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強気なΩは好きですか?②
素直な気持ち
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「雄也は元々ゆるゆるだし、心配してたけど私がどうにかするから結婚して! あなたの悪いようにはしないから!」
「え、えっと、結婚はそんな簡単に決める事では……」
そもそも初対面でプロポーズとか新しすぎて戸惑いしかなんだけど! それにそこでなんで篠木先輩の名前が出るの? 意味が分からないよ!
「大丈夫、あなたは何も心配する事ないから! 雄也と結婚して私とお兄さん達を会わせてちょうだい! ええ、これはズルだと分かっているわ、だけど利用できるものは利用しないと!」
「……えっと、どういう意味ですか?」
手を取られたまま迫られて僕がのけぞる様に後ろに半歩下がると突然教室の扉ががらっと開いた。
「凛子、何勝手な事を……! 樹から手を離せっ!」
「あら雄也、何しに来たの? 私は未来の義弟と交流を深めていただけよ」
現れたのは篠木先輩、そして『未来の義弟』ってどういう事? あ、兄ちゃんのどっちかと結婚したいって意味? でもそれたぶん無理だよ? 双葉兄ちゃんと三葉兄ちゃんは仲良すぎて離れる気ないから、どっちかだけと結婚とか無理だもん。
それにしても先輩の方も「凛子」って呼び捨てだ、一体二人はどういう関係?
「いいから、その手を離せ!」
篠木先輩が僕の肩を掴んで凛子先輩と引き離し僕の身体に腕を回す。ふわりと薫る先輩の体臭にまたどきりと胸が高鳴った。同時に安堵の気持ちが胸に広がって、ずいぶん緊張していたのだと気が付いた。
「そういえば雄也、あれだけ私の事樹君に言っておいてって言っといたのに、なんで言っといてくれないの! これじゃあ私が不審者みたいじゃないの! それにいつも私の事は呼び捨てにしないでって言ってるでしょ! あんたのファンに変な誤解されて迷惑なのよ!」
「うっさい! 今更こっ恥ずかしくて『姉ちゃん』なんて呼べるかよ!」
「姉……ちゃん?」
え? えぇ?? もしかしてこの人篠木先輩のお姉さん!? 確かにαの篠木先輩の姉ならΩであっても不思議じゃない、言われてみれば顔立ちもどことなく似ているような。ついでに強引な所はそっくりだし。
「ごめんな樹、馬鹿な姉で。怖い思いしなかったか?」
「馬鹿とは何よ失礼ね! それに私は樹君と仲良くなりたかっただけだもの、怖がらせるような事なんてしてないわ!」
「取り巻き連中連れて呼び出しとか、普通に考えて怖いだろう!」
「あんたが私の事ちゃんと伝えてくれてさえいたらなんの問題もなかった事でしょう!?」
僕の頭越しに姉弟喧嘩が勃発だ。こんなに素で感情的な篠木先輩珍しい。そっかお姉さんか、なんだ……良かった。唐突にふっと笑えてきた。
あぁ……もういいよ、そうだね、僕はもうきっと篠木先輩が好きなんだ。取られるのかもと思ったら怖かったし、元カノかと思ったら気分が悪かったのも事実だもんな。
「樹……?」
先輩の腕の中で笑いだした僕に先輩は少し不思議顔。自分の気持ちが分かって、ちょっとすっきりした僕は笑い続ける。
もういいや、僕はこの腕の中が居心地が良い事を知ってしまった。だから有言実行、篠木先輩、全国大会優勝してちゃんと僕の事恋人にしてよね!
「え、えっと、結婚はそんな簡単に決める事では……」
そもそも初対面でプロポーズとか新しすぎて戸惑いしかなんだけど! それにそこでなんで篠木先輩の名前が出るの? 意味が分からないよ!
「大丈夫、あなたは何も心配する事ないから! 雄也と結婚して私とお兄さん達を会わせてちょうだい! ええ、これはズルだと分かっているわ、だけど利用できるものは利用しないと!」
「……えっと、どういう意味ですか?」
手を取られたまま迫られて僕がのけぞる様に後ろに半歩下がると突然教室の扉ががらっと開いた。
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それにしても先輩の方も「凛子」って呼び捨てだ、一体二人はどういう関係?
「いいから、その手を離せ!」
篠木先輩が僕の肩を掴んで凛子先輩と引き離し僕の身体に腕を回す。ふわりと薫る先輩の体臭にまたどきりと胸が高鳴った。同時に安堵の気持ちが胸に広がって、ずいぶん緊張していたのだと気が付いた。
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「うっさい! 今更こっ恥ずかしくて『姉ちゃん』なんて呼べるかよ!」
「姉……ちゃん?」
え? えぇ?? もしかしてこの人篠木先輩のお姉さん!? 確かにαの篠木先輩の姉ならΩであっても不思議じゃない、言われてみれば顔立ちもどことなく似ているような。ついでに強引な所はそっくりだし。
「ごめんな樹、馬鹿な姉で。怖い思いしなかったか?」
「馬鹿とは何よ失礼ね! それに私は樹君と仲良くなりたかっただけだもの、怖がらせるような事なんてしてないわ!」
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「あんたが私の事ちゃんと伝えてくれてさえいたらなんの問題もなかった事でしょう!?」
僕の頭越しに姉弟喧嘩が勃発だ。こんなに素で感情的な篠木先輩珍しい。そっかお姉さんか、なんだ……良かった。唐突にふっと笑えてきた。
あぁ……もういいよ、そうだね、僕はもうきっと篠木先輩が好きなんだ。取られるのかもと思ったら怖かったし、元カノかと思ったら気分が悪かったのも事実だもんな。
「樹……?」
先輩の腕の中で笑いだした僕に先輩は少し不思議顔。自分の気持ちが分かって、ちょっとすっきりした僕は笑い続ける。
もういいや、僕はこの腕の中が居心地が良い事を知ってしまった。だから有言実行、篠木先輩、全国大会優勝してちゃんと僕の事恋人にしてよね!
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