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第2章 王都で生きる

17話 エリック

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少しの硬直の後

『ひ、ヒューマン!?!?』
エリックが第一声を発した。

『え、え、あの殺戮の限りを尽くす恐ろしい種族の?』

『エリック!ここは逃げた方がいいって!大人たちを呼びに行こう!』
ラクスとショーンが必死にエリックの腕を引っぱり、少し離れて3ゴブで話し出した。

『ば、バカ野郎ヒューマンなんて怖くねぇよ!それに見てみろ!俺たちと対して身長変わらねぇこいつガキだ、俺たちだけで十分だぜ!』

身長が変わらないだと!ちょっと俺の方が高いわ!俺は今しゃがんでるから小さく見えるんだ!

『確かに……よし!俺もやるぞ!』

『や、やめようよ……横に犬もいるみたいだしさ』

犬?テツの事か?

『犬なんて数のうちに入らねぇよ!2人とも手を貸せ!』

『おう!』『う、うん』

どうやら、俺の相手をするのが決まったようだ。

「きゅ~、きゅきゅ?(きもちわる~い、食べていい?)」

「ダメだぞ?こんな奴ら食べたらお腹壊しちゃうからな?」

『え、エリック君!』

『なんだよ!』

『その犬、翼が生えてるよ!それにヒューマンの言ってる事がわかる……』

ショーンはおどおどしながらエリックに自分の意見を話した。

『本当だ!エリックこの犬……こいつドラゴンだぞ!それに、ヒューマン言葉がわかるって一体どうなってんだ!?』

ラクスもショーンの意見に同調する。

『お、落ち着けとりあえず話しかけてみようぜ』

ようやく話がまとまったみたいだな。
こちらに近付いて来る
さて、こっちから話かけてやるかな?ゴブリンにはどんな態度で喋ればいいんだろうな?
とりあえずは舐められないようにしないと。

「おい、貴様ら誰に向かって喋りかけようとしている?ゴミが我に話しかけるなど世が世ならば即刻打ち首だぞ?まぁ、良い今回は発言を許してやろう。さぁ、ゴミ話すがよい」

あれ~?僕ちん?ちょっと上から目線すぎませんか?なになに、どうしてこうなった?

『称号・魔王の効果を適用中の為、魔のモノに対して自分が想い描く最も魔王らしい発言をします。ただし眷属に関してはその限りではありません』

あ、説明ありがとうございます。
て事はだ、俺は魔獣とか魔物に対してこんな威圧的に喋らなければいけないのかよ……

『な!なんだと!こいつ!おい、やっちまうぞ!』

『え、でも?ど、ドラゴンだよ?』

『そうだぜ、エリック?ドラゴンなんて俺らの手に負えないぞ?』

エリック……慕われてるのか慕われてないのかよくわからんやつだな?

『お前ら……くそ!そこで見てろ!俺だけで倒してやる!』

「ハッハ、貴様ゴミの分際で我に反逆しようなどと考えているのか?だが、貴様ごとき我が相手するまでもない」

『どういう事だよ!!』

「言葉通りだが?テツ相手してやれ」

「きゅ~きゅ~(わかった~あそぶ~)」

テツ、遊びではないんだが……

『ドラゴンなんて怖くねぇぞ!そいつもまだ子供だろ!ぶっ殺してやる!』

「テツ…あんまり怪我させないようにな?ちょっと転ばすくらいでいいぞ?」

テツに近付いて耳元でささやき傷付けないように言っておくことにした。

「きゅ~(は~い)」

『死ね!!』

早速、エリックは持っていた棍棒でテツを撲殺しようと殴りかかる。

それに対しテツは相手を小馬鹿にした感じで動き回り棍棒もきっちり避け続けている。

『くそ!はぁ…はぁ…ちょろちょろ動きやがって!』

エリックはこりずに棍棒を振り続け、息も上がってきた。

「きゅ、きゅ~(もう、つまんな~い)」

テツはエリックを挑発しながら避け続けている。

「きゅ?(あれ?)」

脚が大きな葉っぱの上に乗りテツは滑ってしまった。

『はは!この時を待ってたぜ!おら!』

エリックが棍棒をテツの頭へと殴りつける。
バキッ!鈍く高い音が響いた。

『な!なんだと!』

よく見ると棍棒がポッキリ折れていた、今の音は殴りつけられたテツの音では無く棍棒が折れる音だったようだ。

『そんな!新しくしたばかりの棍棒だぞ!』

「ふん、その程度の武器でテツが傷付くはずがないだろ?最初っから勝敗など決まっていたのだ、ゴミはゴミらしくそこらへんに転がっているが良い!テツやれ」

「きゅ~(は~い)」

テツは翼を使って飛び上がると回転しながらエリックを尻尾で叩きつける。

『ぐぁ!!』ダンッ!

テツの攻撃の威力が強かったのか、エリックは吹っ飛び近くの木の幹にぶつかった。そのまま気絶したのかピクリとも動かない。

「きゅ~きゅ?(おわった~えらい?)」

「いや、ちょっとやりすぎだな…」

「貴様らもこれにこりたら我に歯向かおうなどと思うなよ?」

ゴブリン2人がいたところへ喋りかけたがすでにいなくなっていた。

ちょ、独り言とか恥ずかしいじゃん!

「きゅ~(ださ~い)」

テツが俺の周りを走っておちょくって来る。

「うるせ!…さて、こいつはどうしようかな?」



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