ある幸せな家庭ができるまで

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第二章:妊娠編

小さな薔薇②

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 俺とライザックの結婚を本家でお披露目する為に俺はこの城のような大きな屋敷にやってきたはずなのに、今現在俺はというと次々と現れる人々とよく分からない成り行きに体調不良も忘れてぽかんとしているよ!
 誰か俺にこの訳の分からない状況を説明して!!

「ええと、こちらロゼッタさん?」

 目の前に立つのはライザックより大きな男、眉目秀麗でいかにもな美男なんだけど、彼の名前はどうやら「小さな薔薇ロゼッタ」というらしい。名は体を表すってよく聞く言葉だけど、ここまで名が体を現していないパターンも珍しいな。俺の世界でいう所のキラキラネームか? いやでも、名付けた時はきっと小さな薔薇ロゼッタって名前が似合う可愛い赤ん坊だったんだろうな、美形だし。
 ライザックのいとこなだけあって雰囲気も似てる、でもごめん、どう見てもロゼッタという感じではない。そもそもこの人全然小さくねぇ!

「そちらはライザックの新しい付き人?」

 ロゼッタさんが不思議そうに小首を傾げる。よくよく見れば彼の着ている服は筋肉を強調するような薄絹で、男ばかりの世界だからかあまり見る機会もないけれど、その布地は絹のドレスを思わせる。スタイルが良く見えるように考えられているのだろう、その服は彼に良く似合っていた。
 それと並んだ俺の姿は今まで着た事もない綺麗な刺繍の施された派手めの一張羅なのだが、比べてしまえば明らかに見栄えが悪い。これは使用人だと思われても仕方がない。そもそも主張できる筋肉もないしな。

「いえ……」
「じゃあ、お友達? この方も私の花婿候補なのかな?」

 そこ、あくまで花嫁じゃなくて花婿なんだ? この世界、子供は産みたい方が産めばいいって世界みたいだし、そこは個人の自由だけど俺の価値観ががらがらと音を立てて崩れていく。でもロゼッタさんを前にしてライザックが今のロゼッタは好みではないと言っていた意味が何となく察せられる。
 たぶんライザックは俺みたいに自分より小さい人間の方が好みなのだろう、いくら美形でも自分よりガタイの大きな男を組み敷くのには勇気がいるとは思うのだ。というか、そういうのも趣味嗜好だよな、好きな人は好きなんだろうし……ってか俺は薄々気が付いた、たぶんこのロゼッタさんの母親は護衛のように厳ついローズさん、そして色好みの叔父さんの好みは筋骨隆々の男なんだろう!? 俺は好みから外れてるって、絶対そういう意味だろう!!?

「ロゼッタ、彼は違うんだ」
「? ではこの方は?」
「カズは私の妻なのです」

 瞬間ロゼッタさんの顔色が一気に青褪めた。周りも息を呑むようにしてこちらを窺っているのが分かる。

「そんな……嘘だ。だって君は今回のこのお見合いパーティに喜んで参加してくれると伯父様がそう……」
「母が何を言ったかは分かりませんが、私はそんなつもりでここへ来た訳ではないのです。私は妻を皆様に紹介する為にやって来ただけで……」

 ざわざわと周りの騒ぎが大きくなる。なんかもう絶対無事に帰れそうな気がしないんだけど、俺達これからどうなっちゃうの!?


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