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1章

敵と適当

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リアンは攻略対象者の中で一番ハッピーエンドのルートが難しいキャラクターだ。彼は、隣国とこの国の間にある部族の集落で生まれた。どちらの国にも所属しないその部族はとても身体能力に優れていて魔力を持っていながらもその使用頻度は少なかった。魔法よりも身体が通常の人より優れていた為魔法より身体を駆使し攻撃する。そんな彼らを魔法や武器を使わなくても身体ひとつで簡単に殺せる力があることを知り恐れた自国と隣国が100年にも及ぶ攻撃により戦争に巻き込み全滅させた。リアンを除いて。リアンはその為どちらの国にも恨みしかない。そんな重たい設定の彼と関わる=自分の死だと思っていて欲しい。



「すみません仕事柄つい子供と接する時の口調が」そうこれで乗り切ろうと私は多分少し冷や汗をかきながら若干視線を上にして言った。私の坊や発言が彼の疑いを生んだのはリアンは多分自分に周りからは大人に見えるように魔法をかけていたのだと思う。それなのに私には何故かその魔法が効いておらず元の姿つまり子供に見えていた。つまり私がそのリアンの魔法が効いてないことがバレる。バレると属性魔法を持つ高貴な身分であることもわかってしまうだろう。
今のリアンは、多分暗殺ギルドに加入前。奴隷としてこの国に連れてこられて数年ギルドで雇われている。この国では奴隷は禁止なので奴隷として連れてこられては一旦保安局に買われその売られた金額を達成するまでギルドに雇われる事になっているのだ。もちろん危険な仕事が多い。子供の場合はある程度大きくなるまで面倒は見てもらえるがリアンの部族は特殊すぎるので見た目が実年齢より若く見えてしまう。リアンは今確か16歳だが私には10歳くらいにしか見えないが魔法で年齢を上に見えさせる事で自分の仕事の幅を増やしているのだろう。
「俺の姿が見えてた時点で限りなくあんたは黒。普通は見えないよ」
かまかけやがったな!私が内心焦ってどんな顔で見ていたんだよ!?趣味悪いな。
「あっ霊感があるみたいですね私」私がそう言い終えるとすぐに
「モンスルト家のご令嬢で王妃候補に名乗り挙げているリリーナルチア様」とフードの中で悪い顔で言われた。
言い訳なんて無意味でしかないのだとわかった。もう私の名前がわかっているのだから。彼の手のひらで転がされてたのだ。
「だとしたら私に何か用でもあるのですか」
「いや本当に属性が火じゃないんだなぁって思っただけ」
「どうしてあなたにそのような卑劣な事言われなきゃならないのよ」属性魔法が使えない事は知られてもおかしくない情報だが火の属性ではないと言われるのは困る。まるで他の属性であるかのようだから。モンスルト家の血筋ではないとのことになってしまう。
「あんた本当は光じゃない?この俺の周りから見えなくする魔法は闇魔法だから弱点があるとするなら光だよ」
光魔法は魔法石なしで発動できるのは王族の血が流れなている限れれた人だ。祖父か祖母が王族で光属性ならあり得る話かもしれないがモンスルト家ではそのような事実はない。どちらも火の属性と水の属性と雷の属性なはず。
「私は今魔法石を持っていますから」
「いやそんな少量の魔法石ではこれを見破れるほどの光魔法は出せない。だからあんた本当に誰?」
私が知りたい。リリーナルチアは本当は平民って以外の情報はわからないのだから。それも魔力が生まれつき高いね。それよりも闇魔法が使えるのはかなりアウト。普通に魔法石じゃなくて自分の魔力で闇属性使えるならもうこの時点でこの国にからしたらピンチだ。
いくら城に結界が張られていても魔法を発動せずに侵入されたら作動しない。まだリアンだけなら大丈夫だが多くの反乱軍と手を組めば王の寝室に入る事が多分できてしまう。ゲームでは反乱軍と手を組んでいた。国の顔である王が反乱軍に殺されたりなんてしたら内部で争いが起こる。もしかして私が他国に嫁ぐことも国外追放も隣国との戦争に関係ないのかもしれない。他国に嫁ぐ場合私が平民であることが気付いて騙されたと戦争が起きるのだと思っていたが理由は多分それだけじゃないリアンが絡んでいる。闇魔法がこの年齢でここまで使えるならあと1年後は影を使い隣国と繋がるなんて容易いことだ。影は距離が遠いと上手く使えないものだが今のリアンの魔法の使えるスピードからしたら。すぐに隣国とやり取りができてしまう。私が平民であることはただの大義名分にすぎない。国外追放だとしても戦争が起きるのはリアン絡み戦争になれば大勢の犠牲はでるし国はしばらく傾く。復讐は成功と言ってもよいだろう。
もうそれだけの力があるのに事を犯すのがあと3年後なのは何故なのだろう。私がシナリオを変更するのにあわせてはやくリオンが事件を起こしたりして私のプランに支障が出ないかかなり不安しかない。
今後自分の生活の準備をしたらグレイエにヒロイン以外の素敵な人をススメこの国で戦争が起きないように反乱軍の情報をグレイエに託さなければいけない。もともと生き残る為に必要な情報は全部グレイエには伝えるつもりだったが今回の件でより伝えなければならないなと思った。リアンをどうにかするのは私ではできないが反乱軍はこちらでどうにかできそうだ。あとはヒロインの彼女が活躍してさえくれば戦争はなくなるはず。
「ねぇだからあんた何者なの?」考え事をして忘れていたその問題。自分が何者かなんて私が知るはずがないのでここはあくまで考察で説得するしかない。
「私のことはわかっているとは思いますがリリーナルチアモンスルトで火の属性です。もし光属性の力があるとしたら昨日婚約者である殿下に光魔法で意識を操作された時に反発した魔力の反応による副作用だと思われます」
「意識を操作された?」
「ええ少しトラブルがあって揉めたのです」
「まぁ確かにあんたトラブルメーカーそうだもんね」
一言余分だクソガキと内心キレた。
「ですので多分誤作動?」
「そう言うことにしといてあげる」
「ではさようなrs」
「逃がすわけないよね、あんた俺のこと気にならないの?」
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