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第十二話 御粥
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「姉さん、体調はどんな感じ?」
死神ちゃんが心配そうに聞いてくれる…
「頭……痛い。あと、お腹……が、ぐるぐる、する」
視界がぼやける。気持ち悪い。ボロボロの体でなんとか答える。
「なら、まずはお薬よね。救急箱はある?」
そうだった。死神ちゃんは概念が存在する前から救急箱を見ていないので場所がわからないのだ。
「冷蔵庫、の……上」
死神ちゃんは急いで取りに行こうとした。死神ちゃんが離れていってしまう。寂しい。
「いか……ない、で」
薬をとりに行かないといけない、とはわかっているものの一人になるのが寂しくてスカートの端を掴んでしまった。
「困ったわね。とりあえずこれを持ってて」
死神ちゃんは頭のリボンをとって渡してくれた。ならば、私も代わりに頭のリボンを渡さなければ。
「ありがと、う……代わ、りに、これを」
「お揃いなのね。いつの間につけたの?」
頭にリボンをつけながら死神ちゃんが問う。
「家、から出……る時に。ワン、ピース、と……一緒、に見つけ、た」
「そうなのね。お揃い、嬉しいわ」
死神ちゃんは私の頭を撫でてから救急箱をとりにいく。
「ごめんね……迷惑かけて」
遠ざかっていく彼女の背中に私はつぶやいた。この距離ならきっと聞こえない、と思ったが彼女は地獄耳らしい。
「何言ってるの?あたしは全然迷惑だと思っていないわ。ついでに言うとあたしはあなたに嫌われたら存在、というか概念が消失してしまうらしいの。だから、ごめんなさいは駄目よ」
「え、消失するって、え?」
急な重大告白に頭が追いつかない。少なくともこんな状態の私には理解ができない。
「ほら、とりあえずお水持ってきたわよ。薬飲む前に何か食べた方がいいけど、おかゆとか食べれるかしら」
救急箱はリビングの机の上に中身を散らかして置かれている。何か食べるという知識も薬の包装に書かれていたのだろう。
「おかゆ……食べ、れる」
「わかったわ。待っててね、姉さん」
死神ちゃんは本当にキッチンへいってしまった。
「炊いたご飯をおかゆにするんだけど、そのまえに自分の分を取り分けないとね」
そう言って死神ちゃんは自分の桃色のお茶碗にご飯を盛り付ける。そして水を入れて火にかける。沸騰したらヘラでかき混ぜ、弱火でとろとろになるまで煮込む。
「もうちょっとだからね」
死神ちゃんが姉さんに声をかける。返事の代わりに弱々しい呻き声が返ってくる。
好みの硬さになったら塩をふりかける。そして、姉さんが食べられるようにおかゆが真っ赤になるくらいまで血を入れる。湯気から食欲のそそられる血の匂いが漂ってくる。死神ちゃんとは色違いの水色のお茶碗に盛り付けて完成だ。
「できたよー」
死神ちゃんが心配そうに聞いてくれる…
「頭……痛い。あと、お腹……が、ぐるぐる、する」
視界がぼやける。気持ち悪い。ボロボロの体でなんとか答える。
「なら、まずはお薬よね。救急箱はある?」
そうだった。死神ちゃんは概念が存在する前から救急箱を見ていないので場所がわからないのだ。
「冷蔵庫、の……上」
死神ちゃんは急いで取りに行こうとした。死神ちゃんが離れていってしまう。寂しい。
「いか……ない、で」
薬をとりに行かないといけない、とはわかっているものの一人になるのが寂しくてスカートの端を掴んでしまった。
「困ったわね。とりあえずこれを持ってて」
死神ちゃんは頭のリボンをとって渡してくれた。ならば、私も代わりに頭のリボンを渡さなければ。
「ありがと、う……代わ、りに、これを」
「お揃いなのね。いつの間につけたの?」
頭にリボンをつけながら死神ちゃんが問う。
「家、から出……る時に。ワン、ピース、と……一緒、に見つけ、た」
「そうなのね。お揃い、嬉しいわ」
死神ちゃんは私の頭を撫でてから救急箱をとりにいく。
「ごめんね……迷惑かけて」
遠ざかっていく彼女の背中に私はつぶやいた。この距離ならきっと聞こえない、と思ったが彼女は地獄耳らしい。
「何言ってるの?あたしは全然迷惑だと思っていないわ。ついでに言うとあたしはあなたに嫌われたら存在、というか概念が消失してしまうらしいの。だから、ごめんなさいは駄目よ」
「え、消失するって、え?」
急な重大告白に頭が追いつかない。少なくともこんな状態の私には理解ができない。
「ほら、とりあえずお水持ってきたわよ。薬飲む前に何か食べた方がいいけど、おかゆとか食べれるかしら」
救急箱はリビングの机の上に中身を散らかして置かれている。何か食べるという知識も薬の包装に書かれていたのだろう。
「おかゆ……食べ、れる」
「わかったわ。待っててね、姉さん」
死神ちゃんは本当にキッチンへいってしまった。
「炊いたご飯をおかゆにするんだけど、そのまえに自分の分を取り分けないとね」
そう言って死神ちゃんは自分の桃色のお茶碗にご飯を盛り付ける。そして水を入れて火にかける。沸騰したらヘラでかき混ぜ、弱火でとろとろになるまで煮込む。
「もうちょっとだからね」
死神ちゃんが姉さんに声をかける。返事の代わりに弱々しい呻き声が返ってくる。
好みの硬さになったら塩をふりかける。そして、姉さんが食べられるようにおかゆが真っ赤になるくらいまで血を入れる。湯気から食欲のそそられる血の匂いが漂ってくる。死神ちゃんとは色違いの水色のお茶碗に盛り付けて完成だ。
「できたよー」
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