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1章

心にも思ってもないこと

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マリアとミレーヌとの再会を喜んでいた私は、背後から忍び寄る腹黒の気配に気づかなかった…
「二人ともごめんね。リリーナ嬢には正面玄関口で今迎えを待たせているから話はここまででにしてくれないかな?」
「「あっはい!殿下」」腹黒王子の登場に二人は驚きながらも返事をした。

「リリーナ嬢。さぁ私と一緒に」と軽く腰に手を置かれ、エスコートされる形で体育館から退出した。
疑問には思わない、何故なら考えはなんとなくついていた。エスコートを殿下からされたとなれば先ほどまでの犯人扱いされた汚名も晴れるだろう。放送のように私がスパイの囮になって殿下から、この国からスパイを守ったといことに信憑性がでるから。つまりこれはアフターケアと言う名のものからきている行いなのだ。
体育館からでた直後だった。
「リリーナ嬢本当にいろいろと巻き込んでしまってごめんね。生徒達を助けてくてて本当にありがとう。今度改めてお礼とお詫びの品でも贈らせてもらえないかな?」いきなり腹黒スマイルの言葉に驚いた。
「いえ、殿下をお守りできたのは光栄ですし、当然のことですのであまりお気になさらないでください」
一応人目もあるので当たり障りのない会話しかできない。でも殿下が気になっているのは、私が婚約候補から辞退することだろう。本当に2年4ヶ月後に候補から辞退するのか、今じゃないのか。話したいことはそっちだ。心にもない贈り物は一応建前上贈ってくるだろうけど…どうせならお金がいい。私の無駄遣いに使っていた分を両親の服と食費にまわしたい。
「そうだ。お詫びついでに今度一緒に買い物でも二人で行くのはどうかな?」
「私と二人でですか?」
「護衛はつけるけど。勿論!リリーナ嬢とだよ」
「殿下はお忙しいではありませんか。そんな申し訳ないですわ」
「しっかり謝りたいんだ」
「私は今のお言葉だけでも嬉しい限りにございます」
「でも…」
「もし、どうしてもと言うことなら私の義弟に」
「グレイエ君?」
「はい。彼にとって一応私は身内でしたのでとても体育館での出来事は良い気がしなかったと思います」
「そうだね」
「それに彼…グレイエにとって私はあまりいい姉ではありませんでしたし、関係も良くなくないです…殿下もお気づきかと思いますが」
「まぁある程度聞いたことはあるよ」
「ですから私がこの事件の犯人だと言われれば何も疑わないでしょう…そして身内が起こした問題に頭を抱えたはずですし、いらない心配もいっぱいかけたと思います」
「わかった、グレイエ君にもあとで謝るよ」
「ありがとうございます」
「でも、今度改めてデートには誘うから覚悟しておいてね」
「あっはい。わかりました」
ここまでぐいぐいと誘われると断りづらい。流されておこうと諦め返事をした。
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