不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

西羽咲 花月

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変化する自分自身

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まさか自分が担任の先生を脅すようなことができるなんて、夢にも思っていなかった。
日々蓄積されていた鬱憤が、今日の出来事で随分とスッキリとしていた。


「麻衣子、今日はなんだかご機嫌ね? 学校でいいことでもあった?」


夕食時、母親にそう聞かれて私は自分の頬を両手で包み込んだ。
気分が良くてつい笑顔がこぼれてしまうみたいだ。
食卓に並んでいるミートソースパスタに視線を落として左右に首をふる。


「別に、なにもないよ」


今日学校で起こった出来事を言うわけにはいかなくて、適当にごまかす。


「もしかして、ついに彼氏でもできた!?」


そう聞かれて思わず吹き出してしまいそうになった。


「そ、そんなわけないじゃん」


思わず大きな声で否定してしまい、なんだか少しさみしい気持ちになる。
これじゃあ自分には彼氏なんてできないと自分で信じ込んでいるように見える。
そんなやりとりを見て無言で夕飯を食べていて父親が手を止めた。


「彼氏なんて大学で作ればいい」


その声は冗談でもなんでもなく、本気の声だった。
表情も真剣だ。


「ちょっと、今のは冗談で言ってるのよ?」


母親がそうたしなめても、父親は表情を変えない。


「いいか麻衣子。高校で彼氏なんて作ってもどうせ長続きはしないんだ。そんな無駄なことに時間を使うくらいなら、ちゃんと勉強をしなさい」


まただ。
いつもの流れが始まって重たいため息を吐き出す。
今日はせっかくいい気分で帰ってきたのに、これじゃ台無しだ。

私は父親の話を聞き流しながらパスタを食べる。
さっきまでおいしかったはずの夕飯も、今では美味しさが半減してしまったようだ。
ご飯を食べ終えても父親からの勉強への説教はまだ続いていた。


「ねぇ、いい加減にしてよ」


思わず強い口調で言ってしまった。
母親と父親が同時に動きを止めて唖然とした表情で私を見つめている。
普段の私なら心の中で毒づいているだけで、それを決して口に出したりはしなかったからだろう。


「私だってちゃんと勉強してるし、息抜きは必要だと思うけど」


今度は少し穏やかな口調で言った。
喧嘩になったらそれも面倒だ。

私が父親に言い負かされることは目に見えているから。
父親は軽く咳払いをして私から視線を反らせると「そうか。勉強しているなら、まぁいいんだ」とぎこちない口調で言ったのだった。


☆☆☆

自室に戻った私は大きく息を吸い込み、両手で顔を覆ってベッドにダイブした。
まさか自分が父親へ向けてあんなことが言えるなんて思ってもいなかった。
両親から言われることを黙って聞いているだけだった自分が、久しぶりに自分の感情を口に出したのだ。

それはまるで自分じゃないみたいだった。
長年黙り込むことに慣れていた私が、少しずつ変化しようとしている。
それもこれも、不穏ラジオが聞こえ始めてからだった。

あのラジオのおかげで私は自分の気持を口に出し始めたのだ。
顔を覆っていた両手で今度は胸にふれる。
心臓がまだドキドキしているのがわかる。

学校内でも勇気を出して小高先生に言いたいことを言った。
これが本来の私の姿なんだと思う。
布団をかぶってギュッと目を閉じていると、またあの音楽が聞こえてきて私は目を閉じた。

不穏ラジオが聞こえてくるときにいつも聞こえてくる音楽はきっと番組のテーマソングなんだろう。
どこかで聞いたことがあるようで、実際には聞いたことがない。

耳馴染みはいいけれど覚えのない音楽だった。
私は頭まで布団をかぶった状態でその音楽に耳を傾ける。

今日で聞くのが3回目のラジオになるから、音楽もだんだん身にしみてきたようだ。
そのまま耳を済ませていると、いつものDJのの声が聞こえてきた。


【はいはーいみなさんこんばんは! 今夜もやってまいりました不穏ラジオのお時間です!】


いつものように軽快なその声を聞くとなんとなく心が安らいでいく。
同時に今日は誰のことを教えてくれるのだろうかと、胸がワクワクしてくるのだ。

だけど、このラジオは何度聞いてもDJの彼が自分の名前を言うことがない。
一体この声の主は誰なのか知りたい気持ちもあった。
なにせ私の生活を変えてくれた、恩人のような人なんだから。


【今日も今日とて! 大谷高校2年A組についての不穏要素を発表していきますよぉ!】


このラジオはどれくらいの人が聞いているんだろう?
私と同じように聞こえている人が、1人でもいるんだろうか。
そう考えてすぐに左右に首を振った。

同じ家に暮らしている両親にはこのラジオは聞こえていないのだ。
不穏ラジオを聞くにはきっとなにかしらの条件があって、それを満たしていないと聞くことは不可能なんだろう。
そしてその条件を、私は知らない間に満たしていたんだと思う。

私は特別な人間なんだ。
そう思うと自然と笑みが浮かんできた。


【今日の不穏な生徒の名前は……長野優!】


優の名前が出た瞬間思わず飛び起きていた。
布団をはねのけてベッドの上に座る。
教室で一番幅を利かせている優の不穏要素を知ることができれば、今の状況を大きく変えることだってできるかもしれないんだ。

なにをどう変化させたいのか。
それは今まで自分でも考えていないことだった。

でも、これはチャンスになるに違いない。
私はゴクリと唾を飲み込んで次の言葉を待つ。


【長野優と言えば、みなさん知っての通り美少女コンテストの優勝者! 最近はテレビに出演する回数もどんどん増えてきていて、学校内でもファンが多いみたいですね!】


DJの言葉に私は親指の爪を噛んだ。
そんな情報はいらない!
早く優の不穏要素を教えてほしかった。


【でも、そんな華々しい活躍をしている彼女でも、不穏要素を持っているんです! それも、特大級のね】


DJがもったいつけるように間を開ける。
その間の開け方も絶妙で、ラジオを聞いている人たちはみんな聞き入ってしまうんだろう。
私は呼吸をすることも忘れてラジオに耳を傾けていた。


【とびきり美人な彼女ですが……実は整形しているんです!!】


DJの声がひときわ大きくなり、私は思わず頭を押さえる。


DJの声が脳内でグワングワンと響き渡っている。


【ははっ。大きな声を出してすみません! でもこれってすごいことじゃないですか? これから更に有名になっていくはずの長野優が実は整形! これ、バレちゃったら今後の活動ができなくなっちゃうんじゃないかなぁ?】


DJの声は終始楽しげで、時折笑い声も混じっている。
優が整形……。
あれほど綺麗に整った顔をしているから、怪しいとは思っていた。

でも本当に整形だったなんて!
笑ってしまいそうになるのをどうにかこらえて考える。
これは確かに重大な不穏要素で間違いない。

これを利用すれば優すらも自分の手の中で踊らせることができるかもしれないんだ。
私はまだゴクリと唾を飲み込んだ。
でも、今までの不穏要素とは違って証拠を掴むことは難しい。

優の過去の写真を手に入れないといけないのだ。
そして整形で賞を勝ち取っている優が、昔の写真を残しているとも考えにくい。
色々と考えている間に不穏ラジオは終わっていて、頭の中は静寂に包まれていたのだった。


☆☆☆

翌日学校へ行くと珍しく優がすでに登校してきていた。
もちろん、腰巾着の涼子を従えている。


「優は今日も可愛いねぇ。お仕事忙しいのにちゃんと学校も来て、大変だよね?」


涼子が優の机の前で媚びるように話し掛けている。
その猫ナで声は聞いているだけで鳥肌が立つ。


しかし優は気分の良さそうな顔を浮かべて「今日は放課後にモデルの仕事が入ってるの。仕事は大変だけど、学校はちゃんと行きたいって言うと、マネージャーが私のためにスケジュールを組んでくれるんだよ」と、自信満々だ。


そんな優の話を面白がって他の生徒たちも優の机の周りに集まり始める。


「今日の仕事って雑誌のモデル?」

「男性モデルさんとかと一緒に撮影するの?」

「撮影現場の見学ってできないの?」


次から次に振ってくる質問に優は目を細めて答えていく。
その様子は他の子たちを見下しているようにしか見えなかったけれど、優に陶酔している生徒たちは気が付かない。
優がひとつ答える度にキャアキャア騒いで喜んでいる。

バッカみたい!
私はその光景に内心で毒づく。

優は整形で仕事を手に入れただけなのに、そんなことも知らずに騒ぐなんて。
どうにかして優の不穏要素を晒してやりたいけれど、やっぱりそれは簡単ではない。

整形の証拠を掴む方法なんて、私には持ち合わせていないから。
いつまでも騒がれ続けている優に、私は奥歯を噛み締めてうつむいたのだった。


☆☆☆

それからしばらくしてホームルームが開始された。
担任の小高先生は昨日のことなんて忘れてしまったかのようにいつもの調子で話し始める。
最近立て続けに起きている鳥殺しの件を持ち出して、犯人が近くにいるかもしれないから注意するようにと言ったあと、生徒たちを見回す。

小高先生は生徒に向けて小言を言う時、一旦その生徒たちの顔を眺めるのが常だった。
今日はどの生徒を吊し上げてやろうか。
そう考えているのが透けて見えているようだ。

だから生徒たちはみんな小高先生から視線をそらせる。
自分が標的にされてはかなわないから、できるだけ小高先生を見ないようにする。
だけど私は背筋を伸ばしてジッと先生を見つめた。

このホームルームの時間で何度も名前を出されてネチネチと小言を言われたことがある。
けれど小高先生は優と留伊に関しては何も言わないのだ。
クラス内の序列を理解していて、強い2人には楯突かないようにしているのがわかった。

その代わりに私みたいな順位の低い生徒が毎回槍玉に挙げられる。
でも、今日からは違う。

小高先生と視線がぶつかる。
一瞬、小高先生は獲物を見つけたハンターように口角をねじ上げた。
今日の標的を発見したとでもいうように。


その様子に私はスカートのポケットからスマホを取り出してこれみよがしに机の上に置いて見せた。
その仕草だけで小高先生の顔がサッと青ざめる。

すぐに視線がそらされて、わざとらしい咳払いを繰り返す。
するとホームルームはあと5分残っているというのに、教卓の上の出席簿を片付け始めたのだ。


「き、今日はこれくらいだ。気をつけるように」


口の中でもごもごと生徒たちへ声をかけると、そそくさと教室を出ていったのだった。


「今日の小高の小言ほとんどなかったね」


小高先生が出ていって十分時間が経ってから、そんな声が聞こえてきた。


「ほんとだよね。いつもはホームルームギリギリまで文句言うのにね」


「明日もあんな風にすぐに終わればいいよね」


女子生徒たちは清々しいような声色で喜んでいる。
私は立派な人助けをした気持ちになって胸を張る。
小高先生が小言を言わなかったのは私のおかげなんだよ。

これかさ先もずっと、私が弱みを握っている以上は小言なんて言わせない。
そう言ってみたい気持ちになる。

だけどもちろん内緒だ。
これは私だけに与えられた特権でもある。

小高先生についてはこれからもまだまだ利用できそうだ。
そう思っていたときだった。


「そういえばさぁ!」


やけにわざとらしく大きな声が教室に響いて私は自然と視線をそちらへ向けていた。
ニヤついた笑みを浮かべる涼香と視線がぶつかる。
涼香は相変わらず優と一緒にいて、優は涼香の次の言葉を待っているようだ。


「さっきあいつが優のこと睨んでたよ」


不意に涼香に指を差されて私は戸惑った。
誰か別の生徒だろうと思っても、私の後ろは窓になっていて誰もいないことはわかっていた。

教室にいる生徒たちの視線が私へ向かう。
すでにひそひそとなにか話し始める女子生徒たちの姿もあった。


「私は……なにも」


どうにか声を絞り出してみるものの、うまく行かない。
普段は学校で声を出すことが滅多にないから、こういうときに強く出ることができない。
私の声が優まで届くことなく、消えていく。


「へぇ? なんで?」


優がゆっくりと立ち上がり、質問しながら近づいてくる。
身長は私と大差ないのに、威圧感で完全に負けていた。
涼香が優の後ろから笑みを浮かべてついてきている。

私は涼香を睨みつけた。
優のご機嫌を損なわないためなのか、涼香は時折こういう嘘をつく。
そして涼香も事実確認をろくにしないままそれを信じている。


いや、事実かどうかなんてきっと関係ないんだ。
時々教室内で自分の威厳を見せつけるために、必要な儀式みたいなものなんだろう。


「ほら! また睨んでる!」


涼香が声を上げる。
私はハッと息を飲んですぐ目の前までやってきた優を見上げた。
座っているから、今は身長差が大きい。


「私はなにもっ」


言い訳をするより先にパンッと肌を打つ音が響き、少し遅れて左頬にヒリヒリとした痛みを覚えた。
優に叩かれたのだと理解するまでには更に時間が必要だった。


「なんで私があんたに睨まれないといけないわけ?」


優が静かな声で聞いてくる。
静かだけれど怒りをはらんでいて、威圧感がある。


「私はなにもしてない」


ようやく最後までいい切ることができた。
だけどそれで納得してくれる相手ではない。


「はぁ? さっき睨んできたじゃん」

「それは、違う……」


嘘をついた涼香を睨みつけただけだ。
けれどそれを言うと優が更に起こり始めるのが目に見えている。
涼香は優の腰巾着だから、きっとかばうに決まっている。


「たまには見せしめが必要なんじゃないかなぁ? ほら、最近はしてなかったでしょう?」


涼香が後ろから優へ耳打ちするのが聞こえてくる。
見せしめという言葉に背筋が冷たくなっていく。


優は自分の立場を周囲にわからせるために時折意味のないイジメをすることがある。
私も今まで数回ターゲットになったことがあるけれど、その内容はひどいものだった。
見せしめなんてものじゃない。


「ごめんなさい。もうしません」


私は咄嗟に謝っていた。
やってもいないことを謝罪させられるのは屈辱的な気分だったけれど、イジメの標的になりたくない一新だった。


「認めるんだ?」


優の声に黙り込む。
言葉が出てこなくて、喉の奥に引っかかっている。
認めるわけじゃない。

だけどもう謝ってしまった。
どうすればいいのかわからなくて教室内へ視線をさまよわせるけれど、みんな遠巻きに様子を見ているだけで声をかけてくる生徒はいない。
当たり前だった。

優を敵に回せば今度は自分がターゲットにされる。
誰も、助けてくれることはない。

グッと奥歯を噛み締めてうつむく。
今のせめてもの救いは正広が教室にいないことだった。


好きな人に見られていい姿ではない。
優が突然私の机を蹴り上げてきた。
ガンッと大きな音が響き、机が横倒しに倒れて中の教科書やノートが散らばる。


「あ~あ、ちゃんと片付けなよぉ?」


涼香がクスクスと笑いながら言う。
どうせ、優や涼香が片付けてくれることはない。

他の生徒たちだってみんな見て見ぬ振りだ。
私は青ざめながら床にしゃがみこんで教科書やノートを拾い上げていく。
そして数学のノートを手に取ろうとしたときだった。

優が私の右手を踏みつけてきたのだ。
ノートを取る寸前のところだった。


「痛っ」


小さく悲鳴をあげてすぐに引っ込めようとするものの、優は足をどけようとしない。
涼香の笑顔がその後ろに見えて怒りがこみ上げてくる。
涼香は自分からは手をくださず、ただ楽しんでいるだけなんだ。

一番たちの悪いやり方だった。


「あ、ごめん。手があったの気が付かなかった」


優はクスクスと笑って足をどける。
私の右手の甲は擦りむき、血が滲んでいた。
すぐに手を引っ込めて優をにらみあげる。


「なにその顔。まだ懲りてないの?」


凄まれてすぐに顔をそむけた。
そんな自分が情けなくてまた奥歯を噛みしめる。
優と涼香は笑い声を上げながら自分の席へと戻っていったのだった。


☆☆☆

トイレの水道の水で手の傷口を洗うと少しだけ染みた。
ハンカチで水分を取って絆創膏を張る。
これくらいの傷でよかった。

だけど鏡の中の自分の顔は頬が晴れてきていた。
問題はこっちの方が大きいかもしれない。
このままいればどんどん腫れてくるだろう。

私はハンカチを水で濡らして頬に当てた。
少しヒヤリとして心地いい。
本当は保冷剤を当てたいところだけれど、そうなると保健室へ行くことになってしまう。

先生にバレたら後々面倒だ。
どうせ、優がやったと言っても取り合ってくれないことも目に見えている。

先生たちの優の扱いはやはり特別なものだった。
この学校から芸能人が排出されたことなんて今まで1度もないから、できるだけ優を守ろうとしている。

どいつもこいつも、クズばっかりだ。
私は内心毒づいてトイレを出たのだった。


☆☆☆

教室へ戻ると、整形ブスとその腰巾着が私の机の前に立っていた。
嫌な予感がして近づいていくと机の上には切り刻まれた教科書があった。
それは次の授業で使うもので、ご丁寧にも今日習うページがボロボロになっていた。


「あ、ごめぇん。なんかここにあったから切っちゃった」


優が笑いながら言う。
ここにあったから切っちゃったとはどういう意味なのかさっぱりわからないけれど、反論はしないでおいた。
ボロボロになった教科書はもう使い物にはならない。

そのままゴミ箱行きだ。
結局私は次の授業を教科書なしで過ごした。
先生にどうしたのかと聞かれたから忘れてきたと、無難な返事をしておいた。

優のこういうイジメはパフォーマンスだ。
本気でしているわけじゃない。
だから、終わるのも一瞬のことだった。


「次の授業体育じゃん。涼香一緒に行こう」


3時間目の授業は優の大好きな体育の授業で、機嫌よく教室を出ていった。
私も体操着の準備を始める。
幸い体操着が無事なままで胸をなでおろした。

けれど体育が好きなわけじゃない。
運動は苦手だし、どちらかと言えば嫌いな授業だった。


もしも優がそれを知っていて体操着を無傷にしていたのだとすれば褒めてやってもいいけれど、そこまで考えた行動を取っているとも思えなかった。


「大丈夫?」


不意にそう声をかけられて振り向くと、そこにはぽっちゃり体型の春菜が立っていた。
春菜も今から更衣室へ向かうようだ。


「なにが?」


私は自分でもびっくりするくらい感情のこもっていない声が出た。
春菜はたじろいだように一瞬視線を外したけれど、すぐに「イジメ」と口にした。

あぁ、そんなことかと思う。
そういえば春菜も優のイジメでは何度か被害を受けていた。
だから気にしていたんだろう。


「別に平気。それより早く着替えないと授業が始まるよ」


着替えの時間を考慮するともう教室を出たほうがいい。
私は更衣室じゃなくてトイレで着替える予定だから、こうして教室に最後まで残っているんだ。

それに、ちょっと試してみたいこともあった。


「あ、そうだね。じゃ先に行くね」


春菜はそそくさを教室を出ていったのだった。
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