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ハートの飴
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俺たちは長い石段を登っていた。
友人は御朱印集めが趣味で長い脚を軽々と伸ばし、意気揚々と登っているが、俺は基本的にインドアで小太りで脚も特に長くないのでこの石段は正直思ってた以上に堪えた。
「ハァ、帰りてぇー、マジ帰りてぇ、来るんじゃなじゃった」
「いや、この神社マジで普通じゃないからお前連れてきたんだよ」
友人が歩みを止め、俺が追いつくまで腰に手を当て木々を見上げ休憩をした。
友人はずいぶん余裕があるようだった。
「ここの神主マジでガンギマりなんじゃないかってぐらい御朱印のデザインがヤバイんだよ、お前の絵の参考にもなると思って」
「ハァ、そういうことか」
俺は漫画家を目指していて、今はアシスタントをしながらサイケデリックなSF系漫画をコソコソ描いてはいるが最近全く筆が進んでなかった。
「ほら、頑張れ、お前の好きそうなお土産も売ってるぞ」
「はいはい」
登りきった先の境内は思ったより狭く、俺ら以外の参拝客はいなかった。
「御朱印、四十分ぐらいで描いてくれるって」
友人は満面の笑みを浮かべていた。
友人も割とオタク気質でご自慢の御朱印帳は京都までわざわざ出向き購入した晴明神社のもので、表面に金色の五芒星が輝くデザインだった。
友人が「じゃ、飴玉でも舐めて待つとしますか」
と言ってさっきお守り売り場で買ったであろう飴玉を袋から出し、一粒渡してきた。
「ケチだな」
「誰がケチなんだよ!こういうモンは一個でいいんだよ」
金太郎飴のような作りで、真ん中には歪なハートの模様が。
「だっさ」と呟き、俺はそれを口に含んだ。何も味がしなかった。
数分経つと、風がそよぎ木々のさざめきが爆音で響きはじめた。
「嵐が来るのかな?」と言ったら友人はニヤニヤしながらその場を離れた。
俺の足元は石畳だったはずだ。
それなのに水たまりに変わり、次第に湖へと変わった。
俺は湖の上に立っていた。
「どういうことだ?」と一歩踏み出すと湖の中に引きずり込まれた。
驚いて叫んで気づいたが、どうもこの水中は呼吸ができるタイプの水中のようだった。
両手をバタつかせると金箔のような粉末がたくさん水に混じり、イルカが数頭寄ってきて、俺の周りをぐるぐる旋回した。
海というより宇宙に近い感じがした。
俺はイルカに触ろうと手を伸ばすと、イルカの顔が獰猛な虎に変わった。
俺は手を虎に食いちぎられ、俺の手は虎の胃袋の中へ。
するとすぐさま虎の尻穴から小さなシマウマに変わって出てきた。
いつの間にかに境内に風景が変わり、小さなシマウマは境内の雑草を食べていた。
近寄ってみると自分の足取りがやたらと軽いことに気付いた。
俺は自分の手足を見た。いつの間にか自分もシマウマになっていた。
俺はだんだん小さなシマウマが愛しくなってきていた。
このシマウマは俺と遺伝子を分け合った、まさに親子そのものだと俺は本能で感じた。
俺も急いで四つん這いになり小さなシマウマと一緒に雑草を食べた。
トントン、と肩を叩かれた。
ハッとして見上げると御朱印をもらってきたであろう友人の姿があった。
「楽しかったみたいだな」
俺は恥ずかしくなり、口の中の雑草を吐き出し、友人と境内を後にした。
友人は御朱印集めが趣味で長い脚を軽々と伸ばし、意気揚々と登っているが、俺は基本的にインドアで小太りで脚も特に長くないのでこの石段は正直思ってた以上に堪えた。
「ハァ、帰りてぇー、マジ帰りてぇ、来るんじゃなじゃった」
「いや、この神社マジで普通じゃないからお前連れてきたんだよ」
友人が歩みを止め、俺が追いつくまで腰に手を当て木々を見上げ休憩をした。
友人はずいぶん余裕があるようだった。
「ここの神主マジでガンギマりなんじゃないかってぐらい御朱印のデザインがヤバイんだよ、お前の絵の参考にもなると思って」
「ハァ、そういうことか」
俺は漫画家を目指していて、今はアシスタントをしながらサイケデリックなSF系漫画をコソコソ描いてはいるが最近全く筆が進んでなかった。
「ほら、頑張れ、お前の好きそうなお土産も売ってるぞ」
「はいはい」
登りきった先の境内は思ったより狭く、俺ら以外の参拝客はいなかった。
「御朱印、四十分ぐらいで描いてくれるって」
友人は満面の笑みを浮かべていた。
友人も割とオタク気質でご自慢の御朱印帳は京都までわざわざ出向き購入した晴明神社のもので、表面に金色の五芒星が輝くデザインだった。
友人が「じゃ、飴玉でも舐めて待つとしますか」
と言ってさっきお守り売り場で買ったであろう飴玉を袋から出し、一粒渡してきた。
「ケチだな」
「誰がケチなんだよ!こういうモンは一個でいいんだよ」
金太郎飴のような作りで、真ん中には歪なハートの模様が。
「だっさ」と呟き、俺はそれを口に含んだ。何も味がしなかった。
数分経つと、風がそよぎ木々のさざめきが爆音で響きはじめた。
「嵐が来るのかな?」と言ったら友人はニヤニヤしながらその場を離れた。
俺の足元は石畳だったはずだ。
それなのに水たまりに変わり、次第に湖へと変わった。
俺は湖の上に立っていた。
「どういうことだ?」と一歩踏み出すと湖の中に引きずり込まれた。
驚いて叫んで気づいたが、どうもこの水中は呼吸ができるタイプの水中のようだった。
両手をバタつかせると金箔のような粉末がたくさん水に混じり、イルカが数頭寄ってきて、俺の周りをぐるぐる旋回した。
海というより宇宙に近い感じがした。
俺はイルカに触ろうと手を伸ばすと、イルカの顔が獰猛な虎に変わった。
俺は手を虎に食いちぎられ、俺の手は虎の胃袋の中へ。
するとすぐさま虎の尻穴から小さなシマウマに変わって出てきた。
いつの間にかに境内に風景が変わり、小さなシマウマは境内の雑草を食べていた。
近寄ってみると自分の足取りがやたらと軽いことに気付いた。
俺は自分の手足を見た。いつの間にか自分もシマウマになっていた。
俺はだんだん小さなシマウマが愛しくなってきていた。
このシマウマは俺と遺伝子を分け合った、まさに親子そのものだと俺は本能で感じた。
俺も急いで四つん這いになり小さなシマウマと一緒に雑草を食べた。
トントン、と肩を叩かれた。
ハッとして見上げると御朱印をもらってきたであろう友人の姿があった。
「楽しかったみたいだな」
俺は恥ずかしくなり、口の中の雑草を吐き出し、友人と境内を後にした。
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