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通報~千紗サイド~
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あたしは先生の話を聞いて愕然としていた。
そう言われれば、あたしも谷津先生をからかったことがあると思い出したのだ。
『先生はブスだから教卓に立たないでくださ~い!』
自分が先生に投げかけた言葉を思い出し、胸がギュッと痛くなった。
確か、あの日はいつも以上に谷津先生へとイジリが多い日だった。
みんな谷津先生にならなにを言ってもいいと思っていた。
先生が傷ついていることなんて、誰も想像できなかった。
「ごめんなさい……」
あたしは谷津先生を見下ろして、消え入りそうな声で言った。
谷津先生は口元に笑みを浮かべてあたしを見ている。
「いいのよ。だって私はもう美しくなったから。それに比べて今のあなたの顔、とっても醜いわよ?」
谷津先生はそう言って声を上げて笑い出した。
「今まではよかったわよね。可愛いから勉強だっておろそかにできた。先生たちからも贔屓されて、彼氏までいて。だけどこれから先は違うのよ。あなたも私と同じように生きていくの!」
谷津先生の笑い声にあたしは後ずさりをした。
確かにあたしは少し調子に乗っていたかもしれない。
いろんな男子生徒から告白されるし、勉強なんて面倒だと思っていた。
だけどそれは自分の見た目に胡坐をかいていたからじゃない。
単なる自分の性格だ。
「もういいよ。理由はわかったんだから、早く警察に通報しないと!」
郁乃の言葉にハッと我に返った。
そうだ、こんなところでぼんやり時間を使っている場合じゃない。
「そうだな」
久典はうなづき、スマホを取り出して警察に通報をしたのだった。
その間にも谷津先生は狂ったように笑い続けていたのだった。
☆☆☆
谷津先生が捕まってから一週間が経過していた。
谷津先生は警察署で自分の起こした事件を包み隠さず自供していると言う。
しかし、その間終始笑っていて異様な雰囲気になっているらしい。
開放された後すぐに入院したあたしだけど、まぶたの傷もよくなって退院していた。
傷口は塞がったが皮膚の引きつれがあったり、睫毛がなくなってしまっている。
それも、今後整形外科に通って直していく予定だ。
智恵理と栞の遺体、更には先生が言っていた他校の生徒の遺体は、山の中から発見された。
先生が最初に殺害した女子生徒はすでに白骨化が進んでいたということだった。
「千紗!」
校門をくぐったところで後方から声をかけられて振り向くと、久典が走ってくるところだった。
「久典、おはよう」
「おはよう。今日はいい天気だなぁ」
久典は空を見上げて目を細める。
あたしも同じように空を見上げてみると、目に眩しくて涙が出た。
「傷が痛むのか?」
「ううん、大丈夫」
2人して教室までの道のりを歩く。
あんなことがあったけれど、久典との関係は変わっていなかった。
むしろ、前よりも強固になった気がしている。
そしてもうひとつ、身の回りで変化したことがあった。
それは……。
「千紗、おはよう」
B組の教室に入って一番に声をかけてきたのは郁乃だ。
「おはよう郁乃」
同じ恐怖を経験したせいか、あたしと郁乃はクラスで一番の仲良しになっていたのだ。
あれだけ馬が合わないと思っていたから、自分の感情の変化に自分自身が一番驚いている。
「怪我、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
クラスメートたちはそんなあたしと郁乃を遠巻きに見つめている。
事件のことがあるから、なかなか話かけ辛いのだ。
特にあたしの場合は体の一部を切断されて顔が変化してしまった。
友人も目の前で2人失った。
そのショックが大きくて今まで学校を休んでいたのだ。
その間頻繁にメッセージをくれたのは郁乃と久典の2人だけだった。
あたしが教室へ入ってきた瞬間教室内がざわめいた。
怪我のことを言っているのか、事件のことを言っているのか、登校してきたことを驚いているのか。
あるいは、その全部かもしれない。
とにかく自分が今このクラス内で浮いた存在だということは認識できた。
居心地の悪さを感じながら自分の席に座り、智恵理と栞の席に視線を向けた。
2人の席には花瓶が置かれていて、白い花が飾られている。
2人の葬儀はすでに終わっているようだけれど、入院中のあたしは参列することができなかった。
「なにかあったら、すぐに俺に言えよ?」
ぼんやりと2人の机を見つめていたあたしに、久典が声をかけてくる。
「うん。ありがとう」
あたしはそう言って笑顔を見せた。
どんなことがあっても日常は戻ってくる。
そして明日へ向けて歩いていかないといけない。
今度は今までよりも真面目に。
ちゃんと生きていこう。
そう、心に誓ったのだった。
☆☆☆
あたしが学校に戻って一ヶ月が経過していた。
まぶたの引きつれを直す手術は成功し、随分マシに見える。
今は人工的な睫毛をつけているけれど、それもいずれ本物に変わっていくと思う。
それでも、朝自分の顔を鏡に映すと落胆してしまう自分がいる。
いくら手術に成功したと言っても、元通りの顔にはならない。
目は少し小さくなり、垂れてしまっていた。
「大丈夫よ千紗。十分に可愛いから」
気にしてジッと鏡を見ていると、脱衣所に入ってきた母親にそう声をかけられた。
そしてそのまま後ろから抱きしめられる。
背中に感じる暖かさに心が落ち着いていくのを感じる。
「うん。ありがとう」
こうして優しく励まされると前向きになれる気がする。
母親だけじゃなく、父親も久典もあたしのことを支えてくれている。
だから学校に復帰することもできたんだ。
今日もきっと大丈夫。
そう思って教室に入ったとき、教室内の雰囲気がいつもと違うことに気がついた。
「千紗、聞いた?」
郁乃が近づいてきてそう聞いてきたので、あたしはキョトンとして郁乃を見つめた。
なんのことだろう?
「今日転校生が来るんだって」
「え、このクラスに?」
「そうみたい」
そう言われて視線を智恵理と栞の机に向けると、いつの間にか花瓶は撤去されていた。
数えてみると机の数は1つだけ減っている。
それを見て思わず顔をしかめてしまった。
まだ事件から一ヶ月しかたっていないのに、もう過去のことになり始めている事実に焦燥感を覚える。
「……仕方ないよ。花瓶があると転校生だって気にするだろうし」
「うん。わかってる」
郁乃の言葉にうなづくが、それでもやはり納得できない心境だった。
あたしたちが経験したことは、本当にこのまま劣化していってしまうんだろうか。
それでいいんだろうか。
テスターの事件は谷津先生の悲痛な思いが原因だった。
先生がそんな気持ちになったのは、あたしたち生徒の責任でもある。
「あたしたちは絶対に忘れることはないから」
あたしの気持ちを理解するように郁乃が言った。
「うん」
「みんなが忘れても、あたしたちだけは……」
☆☆☆
それから20分後、噂通り転校生はこのクラスにやってきた。
このタイミングでの転校生に、先生も少し気まずそうな表情を浮かべている。
しかし、いつまでも転校生を廊下に待たせておくわけにもいかないので、その子が呼ばれるときが来た。
「転校生の飯田さんだ。入って」
「はい」
飯田さんと呼ばれた女子生徒が教室に入ってきた瞬間、みんなが言葉を失っていた。
凛とした鈴のような声。
そして姿を見せたその人は人形のように綺麗な子だったのだ。
スカートからスラリと伸びた長い足。
細い体に沿うようにして、胸まで流れる栗色の髪の毛。
少し釣り目で、長い睫毛。
プックリとした唇に、ピンク色に染まった頬。
そして透明感のある肌。
どれをとっても可愛くて美しいを思える少女だったのだ。
あたしも一瞬息を飲んでその少女に見ほれてしまったくらいだ。
「はじめまして。飯田桃花です。よろしくお願いします」
飯田さんがおじぎをするだけでそこに花が咲くような雰囲気。
クラス内からざわめきが湧き上がった。
特に男子たちの反応はあからさまで、頬を赤く染めていたり、直視できなくて視線をそらせたりしている。
「すっごい綺麗」
「可愛いよねぇ」
「このクラスでダントツじゃん」
そんな声が聞こえてきて、飯田さんはテレながら先生に教えられた席へ向かう。
そこは久典の隣の席で一瞬だけ嫌な予感が胸をよぎった。
横目で確認していると飯田さんは久典に教科書を借りている。
転校してきたばかりで教材がそろっていないのだから当然のことだった。
それでも、胸に広がっていく黒い感情。
あたしはその感情を見てみぬふりをして、先生へ視線を戻した。
どこからか「千紗があんなふうになっちゃったから、飯田さんもラッキーだよね」
という言葉が聞こえてきた……。
そう言われれば、あたしも谷津先生をからかったことがあると思い出したのだ。
『先生はブスだから教卓に立たないでくださ~い!』
自分が先生に投げかけた言葉を思い出し、胸がギュッと痛くなった。
確か、あの日はいつも以上に谷津先生へとイジリが多い日だった。
みんな谷津先生にならなにを言ってもいいと思っていた。
先生が傷ついていることなんて、誰も想像できなかった。
「ごめんなさい……」
あたしは谷津先生を見下ろして、消え入りそうな声で言った。
谷津先生は口元に笑みを浮かべてあたしを見ている。
「いいのよ。だって私はもう美しくなったから。それに比べて今のあなたの顔、とっても醜いわよ?」
谷津先生はそう言って声を上げて笑い出した。
「今まではよかったわよね。可愛いから勉強だっておろそかにできた。先生たちからも贔屓されて、彼氏までいて。だけどこれから先は違うのよ。あなたも私と同じように生きていくの!」
谷津先生の笑い声にあたしは後ずさりをした。
確かにあたしは少し調子に乗っていたかもしれない。
いろんな男子生徒から告白されるし、勉強なんて面倒だと思っていた。
だけどそれは自分の見た目に胡坐をかいていたからじゃない。
単なる自分の性格だ。
「もういいよ。理由はわかったんだから、早く警察に通報しないと!」
郁乃の言葉にハッと我に返った。
そうだ、こんなところでぼんやり時間を使っている場合じゃない。
「そうだな」
久典はうなづき、スマホを取り出して警察に通報をしたのだった。
その間にも谷津先生は狂ったように笑い続けていたのだった。
☆☆☆
谷津先生が捕まってから一週間が経過していた。
谷津先生は警察署で自分の起こした事件を包み隠さず自供していると言う。
しかし、その間終始笑っていて異様な雰囲気になっているらしい。
開放された後すぐに入院したあたしだけど、まぶたの傷もよくなって退院していた。
傷口は塞がったが皮膚の引きつれがあったり、睫毛がなくなってしまっている。
それも、今後整形外科に通って直していく予定だ。
智恵理と栞の遺体、更には先生が言っていた他校の生徒の遺体は、山の中から発見された。
先生が最初に殺害した女子生徒はすでに白骨化が進んでいたということだった。
「千紗!」
校門をくぐったところで後方から声をかけられて振り向くと、久典が走ってくるところだった。
「久典、おはよう」
「おはよう。今日はいい天気だなぁ」
久典は空を見上げて目を細める。
あたしも同じように空を見上げてみると、目に眩しくて涙が出た。
「傷が痛むのか?」
「ううん、大丈夫」
2人して教室までの道のりを歩く。
あんなことがあったけれど、久典との関係は変わっていなかった。
むしろ、前よりも強固になった気がしている。
そしてもうひとつ、身の回りで変化したことがあった。
それは……。
「千紗、おはよう」
B組の教室に入って一番に声をかけてきたのは郁乃だ。
「おはよう郁乃」
同じ恐怖を経験したせいか、あたしと郁乃はクラスで一番の仲良しになっていたのだ。
あれだけ馬が合わないと思っていたから、自分の感情の変化に自分自身が一番驚いている。
「怪我、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
クラスメートたちはそんなあたしと郁乃を遠巻きに見つめている。
事件のことがあるから、なかなか話かけ辛いのだ。
特にあたしの場合は体の一部を切断されて顔が変化してしまった。
友人も目の前で2人失った。
そのショックが大きくて今まで学校を休んでいたのだ。
その間頻繁にメッセージをくれたのは郁乃と久典の2人だけだった。
あたしが教室へ入ってきた瞬間教室内がざわめいた。
怪我のことを言っているのか、事件のことを言っているのか、登校してきたことを驚いているのか。
あるいは、その全部かもしれない。
とにかく自分が今このクラス内で浮いた存在だということは認識できた。
居心地の悪さを感じながら自分の席に座り、智恵理と栞の席に視線を向けた。
2人の席には花瓶が置かれていて、白い花が飾られている。
2人の葬儀はすでに終わっているようだけれど、入院中のあたしは参列することができなかった。
「なにかあったら、すぐに俺に言えよ?」
ぼんやりと2人の机を見つめていたあたしに、久典が声をかけてくる。
「うん。ありがとう」
あたしはそう言って笑顔を見せた。
どんなことがあっても日常は戻ってくる。
そして明日へ向けて歩いていかないといけない。
今度は今までよりも真面目に。
ちゃんと生きていこう。
そう、心に誓ったのだった。
☆☆☆
あたしが学校に戻って一ヶ月が経過していた。
まぶたの引きつれを直す手術は成功し、随分マシに見える。
今は人工的な睫毛をつけているけれど、それもいずれ本物に変わっていくと思う。
それでも、朝自分の顔を鏡に映すと落胆してしまう自分がいる。
いくら手術に成功したと言っても、元通りの顔にはならない。
目は少し小さくなり、垂れてしまっていた。
「大丈夫よ千紗。十分に可愛いから」
気にしてジッと鏡を見ていると、脱衣所に入ってきた母親にそう声をかけられた。
そしてそのまま後ろから抱きしめられる。
背中に感じる暖かさに心が落ち着いていくのを感じる。
「うん。ありがとう」
こうして優しく励まされると前向きになれる気がする。
母親だけじゃなく、父親も久典もあたしのことを支えてくれている。
だから学校に復帰することもできたんだ。
今日もきっと大丈夫。
そう思って教室に入ったとき、教室内の雰囲気がいつもと違うことに気がついた。
「千紗、聞いた?」
郁乃が近づいてきてそう聞いてきたので、あたしはキョトンとして郁乃を見つめた。
なんのことだろう?
「今日転校生が来るんだって」
「え、このクラスに?」
「そうみたい」
そう言われて視線を智恵理と栞の机に向けると、いつの間にか花瓶は撤去されていた。
数えてみると机の数は1つだけ減っている。
それを見て思わず顔をしかめてしまった。
まだ事件から一ヶ月しかたっていないのに、もう過去のことになり始めている事実に焦燥感を覚える。
「……仕方ないよ。花瓶があると転校生だって気にするだろうし」
「うん。わかってる」
郁乃の言葉にうなづくが、それでもやはり納得できない心境だった。
あたしたちが経験したことは、本当にこのまま劣化していってしまうんだろうか。
それでいいんだろうか。
テスターの事件は谷津先生の悲痛な思いが原因だった。
先生がそんな気持ちになったのは、あたしたち生徒の責任でもある。
「あたしたちは絶対に忘れることはないから」
あたしの気持ちを理解するように郁乃が言った。
「うん」
「みんなが忘れても、あたしたちだけは……」
☆☆☆
それから20分後、噂通り転校生はこのクラスにやってきた。
このタイミングでの転校生に、先生も少し気まずそうな表情を浮かべている。
しかし、いつまでも転校生を廊下に待たせておくわけにもいかないので、その子が呼ばれるときが来た。
「転校生の飯田さんだ。入って」
「はい」
飯田さんと呼ばれた女子生徒が教室に入ってきた瞬間、みんなが言葉を失っていた。
凛とした鈴のような声。
そして姿を見せたその人は人形のように綺麗な子だったのだ。
スカートからスラリと伸びた長い足。
細い体に沿うようにして、胸まで流れる栗色の髪の毛。
少し釣り目で、長い睫毛。
プックリとした唇に、ピンク色に染まった頬。
そして透明感のある肌。
どれをとっても可愛くて美しいを思える少女だったのだ。
あたしも一瞬息を飲んでその少女に見ほれてしまったくらいだ。
「はじめまして。飯田桃花です。よろしくお願いします」
飯田さんがおじぎをするだけでそこに花が咲くような雰囲気。
クラス内からざわめきが湧き上がった。
特に男子たちの反応はあからさまで、頬を赤く染めていたり、直視できなくて視線をそらせたりしている。
「すっごい綺麗」
「可愛いよねぇ」
「このクラスでダントツじゃん」
そんな声が聞こえてきて、飯田さんはテレながら先生に教えられた席へ向かう。
そこは久典の隣の席で一瞬だけ嫌な予感が胸をよぎった。
横目で確認していると飯田さんは久典に教科書を借りている。
転校してきたばかりで教材がそろっていないのだから当然のことだった。
それでも、胸に広がっていく黒い感情。
あたしはその感情を見てみぬふりをして、先生へ視線を戻した。
どこからか「千紗があんなふうになっちゃったから、飯田さんもラッキーだよね」
という言葉が聞こえてきた……。
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