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ユキと千夜 気に食わないけど実力は認めてるケンカップル
Dom /Subユニバースごっこをするまで出れない部屋
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──Dom /Subユニバースとは──
DomとSubと呼ばれる第二性がある設定です。
Domは支配したい、Subは支配されたいという本能を持っています。
その本能を満たすにはplayをします。
playはcommandと呼ばれるDomの命令にSubが従い褒めてもらう行為です。
またDomはSubにパートナーとなった証としてcollarを贈ります。
「カード発見」
「何書いてある?」
「……悪趣味だね」
そういってユキは僕にカードを押し付けてきた。
ユキの方をみるがにやにやするだけで何も答えない。
カードをみると、たしかに悪趣味な模様のカードだ。
内容は……は?
「僕に犬になれというのか」
「そうみたいだよ」
ユキはきゃっきゃと笑っている。
腹立つ。
カードにはDom /Subユニバースごっこをしろと書いてあった。
さらに、ユキをDom、つまりは命令する側にしろという指定まであった。
つまり僕が命令される側のSubにならなければならないようだ。
「ユキの命令を聞くとか本気でいやなんだけど」
「部屋から出るためだ。仕方ないよ」
ユキはやれやれという雰囲気こそ出しているが、目が笑っている。
絶対にこの状況を楽しんでいる。
本当に、何させる気なんだか。
「とりあえずこれつけようか」
「何それ?」
「collar。千夜は私の犬であるという証だよ」
「嫌だよ」
「なら仕方ない。stop、命令だよ」
もうごっこ遊びは始まっている。
僕はしぶしぶ立ち止まる。
「Good girl。ちゃんとcollarをつけないと、そこら辺にいるよくわからない人に襲われたりするから、つけさせて。あ、それともそれがお望み? Say」
「……つけさせてやってもいい」
「素直じゃないね。でもちゃんといったのは偉い。Good」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
なんだかむずがゆい。
その後もいくつかの命令が出された。
僕は淡々と命令に従った。
ユキの命令に従うのは癪だが、部屋を出るためなら仕方ない。
そう思って仕方なくやってあげていた。
「随分と不貞腐れているね。もうちょっと楽しそうなそぶりをしたらどうだい?」
「こんなことを楽しみたくない」
「SubはDomに命令されると反応が満たされて幸せになるらしい。そのフリもしないと条件をクリアしたとは言えないんじゃない?」
もっともな意見だ。
僕も腹をくくるしかないのか。
「わかった。一個だけなら許す」
「はいはい。面倒なワンちゃんだこと」
犬じゃないという言葉を飲み込んでユキの出す命令を待つ。
何を言い出すつもりだろうか。
「Take。それ取ってきて」
ユキは部屋の角に投げた自分のハンカチを指差した。
なんだ。簡単じゃないか。
私は立ち上がって取りに行こうとした。
「そうじゃない。四つん這いで取りにいって。あと手足を使って運ぶのは禁止。いいね」
「は? ちょっと、何言ってるの!」
「Shut Up。はやくして」
命令されたら仕方がない。
従うしかないのか。
すぐそこにあるハンカチを取るために、四つん這いになり、羞恥に耐えながらハンカチのもとまで歩く。
少し迷ったが腕をぷるぷるさせながらハンカチを噛んで持ち上げる。
そしてまたユキのもとへ移動する。
「はい、いい子。good girl」
乱雑な頭を撫でられる。
視線で満足そうにしろと促される。
僕は顔を上げてなんとかぎこちない笑顔をみせた。
ひどく屈辱的だった。
DomとSubと呼ばれる第二性がある設定です。
Domは支配したい、Subは支配されたいという本能を持っています。
その本能を満たすにはplayをします。
playはcommandと呼ばれるDomの命令にSubが従い褒めてもらう行為です。
またDomはSubにパートナーとなった証としてcollarを贈ります。
「カード発見」
「何書いてある?」
「……悪趣味だね」
そういってユキは僕にカードを押し付けてきた。
ユキの方をみるがにやにやするだけで何も答えない。
カードをみると、たしかに悪趣味な模様のカードだ。
内容は……は?
「僕に犬になれというのか」
「そうみたいだよ」
ユキはきゃっきゃと笑っている。
腹立つ。
カードにはDom /Subユニバースごっこをしろと書いてあった。
さらに、ユキをDom、つまりは命令する側にしろという指定まであった。
つまり僕が命令される側のSubにならなければならないようだ。
「ユキの命令を聞くとか本気でいやなんだけど」
「部屋から出るためだ。仕方ないよ」
ユキはやれやれという雰囲気こそ出しているが、目が笑っている。
絶対にこの状況を楽しんでいる。
本当に、何させる気なんだか。
「とりあえずこれつけようか」
「何それ?」
「collar。千夜は私の犬であるという証だよ」
「嫌だよ」
「なら仕方ない。stop、命令だよ」
もうごっこ遊びは始まっている。
僕はしぶしぶ立ち止まる。
「Good girl。ちゃんとcollarをつけないと、そこら辺にいるよくわからない人に襲われたりするから、つけさせて。あ、それともそれがお望み? Say」
「……つけさせてやってもいい」
「素直じゃないね。でもちゃんといったのは偉い。Good」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
なんだかむずがゆい。
その後もいくつかの命令が出された。
僕は淡々と命令に従った。
ユキの命令に従うのは癪だが、部屋を出るためなら仕方ない。
そう思って仕方なくやってあげていた。
「随分と不貞腐れているね。もうちょっと楽しそうなそぶりをしたらどうだい?」
「こんなことを楽しみたくない」
「SubはDomに命令されると反応が満たされて幸せになるらしい。そのフリもしないと条件をクリアしたとは言えないんじゃない?」
もっともな意見だ。
僕も腹をくくるしかないのか。
「わかった。一個だけなら許す」
「はいはい。面倒なワンちゃんだこと」
犬じゃないという言葉を飲み込んでユキの出す命令を待つ。
何を言い出すつもりだろうか。
「Take。それ取ってきて」
ユキは部屋の角に投げた自分のハンカチを指差した。
なんだ。簡単じゃないか。
私は立ち上がって取りに行こうとした。
「そうじゃない。四つん這いで取りにいって。あと手足を使って運ぶのは禁止。いいね」
「は? ちょっと、何言ってるの!」
「Shut Up。はやくして」
命令されたら仕方がない。
従うしかないのか。
すぐそこにあるハンカチを取るために、四つん這いになり、羞恥に耐えながらハンカチのもとまで歩く。
少し迷ったが腕をぷるぷるさせながらハンカチを噛んで持ち上げる。
そしてまたユキのもとへ移動する。
「はい、いい子。good girl」
乱雑な頭を撫でられる。
視線で満足そうにしろと促される。
僕は顔を上げてなんとかぎこちない笑顔をみせた。
ひどく屈辱的だった。
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