転生先はアクションゲームの悪女先生でした~堅物王太子殿下とは犬猿の仲でしたがうっかり誘惑しちゃってたみたいで溺愛ルートに入ったようです~
Tubling@書籍化&コミカライズ決定
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第一章
3人で庭園の手入れ
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「校長!仲良くだなんてクラウディア先生に失礼ですからっ」
「ふーーん…………」
カールは私の為に言ってくれているんだろうけど、すっごく動揺しているみたいで校長が意味深な笑みを浮かべていた。
すぐに男女の仲にしたがる人っているのよね……特に校長は女性関係が派手な印象があるから気をつけなくちゃ。
「植物たちへの水やりを私がさせてもらっていたんです。あ、そうだ!校長もやります?我が学園の庭園は素晴らしいんですよ。一緒にどうですか?」
私はあえて彼を誘ってみた。
いつも身ぎれいにしている校長が、こういった汚れ仕事をするイメージがわかないので、きっと嫌がって戻っていくだろうと思ったのだ。
でも私の推察はすぐに一蹴されてしまう。
「いいね、私も交ぜてほしいって思っていたんだ。クラウディア先生から誘ってくれるなんて嬉しいな~」
「あ、じゃあ校長はこちらのホースで……」
校長が嬉しそうに私に近づいて来そうだったのをカールがその辺にあるホースを校長に渡して、違う方向へ促してくれた。
助かったーーダンティエス校長はいつも笑顔で物腰が柔らかいしニコニコしている事が多いんだけど、何か思惑がありそうな笑顔でなかなか校長との仲を深める事が出来ずにいた。
上司と仲が悪いとやりにくいし仲良くしておくに越したことはないとは思うけど……どうしてこんな作ったような笑顔を見せるのだろう。理事長と兄弟だけあってとても美しい顔の造りだし、ダンティエス校長はとにかく女性から人気がある。
ここまでモテたら、普通の男性は喜ぶものではないのかな。
ゲーム中のクラウディア先生はあまり校長と交流しているところは出てこなかったので、設定上は特に何もなさそうだった。
転生して気付いたのは、こちらの世界では特に校長との交流がかなり多くて、向こうから声をかけてくる事が本当に多いのだ。
廊下を歩いていても突然現れて声をかけられるし、資料室に資料を取りに行った時も気配もなく手伝いに入ってきたり……ダンティエス校長は闇魔法の持ち主だから、それっぽい魔法で自分の気配を消したり人の気配を察知したり出来るのかな。
お顔も美しいしキラキラ効果が物凄いので、どう対応していいのか分からなかった。
クラウディア先生ならどうやって対応していたんだろう。
私が水やりをしながらそんな事を悶々と考えていると、後ろから私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「クラウディア先生!水やりはその辺にして、次は枝の剪定をしませんか?」
「枝の剪定!いいわね、やってみたい!」
「いいね、僕も一緒にやるよ。人数多い方が早く終わるだろうし」
さすがに枝の剪定は校長はやらないかな?と思っていたのだけど、思いの外やる気満々で3人で一緒にやる事になったのだった。
「どの枝を切るんだい?」
「この枝は…………」
普段はおちゃらけている感じの校長だけど、カールのお仕事を真剣に手伝おうとしていて、なかなか真面目なのね。
校長を見る目が一気に変わってきたわ。
「…………ここを切って……出来た!クラウディア先生、見てくれ。なかなかの出来じゃないか?」
す、凄い…………綺麗に剪定してる。王子様って教えたらすぐに出来てしまうものなのね。
「凄いです!私は植物に詳しくはないですけど、綺麗に剪定されている事だけは分かります。何でも出来てしまうんですね!」
「本当に凄いですよ!校長は植物を育てる才能がおありです!」
2人から褒めちぎられたダンティエス校長は、物凄く得意げになり、腕組みをし始めた。
そしてこちらに歩いてこようとした瞬間「いたっ」という声がしたかと思うと、ちょっとした枝が校長の髪に絡まって身動きが取れなくなってしまう。
「あ、待っててください。今取りに行きますので!」
私はそう言ってすぐに校長の元へ行き、薄いブルーの綺麗に束ねた髪に引っかかっている枝を丁寧に取ってあげようとしたのだけど、なかなか綺麗に取れずに苦戦してしまう。
「すみません、なかなか取れなくて……」
「んーー気にしなくていいよ。目の保養が出来るから」
ん?目の保養?何の事だろう――――そう思って校長の目線を見てみると、私の胸が校長の目の前にあり、じーっと見つめていたのだった。
「校長!どこ見てるんですかっ」
「こんなに魅力的なものが目の前にあるのに見ない男はいないと思うけど」
「な、だ、だからって……っ」
私は恥ずかしいやら何やらで、とにかく急いで枝を取り、校長から離れて胸を両手で保護する。いくら布で巻いているとは言え、クラウディア先生の胸はなかなかのボリュームなので、それが目の前にあれば見てしまうのは仕方ないかもしれないと、不覚にも納得してしまう自分もいる。
いや、だからって……恨めしそうに校長を見ていると、私の顔を見てふき出したのだった。
「あはっクラウディア先生の顔、なかなか面白い顔になっているよ。ふふふっ」
そう言って笑った校長の顔は、今まで見た中で一番素のダンティエス校長の笑顔で、思わず私は見惚れてしまう――――そんな笑顔も出来るんだ。
「……いつもそうやって笑ったらいいと思います。今、凄くいい顔をしてるのに勿体ないです」
校長は、私の言葉にとても驚いた顔をしていた。
「君は……ううん、そうだね」
「そうですよ」
「ふふっ」
自然な笑顔を見せるようになったダンティエス校長と、私とカールの3人で、その日は心ゆくまで庭園の手入れをし、皆土まみれになったけど楽しい時間を過ごしたのだった。
「ふーーん…………」
カールは私の為に言ってくれているんだろうけど、すっごく動揺しているみたいで校長が意味深な笑みを浮かべていた。
すぐに男女の仲にしたがる人っているのよね……特に校長は女性関係が派手な印象があるから気をつけなくちゃ。
「植物たちへの水やりを私がさせてもらっていたんです。あ、そうだ!校長もやります?我が学園の庭園は素晴らしいんですよ。一緒にどうですか?」
私はあえて彼を誘ってみた。
いつも身ぎれいにしている校長が、こういった汚れ仕事をするイメージがわかないので、きっと嫌がって戻っていくだろうと思ったのだ。
でも私の推察はすぐに一蹴されてしまう。
「いいね、私も交ぜてほしいって思っていたんだ。クラウディア先生から誘ってくれるなんて嬉しいな~」
「あ、じゃあ校長はこちらのホースで……」
校長が嬉しそうに私に近づいて来そうだったのをカールがその辺にあるホースを校長に渡して、違う方向へ促してくれた。
助かったーーダンティエス校長はいつも笑顔で物腰が柔らかいしニコニコしている事が多いんだけど、何か思惑がありそうな笑顔でなかなか校長との仲を深める事が出来ずにいた。
上司と仲が悪いとやりにくいし仲良くしておくに越したことはないとは思うけど……どうしてこんな作ったような笑顔を見せるのだろう。理事長と兄弟だけあってとても美しい顔の造りだし、ダンティエス校長はとにかく女性から人気がある。
ここまでモテたら、普通の男性は喜ぶものではないのかな。
ゲーム中のクラウディア先生はあまり校長と交流しているところは出てこなかったので、設定上は特に何もなさそうだった。
転生して気付いたのは、こちらの世界では特に校長との交流がかなり多くて、向こうから声をかけてくる事が本当に多いのだ。
廊下を歩いていても突然現れて声をかけられるし、資料室に資料を取りに行った時も気配もなく手伝いに入ってきたり……ダンティエス校長は闇魔法の持ち主だから、それっぽい魔法で自分の気配を消したり人の気配を察知したり出来るのかな。
お顔も美しいしキラキラ効果が物凄いので、どう対応していいのか分からなかった。
クラウディア先生ならどうやって対応していたんだろう。
私が水やりをしながらそんな事を悶々と考えていると、後ろから私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「クラウディア先生!水やりはその辺にして、次は枝の剪定をしませんか?」
「枝の剪定!いいわね、やってみたい!」
「いいね、僕も一緒にやるよ。人数多い方が早く終わるだろうし」
さすがに枝の剪定は校長はやらないかな?と思っていたのだけど、思いの外やる気満々で3人で一緒にやる事になったのだった。
「どの枝を切るんだい?」
「この枝は…………」
普段はおちゃらけている感じの校長だけど、カールのお仕事を真剣に手伝おうとしていて、なかなか真面目なのね。
校長を見る目が一気に変わってきたわ。
「…………ここを切って……出来た!クラウディア先生、見てくれ。なかなかの出来じゃないか?」
す、凄い…………綺麗に剪定してる。王子様って教えたらすぐに出来てしまうものなのね。
「凄いです!私は植物に詳しくはないですけど、綺麗に剪定されている事だけは分かります。何でも出来てしまうんですね!」
「本当に凄いですよ!校長は植物を育てる才能がおありです!」
2人から褒めちぎられたダンティエス校長は、物凄く得意げになり、腕組みをし始めた。
そしてこちらに歩いてこようとした瞬間「いたっ」という声がしたかと思うと、ちょっとした枝が校長の髪に絡まって身動きが取れなくなってしまう。
「あ、待っててください。今取りに行きますので!」
私はそう言ってすぐに校長の元へ行き、薄いブルーの綺麗に束ねた髪に引っかかっている枝を丁寧に取ってあげようとしたのだけど、なかなか綺麗に取れずに苦戦してしまう。
「すみません、なかなか取れなくて……」
「んーー気にしなくていいよ。目の保養が出来るから」
ん?目の保養?何の事だろう――――そう思って校長の目線を見てみると、私の胸が校長の目の前にあり、じーっと見つめていたのだった。
「校長!どこ見てるんですかっ」
「こんなに魅力的なものが目の前にあるのに見ない男はいないと思うけど」
「な、だ、だからって……っ」
私は恥ずかしいやら何やらで、とにかく急いで枝を取り、校長から離れて胸を両手で保護する。いくら布で巻いているとは言え、クラウディア先生の胸はなかなかのボリュームなので、それが目の前にあれば見てしまうのは仕方ないかもしれないと、不覚にも納得してしまう自分もいる。
いや、だからって……恨めしそうに校長を見ていると、私の顔を見てふき出したのだった。
「あはっクラウディア先生の顔、なかなか面白い顔になっているよ。ふふふっ」
そう言って笑った校長の顔は、今まで見た中で一番素のダンティエス校長の笑顔で、思わず私は見惚れてしまう――――そんな笑顔も出来るんだ。
「……いつもそうやって笑ったらいいと思います。今、凄くいい顔をしてるのに勿体ないです」
校長は、私の言葉にとても驚いた顔をしていた。
「君は……ううん、そうだね」
「そうですよ」
「ふふっ」
自然な笑顔を見せるようになったダンティエス校長と、私とカールの3人で、その日は心ゆくまで庭園の手入れをし、皆土まみれになったけど楽しい時間を過ごしたのだった。
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