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珠美の告白
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すべての話を聞こ終えた後、奈穂は震える両手で自分の顔を覆った。
まさかそんなことがあったなんて、自分はなにも知らずにのうのうと過ごしてきたのだと思うと、過去の自分を殴りたい気分だった。
もしも過去の自分がなにか少しでも知っていれば、そして行動していれば違った未来が来たかも知れないのに。
「一浩のイジメを誘発させたんだね」
奈穂は青い顔で横になっている豊へ向けて聞いた。
豊は小さく頷く。
首の傷はたいしたことなさそうに見えるけれど、苦しそうだ。
「どうしてちそんなことしたの?」
「千秋のことが怖くて……イジメることで黙らせようと思った」
最低だ。
なにもかもが最低だった。
自分が万引をして、それをバラされないようにするためにイジメを誘発させた。
「それって最低だよ」
奈穂の声が震える。
悲しみとか、憎しみとか、いろいろな感情が混ざりああって今の気持ちを表すことも難しい。
「俺だって……今までずっと真面目にやってきた。それが崩れるのが……嫌だったんだ」
豊は切れ切れの声で呟く。
そう、豊は真面目な生徒だった。
生活態度も成績も悪くない。
友だちだってたくさんいる。
「じゃあどうして万引なんてしたの?」
奈穂が質問したとき、豊の体がパッと消えるように灰になった。
そこにいたはずの豊の姿は消えて、珠美のスカートのかけらだけが取り残される。
「外に出たんだ!」
珠美が叫んだのとほぼ同時にチョークがひとりでに動き出した。
『望月豊は外へ出ました』
この文字が本当かどうかわからない。
奈穂は視線を黒板の上にある時計へやった。
時間が進んでいる。
あれほどのんびりとした動きだった針が、今は4時を過ぎたところにある。
ハッと息を飲んで窓の外へ視線を向けると、外は少しだけ明るくなりはじめていた。
「やった! 夜明けが近づいてきてる!」
ふたりで窓へとかけより、街の景色を確認する。
そこには確かに見慣れた町並みがあった。
なにも変わらない景色の中には早朝のランニングをする人の姿や、犬の散歩をする人、新聞を配達しているバイクの姿がある。
なにもかもが通常通りに動いていることに心の底から安堵した。
これならきっと助けが来てくれるだろう。
安心したそのときだった。
珠美がその場にずるずると座り込んでしまったのだ。
「珠美、大丈夫?」
奈穂が珠美の体を支えて近くの椅子に座らせる。
珠美はぐったりとした様子で机に突っ伏してしまった。
奈穂はそんな珠美を心配しながら時計に視線を向けた。
豊が告白して自殺したから、随分と針は進んでいる。
でも、その状態でまた進みが鈍くなっているのだ。
今度は4時過ぎからほとんど進まなくなっている。
「もう、やることはわかってるよね?」
突っ伏している珠美に声をかけると珠美はビクリと体を震わせた。
そしてなにも聞きたくないという様子で両耳を塞ぐ。
「珠美、豊の話を聞いてる間中ずっと落ち着きがなかったよね?」
その問いかけに珠美が小さく息を飲む音が聞こえてきた。
必死でバレないように顔を隠しているけれど、その反応ですべてバレバレだ。
豊が話をしようとしたときにも珠美は動揺を見せていた。
だからきっと、豊の話の中に珠美が出てくるのだろうと奈穂は思っていたのだ。
けれど豊の話を聞き終えた今、それが間違いだったとわかった。
豊の話の中に珠美は出てこなかった。
わざと出場させなかったのかもしれない。
ここから先は珠美に聞けばわかると、豊が言っているような気がする。
「珠美、なにがあったのか話してくれる?」
奈穂からの問いかけに珠美は机に突っ伏したままで左右に首を振った。
まるで子供みたいにイヤイヤと駄々をこねている。
「このままじゃ時計は進まない。助けだってこないんだよ?」
強い口調でそう言うと、珠美がようやく顔をあげた。
その目にはまた涙が滲んでいる。
次は自分の番だとちゃんと理解しているから逃げ出したくなるんだ。
「大丈夫。聞いてるのは私と千秋だけだよ。他の誰にも絶対に言わない」
一浩も豊も誰にもバレたくないことをここで告白した。
珠美の場合もきっと同じだ。
「違うの。私は……こんな結果になるなんて知らなくて、だから……」
言い訳をぶつぶつと呟いていた珠美だけれど、しばらくすると諦めたように息を吸い込んだ。
そしてひと月前に起こったことを話始めたのだった。
☆☆☆
その日、奈穂と珠美は一緒に帰ろうと約束をしていた。
特別仲が言い訳ではなかったふたりだけれど、ここ数週間で距離が縮まる出来事があったのだ。
それは偶然行った映画館での出来事だった。
沢山席がある中で、奈穂は偶然珠美の隣の席に座った。
そして買っていたジュースが同じ種類のものだったのだ。
小さな偶然が重なったことが嬉しくなってふたりはよく話すようになった。
話してみれば映画の趣味が同じで、奈穂が見ている映画を珠美も見ていることがわかった。
「今度公開のミステリー映画、見に行くよね?」
この日も映画の話がしたくてふたりは一緒に帰る約束をしていたのだ。
ふたりで教室から出たタイミングで、さっそく珠美が奈穂に映画の話題を振った。
「もちろん! 一緒に行く?」
「行く行く! 絶対に見逃せないもんね」
ふたりで新作映画について盛り上がっていたところに、後ろから豊が声をかけてきたのだ。
「珠美」
そう言われてふたり同時に振り向いた。
豊が少し顔を赤らめて立っているのを見て、奈穂は感づくことがあった。
クラスメートの豊が珠美に声をかけるときには必ず頬が赤くなることに気がついていたのだ。
きっと、豊は珠美のことが好きだ。
「なに?」
足を止めて珠美が首をかしげる。
「あの、えっと……」
豊は途端にしどろもどろになって口ごもる。
そして奈穂へ視線を向けた。
奈穂は軽くウインクをして見せる。
豊は今日勇気を出そうとしているのだということがわかったからだ。
「珠美、映画の約束はメッセージで送ってくれる? 私先に帰るね」
「え?」
まだ事態を把握していない珠美は帰っていく奈穂と豊を交互に見つめる。
けれど結局奈穂を追いかけることはしなかった。
目の前に立つ豊がとても真剣な表情をしていたから、ちゃんと話を聞かなきゃいけないと思ったからだ。
「少し話せる?」
「うん」
珠美は頷いて豊について行ったのだった。
☆☆☆
グラウンドや部室棟では掛け声や楽器の音が聞こえてきている。
そんな中、豊と珠美のふたりは校舎のひと気のない渡り廊下へ来ていた。
自分たち以外に誰も居ない空間に珠美はなんとなく落ち着かない気持ちになる。
こうして男子と一緒にいることなんてほとんど経験がない。
奈穂も一緒にいてくれれば心強かったのに。
そう思って手悪さを始めたときだった。
「俺、豊だけど」
「うん、わかってる」
珠美は頷く。
どうしてここで自己紹介をするのかよくわからなかった。
豊は「知ってるよな」と、頭をかいた。
「もちろん。だって同じクラスだし」
入学したばかりというわけでもないし、自己紹介をする必要なんてない。
豊はこのとききっと緊張していたんだと思う。
「そ、そうだよな。変なこと言ってごめん」
「いいけど、私になにか用事?」
珠美は自分の両手の指を握りしめて質問する。
さっきから居心地が悪くて仕方ない。
奈穂はもう家に帰ってしまっただろうか。
「あ、あのさ俺……」
豊が大きく息を吸い込む。
そして吐き出すと同時に「珠美のことが好きなんだ!」と、叫ぶように告白したのだ。
え……?
驚きすぎて珠美の思考回路は停止する。
頭の中は真っ白になって、なにも考えられ
なくなった。
目の前に立つ豊の顔は耳まで真っ赤にそまって、嘘をついているようには見えなかった。
「私のことが……?」
珠美は自分を指差して質問していた。
豊は何度も頷く。
「嘘、そんなことあるはずないじゃん」
自然と珠美の口からはそんな言葉が漏れて、自嘲気味に笑っていた。
「だって、今まで誰からも告白なんてされた経験ないよ? 顔もスタイルもよくないし、気に入られる要素なんてないじゃん? あ、もしかしてドッキリで、誰か見てたりする?」
珠美は緊張をほぐすように早口で言った。
実際に告白をされるのはこれが初めての経験だった。
心臓はドクドクと高鳴るけれど、期待しちゃいけないと警笛が鳴っている。
そんな珠美を見て豊は痛そうに顔をしかめた。
「なんでそんなこと言うんだよ? 珠美は可愛いよ」
可愛い。
その言葉にまた珠美の頭は真っ白になってしまいそうになる。
そんな風に異性から褒められた経験も今までなかった。
小学校時代にはひときわ小柄だったことから、乱暴な男子生徒からイジメられた経験ならある。
女子たちはかばってくれたけれど、男子たちはみんな知らん顔だった。
だから、自分はそんなものなのだと思っていた。
男子から好かれる日がくるなんて、想像もしてこなかった。
「……本当なの?」
探るように質問すると、豊は何度も頷いた。
「本当だよ。ドッキリでもなんでもない」
豊が言う通り、周囲に誰かが潜んでいるような気配はなかった。
そこでようやく豊の告白が本物なのだと理解した。
理解した瞬間心臓がドクドクと早鐘を打ち始めて、喉がカラカラに乾いてくる。
「なんで、私なの?」
自分が男なら、きっと隣りにいた奈穂に声をかける。
奈穂はクラスで1番と言えるくらいの美人だ。
自分ではその自覚がないようでだけれど、クラスの男子の半分くらいが奈穂に憧れていることを知っている。
「なんでって……なんか、すごく可愛いと思ったから」
また可愛いと言われて、珠美の頬が赤く染まる。
異性にここまで外見を褒められるなんて、きっとこれから先もないことだと感じた。
戸惑いの後に嬉しさがこみ上げてくる。
昔から自分に自信がなかったけれど、こんな自分を好きになってくれる人もいるんだとわかった。
「だから、付き合ってほしくて」
豊の言葉は珠美にとっては夢の中のようなものだった。
自分は今夢を見ているのかもしれない。
目が覚めてしまえばなにもかもが終わるかもしれない。
そんな不安まで胸によぎった。
でもこれは現実に起こっていることで、すべてがリアルだった。
相手と自分の呼吸音とか、ちょっとした風の動きがこれは現実だと告げている。
私も……。
そう口が動きかけたとき、ふと珠美は動きを止めた。
告白は嬉しいけれど、自分は豊のことが好きなんだろうか?
今の勢いでOKしてしまいそうになったけれど、実際はよくわからない。
だって今まで豊のことを意識したことなんて1度もなかったんだから。
珠美は返事に困って黙り込んでしまった。
褒められることも告白されることも嬉しくて、自分の気持を置いてけぼりにしてしまった。
「ダメかな?」
長く続く沈黙に耐えかねた様子で豊が聞く。
「ダメというか……」
少し時間がほしい。
そう思ったときだった。
ふと珠美の脳裏に豊を試してみたいと思う感情が芽生えた。
自分を好きだと言っているこの人は、自分のためにどこまでしてくれるだろう。
それは珠美が好きで見ていた映画の内容でもあった。
好きな女性が誘拐されて、果敢にも助け出す男性。
内容はミステリー寄りだったけれど今ならそれが再現できるんじゃないかと考えたのだ。
だけど都合よく自分がピンチに陥ることは難しい。
だから……。
「私、どうしても欲しいものがあるの」
探るように豊へそう言ったのだ。
「欲しい物?」
豊は首を傾げつつも、珠美の言葉に耳を傾けている。
「そう、この香水なんだけど」
スマホ画面で高級な香水の写真を表示させて、豊へ見せた。
本当に欲しいと思っているものではなくて、単純に瓶が可愛くて写真に収めただけのものだった。
これを待受にしていたのだ。
「これってブランドものの香水だよな?」
豊が香水について知っていたことには驚いた。
「よく知ってるね?」
「母親が好きなブランドなんだ」
そういえば豊の家は裕福なのだと噂で聞いたことがあった。
母親はブランド物を好んで持つタイプなのかもしれない。
「私もこれが欲しいの。プレゼントしてくれない?」
「これって確か何万もするよな? 俺はまだ中学生だから……」
「やっぱり無理かな? じゃあ、付き合うのも辞めておこうかな」
ちょっとしたいたずら心だった。
自分のことを好きだと言ってくれる希少な男がどこまでしてくれるか、見たかっただけだ。
実際に香水がほしかったわけでもない。
香水を手に入れることができなかったとしても、努力したという証明がほしかった。
「いや、頑張ってみるよ」
「本当に?」
どうせ無理だと思っていた。
豊が言っていた通り中学生に購入できるような品物じゃない。
豊が試行錯誤している間に自分は答えを出すつもりだった。
それがまさか……。
数日後、珠美はまた豊に呼び出されて渡り廊下へ来ていた。
今日もそこは相変わらずひと気がない。
「これ、約束の香水」
そう言って差し出された香水の箱に珠美は固まってしまった。
受け取ることができずに、ジッと見つめる。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
我に返って笑顔を浮かべて香水を手に取る。
それはラッピングもされていなければ、お店の袋にも入っていなかった。
だからこのときにおかしいと気がつくべきだったんだ。
だけど珠美は豊が自分のためにここまでしてくれたことに驚いて、気がつくことができなかった。
冷静になればおかしなところなんて沢山あったのに。
「ありがとう。私のために頑張ってくれたんだね」
なにをどう頑張ったのか、なんて考えなかった。
ただ豊の家は裕福だから両親に頼んだのかなとか、その程度のことしか思わなかった。
まさか香水を盗んでいたなんて。
それがキッカケになって千秋がイジメられていたなんて……珠美は知らなかった。
☆☆☆
すべてを吐き出した珠美は泣きじゃくっていた。
手の甲で何度涙をぬぐってもこぼれ落ちてくるそれは、机の上に水たまりを作っていた。
「まさか万引してきたなんて思わなかった。私はなにも知らなかったの!」
それは叫び声に近くて、どこかにいる千秋へ向けられている言葉だった。
奈穂は沈痛な表情でそれを見ている。
珠美はきっと悪気はなかったんだと思う。
けれど千秋から白羽の矢が立てられて、ここへ来てしまった。
「……どうして豊の気持ちを確かめるようなことしたの?」
「だ、だって……」
珠美は何度もしゃくりあげる。
その視界は涙で歪みっぱなしで、奈穂の顔もよく見えていなかった。
「私のこと好きって言ってもらえて、嬉しくて……」
それで、ちょっと試してみたくなった。
どれくらい好きなのか。
その気持が本物なのか。
今思えば滑稽だけれど、異性に告白された経験がなかった珠美には大きな出来事だったんだ。
「だからってそんな!」
「奈穂にはわからないよ!」
珠美の声に奈穂の声がかき消された。
珠美が奈穂を睨みつける。
「美人でスタイルもよくて、男子からも女子からも人気があって。そんな奈穂にわかるわけがない!」
「そんな……」
珠美の勢いに圧倒されて後ずさりをする。
珠美がそんな風に思っていたなんてショックだった。
珠美とはいい友達になれたと思っていたから。
だけど珠美の中ではそんな劣等感が育っていたんだろうか。
そう思うと胸が痛む。
「私は昔から好きになっても成就してこなかった。好きになった人には必ず別に好きな人がいた。その相手は決まって奈穂みたいに見た目のいい人気者で……」
「そ、そんなのただの偶然じゃない?」
キッと鋭い視線が飛んでくる。
「偶然? 本当にそう思う?」
奈穂は答えられない。
それほど恋愛の興味のない奈穂には、恋人ができない、思いが通じない辛さがわからない。
そんなことを言えばきっと珠美は逆上してしまうだろう。
モテているから言えることだと責められるかもしれない。
だから、言えない。
「私は私のことを一番よく理解してる。私はブスでスタイルも悪くて、だから選ばれないの!」
「珠美……!」
否定したいけれどできなかった。
珠美になにを言われるかわからなくて、怖くて。
「そんな私のことを豊を好きだって言ってくれた。少しくらい試してみたっていいじゃない!?」
奈穂はもうなにも言えなかった。
なにかを言っても珠美にはきっと聞こえない。
ただ、珠美がつらい経験をしてきて、それが心の中にヘドロのように蓄積していたのであろうということは、理解できた。
「だから許してよ千秋! あんたにだってどうせ私の気持ちはわからないんだから!」
誰もいない空間へそう叫んだときだった。
教卓の上のナイフがカタカタと揺れた。
珠美がハッと息を飲んでそちらへ視線を向ける。
その目は怯えて揺れていた。
「いや……それだけは嫌!」
ナイフが珠美へ飛びかかってくる前に珠美は教室後方へ逃げていた。
机の下に身を隠す。
ナイフはそれに釣られるようにして珠美の元へ飛んでいった。
ビュンッと風音がする速さであっという間に珠美に追いついた。
「いやぁ!!」
珠美はナイフを振り払おうとがむしゃらに両手を振り回した。
その右手にナイフがベッタリと張り付いてしまう。
「嫌、嫌だってば!」
机の下から出てきた珠美が泣きじゃくって暴れる。
机にぶつかってあちこちになぎ倒しながらナイフを手から離そうと必死だ。
それでもナイフは珠美の右手から離れることはなかった。
「珠美……」
奈穂はどうにか珠美を落ち着かせたいが、ナイフを持って暴れているので近づくこともできない。
「どうして私が悪いの? イジメてたのは一浩じゃんそのキッカケを作って嘘をついたのは豊じゃん! 悪いのは私じゃない!」
悲痛な叫び声を上げた次の瞬間、珠美は自分の首にナイフを刺していた。
その場で動きを止めて棒立ちになる。
目だけが奈穂を見ていた。
「奈……穂」
枯れた声で珠美が呼ぶ。
奈穂は今すぐ視線を外してしまいたいのをどうにか堪えて、珠美へ近づいた。
珠美の体は指先がすでに灰に代わって消えていた。
「次は……奈穂の……番」
珠美はそう言い残すと、パッと灰を残して消えてしまったのだった。
まさかそんなことがあったなんて、自分はなにも知らずにのうのうと過ごしてきたのだと思うと、過去の自分を殴りたい気分だった。
もしも過去の自分がなにか少しでも知っていれば、そして行動していれば違った未来が来たかも知れないのに。
「一浩のイジメを誘発させたんだね」
奈穂は青い顔で横になっている豊へ向けて聞いた。
豊は小さく頷く。
首の傷はたいしたことなさそうに見えるけれど、苦しそうだ。
「どうしてちそんなことしたの?」
「千秋のことが怖くて……イジメることで黙らせようと思った」
最低だ。
なにもかもが最低だった。
自分が万引をして、それをバラされないようにするためにイジメを誘発させた。
「それって最低だよ」
奈穂の声が震える。
悲しみとか、憎しみとか、いろいろな感情が混ざりああって今の気持ちを表すことも難しい。
「俺だって……今までずっと真面目にやってきた。それが崩れるのが……嫌だったんだ」
豊は切れ切れの声で呟く。
そう、豊は真面目な生徒だった。
生活態度も成績も悪くない。
友だちだってたくさんいる。
「じゃあどうして万引なんてしたの?」
奈穂が質問したとき、豊の体がパッと消えるように灰になった。
そこにいたはずの豊の姿は消えて、珠美のスカートのかけらだけが取り残される。
「外に出たんだ!」
珠美が叫んだのとほぼ同時にチョークがひとりでに動き出した。
『望月豊は外へ出ました』
この文字が本当かどうかわからない。
奈穂は視線を黒板の上にある時計へやった。
時間が進んでいる。
あれほどのんびりとした動きだった針が、今は4時を過ぎたところにある。
ハッと息を飲んで窓の外へ視線を向けると、外は少しだけ明るくなりはじめていた。
「やった! 夜明けが近づいてきてる!」
ふたりで窓へとかけより、街の景色を確認する。
そこには確かに見慣れた町並みがあった。
なにも変わらない景色の中には早朝のランニングをする人の姿や、犬の散歩をする人、新聞を配達しているバイクの姿がある。
なにもかもが通常通りに動いていることに心の底から安堵した。
これならきっと助けが来てくれるだろう。
安心したそのときだった。
珠美がその場にずるずると座り込んでしまったのだ。
「珠美、大丈夫?」
奈穂が珠美の体を支えて近くの椅子に座らせる。
珠美はぐったりとした様子で机に突っ伏してしまった。
奈穂はそんな珠美を心配しながら時計に視線を向けた。
豊が告白して自殺したから、随分と針は進んでいる。
でも、その状態でまた進みが鈍くなっているのだ。
今度は4時過ぎからほとんど進まなくなっている。
「もう、やることはわかってるよね?」
突っ伏している珠美に声をかけると珠美はビクリと体を震わせた。
そしてなにも聞きたくないという様子で両耳を塞ぐ。
「珠美、豊の話を聞いてる間中ずっと落ち着きがなかったよね?」
その問いかけに珠美が小さく息を飲む音が聞こえてきた。
必死でバレないように顔を隠しているけれど、その反応ですべてバレバレだ。
豊が話をしようとしたときにも珠美は動揺を見せていた。
だからきっと、豊の話の中に珠美が出てくるのだろうと奈穂は思っていたのだ。
けれど豊の話を聞き終えた今、それが間違いだったとわかった。
豊の話の中に珠美は出てこなかった。
わざと出場させなかったのかもしれない。
ここから先は珠美に聞けばわかると、豊が言っているような気がする。
「珠美、なにがあったのか話してくれる?」
奈穂からの問いかけに珠美は机に突っ伏したままで左右に首を振った。
まるで子供みたいにイヤイヤと駄々をこねている。
「このままじゃ時計は進まない。助けだってこないんだよ?」
強い口調でそう言うと、珠美がようやく顔をあげた。
その目にはまた涙が滲んでいる。
次は自分の番だとちゃんと理解しているから逃げ出したくなるんだ。
「大丈夫。聞いてるのは私と千秋だけだよ。他の誰にも絶対に言わない」
一浩も豊も誰にもバレたくないことをここで告白した。
珠美の場合もきっと同じだ。
「違うの。私は……こんな結果になるなんて知らなくて、だから……」
言い訳をぶつぶつと呟いていた珠美だけれど、しばらくすると諦めたように息を吸い込んだ。
そしてひと月前に起こったことを話始めたのだった。
☆☆☆
その日、奈穂と珠美は一緒に帰ろうと約束をしていた。
特別仲が言い訳ではなかったふたりだけれど、ここ数週間で距離が縮まる出来事があったのだ。
それは偶然行った映画館での出来事だった。
沢山席がある中で、奈穂は偶然珠美の隣の席に座った。
そして買っていたジュースが同じ種類のものだったのだ。
小さな偶然が重なったことが嬉しくなってふたりはよく話すようになった。
話してみれば映画の趣味が同じで、奈穂が見ている映画を珠美も見ていることがわかった。
「今度公開のミステリー映画、見に行くよね?」
この日も映画の話がしたくてふたりは一緒に帰る約束をしていたのだ。
ふたりで教室から出たタイミングで、さっそく珠美が奈穂に映画の話題を振った。
「もちろん! 一緒に行く?」
「行く行く! 絶対に見逃せないもんね」
ふたりで新作映画について盛り上がっていたところに、後ろから豊が声をかけてきたのだ。
「珠美」
そう言われてふたり同時に振り向いた。
豊が少し顔を赤らめて立っているのを見て、奈穂は感づくことがあった。
クラスメートの豊が珠美に声をかけるときには必ず頬が赤くなることに気がついていたのだ。
きっと、豊は珠美のことが好きだ。
「なに?」
足を止めて珠美が首をかしげる。
「あの、えっと……」
豊は途端にしどろもどろになって口ごもる。
そして奈穂へ視線を向けた。
奈穂は軽くウインクをして見せる。
豊は今日勇気を出そうとしているのだということがわかったからだ。
「珠美、映画の約束はメッセージで送ってくれる? 私先に帰るね」
「え?」
まだ事態を把握していない珠美は帰っていく奈穂と豊を交互に見つめる。
けれど結局奈穂を追いかけることはしなかった。
目の前に立つ豊がとても真剣な表情をしていたから、ちゃんと話を聞かなきゃいけないと思ったからだ。
「少し話せる?」
「うん」
珠美は頷いて豊について行ったのだった。
☆☆☆
グラウンドや部室棟では掛け声や楽器の音が聞こえてきている。
そんな中、豊と珠美のふたりは校舎のひと気のない渡り廊下へ来ていた。
自分たち以外に誰も居ない空間に珠美はなんとなく落ち着かない気持ちになる。
こうして男子と一緒にいることなんてほとんど経験がない。
奈穂も一緒にいてくれれば心強かったのに。
そう思って手悪さを始めたときだった。
「俺、豊だけど」
「うん、わかってる」
珠美は頷く。
どうしてここで自己紹介をするのかよくわからなかった。
豊は「知ってるよな」と、頭をかいた。
「もちろん。だって同じクラスだし」
入学したばかりというわけでもないし、自己紹介をする必要なんてない。
豊はこのとききっと緊張していたんだと思う。
「そ、そうだよな。変なこと言ってごめん」
「いいけど、私になにか用事?」
珠美は自分の両手の指を握りしめて質問する。
さっきから居心地が悪くて仕方ない。
奈穂はもう家に帰ってしまっただろうか。
「あ、あのさ俺……」
豊が大きく息を吸い込む。
そして吐き出すと同時に「珠美のことが好きなんだ!」と、叫ぶように告白したのだ。
え……?
驚きすぎて珠美の思考回路は停止する。
頭の中は真っ白になって、なにも考えられ
なくなった。
目の前に立つ豊の顔は耳まで真っ赤にそまって、嘘をついているようには見えなかった。
「私のことが……?」
珠美は自分を指差して質問していた。
豊は何度も頷く。
「嘘、そんなことあるはずないじゃん」
自然と珠美の口からはそんな言葉が漏れて、自嘲気味に笑っていた。
「だって、今まで誰からも告白なんてされた経験ないよ? 顔もスタイルもよくないし、気に入られる要素なんてないじゃん? あ、もしかしてドッキリで、誰か見てたりする?」
珠美は緊張をほぐすように早口で言った。
実際に告白をされるのはこれが初めての経験だった。
心臓はドクドクと高鳴るけれど、期待しちゃいけないと警笛が鳴っている。
そんな珠美を見て豊は痛そうに顔をしかめた。
「なんでそんなこと言うんだよ? 珠美は可愛いよ」
可愛い。
その言葉にまた珠美の頭は真っ白になってしまいそうになる。
そんな風に異性から褒められた経験も今までなかった。
小学校時代にはひときわ小柄だったことから、乱暴な男子生徒からイジメられた経験ならある。
女子たちはかばってくれたけれど、男子たちはみんな知らん顔だった。
だから、自分はそんなものなのだと思っていた。
男子から好かれる日がくるなんて、想像もしてこなかった。
「……本当なの?」
探るように質問すると、豊は何度も頷いた。
「本当だよ。ドッキリでもなんでもない」
豊が言う通り、周囲に誰かが潜んでいるような気配はなかった。
そこでようやく豊の告白が本物なのだと理解した。
理解した瞬間心臓がドクドクと早鐘を打ち始めて、喉がカラカラに乾いてくる。
「なんで、私なの?」
自分が男なら、きっと隣りにいた奈穂に声をかける。
奈穂はクラスで1番と言えるくらいの美人だ。
自分ではその自覚がないようでだけれど、クラスの男子の半分くらいが奈穂に憧れていることを知っている。
「なんでって……なんか、すごく可愛いと思ったから」
また可愛いと言われて、珠美の頬が赤く染まる。
異性にここまで外見を褒められるなんて、きっとこれから先もないことだと感じた。
戸惑いの後に嬉しさがこみ上げてくる。
昔から自分に自信がなかったけれど、こんな自分を好きになってくれる人もいるんだとわかった。
「だから、付き合ってほしくて」
豊の言葉は珠美にとっては夢の中のようなものだった。
自分は今夢を見ているのかもしれない。
目が覚めてしまえばなにもかもが終わるかもしれない。
そんな不安まで胸によぎった。
でもこれは現実に起こっていることで、すべてがリアルだった。
相手と自分の呼吸音とか、ちょっとした風の動きがこれは現実だと告げている。
私も……。
そう口が動きかけたとき、ふと珠美は動きを止めた。
告白は嬉しいけれど、自分は豊のことが好きなんだろうか?
今の勢いでOKしてしまいそうになったけれど、実際はよくわからない。
だって今まで豊のことを意識したことなんて1度もなかったんだから。
珠美は返事に困って黙り込んでしまった。
褒められることも告白されることも嬉しくて、自分の気持を置いてけぼりにしてしまった。
「ダメかな?」
長く続く沈黙に耐えかねた様子で豊が聞く。
「ダメというか……」
少し時間がほしい。
そう思ったときだった。
ふと珠美の脳裏に豊を試してみたいと思う感情が芽生えた。
自分を好きだと言っているこの人は、自分のためにどこまでしてくれるだろう。
それは珠美が好きで見ていた映画の内容でもあった。
好きな女性が誘拐されて、果敢にも助け出す男性。
内容はミステリー寄りだったけれど今ならそれが再現できるんじゃないかと考えたのだ。
だけど都合よく自分がピンチに陥ることは難しい。
だから……。
「私、どうしても欲しいものがあるの」
探るように豊へそう言ったのだ。
「欲しい物?」
豊は首を傾げつつも、珠美の言葉に耳を傾けている。
「そう、この香水なんだけど」
スマホ画面で高級な香水の写真を表示させて、豊へ見せた。
本当に欲しいと思っているものではなくて、単純に瓶が可愛くて写真に収めただけのものだった。
これを待受にしていたのだ。
「これってブランドものの香水だよな?」
豊が香水について知っていたことには驚いた。
「よく知ってるね?」
「母親が好きなブランドなんだ」
そういえば豊の家は裕福なのだと噂で聞いたことがあった。
母親はブランド物を好んで持つタイプなのかもしれない。
「私もこれが欲しいの。プレゼントしてくれない?」
「これって確か何万もするよな? 俺はまだ中学生だから……」
「やっぱり無理かな? じゃあ、付き合うのも辞めておこうかな」
ちょっとしたいたずら心だった。
自分のことを好きだと言ってくれる希少な男がどこまでしてくれるか、見たかっただけだ。
実際に香水がほしかったわけでもない。
香水を手に入れることができなかったとしても、努力したという証明がほしかった。
「いや、頑張ってみるよ」
「本当に?」
どうせ無理だと思っていた。
豊が言っていた通り中学生に購入できるような品物じゃない。
豊が試行錯誤している間に自分は答えを出すつもりだった。
それがまさか……。
数日後、珠美はまた豊に呼び出されて渡り廊下へ来ていた。
今日もそこは相変わらずひと気がない。
「これ、約束の香水」
そう言って差し出された香水の箱に珠美は固まってしまった。
受け取ることができずに、ジッと見つめる。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
我に返って笑顔を浮かべて香水を手に取る。
それはラッピングもされていなければ、お店の袋にも入っていなかった。
だからこのときにおかしいと気がつくべきだったんだ。
だけど珠美は豊が自分のためにここまでしてくれたことに驚いて、気がつくことができなかった。
冷静になればおかしなところなんて沢山あったのに。
「ありがとう。私のために頑張ってくれたんだね」
なにをどう頑張ったのか、なんて考えなかった。
ただ豊の家は裕福だから両親に頼んだのかなとか、その程度のことしか思わなかった。
まさか香水を盗んでいたなんて。
それがキッカケになって千秋がイジメられていたなんて……珠美は知らなかった。
☆☆☆
すべてを吐き出した珠美は泣きじゃくっていた。
手の甲で何度涙をぬぐってもこぼれ落ちてくるそれは、机の上に水たまりを作っていた。
「まさか万引してきたなんて思わなかった。私はなにも知らなかったの!」
それは叫び声に近くて、どこかにいる千秋へ向けられている言葉だった。
奈穂は沈痛な表情でそれを見ている。
珠美はきっと悪気はなかったんだと思う。
けれど千秋から白羽の矢が立てられて、ここへ来てしまった。
「……どうして豊の気持ちを確かめるようなことしたの?」
「だ、だって……」
珠美は何度もしゃくりあげる。
その視界は涙で歪みっぱなしで、奈穂の顔もよく見えていなかった。
「私のこと好きって言ってもらえて、嬉しくて……」
それで、ちょっと試してみたくなった。
どれくらい好きなのか。
その気持が本物なのか。
今思えば滑稽だけれど、異性に告白された経験がなかった珠美には大きな出来事だったんだ。
「だからってそんな!」
「奈穂にはわからないよ!」
珠美の声に奈穂の声がかき消された。
珠美が奈穂を睨みつける。
「美人でスタイルもよくて、男子からも女子からも人気があって。そんな奈穂にわかるわけがない!」
「そんな……」
珠美の勢いに圧倒されて後ずさりをする。
珠美がそんな風に思っていたなんてショックだった。
珠美とはいい友達になれたと思っていたから。
だけど珠美の中ではそんな劣等感が育っていたんだろうか。
そう思うと胸が痛む。
「私は昔から好きになっても成就してこなかった。好きになった人には必ず別に好きな人がいた。その相手は決まって奈穂みたいに見た目のいい人気者で……」
「そ、そんなのただの偶然じゃない?」
キッと鋭い視線が飛んでくる。
「偶然? 本当にそう思う?」
奈穂は答えられない。
それほど恋愛の興味のない奈穂には、恋人ができない、思いが通じない辛さがわからない。
そんなことを言えばきっと珠美は逆上してしまうだろう。
モテているから言えることだと責められるかもしれない。
だから、言えない。
「私は私のことを一番よく理解してる。私はブスでスタイルも悪くて、だから選ばれないの!」
「珠美……!」
否定したいけれどできなかった。
珠美になにを言われるかわからなくて、怖くて。
「そんな私のことを豊を好きだって言ってくれた。少しくらい試してみたっていいじゃない!?」
奈穂はもうなにも言えなかった。
なにかを言っても珠美にはきっと聞こえない。
ただ、珠美がつらい経験をしてきて、それが心の中にヘドロのように蓄積していたのであろうということは、理解できた。
「だから許してよ千秋! あんたにだってどうせ私の気持ちはわからないんだから!」
誰もいない空間へそう叫んだときだった。
教卓の上のナイフがカタカタと揺れた。
珠美がハッと息を飲んでそちらへ視線を向ける。
その目は怯えて揺れていた。
「いや……それだけは嫌!」
ナイフが珠美へ飛びかかってくる前に珠美は教室後方へ逃げていた。
机の下に身を隠す。
ナイフはそれに釣られるようにして珠美の元へ飛んでいった。
ビュンッと風音がする速さであっという間に珠美に追いついた。
「いやぁ!!」
珠美はナイフを振り払おうとがむしゃらに両手を振り回した。
その右手にナイフがベッタリと張り付いてしまう。
「嫌、嫌だってば!」
机の下から出てきた珠美が泣きじゃくって暴れる。
机にぶつかってあちこちになぎ倒しながらナイフを手から離そうと必死だ。
それでもナイフは珠美の右手から離れることはなかった。
「珠美……」
奈穂はどうにか珠美を落ち着かせたいが、ナイフを持って暴れているので近づくこともできない。
「どうして私が悪いの? イジメてたのは一浩じゃんそのキッカケを作って嘘をついたのは豊じゃん! 悪いのは私じゃない!」
悲痛な叫び声を上げた次の瞬間、珠美は自分の首にナイフを刺していた。
その場で動きを止めて棒立ちになる。
目だけが奈穂を見ていた。
「奈……穂」
枯れた声で珠美が呼ぶ。
奈穂は今すぐ視線を外してしまいたいのをどうにか堪えて、珠美へ近づいた。
珠美の体は指先がすでに灰に代わって消えていた。
「次は……奈穂の……番」
珠美はそう言い残すと、パッと灰を残して消えてしまったのだった。
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