【第一部完結済】〇〇しないと出れない50の部屋に閉じ込められた百合カップル

橘スミレ

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ユキと千夜 気に食わないけど実力は認めてるケンカップル

パンケーキを作って作って食べるまで出れない部屋

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「お腹空いた」
「千夜はよく食べるもんね」
「ユキが食べなさすぎなんだよ」

 ユキは本当に食べない。
 ほっといたら餓死しそうなくらいだ。

「キッチンがある」
「カードもあるね」

 近寄って内容を見る。
 パンケーキを作って食べたら良いらしい。

「やっと朝ごはんが食べれる!」
「良かったね」

 ユキはどうでも良さそうだ。
 きっとどこかに食欲を捨ててきたのだろう。
 さっさと錬成してほしいものだ。

「レシピは……ってあれ? ない」

 レシピがない。パンケーキの作り方なんて覚えていない。
 これは困った。
 まさかユキが作れるわけないし。

「しょうがないね。私が作ってあげるよ」
「え?」

 作れるらしい。
 レシピなしでも大丈夫らしい。

「本当にできるの?」
「料理は化学だよ。つまり私の得意分野。楽勝じゃん」

 ユキは冷蔵庫から粉やら卵やら何やらを取り出してかき混ぜて、フライパンで焼いた。
 それなりのところでひっくり返していた。
 気がつけばバニラアイスとミントののった美味しそうなパンケーキが出来上がっていた。

「すごい。本当にできた」
「こんなの簡単だよ。まあ千夜に作ってもらったほうが楽だけど」
「だから作らないのか。なら今度から作らない」
「それは困るから勉強教えない」

 勉強を教えてもらえなければ成績がガタ落ちしてしまう。
 大会に出られない。
 それは悲しい。つらい。

「……ごめん」
「このパンケーキを一人で食べたら許す。私お腹空いてないから」
「ありがと。……一口くらい食べなよ」
「いや、いい」
「そう」

 ユキの作ったパンケーキはふわふわで異様に美味しかった。
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