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招かざる客
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「おばあちゃん、ここは開かないって言ってたのにどういう事! それにあんた達、誰!? 泥棒!?」
え? 誰だ? なんだ? 人間? 妖?
この屋敷には限りなく実体に近い妖がたくさんいた。それはたぶんこの土地が龍脈の上に建っていて妖達にも力を与えているからだ。
「うわぁ、でも蔵の中ってこんなになってたんだ! え! 座敷牢!? マジ? やっべ、なにこれ、かっけー!!」
外から現れたその人物は暗い蔵の中から逆光で現れて、俄かに姿が見えない。けれど徐々に目が慣れてくると、そこに立っていたのは俺と年も大差無さそうな少女……いや、少女というか髪も爪も服装も派手に盛ったギャルが立っていた。
「あの……あなたは?」
「名乗るならそっちからでしょ! あたしはこの家の人間、あんた達の方が部外者! 警察呼ぶよ!」
そのギャルギャルしい少女は、腰に手を置いて高飛車に言い切った。
「えっと……この屋敷には奥様と数人の使用人の方しか住んでいないと聞いておりますけど? あなたは……あ、申し遅れましたが、私どもは奥様の依頼でこの屋敷の清掃にきた者で怪しい者ではございません」
さすがの凜々花さんもそのギャルには驚いたのだろう、戸惑いながら俺達の説明をしてくれる。だが、それにしても清掃業者……ある意味間違ってはいないけれど、やはり依頼主以外には無闇に「退魔師です!」とは言わないんだな。
「お掃除業者さん? 確かにこの家、あちこち手が行き届いてないもんね。おばあちゃん歳だから仕方ないけど。でもそのお掃除屋さんがこの蔵に何の用? まさか金目の物でも物色してた? あれ? ミコちゃん……?」
『久しいね、真凛』
「わぁ、やっぱりミコちゃんだっ、おっひさ~!」
何故か座敷童とそのギャルがまるで昔馴染みかのように挨拶を交わす。あまりにもかけ離れた存在の二人が普通に喋っている事に俺達は驚きを隠せない。
「なになに? ミコちゃん、こんなとこで何やってんの? ってか、これって座敷牢? 蔵の中にこんなのあったんだっ! 私も入ってみていい?」
『はは、やめておけ。それより真凛、今日も一緒に来ているのだろ?』
「おじいちゃん? 相変らずミコちゃんはうちのじいちゃん嫌いだよね~タヌキみたいな顔してるけど、別に悪い人じゃないんだよ?」
『お主にとってはそうなのだろうが……』
座敷童は少し困ったように苦笑する。
「えっと……あの……この方は?」
『タマのひ孫で名を真凛という、一緒に来ているタヌキがタマの娘婿じゃの』
「招かざる客」先程、座敷童はそう言った。だが座敷童の真凛に対するあたりは柔らかい、恐らく招かざる客というのは真凛の祖父だけを指して言ったのだろう。
「彼女にはあなたが視えるのですね」
『まだ真凛は子供だでなぁ』
「ちょっとミコちゃん! 失礼ねっ、ミコちゃんだってそんなに大差ないでしょ!」
座敷童が明らかに人ではないのは俺達には分かるのに、真凛と呼ばれた少女は座敷童になんの違和感も持っていなさそうに不満を述べる。これも座敷童の妖としての能力なのだろうか、真凛は座敷童の事を友人か何かだと思っているみたいだ。
『のう、掃除屋、ひとつ頼まれてはくれぬかの?』
「何をですか?」
『このタイミングであやつがここに来たのも何かの縁じゃ、あの強欲をうち祓ってはもらえまいか?』
え? 誰だ? なんだ? 人間? 妖?
この屋敷には限りなく実体に近い妖がたくさんいた。それはたぶんこの土地が龍脈の上に建っていて妖達にも力を与えているからだ。
「うわぁ、でも蔵の中ってこんなになってたんだ! え! 座敷牢!? マジ? やっべ、なにこれ、かっけー!!」
外から現れたその人物は暗い蔵の中から逆光で現れて、俄かに姿が見えない。けれど徐々に目が慣れてくると、そこに立っていたのは俺と年も大差無さそうな少女……いや、少女というか髪も爪も服装も派手に盛ったギャルが立っていた。
「あの……あなたは?」
「名乗るならそっちからでしょ! あたしはこの家の人間、あんた達の方が部外者! 警察呼ぶよ!」
そのギャルギャルしい少女は、腰に手を置いて高飛車に言い切った。
「えっと……この屋敷には奥様と数人の使用人の方しか住んでいないと聞いておりますけど? あなたは……あ、申し遅れましたが、私どもは奥様の依頼でこの屋敷の清掃にきた者で怪しい者ではございません」
さすがの凜々花さんもそのギャルには驚いたのだろう、戸惑いながら俺達の説明をしてくれる。だが、それにしても清掃業者……ある意味間違ってはいないけれど、やはり依頼主以外には無闇に「退魔師です!」とは言わないんだな。
「お掃除業者さん? 確かにこの家、あちこち手が行き届いてないもんね。おばあちゃん歳だから仕方ないけど。でもそのお掃除屋さんがこの蔵に何の用? まさか金目の物でも物色してた? あれ? ミコちゃん……?」
『久しいね、真凛』
「わぁ、やっぱりミコちゃんだっ、おっひさ~!」
何故か座敷童とそのギャルがまるで昔馴染みかのように挨拶を交わす。あまりにもかけ離れた存在の二人が普通に喋っている事に俺達は驚きを隠せない。
「なになに? ミコちゃん、こんなとこで何やってんの? ってか、これって座敷牢? 蔵の中にこんなのあったんだっ! 私も入ってみていい?」
『はは、やめておけ。それより真凛、今日も一緒に来ているのだろ?』
「おじいちゃん? 相変らずミコちゃんはうちのじいちゃん嫌いだよね~タヌキみたいな顔してるけど、別に悪い人じゃないんだよ?」
『お主にとってはそうなのだろうが……』
座敷童は少し困ったように苦笑する。
「えっと……あの……この方は?」
『タマのひ孫で名を真凛という、一緒に来ているタヌキがタマの娘婿じゃの』
「招かざる客」先程、座敷童はそう言った。だが座敷童の真凛に対するあたりは柔らかい、恐らく招かざる客というのは真凛の祖父だけを指して言ったのだろう。
「彼女にはあなたが視えるのですね」
『まだ真凛は子供だでなぁ』
「ちょっとミコちゃん! 失礼ねっ、ミコちゃんだってそんなに大差ないでしょ!」
座敷童が明らかに人ではないのは俺達には分かるのに、真凛と呼ばれた少女は座敷童になんの違和感も持っていなさそうに不満を述べる。これも座敷童の妖としての能力なのだろうか、真凛は座敷童の事を友人か何かだと思っているみたいだ。
『のう、掃除屋、ひとつ頼まれてはくれぬかの?』
「何をですか?」
『このタイミングであやつがここに来たのも何かの縁じゃ、あの強欲をうち祓ってはもらえまいか?』
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