの人の匂いだけは間違える事もなく認識できたんだ……」
込み上げる涙、言っては駄目だと心に蓋をして押し殺してきた感情たち。
「ごめんね、エディ。僕はずっとエディを裏切っていた。でも信じて、僕達は本当に何もしていない、通わせたのは少しの心だけ。僕達はどこにも向かえなかった、あの人の先には絶望しかなかった、僕も何も変える事はできなかった……」
「そいつ……誰?」
エディの呟きには何の熱もなく、冷めた瞳は凍えるようだった。
「名前は……結局最後まで教えてもらえなかった……」
「お前が大事そうに持ってた鍵の持ち主……?」
「エディ、知ってたの……?」
エドワードは瞳を伏せる。
「俺はたぶんお前が思っているよりずっとお前ばかりを見てるんだ。こっちに帰ってきてしばらく、お前がずっと落ち込んでいたのも知っていたさ」
「知ってて、なんで黙ってたの?」
「……怖かった……お前がまた俺の傍からいなくなるんじゃないかって。問い詰めたらお前はまた俺の元から逃げ出すんじゃないかって……そんな事ばかり考えていた」
僕は「もうそんな事、しないよ」と首を振った。
「僕の隠し事はこれで全部。エディは僕を軽蔑する? ふふ……当然だよね、僕はエディを裏切ってたんだから……」
「……もう、そいつが死んでいるのは間違いないのか?」
「間違いないよ。あの人はどこにもいない」
「だったら、お前を俺から奪おうとする奴はもういないという事だな?」
「エディの『運命の番』はまだどこかにいるかもしれないけどね……」
自嘲気味に僕が笑うとエディは機嫌を損ねたのか不機嫌な表情を見せた。
「俺の『運命』はお前だと言っている」
「どれだけそう思っていても本物の『運命』と遭遇したらその運命に抗うのは難しいよ」
「お前は心はともかく身体まで許す事はなかったんだろう? だったら『運命』には抗えるという事だ。俺は絶対にお前を裏切らない自信がある」
僕は曖昧に微笑んだ。それは会ってみなければ分からない。『運命』とはそういう物だ。
ただ、Ωの数はαに比べても遥かに少ない。一生そうやって番に遭遇しないαの数はとても多くて、彼が僕の為にこんな田舎で暮らしていってくれるのならば、エディが本物の『運命』に遭遇せずに一生を終える可能性は格段に上がる事だろう。
僕がいなければ、きっとエディはブラックさんについて行っただろうし、もしそれがなかったとしても、僕がいなければここカルネ領の領主の息子として自分に相応しいΩを探し出していただろうと思うのだ。
僕がエディの運命を狂わせている、それは偶然なのか必然なのか僕には分からない。
「俺にとってはお前が唯一の『運命の番』だ。だから、俺を拒むな、俺を受け入れて、俺の子供を産んでくれ」
「本当に、こんな僕でいいの? 僕はエディが思ってるほど綺麗な人間じゃないよ?」
「俺だってお前が思っているほど格好いい男じゃない」
「意外と割れ鍋に綴じ蓋?」
「そうかもな……」
2人は額を合わせてくすくすと笑いあう。
ずっと黙っているつもりだった事を話してしまってすっきりした。ずっと後ろめたい想いを抱いていた、それでも彼は僕を受け入れてくれた。
「僕もエディの子供欲しいよ。畑の土壌が貧相だから種付けは難しいかもしれないけど、それでも大丈夫?」
「どんな貧相な土壌だってちゃんと耕して手を入れていけば、いずれ実を付け花は咲く。俺は手間暇を惜しむつもりはない」
「エディって短気なくせに、そういう所だけは気が長いよねぇ」
「お前が言ったんだ、跡継ぎは必ず必要だとな。俺はお前以外の人間と子供を作る気はない。だったら、お前を孕ませるまで頑張るしかないだろう?」
彼のその言葉で僕は自分の顔に血が上るのが分かった。
「そう思ってたんなら、それこそもっと抱いてくれても良かったのに……そしたらもっと早くにわだかまりも解けてたかもしれないよ」
「あの家で、領主様の屋敷でそんな事できる訳ないだろう……俺にとってみればあの屋敷は自宅というより義理の親の住む家なんだよ。そんな場所で落ち着いてお前を抱くなんて事できなかった。ヒートの間は子作りっていう大義名分がある、だけどそれ以外の時なんて基本しなくてもいい事だ、お前も嫌がっている、そう思ったら抱きたいと思っても手は出せなかった……」
「エディらしくもない……ううん、そうじゃないね。僕もそういう空気を出してたんだからエディを責めるのはお門違いだ」
「ここなら、誰も来ない。どれだけ声を上げても聞こえない、お前が声を殺す必要もない」
「……え?」
エディはまた少し困ったような表情を見せた。
「お前は無意識かもしれないが、あの屋敷でやっている時はいつでも声を殺している。だから余計に俺はお前がどこを触れられれば気持ちが良いのか分からなかった。ヒートの時は俺の方も冷静ではいられない、そんな場所を探っていられる理性もない。だから、ここだったら、思う存分お前を堪能できると思ったんだよ」
「僕を閉じ込めようとしてたんじゃなかったの?」
「閉じ込めて陵辱するにはうってつけの場所だろう?」
「陵辱……」
エディの口からそんな単語が出てくるとは思わず、僕はまた顔に朱を昇らせた。
「ここでするのと、ソファーの上どっちがいい?」
「どっちって……」
「それ以外の場所は片付けてないから選択肢は少ない。埃まみれでも構わないと言うなら寝室も選択肢に入れられるがな」
「もう、そんなの選択の余地なんかないじゃん……」
せめて横になれる場所くらい確保しておいて欲しかったと思うのは贅沢な願いだろうか?
僕はソファーの上にちょこんと座り、まだ床に座ったままのエディを見やる。
「こんな狭い場所でできる?」
「さてな、やってみなけりゃ分からない」
そう言ってエディはゆっくりと、もう一度僕へと圧し掛かってきた。
※ ※ ※
「んふっ、はぁ……やぁ、そこばっかり……やめて……」
圧し掛かってきたエディの手はまず僕の服に手をかけて、あっという間に僕は上半身を剥かれてしまった。
額、頬、唇から首筋へ、彼の唇はだんだん下へと下りていく。
いつもは押し殺している声を「我慢するな」と囁かれ、一度声を上げてしまったらもう止められなくて、僕はさっきからずっと切ない喘ぎを繰り返している。
触られて、舐められて、感じる場所は幾つかあって、その場所を見付けるたびにエディはそこを何度も責め立てた。
「ここが好き?」
「うん、でも……恥ずかしい、っふ……」
首筋に息を吹きかけられるだけで、胸を触られるだけで、僕の身体は過敏に反応を返してしまう。
そう思うと確かに声を上げてしまえば自分自身のその甘い嬌声に彼も自分も興奮してしまうのだと始めて知った。
狭いソファーの上、最初は僕の上に圧し掛かっていた彼もやはりその狭さに諦めたように僕を抱え上げた。
彼の上に乗り上げるようにして僕は彼の膝の上で喘ぎ声を上げ続ける。
「アジェ、もっと声……呼んで、俺のこと」
「うぅ……エディ、はぁ、もう……」
エディは僕を撫で回すばかりで、まだ自分は服を脱ごうともしない。
焦れたように僕がその服に手をかけると「俺はまだいい」とやんわりとその手を取られて指を舐め上げられた。
「なんで僕ばっかり……」
脱がされ、責められ、喘ぎ声を漏らすのは僕ばかりで恥ずかしくて仕方がない。
「言っただろう? お前のいい所を教えて欲しいんだ。俺は後でいい」
「でも……あっ、ん……」
エディの手が僕の下着にかかり、その中にまで忍んできて僕は彼に縋りついた。
ヒートの時は何もしなくても身体中が性感帯のようになってしまって放っておいても勝手に下肢は濡れていく。
だが、通常時はそう上手くはいかなくて、興奮して前は勃ち上がっても後ろはなかなか濡れてはこない。そこは同じΩでも男女の性差で身体は違うと突き付けられているようで切なくなる。
彼の指が僕の最奥の蕾を撫で上げるが、まだ僕のそこは彼を受け入れる準備は整っていなくて、指一本入れるのがせいぜいだ。
「やっぱり狭い……ヒートの時みたいには濡れないんだな……」
呟くようなエディの声が耳を擽る。
「ふっ、ん……あの、あのね、エディ……」
「ん……?」
「指、中で動かしてみてもらえる?」
「まだ、ほとんど濡れてない、そんな事をしたら痛いかもしれないぞ?」
「でもね、グノーが言ってた。男の身体でも突かれていい場所はあるんだぞって、それはエディに探してもらえって……ひうっ!」
先ほどまで優しく入り口付近を撫でていた指が急に奥まで突き入れられた。
「やっ、エディ……やめっ……」
「お前はなんであんな男とそんな話をしているんだ?! お前達は一体いつも俺に隠れてどんな話をしてんだよっ」
「やっ、痛い……ごめん、怒らせるつもりじゃ……はうっ」
奥を突かれて悲鳴とは違う嬌声が出た。
「やっ、エディ、そこ……なんかっ……」
身体が痺れるように快感が突き抜けた。
グノーが言っていたのだ『男でも感じる場所はある』と『そこを責められたら、痛いとか感じてる暇がないくらい気持ち良くなれる』という言葉。
「ここ? ここか?」
「あんっ、ダメ、ダメ、そんなにしたら……」
何度も指でそこを責められ、頭の中は身体中を突き抜けるような快感で真っ白になった。
「あぁっ、エディ……」
縋りつくようにして僕は精を吐き出す。前は触られてもいなかった、後ろだけでいってしまった事に驚きしか出てこない。
「凄い、濡れてきた……これもう一本いけそうだな……」
突き入れられる指を増やされ、更に身を震わせる。
下肢からはぐちゃぐちゃと水音が響いて、それが自分の下肢で自分の体液が溢れ出して立てている音なのだと思ったらどうにも恥ずかしくて居ても立ってもいられない。
「待って、エディ……僕、怖い」
「何を怖がる? ここがいいんだろう?」
またしても、そこに指を突き入れられ、本数を増やされた指は更にそこを撫で回すような動きを繰り返すので、僕は堪らず悲鳴を零した。
「ひうっ……やあぁ、いいっ、いいけど……感じ過ぎて怖いよっ」
「いい事だ、ヒートの時以外でこんな風にお前を感じさせる事ができたのは初めてだ。もっと、乱れて、もっと俺を感じてくれ」
「んんっ、あぁぁ……やぁぁ」
そこからは、もう何度も何度もいかされた。
指は僕の最奥を責め続け、同時にそこまでにエディがひとつひとつ確認するように僕が感じると言った場所を同時に責め立てるので、本当にどうにかなってしまうかと思った。
「もうやだっ、エディ、僕ばっかり、嫌だよ……」
「まだだ、もう少し」
僕の下でエディ自身も硬く屹立しているのが分かるのに、彼はそれを無視するかのように僕ばかりを責め立てる。
もうどうにもいたたまれず、僕はそこに手を伸ばした。
「アジェ、俺はいいと言っているだろう?」
「嫌だよ、僕だけ気持ち良くなっても意味ないよ。エディも僕を感じてよっ、僕の中にエディをちょうだい」
「……手加減できる自信がない」
「もう今すでに手加減なんかしてないじゃん、だからお願い……」
エディに抱き付き、僕はあの日のリベンジのように彼の耳元に囁く。
「お願いだから、僕を抱いてよ……」
言い終わるかどうかという所で腰を強く抱き寄せられた。
「そんな誘い文句、どこで覚えた。あの時もそうだった、お前はそんな事今までできなかったし、しなかった」
「え……」
「そんな手管をどこで覚えた?」
エディの瞳が細められた。喜んでいる顔ではない、むしろこれは怒っている顔だ。
「手管って……僕も少し不安になってたんだよ、エディ全然僕に触ってくれないし、だからどうしたら触ってもらえるかってグノーに相談したら……」
「また、あいつかっ!」
「だって、他に相談できる人なんていないし……あんっ」
またしても僕の中に指が突き入れられた。その指はもう先ほどの場所を突いてはいなかったのだが、抵抗もなく彼の指は僕の中に飲み込まれていく。
「もういいか……だったら、ご要望通りをお前を抱くぞ。手加減はしない、お前が俺を煽ったんだからな」
そう言って彼は自分の前を寛げると、そのまま僕の腰を抱き寄せてぐいっと彼の肉棒を僕の中へと突き立てた。
「あぁっ、はぁ、あぁぁ……んんっ……」
今までヒートの時は何も考えてはいなかった、それ以外の時は痛くて怖くてどうしようもなかったのに、今日、僕のその濡れそぼった蕾は何の抵抗もなく彼を受け入れる。
いつもは慣らすようにゆっくりと入れてくれる彼なのに、その乱暴な挿入に頭の中は真っ白だ。それでも、そこは過去の挿入のように抵抗もなくて、それに自分自身言葉も出ない。
「あぁ……もう、どうしよう……これ、気持ちいい……」
「それは結構なことだ、なっ」
「あんっっ」
エディが下から突き上げると合わせるように僕の腰も勝手に揺れて、恥ずかしくて仕方がない。
「足、もっと開いて。俺に全部見せろ」
尻を掴むようにして持ち上げられては、落とされる。自分の体重で彼自身をすべて飲み込んでしまう僕のそこはうねるように彼を受け入れた。
「ちっ、やっぱり狭いな。思うようにいかない……」
「あんっ、はぁ、ぁあ、エディ……」
ソファーの上はやはりとても狭くて、エディは舌打ちを打つ。
一度彼は己を中から抜き去り、僕の向きを前からではなく後ろに変えて僕を刺し貫いた。
「おくっ、深いっ……っあ、あん……そんなに激しくしたらっ、壊れちゃうっっ」
思う存分自分のペースで動く彼に、先ほどまでの優しさはない。
肌の打ちつけられる音が、激しくなって、それに合わせるように上がる自分の甘い嬌声が恥ずかしくて、思わず声を殺そうとしたら口の中に指を突っ込まれた。
「んふぅ、んんっ」
「声は殺すな、いい声で鳴いていろ。お前のいい場所は……この辺だったか……」
再び、一番感じる場所を今度は角度を変えて責め立てられ、身も世もなく涙が零れた。
「やあっ、こんなのっ……頭、おかしくなっちゃうっっ」
今まで感じた事もないほどの快感だ、僕は怖くて仕方がなかった。
こんな気持ちよさを知ってしまったら、僕は一体どう自分が変わってしまうのか分からない。
「おかしくなればいい、お前は俺だけを見ていればいいんだ。ほら、ここ好きだろ?」
「ひぅ、あんっ、あぁ……もう、エディ……お願い、もう、そこっ、やめてぇ……あぁぁ」
何度目かも分からない絶頂に身体が震える、僕のその締め付けにエディも搾り取られるように僕の中に精を吐いた。
身体の奥に生暖かい感触、それでも彼はまだゆるりゆるりと僕の中で律動している。
「エディ……」
「まだ、だぞ」
「もう、無理ぃ……」
それでも彼の動きは止まらなくて、僕はその後、その快感の波に完全に意識と理性を飛ばしてしまった。
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政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
僕がそばにいる理由
腐男子ミルク
BL
佐藤裕貴はΩとして生まれた21歳の男性。αの夫と結婚し、表向きは穏やかな夫婦生活を送っているが、その実態は不完全なものだった。夫は裕貴を愛していると口にしながらも、家事や家庭の負担はすべて裕貴に押し付け、自分は何もしない。それでいて、裕貴が他の誰かと関わることには異常なほど敏感で束縛が激しい。性的な関係もないまま、裕貴は愛情とは何か、本当に満たされるとはどういうことかを見失いつつあった。
そんな中、裕貴の職場に新人看護師・宮野歩夢が配属される。歩夢は裕貴がΩであることを本能的に察しながらも、その事実を意に介さず、ただ一人の人間として接してくれるαだった。歩夢の純粋な優しさと、裕貴をありのまま受け入れる態度に触れた裕貴は、心の奥底にしまい込んでいた孤独と向き合わざるを得なくなる。歩夢と過ごす時間を重ねるうちに、彼の存在が裕貴にとって特別なものとなっていくのを感じていた。
しかし、裕貴は既婚者であり、夫との関係や社会的な立場に縛られている。愛情、義務、そしてΩとしての本能――複雑に絡み合う感情の中で、裕貴は自分にとって「真実の幸せ」とは何なのか、そしてその幸せを追い求める覚悟があるのかを問い始める。
束縛の中で見失っていた自分を取り戻し、裕貴が選び取る未来とは――。
愛と本能、自由と束縛が交錯するオメガバースの物語。
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
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