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第十八話 愛情
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「明日のプリン。これ食べてるときに告白するんだ」
死神ちゃんが作ろうとしているのは巨大なプリン。ついでにいえばそこに生クリームを絞ろうとしている。
「えーと、陶器店のおばさんによると、まずはゼラチンをふやかすのね」
死神ちゃんは朝買い出しに行ったときに教えてもらったレシピのメモをみている。
水とゼラチンをボールに入れてふやかす。
鍋に砂糖と水をいれ手加熱しカラメルを作る。できたらそれをバケツに流し込む。
次にボウルに卵を入れ、溶きほぐす。
牛乳を鍋に入れて温め、砂糖を加えて溶かす。ふやかしたゼラチン、卵を入れる。
最後にこしながらバケツに入れて冷まし、冷蔵庫に入れる。
「これで完了。姉さん喜んでくれるかな」
ほくほくな笑顔で冷蔵庫の扉を閉める。告白が成功するような気がした。
告白相手である姉さんはまだ寝ている。しばらく起きそうにない。
「姉さん」
死神ちゃんは姉さんの元へ歩み寄る。
「可愛い。愛おしい。大好き」
死神ちゃんは姉さんの頬に触れる。白く柔らかい肌が指の重みで沈む。
「愛してる。恋してる。心を奪われている」
死神ちゃんの指が姉さんの顎をなぞる。
「姉さんはどうなの?」
あと半分。ごまかしきれない焦りと不安に押しつぶされて出てきた本音。
答えは帰ってこなかった。ただ静かな寝息が聞こえるだけだった。
「姉さん。嫌いにならないでね」
そう言って彼女はその場を離れようとした。だが呼び止められた。
「……死神ちゃん?」
姉さんを起こしてしまったようだ。
「姉さん、どうしたの?」
極めて冷静に、数秒前まで彼女に触れていたことを悟られないように死神ちゃんは対応する。
「目が覚めたから。死神ちゃんはどうしたの?」
「あたしはあなたが汗だくだから様子を見にきただけよ」
──多分、気づかれてない。死神ちゃんは暴れそうになる心臓を押さえつけながら思う。
「そうなの。心配してくれてありがとうね」
優しい笑顔で感謝をする姉さんはとても美しく、愛おしい。死神ちゃんは強い罪悪感に襲われた。だからこう答えて逃げる。
「お礼はいいからはやく着替えてちょうだい。汗だくなんだから」
テーブルから着替えをとってきて渡す。
「死神ちゃん、手伝ってよ」
「何を?」
「着替え」
「へ?」
姉さんは何を言っているのだろう。
「ほら手伝ってよ」
姉さんはバンザイをして待っている。彼女は本当に何を言っているのだろう。死神ちゃんの理解の範囲外のことを言っている。
「疲れたから。ね、いいでしょ?」
「いや、同性だからって流石に着替えはだめよ」
死神ちゃんが作ろうとしているのは巨大なプリン。ついでにいえばそこに生クリームを絞ろうとしている。
「えーと、陶器店のおばさんによると、まずはゼラチンをふやかすのね」
死神ちゃんは朝買い出しに行ったときに教えてもらったレシピのメモをみている。
水とゼラチンをボールに入れてふやかす。
鍋に砂糖と水をいれ手加熱しカラメルを作る。できたらそれをバケツに流し込む。
次にボウルに卵を入れ、溶きほぐす。
牛乳を鍋に入れて温め、砂糖を加えて溶かす。ふやかしたゼラチン、卵を入れる。
最後にこしながらバケツに入れて冷まし、冷蔵庫に入れる。
「これで完了。姉さん喜んでくれるかな」
ほくほくな笑顔で冷蔵庫の扉を閉める。告白が成功するような気がした。
告白相手である姉さんはまだ寝ている。しばらく起きそうにない。
「姉さん」
死神ちゃんは姉さんの元へ歩み寄る。
「可愛い。愛おしい。大好き」
死神ちゃんは姉さんの頬に触れる。白く柔らかい肌が指の重みで沈む。
「愛してる。恋してる。心を奪われている」
死神ちゃんの指が姉さんの顎をなぞる。
「姉さんはどうなの?」
あと半分。ごまかしきれない焦りと不安に押しつぶされて出てきた本音。
答えは帰ってこなかった。ただ静かな寝息が聞こえるだけだった。
「姉さん。嫌いにならないでね」
そう言って彼女はその場を離れようとした。だが呼び止められた。
「……死神ちゃん?」
姉さんを起こしてしまったようだ。
「姉さん、どうしたの?」
極めて冷静に、数秒前まで彼女に触れていたことを悟られないように死神ちゃんは対応する。
「目が覚めたから。死神ちゃんはどうしたの?」
「あたしはあなたが汗だくだから様子を見にきただけよ」
──多分、気づかれてない。死神ちゃんは暴れそうになる心臓を押さえつけながら思う。
「そうなの。心配してくれてありがとうね」
優しい笑顔で感謝をする姉さんはとても美しく、愛おしい。死神ちゃんは強い罪悪感に襲われた。だからこう答えて逃げる。
「お礼はいいからはやく着替えてちょうだい。汗だくなんだから」
テーブルから着替えをとってきて渡す。
「死神ちゃん、手伝ってよ」
「何を?」
「着替え」
「へ?」
姉さんは何を言っているのだろう。
「ほら手伝ってよ」
姉さんはバンザイをして待っている。彼女は本当に何を言っているのだろう。死神ちゃんの理解の範囲外のことを言っている。
「疲れたから。ね、いいでしょ?」
「いや、同性だからって流石に着替えはだめよ」
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