魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ

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第2章 王都で生きる

15話 夢の中で

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フェイルの力を検査した後、紅には帰ることを言って城に戻った。
帰るとき紅に「また、置いて行くのか!人でなし!」と言われたが聞き流した。

あたりが暗くなりだした頃に城へ到着した。部屋にはテツとフーちゃんが寝る体勢に入っている。

「おー、ただいまー」
「ただいま~!」

「きゅ~(おかえり~)」

「遅いおかえりね?何してたの?」
フーちゃんが夫の浮気を疑ってる妻の目で俺を見てきた

「いや、ただ武器を試してただけだけど?」
こういう時はあくまで素っ気なくだ!
変にキョドッたりしたらダメだ!!

「そ……」

ふぅ、なんでフーちゃんにこんな気を使ってるんだよ!まぁいいか

今日はさっさと寝て明日はゴブリンの集落に行ってみるかな?

「今日はもう遅いし寝よう。おやすみ」

「おやすみなさい」
「きゅ~(おやすみ~)」
「おやすみー」





『お……ろ』

『……きろ』

「んー、もう少し……」

『早くしろ』

「…あ、あと10分……すーすー」

『いいかげん!起きんか!!』

「は、はい!……ん?ここどこ?」

上半身だけ起こして周りを見てみると俺は真っ暗な空間にいた。目の前には40代前半ぐらいのおっさんがいた。
顔立ちから、かなりのイケメンな事だけはわかる。

「あーおっさんの夢とかないわー。おやすみ」
起こした上半身を元に戻す。

『待て待て!!寝るな!』

「もーなんだよ?俺の夢なんだから好きにさせてくれよ」

『お前さんの夢なのはたしかだが、今は伝えたいことがあるからわしの意思を飛ばしとるんだ』

「はぁ~?なにそれ、この体勢で聞くから勝手に話してくれ」
仰向けから横を向いて頭に手をつく。
休日に横になりながらテレビを観ているお父さんスタイルだ。

『お前さん……もう、それでいいわい…』
あ、いいんだ。

『それじゃあ、早速本題に入るぞ』

やれやれといった感じに話しを始めようとしてくる。

「早速って最近の若いやつはまったく……心に余裕を持とうぜ?余裕をよ」

『いやいや、なんでそんな上から目線なんじゃ?わしが誰かわかっとる?神よ?我神よ?』

あー神だったんだ

「もしかして、アポフィス?」

『なんで呼び捨てなのか分からんがそうじゃい』

「へーんで話って?」

『くっ!まぁいいわ、話なんじゃがサタンが何か悪巧みをしてるみたいでな気をつけてくれって事じゃ。あいつ本当に頭のネジが飛んでおるようなやつだから気を付けてくれよ?』
かなり真剣な眼差しだ。

「ふーん、まぁ気には止めておくよ。用が済んだなら、さっさと帰ってくれおやすみ」
寝返りをうってアポフィスに背中を向ける。

『おま、本当に気をつけろよ?わしは知らんぞ?』

「はいはい、分かったって親切で心配性な邪神さん」

そう言うとアポフィスは少しムッとした。

『もういいわい!じゃあな!』

「あいあーい」
背中を向けたまま手を振る。






けたたましい足音が遠くで聞こえてくる。

「バンッ!!」
扉を誰かさんが思いっきり開けやがった。

「キョウエイ!!起こしに来てやったわよ!私みずから起こしに来てやったんだから光栄に思いなさい!」

朝からテンションマックスのイーラが起こしに来た。

「んーー、今何時なんだ?」
目をこすりながらイーラに質問する。

「今?今は朝の5時ぐらいかしらね!!」

あーなるほど、なんとなくわかった。
こいつ、徹夜してやがるな?
わかる、わかるよ?確かにイーラみたいな年頃になると徹夜とかしてみたくなっちゃうんだよな。
さらに、ずっと起きてるとアホみたいなテンションになるんだよ。
んで、後から恥ずかしくなるやつだな。

「お前、アホだろ…ちょっとこっち来い」
目をしょぼしょぼさせながらイーラをベットの横まで来させる。

「な、なによ?」
そう、後から恥ずかしくならないよう。
しっかりと睡眠をとらせておく必要がある…決して俺が眠いからとかではない。

「もっと、こっちよって」

「なによ、もう!」

今だ!
「きゃ!」
イーラの腕を掴んでベットの中へ引きずり込む。

「ちょっ!なによー!やめてやー!」
口ではやめろと言っているが若干楽しそうだ。

「よし、イーラこのまま一旦寝よう」

「え?な、な、なにを言ってんのよ!」
顔が赤く火照り出した、違うんだそういう意味じゃないんだ!

「今日も、ゴブリン狩りとかをするんだろ?ならしっかり寝ておかないといのちに関わるぞ!」

「一理あるわね…」
お、もう一押しだな

「そうだろ?朝起きたらしっかり魔法教えてやるからとりあえず寝るぞ。おやすみ」

「わかった、おやすみなさい」

よし、これで後5時間は寝れるぜ!


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