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番外編:その後のある幸せな家庭
馴れ初め①
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バートラム様のお屋敷に向かうのは日を改めてという事でその日俺達は解散して、その日の晩、帰宅したライザックに今日あった事の一部始終を報告すると、彼は少し驚いたような表情で眉を下げた。
「カズはいつの間にそんなにうちの両親と仲良くなっていたんだい? 少なくとも母上とは一生和解などあり得ないと思っていたのに……」
「ライザックはその方が良かった?」
「いや、そういう訳ではないが、母上はカズにキツクあたるだろう? 嫌ではないのか? 無理をする必要はないんだぞ」
「ん~別に無理はしてないかな。今のお義母さんは見ててすごく可愛いよ」
ライザックが「可愛い……?」と今度は眉間に皺を刻んだ。まぁ、偏屈なお義母さんと一番長く一緒にいたのライザックだもんな。最近はあまり会ってはいないようだし、むしろ俺の方がお義父さん経由でよく会ってたくらいだから、お義母さんの変化をライザックはまだあまり目にしてないのかもな。
「それにしても、バートラム殿か……タイミングがいいのか悪いのか、私もちょうど明日屋敷に行こうと思っていた所だよ」
「そうなんだ? それもミレニアさんの?」
「それも理由のひとつではあるけど、もうひとつ別件もあってな」
「別件?」
「ロゼッタがこっちに来ているらしい、それで何故か現在バートラム様の屋敷に逗留していると連絡が入った」
ロゼッタさんが? 首都であるクリスタに遊びに来る事自体に変な所はないけれど、なんで逗留先がバートラム様のとこなんだ? あの二人、いつの間にそんなに仲良くなってんの?
確かにロゼッタさんの婿選びの催しの際、俺とライザックを周りの目から守るようにロゼッタさんはバートラム様を衆目の中へと掻っ攫っていった。けれどそれはお互い合意の上での演技だったはずで、実際には二人の間にはなんの進展もなかったはずだ。
俺はあの時ロゼッタさんと連絡先を交換していて今でも文通を続けている。けれどそんな話は全く聞いてない。
「まさかロゼッタさんに限ってミレニアさんを裏切るような事しないよね……?」
「ロゼッタは曲がった事は嫌いなタイプだ、けれどミレニアはバートラム殿を拒否している現状、だったら自分が、というのもなくはない。ミレニアとバートラム殿が両想いであるのなら下手な手出しはしないだろうが、ロゼッタがその辺をどう考えているのか、それも聞いておかないと」
人間関係がややこしくなってる! ミレニアさんとバートラム様とロゼッタさんの三角関係か……傍目に見てる分には野次馬根性で楽しいけど、個人的にはミレニアさんとロゼッタさんには幸せになって欲しいな。
バートラム様? 俺、あの人の事はよく知らないからなぁ……いつでもミレニアさんを揶揄うようにしていたバートラム様しか見てきてないし、真剣味足りないよな。だからミレニアさんが不安になるんじゃないのか?
自分が落ちれば向こうは自分への興味を失うだろうなんて、ミレニアさんに言わせちゃう時点でバートラム様の気持ちなんてひとつもミレニアさんに伝わっていない訳で、その辺バートラム様はどう考えてるのか率直に聞いてみたいものだ。
「じゃあ明日一緒に行っていいかな? シノックさんもいるけど」
「母上の婚約者……だったか? 正直なところ少し複雑な気持ちになるものだな。父上の場合はそんな感情を持つ前に出て行ったからあるがままを受け入れたが、あの母上が他人とうまくやっている姿が想像できない」
「普通に仲良さそうだったよ。それにもう一緒に暮らして半年経つんだって、俺も聞いて驚いた」
そう、二人が付き合いだしたのが半年前、一緒に暮らし始めたのも半年前、交際ゼロ日で同棲を始めるなんて、あのお義母さんにしては冒険したなって思う。まぁ、俺も出会ってすぐにライザックと治療目的とはいえHしちゃったし、人の事は言えないけど。
シノックさんは学者さんなのだけど、フィールドワークを主にしていて決まった土地に定住をしていないらしい。一応拠点はここクリスタに置いているらしいのだけど、家はなく長居する時は宿屋かパトロンに頼った暮らしで、わりと根無し草のような生活を送っていたのだそうだ。
ちなみにパトロンというのは変な意味ではなく普通に研究に対する後援者、支援者の事でシノックさんの研究に興味関心があるお金持ちは意外と多いらしい。半獣人である彼を後援する事は慈善活動の一環にもなるみたいで、裏を返せば税金対策みたいな事もあるみたいだけど、それもあって自分は自由に研究を続けていられるとシノックさんは笑っていた。
けれどそんな他人に頼り切ったような生活だから、もちろん今まで結婚なんて考えてもいなかったそうなのだが、ある時友人の一人に声をかけられたのだとシノックさんは言った。
それがいわゆるお見合いパーティで、そこにいたのがお義母さん、シノックさんの一目惚れだったらしい。
「カズはいつの間にそんなにうちの両親と仲良くなっていたんだい? 少なくとも母上とは一生和解などあり得ないと思っていたのに……」
「ライザックはその方が良かった?」
「いや、そういう訳ではないが、母上はカズにキツクあたるだろう? 嫌ではないのか? 無理をする必要はないんだぞ」
「ん~別に無理はしてないかな。今のお義母さんは見ててすごく可愛いよ」
ライザックが「可愛い……?」と今度は眉間に皺を刻んだ。まぁ、偏屈なお義母さんと一番長く一緒にいたのライザックだもんな。最近はあまり会ってはいないようだし、むしろ俺の方がお義父さん経由でよく会ってたくらいだから、お義母さんの変化をライザックはまだあまり目にしてないのかもな。
「それにしても、バートラム殿か……タイミングがいいのか悪いのか、私もちょうど明日屋敷に行こうと思っていた所だよ」
「そうなんだ? それもミレニアさんの?」
「それも理由のひとつではあるけど、もうひとつ別件もあってな」
「別件?」
「ロゼッタがこっちに来ているらしい、それで何故か現在バートラム様の屋敷に逗留していると連絡が入った」
ロゼッタさんが? 首都であるクリスタに遊びに来る事自体に変な所はないけれど、なんで逗留先がバートラム様のとこなんだ? あの二人、いつの間にそんなに仲良くなってんの?
確かにロゼッタさんの婿選びの催しの際、俺とライザックを周りの目から守るようにロゼッタさんはバートラム様を衆目の中へと掻っ攫っていった。けれどそれはお互い合意の上での演技だったはずで、実際には二人の間にはなんの進展もなかったはずだ。
俺はあの時ロゼッタさんと連絡先を交換していて今でも文通を続けている。けれどそんな話は全く聞いてない。
「まさかロゼッタさんに限ってミレニアさんを裏切るような事しないよね……?」
「ロゼッタは曲がった事は嫌いなタイプだ、けれどミレニアはバートラム殿を拒否している現状、だったら自分が、というのもなくはない。ミレニアとバートラム殿が両想いであるのなら下手な手出しはしないだろうが、ロゼッタがその辺をどう考えているのか、それも聞いておかないと」
人間関係がややこしくなってる! ミレニアさんとバートラム様とロゼッタさんの三角関係か……傍目に見てる分には野次馬根性で楽しいけど、個人的にはミレニアさんとロゼッタさんには幸せになって欲しいな。
バートラム様? 俺、あの人の事はよく知らないからなぁ……いつでもミレニアさんを揶揄うようにしていたバートラム様しか見てきてないし、真剣味足りないよな。だからミレニアさんが不安になるんじゃないのか?
自分が落ちれば向こうは自分への興味を失うだろうなんて、ミレニアさんに言わせちゃう時点でバートラム様の気持ちなんてひとつもミレニアさんに伝わっていない訳で、その辺バートラム様はどう考えてるのか率直に聞いてみたいものだ。
「じゃあ明日一緒に行っていいかな? シノックさんもいるけど」
「母上の婚約者……だったか? 正直なところ少し複雑な気持ちになるものだな。父上の場合はそんな感情を持つ前に出て行ったからあるがままを受け入れたが、あの母上が他人とうまくやっている姿が想像できない」
「普通に仲良さそうだったよ。それにもう一緒に暮らして半年経つんだって、俺も聞いて驚いた」
そう、二人が付き合いだしたのが半年前、一緒に暮らし始めたのも半年前、交際ゼロ日で同棲を始めるなんて、あのお義母さんにしては冒険したなって思う。まぁ、俺も出会ってすぐにライザックと治療目的とはいえHしちゃったし、人の事は言えないけど。
シノックさんは学者さんなのだけど、フィールドワークを主にしていて決まった土地に定住をしていないらしい。一応拠点はここクリスタに置いているらしいのだけど、家はなく長居する時は宿屋かパトロンに頼った暮らしで、わりと根無し草のような生活を送っていたのだそうだ。
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けれどそんな他人に頼り切ったような生活だから、もちろん今まで結婚なんて考えてもいなかったそうなのだが、ある時友人の一人に声をかけられたのだとシノックさんは言った。
それがいわゆるお見合いパーティで、そこにいたのがお義母さん、シノックさんの一目惚れだったらしい。
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