神を越えたその先へ

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3章 学園生活

模擬戦

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 こんにちは。
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 アクアとティアが俯いて肩を震わせている。理由はなんとなく想像がつく。が、

『二人とも、落ち着け。』
『でもレン!』
『ですが主様!』

 二人が即答で返してくる。

『良いから落ち着け、俺は何も感じてない。それに、大勢の想像を後で覆してやる方が面白いだろ?』
『………………わかったよ。』
『わかりました。』

 取り敢えず納得してくれたようだ。

 そんなこんなでクラス全員の自己紹介が終わった。ろくに聞いてなかったが。

「さてと、全員終わったな。俺の名前はペイルだ。」

 自己紹介の間本当に寝ていた教師・ペイルは、全員が終わった絶妙なタイミングで起きた。

「早速授業を始めたいところだが、お前らには2つの選択権がある。理論と実技、好きな方を選べ。分けるのは面倒くさいから最終的にはどっちかに決定する。」

 ペイルは、そう提案してきた。恐らく、模擬戦などの実践的な訓練をするか、知識を蓄えるために講座をするかどちらかを選べということだろう。

「主様、どちらになさいますか?」
「うーん、俺は理論の方が良いと思うが、多分そうはならないな…………
ほら、周りを見てみろ、みんなはやく体を動かしたそうにしている。これは確実に多数決で実技の方になるだろうな。」
「なるほど、ですが良いのですか?」
「ああ、取り敢えず実技から受けてみよう。くれぐれも本気を出して生徒殺さないようにな?まあ、アクアとティアなら無用な心配だろうが。」
「わかりました。」
「うん、わかった。」

 二人は頷いた。

「でも、なんでレンは理論から受けようと思ったの?」

 アクアが不思議そうな顔で聞いてきた。

「簡単だ。俺たちは戦う力はあるが、戦闘での立ち回りのしかたとかは経験でしかわからないだろ?そうじゃなくて体の動かし方とかも知識として理解して、実践すれば前みたいに俺たちのコピーみたいなやつらが出てきたとしてももっとうまく立ち回れるかもしれない。そういうことだ。」
「なるほどね。戦闘での立ち回り方、かぁ、、、」
「ま、それもまた後でになりそうだがな。」

 結果は予想通り実技を希望する者が殆どだった。

「なるほど、お前たちは実技をしたいんだな?なら動きやすい服装に着替えて訓練場に来い。全員揃い次第始める。」

 そう言ってペイルは出て行った。

~訓練場~

「よし、全員揃ったな?では始めようか。まずは小手調べに一人ずつ俺と一対一で模擬戦をする。全力でかかってこい。」

 ペイルは全員揃うなりそれだけ言った。
 そして模擬戦が始まった。

 そこから先は散々だった。生徒が攻めては一蹴され、守ろうとしてはガードの隙を突かれたりガードごと吹っ飛ばされたり、何をしても簡単に対応されていた。

「ほら、どうした!こんなんじゃ訓練にもならんぞ!」

 そう言っては次々と生徒の自信を打ち砕いていった。

「次は私です。よろしくお願いします。」

 ルミィが前へ出て行儀よく礼をした。騎士道精神が強いのだろう。

「やぁっ!」

 予備動作が殆ど無く、ルミィが大ぶりの槍を構えて突進した。ペイルはそれを余裕を持ってかわすが、

「む!?」

 ルミィが突き出した槍を間髪入れずにペイルが避けようとした方向に薙ぎ払った。ルミィにカウンターを入れようとしていたペイルはその槍を為す術もなく直撃────しなかった。自身の大剣をもって受け止めその瞬間に軽くジャンプすることで相手の威力を利用し距離を取った。

「ふっ!」

 再び突進したルミィは槍を左下から切り上げる。それをペイルは大剣を振り下ろすことで正面から受け止める。
ガガァンッ!と大きな音を立てて両者の獲物がぶつかり合う。そのまま硬直状態が続くと思われた瞬間、

「ここだ!」

 ルミィが瞬間的に力を抜き、右足をペイルの左手狙って蹴り上げた!

「ぐっ!?」

 ペイルの体がぐらつく。
ルミィは蹴り上げた足を勢いよく地面に叩きつけ、それを踏み込みとして一瞬で上体を起こし、そのままの勢いで槍を全力で振り下ろした。

「くっ、【硬化】!」

 魔法が付与されたペイルの大剣にルミィの全力が乗った槍が振り下ろされた。耳をつんざくほどの音がした。だが………

 ペイルは耐え切った。

「なるほど、家柄的にクソ真面目な騎士様かと思っていたが、訂正しよう。お前はそこらに転がってる雑魚どもとは違うな。」
「ありがとう、ございます…………」

 ルミィは息も絶え絶えに言葉を返す。

 先ほどの戦い、終始ルミィが押していたように見えるが、実際はそうではない。
ペイルはルミィにのだ。通常、戦闘においては守るより攻めるほうが体力を使う。これはこの世界の中等部で習う。だから攻め時はしっかりと判断するように教えられる。

 ルミィには、ペイルが隙だらけのようにしか見えなかった。だから攻撃した。そう教えられたから戦いの最中もその隙を認識させられ、反射的に攻撃させられた。つまり、ルミィは終始誘導されていた。

「だが、まだまだ体力の使い方がなっていないようだな。すぐに疲労がやってくるだろう?それじゃ相手に守られ続けて終いだ。」
「は、い………」
「だが、それでも次の攻撃への繋ぎ方は上手かった。大したものだ。」
「あ、ありがとうございます。」

 一部始終を見ていた生徒たちは、

「「「………………すげぇ(すごい)」」」

 圧倒されていた。

「おい、お前ら。」

 ペイルが生徒たちに呼びかける。

「お前らが決定的に足りないもの、それは何かわかるか?」

 そう聞かれ、生徒たちは困惑する。───パワー、スピード、思考の加速力───考えれば山ほどでてくるが、どれが「決定的」なのかがわからない。

 そんな生徒たちを見てペイルはため息を一つ吐き、

「じゃあ主席のハヤミ、お前はわかるか?」

 そう聞かれ、蓮は答えた。

「ええと、知識、ですかね?」

 その瞬間、生徒たちは蓮に「何言ってんだコイツ」という目を向けた。

「ふむ、なぜそう思った?」
「戦いの運び方ですね。ルミィ以外の生徒はただ正面から突っ込んで避けられてカウンターを食らったり、最初からひたすら守ることにばかり集中してフェイントに引っかかったりしてました。」
「つまり?」

 ペイルが先を促す。

「つまり、戦いに関しての絶対的な知識が足りなかったんじゃないかと。だから愚直に攻めることになるのかと。」

 取り敢えず適当にそれっぽいことを並べてみた。

「なるほどな、あながち間違ってない。お前たちに足りなかったのは判断能力だ。お前たちはただ単に突っ込んできただけだろう?何も考えちゃあいない。さらに言えば、ハヤミの言う通り知識が無ければその判断すらできないだろう?」

 何も言い返せない生徒たち。

「取り敢えずルリィとハヤミと、お前とお前は教室で自習してろ。それ以外は調子に乗った罰として筋トレだ。基礎体力も大事だからな。」

 ペイルはルリィと俺とティアとアクアを順に指さしてそう言った。途端沸き上がる不満の声

「なんでですか?ルリィさんとティアさんとアクアさんはともかく、そこの男まで筋トレしなくて良いんですか?」
「そうです、そいつは本当に主席たるほどの実力があるんですか?」

 学校の判断を疑うという危険は発言であったが、ペイルはめんどくさそうに、

「ああ、そういえば不正を疑われてるんだっけか。………………わかった。筋トレは後回しだ。これから主席レン・ハヤミの模擬戦を行う。しっかりと見ていろ。」

 そう言うと、ペイルはこちらを向いて

「武器はどうする?試験では剣も魔法も使っていたそうだが。」
「いえ、俺は素手で大丈夫です。」

 一見馬鹿にしたような言葉にペイルは怒るどころか寧ろ笑って見せた。

「はっはっは!面白いやつだな、相手が大剣を使ってくることがわかっていてそれでもなお素手で戦おうとするか。わかった、では始めようか。」
「はい、よろしくお願いいたします。」

  ___________________
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 はい、また会いましたね。
取り敢えず文字数が良い感じになったので強引にぶった切りました。

 というか皆さん読むの早いですね………………しおりが上げてから30分くらいで3つくらいついていたことに驚きました。ありがとうございます。

 あ、主人公が戦うのは次話です
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