狂依存

橘スミレ

文字の大きさ
上 下
6 / 17

第六話 恋バナ

しおりを挟む
 四時間目まで授業が終わり、ようやく昼休み。奈々と机をくっつけてお弁当を食べる。
 私が食べ始めると奈々が急に話題を振ってきた。
「佳子、四組の川上さんのこと好きでしょ」
 驚いた私は思わず飲んでいたお茶を吹き出しかけた。
「ちょっと待ってよ!恋バナ?まず川上さんて誰?」
 脳が追いついてない。このクラスに川上という苗字の人はいない。そして私は他クラスに知り合いはいない。
「ロングで色白の子。ほら、朝ノート拾ってた子だよ」
 誰かはわかった、だが納得はいかない、どうして彼女に私が惚れてることになるのだろう。怖い。
「だって、ノート拾ってもらったときとっても嬉しそうな顔してた」
「マジ!む、無自覚だった。気をつけないと!」
「気をつけてどうにかなることではないけどね」
 奈々にあきれられた気がする。
「あと……ちょっと耳かして」
「なあに?」
 わざわざ耳打ちするとは何の話だろう。箸を置き体を寄せる。
「彼女、Domだよ」
「えええええええええ!」
「声が大きいよ」
 頭が混乱してきた。川上さんは隣のクラスでDom。だが一つ疑問が。
「なんであんたが知ってるの?」
 普通、自分のダイナミクスを他人に言うことはない。少なくともSubの部屋にはいなかった。
「私もDomだからだよ。ついでに言うけど佳子はSubでしょ」
「え、」
 どうしてバレたのだろう。誰にも言っていないのに。真逆、川上さんがバラしたとか……
「パートナー作る時のためにSubの一覧の冊子もらってる」
 なら良かった。
 確かにSubにもDomの一覧が配られた。それと同じようなものだろう。
「パートナーになってもらったら?」
 羽のように軽い言葉。自分がDomだとわかってもいつも通りなのは性格的な問題かもしれない。
「そんな簡単に言わないでよ。こっちは命かかってんだから」
「でも、好きなんでしょう」
 彼女の瞳は水のように透き通っている。彼女が楽しむためでない、ただの純粋な意見だ。
「多分、そう」
 私はお弁当を食べながら答えた。
「でも私、今まで好きな人とかいたことないし。わかんないけど、多分好き」
「なら、いいじゃん」
「だから、命が
「好きな人に殺されたい」
 え?」
 私の言葉を遮って告げられた言葉。まさかまだ覚えていたとは。
「二年前のあなたの口癖でしょう。私には理解できないししたくもないけど。『いつか最愛の人に殺されるのが夢だ』って言っていたでしょ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。 一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか? おすすめシチュエーション ・後輩に振り回される先輩 ・先輩が大好きな後輩 続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。 だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。 読んでやってくれると幸いです。 「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195 ※タイトル画像はAI生成です

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

さくらと遥香

youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。 さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。 ◆あらすじ さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。 さくらは"さくちゃん"、 遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。 同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。 ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。 同期、仲間、戦友、コンビ。 2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。 そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。 イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。 配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。 さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。 2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。 遥香の力になりたいさくらは、 「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」 と申し出る。 そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて… ◆章構成と主な展開 ・46時間TV編[完結] (初キス、告白、両想い) ・付き合い始めた2人編[完結] (交際スタート、グループ内での距離感の変化) ・かっきー1st写真集編[完結] (少し大人なキス、肌と肌の触れ合い) ・お泊まり温泉旅行編[完結] (お風呂、もう少し大人な関係へ) ・かっきー2回目のセンター編[完結] (かっきーの誕生日お祝い) ・飛鳥さん卒コン編[完結] (大好きな先輩に2人の関係を伝える) ・さくら1st写真集編[完結] (お風呂で♡♡) ・Wセンター編[不定期更新中] ※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

退魔の少女達

コロンド
ファンタジー
※R-18注意 退魔師としての力を持つサクラは、淫魔と呼ばれる女性を犯すことだけを目的に行動する化け物と戦う毎日を送っていた。 しかし退魔の力を以てしても、強力な淫魔の前では敵わない。 サクラは敗北するたびに、淫魔の手により時に激しく、時に優しくその体をされるがままに陵辱される。 それでもサクラは何度敗北しようとも、世の平和のために戦い続ける。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 所謂敗北ヒロインものです。 女性の淫魔にやられるシーン多めです。 ストーリーパートとエロパートの比率は1:3くらいでエロ多めです。 (もともとノクターンノベルズであげてたものをこちらでもあげることにしました) □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ Fantiaでは1話先の話を先行公開したり、限定エピソードの投稿などしてます。 よかったらどーぞ。 https://fantia.jp/fanclubs/30630

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R-18】俺の開発したアプリを使って、お気に入りの女子を服従させる話

きるら
恋愛
俺の名前は、三浦隼人 帰宅部の俺が毎日コツコツと時間を使って開発した物凄いスマホアプリを使って、お気に入りの女の子をゲットしちゃうぞ。 もちろん、ただエッチするだけのお話ではない。 そのアプリで絶対に反抗できないネタを掴み、そのネタを使って脅迫し、俺に服従させる。 お気に入りの女の子全てを服従させ、この界隈に俺のハーレムを作るのが俺の最終目標だ。

処理中です...