13 / 22
第十三話 接吻
しおりを挟む
死神ちゃんの声に反応して姉さんがゆるゆると体を起こす。死神ちゃんはソファーにお茶碗を運び、思い出したようにスプーンを持ってくる。そして姉さんの隣に座ると、おかゆをスプーンですくい、息を吹きかけて冷ましてから彼女へ差し出す。
「ほら、どうぞ」
「あり、がとう」
姉さんは死神ちゃんが持っているスプーンからおかゆを食べる。
「美味しい、ね」
ふにゃりと笑った彼女。本来の年齢よりも何歳か幼く見える。
「姉さん、なんだか妹みたい」
「そう? 私は、あなただった、ら……お姉ちゃん、でもいい、かな」
死神ちゃんは姉さんが妹である生活を想像する──妹を起こし、朝ごはんを食べさせ、狩りに送りだし──何か、違う。
逆の立場を想像するもやはりしっくりこない。やっぱり姉さんと姉妹になりたいわけじゃない。わがまま言ったら後で偉いらしいそうな
「私は姉さんと一緒にいられるならどっちでもいいよ」
嘘をついてでも、死神ちゃんは姉さんの隣にいたいのだ。
その後、姉さんはおかゆを食べ、薬を飲んで、そのまま眠った。死神ちゃんは姉さんを寝室に運び、布団を被せた。
そして、リビングに戻る。余った薬を片付けていると、冷めたロールキャベツが目に留まった。
「そうだわ。姉さんと食べようと思っていたんだったわ」
死神ちゃんは器にロールキャベツをよそい、テーブルへ運んだ。お茶碗と皮のチップス、お箸も運び一人で食べる。
ロールキャベツは美味しいと言われている味がしているのにまずい。美味しく食べていた皮も味がしない。お米もよくわからない。
「姉さん……」
一緒に食べたかった。死神ちゃんのほおを一筋の涙がつたう。寂しいのだ。
結局、食事をむりやり胃に押し込み、キッチンへ運ぶ。姉さんが食べ残した血色のおかゆも片付けようとした。だが不思議なことにそのおかゆがたいそう美味しそうに見えたのだ。さっきまで食欲がなかったのに、今は食べる前よりお腹が空いた気がする。
死神ちゃんは姉さんに食べさしたものと同じスプーンでおかゆを口に運んだ。
「美味しい」
死神ちゃんの手は止まらなかった。結局半分以上残っていたおかゆを全て平らげてしまった。
「姉さん、ごめんね。こんな妹でごめんね。ちゃんと姉さんのお世話、がんばるから。だから、妹がでいることを許してね」
姉さんと間接的にキスをした、そのことの罪悪感が死神ちゃんを縛りつけた。彼女は使った食器を洗い、残っているロールキャベツもラップをして冷蔵庫に入れた。そして、もう夜で暗くなった外へ死体の回収に向かった。
「ほら、どうぞ」
「あり、がとう」
姉さんは死神ちゃんが持っているスプーンからおかゆを食べる。
「美味しい、ね」
ふにゃりと笑った彼女。本来の年齢よりも何歳か幼く見える。
「姉さん、なんだか妹みたい」
「そう? 私は、あなただった、ら……お姉ちゃん、でもいい、かな」
死神ちゃんは姉さんが妹である生活を想像する──妹を起こし、朝ごはんを食べさせ、狩りに送りだし──何か、違う。
逆の立場を想像するもやはりしっくりこない。やっぱり姉さんと姉妹になりたいわけじゃない。わがまま言ったら後で偉いらしいそうな
「私は姉さんと一緒にいられるならどっちでもいいよ」
嘘をついてでも、死神ちゃんは姉さんの隣にいたいのだ。
その後、姉さんはおかゆを食べ、薬を飲んで、そのまま眠った。死神ちゃんは姉さんを寝室に運び、布団を被せた。
そして、リビングに戻る。余った薬を片付けていると、冷めたロールキャベツが目に留まった。
「そうだわ。姉さんと食べようと思っていたんだったわ」
死神ちゃんは器にロールキャベツをよそい、テーブルへ運んだ。お茶碗と皮のチップス、お箸も運び一人で食べる。
ロールキャベツは美味しいと言われている味がしているのにまずい。美味しく食べていた皮も味がしない。お米もよくわからない。
「姉さん……」
一緒に食べたかった。死神ちゃんのほおを一筋の涙がつたう。寂しいのだ。
結局、食事をむりやり胃に押し込み、キッチンへ運ぶ。姉さんが食べ残した血色のおかゆも片付けようとした。だが不思議なことにそのおかゆがたいそう美味しそうに見えたのだ。さっきまで食欲がなかったのに、今は食べる前よりお腹が空いた気がする。
死神ちゃんは姉さんに食べさしたものと同じスプーンでおかゆを口に運んだ。
「美味しい」
死神ちゃんの手は止まらなかった。結局半分以上残っていたおかゆを全て平らげてしまった。
「姉さん、ごめんね。こんな妹でごめんね。ちゃんと姉さんのお世話、がんばるから。だから、妹がでいることを許してね」
姉さんと間接的にキスをした、そのことの罪悪感が死神ちゃんを縛りつけた。彼女は使った食器を洗い、残っているロールキャベツもラップをして冷蔵庫に入れた。そして、もう夜で暗くなった外へ死体の回収に向かった。
0
応援・感想ありがとうございます!執筆のモチベーションになっています
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
アラフォーOLとJDが出会う話。
悠生ゆう
恋愛
創作百合。
涼音はいきなり「おばさん」と呼び止められた。相手はコンビニでバイトをしてる女子大生。出会いの印象は最悪だったのだけれど、なぜだか突き放すことができなくて……。
※若干性的なものをにおわせる感じの表現があります。
※男性も登場します。苦手な方はご注意ください。
わたしと彼女の●●●●●●な関係
悠生ゆう
恋愛
とある会社のとある社員旅行。
恋人(女性)との仲がうまくいていない後輩(女性)と、恋人(男性)からプロポーズされた先輩(女性)のお話。
そして、その旅行の後……
【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、娘の幼稚園の親子イベントで娘の友達と一緒にいた千春と出会う。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになると思うのでご安心ください。

犬になりたい葛葉さん
春雨
恋愛
社内SEの葛葉凪紗(くずは なぎさ) 26歳の人生最大の夢は"誰かの犬になって飼われること"。誰にも言えずにいる夢を抱いてる中で出会ったのが総務部に異動してきた夏目玲央(なつめ れお) 24歳。
飲み会で酔い潰れた凪紗を玲央の家に招き入れたところから始まる、飼い主×犬の年下攻めラブコメ社会人百合。
カクヨムにも同時投稿中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる