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第一章:出会い編
ライザックの言う事には①
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「本当に違うんだ」とライザックは縋る様に俺の背中に顔を埋めて一向に離す気配がないので、俺は諦めて身体の力を抜いた。話し合いが足りていないのは確かに間違っていないと思うのだ、何か俺に言いたい事があるのなら聞いてやらないほど俺は聞く耳を持たない人間じゃない。
「ライザック、何か隠してる事があるなら全部言え。お前は一体俺をどうしたいんだ? 言っておくけど、俺はお前の性欲処理の相手に使われるだけの人生なんて真っ平ごめんだからな、だったら何処かに借金してでも俺はこの屋敷を出て行く」
「むしろ私にはカズが何をどうしてその考えに至ったのかさっぱり分からない。私はお前にそんな無体を働いただろうか?」
「抱くだけなら何度も抱いただろ!」
「それは仕方がないだろう? 抱かなければカズは死んでいたんだぞ?」
「いっそ死ねばよかったんだ。こんな訳の分からない世界で生きてくくらいなら、死んでいれば元の世界にだって戻れていたかもしれないのに……!」
「カズ! 私にとってお前は特別なんだ、そんな事は言わないでくれ。偶然は二度は起きない、それが二度重なればそれは必然、カズは間違いなく私の運命の相手なんだ」
偶然? 必然? 運命の相手って一体何なんだよ? 何言ってんだか全然分かんねぇ!!
「私も最初は半信半疑だった、藁にも縋る想いで見てもらった未来予知で、巡り合ったのがカズなんだ、私があそこでカズを救い出したのは偶然なんかではない必然だった!」
「未来予知?」
それってアレか? ハインツが言ってた占い師?
「……もしかして、ライザックは占いなんか信じてんの? そいつに何を言われたんだか知らないけど、そんなの真に受けてんの? 馬鹿なの?」
「カズは辛辣だな」
いやだって占いだろ? どんな占い師だか知らないけどそもそも占いなんて根拠も何もないもんだろう? それを運命だ、必然だってあり得なくない? 信じられない。
「私だとて最初は半信半疑だったと言っただろう?」
「そうだけど、今は完全に真に受けちゃってんだろ? 目を覚ませ、占いなんてなんの根拠もないただの虚言だぞ」
「一度の事ならば私だってそう思った、だからカズを家に連れ帰りはしても何も言わなかったんじゃないか」
「一度じゃなかった?」
「一度目はカズと出会った日、西の森で運命の相手に出会うと言われて半信半疑で赴いた、そしてそこに居たのがカズだった。そして二度目は昨日だ、店の外に出て一番最初に出会った知人がその相手だと、何だそれは、やはり当てずっぽうかと思って店を出た直後にカズに遭遇した時の私の衝撃がカズには分かるか!?」
「そんなんただの偶然じゃん」
「そんな偶然が二度も続くものか! ここクリスタに私の知人が一体何人いると思っているんだ、その中でしかも出先で遭遇する確率がどれ程のものか……それでも私だとて俄かには信じられなくて戸惑ってはいる、けれどそんな偶然も必然も自分の感情の前では意味もない。占い師に何を言われなくても私はカズに惹かれているんだ、占い師はそんな私の背中を押したに過ぎない。昨晩カズがベアード殿に攫われたとミレニアから聞いた時には血の気が引いて生きた心地がしなかった」
またしても抱きつかれた腕の力が強くなる。だから苦しいんだってば、この馬鹿力!
「ライザック、何か隠してる事があるなら全部言え。お前は一体俺をどうしたいんだ? 言っておくけど、俺はお前の性欲処理の相手に使われるだけの人生なんて真っ平ごめんだからな、だったら何処かに借金してでも俺はこの屋敷を出て行く」
「むしろ私にはカズが何をどうしてその考えに至ったのかさっぱり分からない。私はお前にそんな無体を働いただろうか?」
「抱くだけなら何度も抱いただろ!」
「それは仕方がないだろう? 抱かなければカズは死んでいたんだぞ?」
「いっそ死ねばよかったんだ。こんな訳の分からない世界で生きてくくらいなら、死んでいれば元の世界にだって戻れていたかもしれないのに……!」
「カズ! 私にとってお前は特別なんだ、そんな事は言わないでくれ。偶然は二度は起きない、それが二度重なればそれは必然、カズは間違いなく私の運命の相手なんだ」
偶然? 必然? 運命の相手って一体何なんだよ? 何言ってんだか全然分かんねぇ!!
「私も最初は半信半疑だった、藁にも縋る想いで見てもらった未来予知で、巡り合ったのがカズなんだ、私があそこでカズを救い出したのは偶然なんかではない必然だった!」
「未来予知?」
それってアレか? ハインツが言ってた占い師?
「……もしかして、ライザックは占いなんか信じてんの? そいつに何を言われたんだか知らないけど、そんなの真に受けてんの? 馬鹿なの?」
「カズは辛辣だな」
いやだって占いだろ? どんな占い師だか知らないけどそもそも占いなんて根拠も何もないもんだろう? それを運命だ、必然だってあり得なくない? 信じられない。
「私だとて最初は半信半疑だったと言っただろう?」
「そうだけど、今は完全に真に受けちゃってんだろ? 目を覚ませ、占いなんてなんの根拠もないただの虚言だぞ」
「一度の事ならば私だってそう思った、だからカズを家に連れ帰りはしても何も言わなかったんじゃないか」
「一度じゃなかった?」
「一度目はカズと出会った日、西の森で運命の相手に出会うと言われて半信半疑で赴いた、そしてそこに居たのがカズだった。そして二度目は昨日だ、店の外に出て一番最初に出会った知人がその相手だと、何だそれは、やはり当てずっぽうかと思って店を出た直後にカズに遭遇した時の私の衝撃がカズには分かるか!?」
「そんなんただの偶然じゃん」
「そんな偶然が二度も続くものか! ここクリスタに私の知人が一体何人いると思っているんだ、その中でしかも出先で遭遇する確率がどれ程のものか……それでも私だとて俄かには信じられなくて戸惑ってはいる、けれどそんな偶然も必然も自分の感情の前では意味もない。占い師に何を言われなくても私はカズに惹かれているんだ、占い師はそんな私の背中を押したに過ぎない。昨晩カズがベアード殿に攫われたとミレニアから聞いた時には血の気が引いて生きた心地がしなかった」
またしても抱きつかれた腕の力が強くなる。だから苦しいんだってば、この馬鹿力!
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