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運命に花束を②
運命の武闘会その後②
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翌日、朝一から「第二騎士団に配属されました」と三回戦の一試合目で戦ったコリー・カーティスが挨拶に来た。
「老い先短い老兵ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
コリーに頭を下げられ、ナダールも慌てたように「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と頭を下げる。
「コリーさんは今まで所属はどちらだったのですか?」
「第一騎士団十七班、班長です」
「え? 班長ですか? てっきり分団長くらいだと思っていたのですけど……」
「私、あまり友人が多くはないので、二回戦勝ち上がれた事がないのですよ。なので今回の出来事は本当に幸運で、妻など小躍りして喜んでいましたよ。娘にはただのまぐれだと馬鹿にされましたけどね」
「そんな事ないでしょう? あなたはとても腕の立つ騎士じゃないですか」
実際コリーは二試合目に戦った元第二騎士団副団長と比べても格段に強かった。
「お褒めにあずかり光栄です。ですが、実際私は班長以上の階級になった事は一度もないので不安はあります」
不安と言いながらそんな様子は微塵も見せずに彼は相変わらず淡々としている。
「それで言ったら私なんて班長すらやっていない上に、ここイリヤに越してきて僅か数ヶ月ですよ。本当に何も分からないので、どうぞご指導ご鞭撻お願いいたします」
にっこり笑ってそう言ったナダールに、コリーは少しだけ不思議そうな表情を見せた。
「あなたは不思議な人ですね」
「何がですか?」
「あなたはマイラー家の後ろ盾があってここに座っているのかと思っていたのですが、違うのですか?」
「マイラー家って……あぁ、クロードさんですか? 別に後ろ盾になって貰ったりはしていませんよ。元々クロードさんは顔を出して試合をする予定もありませんでしたし、あれは少々困りましたね」
「クレール・ロイヤー……ですね」
「えぇ、まさかあんな疑いをかけられるとは思ってもいませんでしたから、本当に困りました」
「自分がやっている事は相手もやっていると思う頭の悪い男ですから」
「お知り合いですか?」
「いいえ、赤の他人です。できれば関わり合いになりたくない類の人間なので、思う所があっただけです」
コリーはそう言って「ふむ」とひとつ頷いた。そして、続けてもうひとつ質問を投げかけてくる。
「あともうひとつお聞きしたかったのですが、あなたは何故、王直属の部隊の者達と知り合いなのですか?」
ナダールはコリーの質問の意図が分からず首を傾げる。
「何故と言われましても、以前彼等の家の近所に住んでいたからとしか言いようが……」
「近所に住んでいた?」
「えぇ、家族ぐるみのお付き合いをさせていただいています」
「ただのご近所付き合いの延長線上で彼等は今回参加されていたのですか?」
「そうですよ。私、イリヤにはまだ友人がほとんどいないので、数が足りないだろうとわざわざ国王陛下の許可を取って参戦してくれたのです。本当に助かりました」
そう言ってナダールが笑みを見せるとコリーも微かに笑みを零した。
「あなたは本当に不思議な人だ。実に興味深い」
「そうですか? 私は至って普通の男ですよ」
「ご謙遜を。普通の男がたかだか一回の試合で平の兵卒から騎士団長になどなれるものではないですよ」
「それこそ運が良かっただけです。手助けしてくれた方々もたくさんいましたからね」
誰か一人でも欠けていたら今の自分はなかったですよと笑うナダールに、コリーはまたひとつ頷いた。
「私はこの歳になって実にいい上司に恵まれたようですね。先はそう長くない年寄りですが、私で力になれる事でしたら精一杯努めさせていただきます」
コリーはそう言って「来週からよろしくお願いします」ともう一度頭を下げて去って行った。
その日はその後も続々と人は訪れ、各々皆緊張した面持ちでナダールのもとへと挨拶にやって来た。
その一人一人に丁寧に頭を下げて、ナダールは顔と名前を覚えていく。
「ナダールさん、来ましたよっ!」
「あぁ、キース君いらっしゃい」
「ちょっとキース、ナダールさんはもう騎士団長なんだから、そんな馴れ馴れしくしたら駄目だよっ!」
キースの後から慌てて部屋に入ってきたハリーが嗜めるように言ったが「別に構いませんよ」とナダールは笑う。
「私とキース君は同期入隊の同志ですからね」
「やっぱりナダールさんは話が分かるや!」
「それでも年上なんだし、少しはね……」
慌てるハリーに自分が重なりナダールは苦笑する。
たぶん自分とグノーとのやりとりも傍から見たらこんな感じなのだろうなと思ってしまったのだ。
「ハリー君も来てくれたんですね」
「はい、僕でお役に立てるかは分かりませんが、精一杯頑張ります」
ぺこりと頭を下げるハリーに「こちらこそよろしく」とナダールも頭を下げる。
「ねぇねぇ、ところで黒の騎士団の人達は来てないの? あの黒髪絶対目立つのに、見付けられないんだよね。あの人達っていつも何処にいるんですか?」
「何処と言われても、彼等も各地を飛び回っていて、いつもイリヤにいる訳ではありませんからね。でもそうですねぇ、今だったら城内にいるんじゃないですかね?」
「城内? あぁ、そうか。ボスは王様だっけ」
「それもありますけど、一週間で騎士団員の配置、すべて終わらせないといけないんでしょう? 忙しいんじゃないですかね?」
「黒の騎士団ってそんな仕事もしてるんだ?」
驚いたように言うキースに「そうみたいですよ」とナダールは頷いた。
「彼等とは今後一緒に行動する事もあるようなので、折に触れ会えると思いますよ」
「本当?! やったあ!」
「キース君は本当に彼等の事が好きなんですねぇ」
「だって格好良いじゃないですか! あんな身のこなし、オレだって出来るようになりたい! 聞いたら教えてくれるかな?」
「教えてはくれるかもしれませんが、できるかどうかは別問題ですよ」
彼等の身軽さは生まれた土地の立地による所が大きい。
子供の頃から鍛えられている足腰の強さがあってこそのあの身のこなしだ、簡単にやってみろと言われて出来るものではないだろう。
「やってみなけりゃ分からないでしょう。オレ、黒の騎士団に入るの、まだ諦めてないから!」
「そうでしたか、それでは是非頑張ってみてください。応援しますよ」
うん! とキースは大きく頷いた。
キースとハリーが出て行った後、ナダールはひとつ息を吐く。今日はたくさんの人と挨拶をして少し疲れてしまった。
まだ全員ではないのだろうが、今日会った感じだと自分の騎士団はどうやら若者が多そうだと感じていた。
キースやハリーを含め兵卒は十代が多く、班長や分団長も20代半ばから後半と言った所だ。副団長ですらコリーを除き、残りの二人は自分とさして歳も変わらない。
全体的に若者の多いファルス騎士団だが、それでも少し若過ぎるくらいだとナダールは思っていた。
「私の歳に合わせてくれたんですかねぇ」
ナダールは今年で三十になる。恐らく五人の騎士団長の中で一番若い。クロードは自分より年下なので更に若い騎士団長だった訳だが、クロードの配下はどうだったのだろうか? と首を捻る。
その時またこんこんと部屋の扉は叩かれて「どうぞ」と声をかけるとルークとサクヤがひょっこりと顔を出した。
「あれ、二人揃ってとは珍しいですね」
「こっちの仕事はほぼ終わったので、一応挨拶にと思って。旦那も晴れて騎士団長ですからね」
「そうでしたか。そういえばキース君があなた方に会いたがっていましたよ」
「え? なんで?」
「自分はまだ黒の騎士団に入る事を諦めていないって言っていましたよ。いっそ入れてあげたら如何ですか?」
「オレ達の一存じゃ決められないよ、仮にも王直属だからね」
ルークの言葉に小首を傾げる。
「私の時は別に誰の許可も取っていなかったと思うのですけど?」
「ナダールさんはグノーさんともボスの息子さんとも知り合いだったから、ボスは無条件で許可下ろしてましたよ。知りませんでしたか?」
「初耳ですね」
一応そんな話し合いはされていたのか……とナダールは苦笑する。
「それより旦那、騎士団長の椅子の座り心地はどうですか?」
「まだ、しっくりはきませんね。実感も湧きませんし」
ナダールは「まだ当分慣れそうにないです」と笑う。
「俺とルークの二人はボスとナダールさんの連絡係という事になったので、これからはちょくちょく顔を出す事になると思いますので、よろしくお願いします」
「あぁ、そうなのですね、それはよろしくお願いします。やはり、この騎士団は若者揃いなんですねぇ」
「確かに全体的に若いかもですね。でもそれは希望者を振り分けていったらそうなっただけで他意はないですよ」
「旦那は少年兵の人気ピカ一だったから。まぁ、これだけ一気に駆け上がれば憧れられても不思議じゃない」
サクヤの説明とルークの言葉に些か驚く。
「憧れですか? それは何とも照れくさいと言うか、むず痒いですねぇ。それにしても、意外と希望を出す人っていうのは多いものなのですね、驚きです」
「全員が全員希望通りって訳にはいかないけど、そこに適性があるって判断されれば希望は通りますよ。特に今回、第2騎士団は旦那完全に無所属からの騎士団就任なんで、なんのしがらみもない。希望した人はほぼ百%通しましたよ。それでもやっぱり他の騎士団に比べて人数は少ないですけどね」
「少ないですか」
「少ないです。だけど、公にされない部分、オレ達がここに入れば数はよそと同じくらいです」
「あぁ、なるほど」
数が少ないのが嫌という訳ではないが、こうなってくると人数は人気のバロメーターのように思われて、少し不安になりかけていたのでほっとした。
自分は新参者なので、人が集まらないのは仕方がないのだが、それでもよそと同じだけの人数が集まっているようで安心した。
「それでは、また」と二人が帰る頃にはすっかり陽も傾き、そろそろ自分も帰ろうかと松葉杖を手元へと寄せ、よいしょと立ち上がって、この足もさっさと治さないと、と苦笑する。慣れない杖でよいしょ、よいしょと歩いていると「大変そうだな」と声をかけられた。
「あぁ、アインさん。その節はお世話になりました」
そこには第三騎士団長のアインが複雑そうな表情で立っており、ナダールは笑顔でそれに答える。
「少し大変ですけど大丈夫ですよ。元々頑丈なので、きっとすぐに治ります」
「ならいいが……それにしても、お前の嫁、アレは一体何者だ?」
「グノーの事ですか? そういえば昨日手合わせしていただいたようで、ありがとうございます。とても喜んでいましたよ」
「それはもういい、だが、あいつの強さは何なんだ? この俺が軽く負かされたぞ、意味が分からん」
「あの人私より全然強いですからね。それでも足を怪我してからは少し大人しくなっていたのですけど、この武闘会に合わせて義足を新調してからは絶好調ですよ」
アインは「義足!?」と驚いたような表情を見せる。
「えぇ、右足の膝から下を失って、今は義足生活です」
「信じられん。アレはそんな奴のする動きじゃないだろ」
「ふふふ、グノーは技術者としての腕も一流ですからね」
「技術者?」
「義足を自分に合わせて自分で作っているのです。色々私の知らない仕掛けも仕込んでいるみたいですよ」
「本当に訳の分からない奴だな。女みたいな形をして腕は立つわ、技術はあるわで、あいつが人に媚びない理由が分かったわ。媚なんか売らなくてもあいつはあのままで生きていけるからな」
「ふふ、そうですね」
「あんなの一体何処で見付けて捕まえたんだ? あいつ、こんな所で収まっていられる器じゃないだろう? ましてやお前の嫁なんて、よく文句言わないな」
「ふふふ、グノーが認められるのはとても嬉しいですね。文句ならたびたび言われましたよ、悪態と罵詈雑言を乗り越えた先の現在です。最近は私の妻と呼ばれる事にもすっかり慣れてくれました」
「そうなるまでに何があったのか、滅茶苦茶気になるわ」
アインの言葉にナダールは「ナイショです」と嬉しそうに笑った。
「そういえば刀鍛冶の職人さんをご紹介いただいたようで、ありがとうございます」
「あぁ、俺も世話になっている職人で腕はいい。少し頑固な所もあるが、あの親父に任せておけば良い剣ができるはずだ」
「グノーが自分も作って欲しいのに駄目だと言われて拗ねていましたよ。今度取りに行く時に私も一緒に行って頼んでみようと思っています」
「あぁ、それならもう大丈夫だろう」
アインが何という事もないという顔でそう言うので、ナダールは首を傾げた。
「え? なんでですか?」
「俺も昨日仕事の後に親父の所に行ってな、あいつに負かされたって話をしたんだよ。それで、そんなに強いのか? って言うから、クロードより強いかもなって言ったんだ。そしたら、なんでそれを早く言わないって、親父ぶつぶつ言ってたからさ」
「女に剣は作らないって言われたそうですけど、強ければそこは曲げても大丈夫なんですかね?」
「そもそもあいつは女じゃないだろ?」
「それはそうなのですが……」とナダールは言葉を濁す。
女が駄目なら男だと言ってしまえばいいのに、とナダールはグノーに聞いた時にも思ったのだ。だが、最近彼は自分から自分の性別を主張する事がなくなった。あえてそれをしないという事は何か彼自身思う所があるのだろうとナダールは何も言わずにいる。
けれど、彼の欲しい物がそれで手に入らないという事は由々しき事態で、何を躊躇っているのか分からないが、そこまで鍛冶屋の親父が性別に固執するのであれば自分の方から彼の性別を告げてしまうのも有かなとナダールは思っていたのだ。
けれど強ければ女でもいいと言うのなら、グノーが何も言わない事をあえて自分から暴露する必要もない。
「親父は強い奴が好きだからな。自分の作る物は使ってなんぼ、へなちょこに使わせるのも、ただ美術品のように飾られるのも真っ平御免だ! と常々言っている」
「そうでしたか、それならきっと親父さんもグノーに剣を作ってくれますね」
これは良かったとナダールは笑みを見せる。
「それにしてもファルスは女性にはずいぶん厳しい国なのですね。どこもこんな感じなのですか?」
「別に厳しかないだろう? 女が女の仕事をしていれば何の問題もない」
「それが厳しいというのですよ、それでは女性の方には選択の余地がないじゃないですか。女性の騎士や職人さんはさぞかし肩身が狭いでしょうね」
「ランティスは違うのか?」
「普通に騎士も職人も男性に混じってたくさん働いていますよ。女性だからと言ってここまで差別を受けている所は見た事ないです。腕のいい人間に男も女も関係ないですからね」
「ふぅ……む、それは考えた事もなかったな。女はそれを差別と捉えるのか? 俺はただ単に役割の上での区別だと思っていたのだがな」
「できる能力があるのに女性だから駄目だと言われたら、それは差別だと私は思いますよ」
アインは目から鱗が落ちるような気持ちだった。
実を言えば第三騎士団には女騎士はいないのだ。女騎士は女騎士が集まっている班のある第1騎士団か、『何者にも囚われない』が団の規律である第4騎士団に数名いるのみで、第三騎士団には女騎士は寄り付かない。
希望があったとしても今まで受け付けてこなかったし、女騎士が受け入れられる土壌もなかったのだ。
「女は男にとって守るべき対象であって、肩を並べる相手ではないと思っていたのだがな」
「守るべき時は守ればいい。私だって大事な人は守りたいですよ、ですけど、守らなくてもいい時まで頭ごなしに弱いと決め付け過剰に囲っていたら相手に対して失礼じゃないですか? 守っていると言えば聞こえはいいですけど、それは見下しているのと同じです」
アインはぐっと言葉に詰まる。
「黒の騎士団にだって女性はいますし、男性では目に付き難い着眼点だって持っています。女性だから、男性だからとそういうのを括りにするのは止めた方がいいと思います」
「俺はそんなつもりは無かったんだがなぁ……」
アインは困ったなという顔で頭を掻いた。
「私も少し言葉が過ぎたかもしれません、ただあんまり女だから女だからと言う方が多いものですから、つい……」
ふぅむ、とアインは手を顎にかけて考え込む。
「もし、お前の所に女の入団希望者がきたら、お前は入れるのか?」
「別に来る者は拒みませんよ」
「男ばかりの騎士団で女一人でもか?」
「それは難しい質問ですけど、その女性がいいと言うのなら、私はその事を説明した上で受け入れると思いますよ」
「他の男共が反発してもか?」
「それこそ、そこが守る所じゃないかと思うのですけど、違いますか? そんな場所に入ってこようと言うのですから、その方にもある程度の覚悟はあるはずです。どこまで出来るか見守って、どうにもならなさそうな時だけ手助けをしてあげれば、それでいいと思います。それでその女性がやはり無理だと言うのでしたら、そこで改めて『では、うちでは無理です』とお断りをする方向で私なら話をすると思いますよ」
むむ……とアインは眉間に皺を寄せる。
「一度は受け入れて断るのか?」
「あくまで本人が無理だと言うのならですよ。その女性がそれでも大丈夫だと言うのならば、そのままそこにいて貰えばいい話ですよね?」
「まぁ、確かにな」
「男性と女性では体の作りも体力にも差はありますので、第三騎士団のように武力重視の騎士団ではキツイ部分もあるでしょうけど、最初からお前には無理だと頭ごなしに否定するのはどうかと思います」
「そうか……」
「誰か第三騎士団に希望している女性の方がいらっしゃるのですか?」
「あぁ、一人な。前回も前々回も断っているのに、また希望を出してきた。もしかしたら自分が騎士団長になる前からの可能性もあるから、いつからここを希望しているのかすら分からん」
第三騎士団はアインが騎士団長になる前の団長も武力重視だった。アインはそれをそっくり引き継ぐ形で第三騎士団長に就任しているので、それ以前から希望を出し続けている可能性も否定できない。
「試しに受け入れてみたら如何ですか?」
「……俺は女の扱いは苦手なんだ。あんたの嫁みたいな男勝りなタイプならなんとかいけるが、いかにも『女』という感じのが来たらと思うとなぁ……」
「もういっそ男性だと思って接したら如何です? 第三騎士団に希望を出すくらいの方です、きっとその方もその位の覚悟はあると思いますよ」
「そんなんで受け入れてもいいものか、俺には分からん」
「なら一度その方に会ってみたら如何ですか? 会って大丈夫そうなら受け入れる方向で考えてみればいいんじゃないかと思いますけど?」
「うぅ……ん」
アインは心底困ったような様子で腕を組んで考え込んでしまう。その時……
「第二騎士団長はいい事を言うのだな」
何処からか声をかけられ、二人は辺りを見回すが、二人が立ち話をしていた廊下には誰もいない。
「あれ? 今、声が聞こえませんでしたか?」
「あぁ、俺もそう思ったが……」
「下だ、気付け、このうどの大木共」
え? と二人が声を頼りに目線を下げると、ナダールの後ろ、そこには一人の少女が二人を見上げていた。
「老い先短い老兵ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
コリーに頭を下げられ、ナダールも慌てたように「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と頭を下げる。
「コリーさんは今まで所属はどちらだったのですか?」
「第一騎士団十七班、班長です」
「え? 班長ですか? てっきり分団長くらいだと思っていたのですけど……」
「私、あまり友人が多くはないので、二回戦勝ち上がれた事がないのですよ。なので今回の出来事は本当に幸運で、妻など小躍りして喜んでいましたよ。娘にはただのまぐれだと馬鹿にされましたけどね」
「そんな事ないでしょう? あなたはとても腕の立つ騎士じゃないですか」
実際コリーは二試合目に戦った元第二騎士団副団長と比べても格段に強かった。
「お褒めにあずかり光栄です。ですが、実際私は班長以上の階級になった事は一度もないので不安はあります」
不安と言いながらそんな様子は微塵も見せずに彼は相変わらず淡々としている。
「それで言ったら私なんて班長すらやっていない上に、ここイリヤに越してきて僅か数ヶ月ですよ。本当に何も分からないので、どうぞご指導ご鞭撻お願いいたします」
にっこり笑ってそう言ったナダールに、コリーは少しだけ不思議そうな表情を見せた。
「あなたは不思議な人ですね」
「何がですか?」
「あなたはマイラー家の後ろ盾があってここに座っているのかと思っていたのですが、違うのですか?」
「マイラー家って……あぁ、クロードさんですか? 別に後ろ盾になって貰ったりはしていませんよ。元々クロードさんは顔を出して試合をする予定もありませんでしたし、あれは少々困りましたね」
「クレール・ロイヤー……ですね」
「えぇ、まさかあんな疑いをかけられるとは思ってもいませんでしたから、本当に困りました」
「自分がやっている事は相手もやっていると思う頭の悪い男ですから」
「お知り合いですか?」
「いいえ、赤の他人です。できれば関わり合いになりたくない類の人間なので、思う所があっただけです」
コリーはそう言って「ふむ」とひとつ頷いた。そして、続けてもうひとつ質問を投げかけてくる。
「あともうひとつお聞きしたかったのですが、あなたは何故、王直属の部隊の者達と知り合いなのですか?」
ナダールはコリーの質問の意図が分からず首を傾げる。
「何故と言われましても、以前彼等の家の近所に住んでいたからとしか言いようが……」
「近所に住んでいた?」
「えぇ、家族ぐるみのお付き合いをさせていただいています」
「ただのご近所付き合いの延長線上で彼等は今回参加されていたのですか?」
「そうですよ。私、イリヤにはまだ友人がほとんどいないので、数が足りないだろうとわざわざ国王陛下の許可を取って参戦してくれたのです。本当に助かりました」
そう言ってナダールが笑みを見せるとコリーも微かに笑みを零した。
「あなたは本当に不思議な人だ。実に興味深い」
「そうですか? 私は至って普通の男ですよ」
「ご謙遜を。普通の男がたかだか一回の試合で平の兵卒から騎士団長になどなれるものではないですよ」
「それこそ運が良かっただけです。手助けしてくれた方々もたくさんいましたからね」
誰か一人でも欠けていたら今の自分はなかったですよと笑うナダールに、コリーはまたひとつ頷いた。
「私はこの歳になって実にいい上司に恵まれたようですね。先はそう長くない年寄りですが、私で力になれる事でしたら精一杯努めさせていただきます」
コリーはそう言って「来週からよろしくお願いします」ともう一度頭を下げて去って行った。
その日はその後も続々と人は訪れ、各々皆緊張した面持ちでナダールのもとへと挨拶にやって来た。
その一人一人に丁寧に頭を下げて、ナダールは顔と名前を覚えていく。
「ナダールさん、来ましたよっ!」
「あぁ、キース君いらっしゃい」
「ちょっとキース、ナダールさんはもう騎士団長なんだから、そんな馴れ馴れしくしたら駄目だよっ!」
キースの後から慌てて部屋に入ってきたハリーが嗜めるように言ったが「別に構いませんよ」とナダールは笑う。
「私とキース君は同期入隊の同志ですからね」
「やっぱりナダールさんは話が分かるや!」
「それでも年上なんだし、少しはね……」
慌てるハリーに自分が重なりナダールは苦笑する。
たぶん自分とグノーとのやりとりも傍から見たらこんな感じなのだろうなと思ってしまったのだ。
「ハリー君も来てくれたんですね」
「はい、僕でお役に立てるかは分かりませんが、精一杯頑張ります」
ぺこりと頭を下げるハリーに「こちらこそよろしく」とナダールも頭を下げる。
「ねぇねぇ、ところで黒の騎士団の人達は来てないの? あの黒髪絶対目立つのに、見付けられないんだよね。あの人達っていつも何処にいるんですか?」
「何処と言われても、彼等も各地を飛び回っていて、いつもイリヤにいる訳ではありませんからね。でもそうですねぇ、今だったら城内にいるんじゃないですかね?」
「城内? あぁ、そうか。ボスは王様だっけ」
「それもありますけど、一週間で騎士団員の配置、すべて終わらせないといけないんでしょう? 忙しいんじゃないですかね?」
「黒の騎士団ってそんな仕事もしてるんだ?」
驚いたように言うキースに「そうみたいですよ」とナダールは頷いた。
「彼等とは今後一緒に行動する事もあるようなので、折に触れ会えると思いますよ」
「本当?! やったあ!」
「キース君は本当に彼等の事が好きなんですねぇ」
「だって格好良いじゃないですか! あんな身のこなし、オレだって出来るようになりたい! 聞いたら教えてくれるかな?」
「教えてはくれるかもしれませんが、できるかどうかは別問題ですよ」
彼等の身軽さは生まれた土地の立地による所が大きい。
子供の頃から鍛えられている足腰の強さがあってこそのあの身のこなしだ、簡単にやってみろと言われて出来るものではないだろう。
「やってみなけりゃ分からないでしょう。オレ、黒の騎士団に入るの、まだ諦めてないから!」
「そうでしたか、それでは是非頑張ってみてください。応援しますよ」
うん! とキースは大きく頷いた。
キースとハリーが出て行った後、ナダールはひとつ息を吐く。今日はたくさんの人と挨拶をして少し疲れてしまった。
まだ全員ではないのだろうが、今日会った感じだと自分の騎士団はどうやら若者が多そうだと感じていた。
キースやハリーを含め兵卒は十代が多く、班長や分団長も20代半ばから後半と言った所だ。副団長ですらコリーを除き、残りの二人は自分とさして歳も変わらない。
全体的に若者の多いファルス騎士団だが、それでも少し若過ぎるくらいだとナダールは思っていた。
「私の歳に合わせてくれたんですかねぇ」
ナダールは今年で三十になる。恐らく五人の騎士団長の中で一番若い。クロードは自分より年下なので更に若い騎士団長だった訳だが、クロードの配下はどうだったのだろうか? と首を捻る。
その時またこんこんと部屋の扉は叩かれて「どうぞ」と声をかけるとルークとサクヤがひょっこりと顔を出した。
「あれ、二人揃ってとは珍しいですね」
「こっちの仕事はほぼ終わったので、一応挨拶にと思って。旦那も晴れて騎士団長ですからね」
「そうでしたか。そういえばキース君があなた方に会いたがっていましたよ」
「え? なんで?」
「自分はまだ黒の騎士団に入る事を諦めていないって言っていましたよ。いっそ入れてあげたら如何ですか?」
「オレ達の一存じゃ決められないよ、仮にも王直属だからね」
ルークの言葉に小首を傾げる。
「私の時は別に誰の許可も取っていなかったと思うのですけど?」
「ナダールさんはグノーさんともボスの息子さんとも知り合いだったから、ボスは無条件で許可下ろしてましたよ。知りませんでしたか?」
「初耳ですね」
一応そんな話し合いはされていたのか……とナダールは苦笑する。
「それより旦那、騎士団長の椅子の座り心地はどうですか?」
「まだ、しっくりはきませんね。実感も湧きませんし」
ナダールは「まだ当分慣れそうにないです」と笑う。
「俺とルークの二人はボスとナダールさんの連絡係という事になったので、これからはちょくちょく顔を出す事になると思いますので、よろしくお願いします」
「あぁ、そうなのですね、それはよろしくお願いします。やはり、この騎士団は若者揃いなんですねぇ」
「確かに全体的に若いかもですね。でもそれは希望者を振り分けていったらそうなっただけで他意はないですよ」
「旦那は少年兵の人気ピカ一だったから。まぁ、これだけ一気に駆け上がれば憧れられても不思議じゃない」
サクヤの説明とルークの言葉に些か驚く。
「憧れですか? それは何とも照れくさいと言うか、むず痒いですねぇ。それにしても、意外と希望を出す人っていうのは多いものなのですね、驚きです」
「全員が全員希望通りって訳にはいかないけど、そこに適性があるって判断されれば希望は通りますよ。特に今回、第2騎士団は旦那完全に無所属からの騎士団就任なんで、なんのしがらみもない。希望した人はほぼ百%通しましたよ。それでもやっぱり他の騎士団に比べて人数は少ないですけどね」
「少ないですか」
「少ないです。だけど、公にされない部分、オレ達がここに入れば数はよそと同じくらいです」
「あぁ、なるほど」
数が少ないのが嫌という訳ではないが、こうなってくると人数は人気のバロメーターのように思われて、少し不安になりかけていたのでほっとした。
自分は新参者なので、人が集まらないのは仕方がないのだが、それでもよそと同じだけの人数が集まっているようで安心した。
「それでは、また」と二人が帰る頃にはすっかり陽も傾き、そろそろ自分も帰ろうかと松葉杖を手元へと寄せ、よいしょと立ち上がって、この足もさっさと治さないと、と苦笑する。慣れない杖でよいしょ、よいしょと歩いていると「大変そうだな」と声をかけられた。
「あぁ、アインさん。その節はお世話になりました」
そこには第三騎士団長のアインが複雑そうな表情で立っており、ナダールは笑顔でそれに答える。
「少し大変ですけど大丈夫ですよ。元々頑丈なので、きっとすぐに治ります」
「ならいいが……それにしても、お前の嫁、アレは一体何者だ?」
「グノーの事ですか? そういえば昨日手合わせしていただいたようで、ありがとうございます。とても喜んでいましたよ」
「それはもういい、だが、あいつの強さは何なんだ? この俺が軽く負かされたぞ、意味が分からん」
「あの人私より全然強いですからね。それでも足を怪我してからは少し大人しくなっていたのですけど、この武闘会に合わせて義足を新調してからは絶好調ですよ」
アインは「義足!?」と驚いたような表情を見せる。
「えぇ、右足の膝から下を失って、今は義足生活です」
「信じられん。アレはそんな奴のする動きじゃないだろ」
「ふふふ、グノーは技術者としての腕も一流ですからね」
「技術者?」
「義足を自分に合わせて自分で作っているのです。色々私の知らない仕掛けも仕込んでいるみたいですよ」
「本当に訳の分からない奴だな。女みたいな形をして腕は立つわ、技術はあるわで、あいつが人に媚びない理由が分かったわ。媚なんか売らなくてもあいつはあのままで生きていけるからな」
「ふふ、そうですね」
「あんなの一体何処で見付けて捕まえたんだ? あいつ、こんな所で収まっていられる器じゃないだろう? ましてやお前の嫁なんて、よく文句言わないな」
「ふふふ、グノーが認められるのはとても嬉しいですね。文句ならたびたび言われましたよ、悪態と罵詈雑言を乗り越えた先の現在です。最近は私の妻と呼ばれる事にもすっかり慣れてくれました」
「そうなるまでに何があったのか、滅茶苦茶気になるわ」
アインの言葉にナダールは「ナイショです」と嬉しそうに笑った。
「そういえば刀鍛冶の職人さんをご紹介いただいたようで、ありがとうございます」
「あぁ、俺も世話になっている職人で腕はいい。少し頑固な所もあるが、あの親父に任せておけば良い剣ができるはずだ」
「グノーが自分も作って欲しいのに駄目だと言われて拗ねていましたよ。今度取りに行く時に私も一緒に行って頼んでみようと思っています」
「あぁ、それならもう大丈夫だろう」
アインが何という事もないという顔でそう言うので、ナダールは首を傾げた。
「え? なんでですか?」
「俺も昨日仕事の後に親父の所に行ってな、あいつに負かされたって話をしたんだよ。それで、そんなに強いのか? って言うから、クロードより強いかもなって言ったんだ。そしたら、なんでそれを早く言わないって、親父ぶつぶつ言ってたからさ」
「女に剣は作らないって言われたそうですけど、強ければそこは曲げても大丈夫なんですかね?」
「そもそもあいつは女じゃないだろ?」
「それはそうなのですが……」とナダールは言葉を濁す。
女が駄目なら男だと言ってしまえばいいのに、とナダールはグノーに聞いた時にも思ったのだ。だが、最近彼は自分から自分の性別を主張する事がなくなった。あえてそれをしないという事は何か彼自身思う所があるのだろうとナダールは何も言わずにいる。
けれど、彼の欲しい物がそれで手に入らないという事は由々しき事態で、何を躊躇っているのか分からないが、そこまで鍛冶屋の親父が性別に固執するのであれば自分の方から彼の性別を告げてしまうのも有かなとナダールは思っていたのだ。
けれど強ければ女でもいいと言うのなら、グノーが何も言わない事をあえて自分から暴露する必要もない。
「親父は強い奴が好きだからな。自分の作る物は使ってなんぼ、へなちょこに使わせるのも、ただ美術品のように飾られるのも真っ平御免だ! と常々言っている」
「そうでしたか、それならきっと親父さんもグノーに剣を作ってくれますね」
これは良かったとナダールは笑みを見せる。
「それにしてもファルスは女性にはずいぶん厳しい国なのですね。どこもこんな感じなのですか?」
「別に厳しかないだろう? 女が女の仕事をしていれば何の問題もない」
「それが厳しいというのですよ、それでは女性の方には選択の余地がないじゃないですか。女性の騎士や職人さんはさぞかし肩身が狭いでしょうね」
「ランティスは違うのか?」
「普通に騎士も職人も男性に混じってたくさん働いていますよ。女性だからと言ってここまで差別を受けている所は見た事ないです。腕のいい人間に男も女も関係ないですからね」
「ふぅ……む、それは考えた事もなかったな。女はそれを差別と捉えるのか? 俺はただ単に役割の上での区別だと思っていたのだがな」
「できる能力があるのに女性だから駄目だと言われたら、それは差別だと私は思いますよ」
アインは目から鱗が落ちるような気持ちだった。
実を言えば第三騎士団には女騎士はいないのだ。女騎士は女騎士が集まっている班のある第1騎士団か、『何者にも囚われない』が団の規律である第4騎士団に数名いるのみで、第三騎士団には女騎士は寄り付かない。
希望があったとしても今まで受け付けてこなかったし、女騎士が受け入れられる土壌もなかったのだ。
「女は男にとって守るべき対象であって、肩を並べる相手ではないと思っていたのだがな」
「守るべき時は守ればいい。私だって大事な人は守りたいですよ、ですけど、守らなくてもいい時まで頭ごなしに弱いと決め付け過剰に囲っていたら相手に対して失礼じゃないですか? 守っていると言えば聞こえはいいですけど、それは見下しているのと同じです」
アインはぐっと言葉に詰まる。
「黒の騎士団にだって女性はいますし、男性では目に付き難い着眼点だって持っています。女性だから、男性だからとそういうのを括りにするのは止めた方がいいと思います」
「俺はそんなつもりは無かったんだがなぁ……」
アインは困ったなという顔で頭を掻いた。
「私も少し言葉が過ぎたかもしれません、ただあんまり女だから女だからと言う方が多いものですから、つい……」
ふぅむ、とアインは手を顎にかけて考え込む。
「もし、お前の所に女の入団希望者がきたら、お前は入れるのか?」
「別に来る者は拒みませんよ」
「男ばかりの騎士団で女一人でもか?」
「それは難しい質問ですけど、その女性がいいと言うのなら、私はその事を説明した上で受け入れると思いますよ」
「他の男共が反発してもか?」
「それこそ、そこが守る所じゃないかと思うのですけど、違いますか? そんな場所に入ってこようと言うのですから、その方にもある程度の覚悟はあるはずです。どこまで出来るか見守って、どうにもならなさそうな時だけ手助けをしてあげれば、それでいいと思います。それでその女性がやはり無理だと言うのでしたら、そこで改めて『では、うちでは無理です』とお断りをする方向で私なら話をすると思いますよ」
むむ……とアインは眉間に皺を寄せる。
「一度は受け入れて断るのか?」
「あくまで本人が無理だと言うのならですよ。その女性がそれでも大丈夫だと言うのならば、そのままそこにいて貰えばいい話ですよね?」
「まぁ、確かにな」
「男性と女性では体の作りも体力にも差はありますので、第三騎士団のように武力重視の騎士団ではキツイ部分もあるでしょうけど、最初からお前には無理だと頭ごなしに否定するのはどうかと思います」
「そうか……」
「誰か第三騎士団に希望している女性の方がいらっしゃるのですか?」
「あぁ、一人な。前回も前々回も断っているのに、また希望を出してきた。もしかしたら自分が騎士団長になる前からの可能性もあるから、いつからここを希望しているのかすら分からん」
第三騎士団はアインが騎士団長になる前の団長も武力重視だった。アインはそれをそっくり引き継ぐ形で第三騎士団長に就任しているので、それ以前から希望を出し続けている可能性も否定できない。
「試しに受け入れてみたら如何ですか?」
「……俺は女の扱いは苦手なんだ。あんたの嫁みたいな男勝りなタイプならなんとかいけるが、いかにも『女』という感じのが来たらと思うとなぁ……」
「もういっそ男性だと思って接したら如何です? 第三騎士団に希望を出すくらいの方です、きっとその方もその位の覚悟はあると思いますよ」
「そんなんで受け入れてもいいものか、俺には分からん」
「なら一度その方に会ってみたら如何ですか? 会って大丈夫そうなら受け入れる方向で考えてみればいいんじゃないかと思いますけど?」
「うぅ……ん」
アインは心底困ったような様子で腕を組んで考え込んでしまう。その時……
「第二騎士団長はいい事を言うのだな」
何処からか声をかけられ、二人は辺りを見回すが、二人が立ち話をしていた廊下には誰もいない。
「あれ? 今、声が聞こえませんでしたか?」
「あぁ、俺もそう思ったが……」
「下だ、気付け、このうどの大木共」
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