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「ん~。とりあえず、こんなもんだけど……まだまだ植えられるし、他にも色々種類を増やしたいな」
説明も終わった後は暇だったので、ソランツェを引き連れて農作業。どうせ魔法なんだし手伝ってもらう事も無いんだけど一緒が良いよな。
作業内容としては拠点から少し離れた場所に、二百メートル四方くらいの規模で手持ち野菜達の畑を作成し直した。
もう種の入手先の心配もなくていつでも作れるものだから別に今じゃなくてもいいし、もしや実は畑すら要らないんじゃないか?と思うけど、まあ、暇だったんで。
でも、暇だなと思いつつも、畑全体に『各作物に合わせた生育環境になれ』とか『基本は自動収穫(→亜空間収納へ)』とかってズルい環境設定しちゃうのは……あれだなあって思わなくもない。うん、あれなヤツだよ俺は。
因みにライアスは鍛錬するってジムへ、アシュマルナは気付いたらいなかったので帰ったっぽい。せめて帰るって一言言えよ。
で、これだけの規模の物となると、先に植えてたラリアフ達を移動させたり、判定ガバガバで”手持ち作物”にカウントされていたカットサラダやカット野菜達から生成した苗とかも色々植えたし、薬草のジギ草やコルス草も植えてみても空きはまだまだいっぱい。
「野菜などそんなにも種類が必要なのかと思わなくも無いが……」
基本肉一択のソランツェがそう思うのは不思議じゃないんだけど。
「いやまあ、既に色々あるから本当にもっと色んな種類が必要かと問われると、初めの動機はどこかに買いに行くとかじゃなくてここで色々手に入る様になれば便利だなって事だったんで正直微妙なんだけども」
「も?」
「なんかもう、ただただコンプリートしようかなって」
「こんぷりーと?」
「いっその事この世界で食用とされてる物とか薬草だったりする有益なやつ全部揃えたいなっていう」
「は?」
はい。『何言ってんだコイツ』顔、頂きました。心底そう思ってる顔してる。
――が、俺の考えを聞けば納得するはず。
「まあ、聞けよ……」
「?」
何もすぐに色々揃えたいっていうんじゃないんだ、俺は。
数時間前にアシュマルナ達の世界に少し行った事で改めて思ったんだよ。
「……だって、時間腐るほどあるんだよ俺達って」
「ああ……」
「ソランツェは俺さえいればいいって嬉しい事言ってくれるけどさ……永く一緒にいる為には先々の”暇潰し”手段も色々見つけていかないとかな~って」
コンプリート後はほぼ魔法に頼らず品種改良に没頭するのもいいんじゃないかとかも考えている。美味しい野菜や果物作ってやる!やり方知らないけど!
そういえば、俺の好きなショルフジュース量産の為に、ショルフの実を発芽させたのを一つ植えて成長させてみた所、出来たのはそりゃそうだってくらい予想通りのココヤシ(ショルフ)だった。
で、二十本くらい植えたらそこだけ南国感いっぱい。大きな湖かプールでも作って南国リゾート風区画でも作ろうかなって血迷うくらいには南国感。……いつか作ろう。
++++++
果てしない未来に思いを馳せつつ拠点に戻ると、鍛錬から戻っていたライアスがリビングで待っていた。
「先程、国の方から連絡が御座いまして」
「ん?」
ライアスは何か戸惑っているのかちょっと微妙な表情だったので、総教国からって何かあったんだろうか?と夕飯を後回しにして訊いてみる。
「各国特有の作物の種や苗など御用意した、と……」
「は?」
「その様な連絡が……」
「えー……?」
何故……?と驚いていると経緯を簡単に教えてくれる。
まず、ライアスのする定期報告では『俺の言動』が(例外はあるが)つぶさに総教国に伝えられているそうな。まあ、そりゃそうだろう。そこに疑問は無い。
それで、俺が野菜とか作ろうとしていて、でも種や苗がなくて困っていた事。しかし、それが”神の御業”により元々の手持ち分や買い集めた作物については不自由なく入手できる様になった、という事まで午前中に報告していたらしい。
「で?」
「その時に私が、新たに入手された物ついても適用される事でリヒト様は”今後色んな国をそういう目的でも訪問なされるかもしれない”と一言……」
書き添えたと。ふむ。
「まあ、そこはライアスの予測通りだが」
「だなあ。それを受けて手配してくれたって事か」
「国交のある国の物のみですが……その……」
ずっと困っているというか何というか、さっきから歯切れの悪いライアスの姿にちょっとピンッと来る。
「あ、うん。察した」
普通に受け取れば、すごく甘やかされちゃってて有難い事だけども。
「ライアスが微妙な顔してたのは、余計なお世話かもしれない+俺の受け取り方が心配だったって事?」
「……はい」
「やっぱりか~。俺、捻くれてるもんな~」
ライアスよく判ってんじゃん!アッハッハッハッ~!と笑えば、ライアスがすみませんって顔で焦ってる。
『そんな事の為にむやみやたらに動かれると困ると総教国側が思ってそういう事したんじゃないか』って俺が捉えるかもしれないから、言うのに微妙な顔してたって事だな。言わない訳にもいかないしなあ。お疲れ様。
まあ、すぐに察したって事で、うん。間違ってない。うん。
でも、気分を害したって事はなくて。やっぱりさ、総教国としてはいくらあの”降臨”イベントを経たとしてもポッと出の俺には大人しくしておいて欲しいって気持ちがない訳じゃないだろうなって思うよ、俺は。そう思うのも当たり前。
どう処理されたか知らないけどガルゴドンでの事とかあるしさ。
勿論純粋に手助けって気持ちの方が正解かもしれないしそこは知らない判らない。
「折角だし受け取るけど……どういう意図があるにせよ俺が自由にウロウロする予定なのは変わんないからなあ。気にしないでいいぞ」
「はい」
「物体転移で拾いあげておくから、あの例の岩の前にでも置いてくれって伝えて」
「承知致しました」
思いがけずコンプリートへ向け数歩前進。
色々手に入る事になっちゃったけど、ありとあらゆる物って訳でもないだろうし、国交がある国の物のみって事だしコンプリートはまだまだ先。
まあ、のんびり行くぞ~。
説明も終わった後は暇だったので、ソランツェを引き連れて農作業。どうせ魔法なんだし手伝ってもらう事も無いんだけど一緒が良いよな。
作業内容としては拠点から少し離れた場所に、二百メートル四方くらいの規模で手持ち野菜達の畑を作成し直した。
もう種の入手先の心配もなくていつでも作れるものだから別に今じゃなくてもいいし、もしや実は畑すら要らないんじゃないか?と思うけど、まあ、暇だったんで。
でも、暇だなと思いつつも、畑全体に『各作物に合わせた生育環境になれ』とか『基本は自動収穫(→亜空間収納へ)』とかってズルい環境設定しちゃうのは……あれだなあって思わなくもない。うん、あれなヤツだよ俺は。
因みにライアスは鍛錬するってジムへ、アシュマルナは気付いたらいなかったので帰ったっぽい。せめて帰るって一言言えよ。
で、これだけの規模の物となると、先に植えてたラリアフ達を移動させたり、判定ガバガバで”手持ち作物”にカウントされていたカットサラダやカット野菜達から生成した苗とかも色々植えたし、薬草のジギ草やコルス草も植えてみても空きはまだまだいっぱい。
「野菜などそんなにも種類が必要なのかと思わなくも無いが……」
基本肉一択のソランツェがそう思うのは不思議じゃないんだけど。
「いやまあ、既に色々あるから本当にもっと色んな種類が必要かと問われると、初めの動機はどこかに買いに行くとかじゃなくてここで色々手に入る様になれば便利だなって事だったんで正直微妙なんだけども」
「も?」
「なんかもう、ただただコンプリートしようかなって」
「こんぷりーと?」
「いっその事この世界で食用とされてる物とか薬草だったりする有益なやつ全部揃えたいなっていう」
「は?」
はい。『何言ってんだコイツ』顔、頂きました。心底そう思ってる顔してる。
――が、俺の考えを聞けば納得するはず。
「まあ、聞けよ……」
「?」
何もすぐに色々揃えたいっていうんじゃないんだ、俺は。
数時間前にアシュマルナ達の世界に少し行った事で改めて思ったんだよ。
「……だって、時間腐るほどあるんだよ俺達って」
「ああ……」
「ソランツェは俺さえいればいいって嬉しい事言ってくれるけどさ……永く一緒にいる為には先々の”暇潰し”手段も色々見つけていかないとかな~って」
コンプリート後はほぼ魔法に頼らず品種改良に没頭するのもいいんじゃないかとかも考えている。美味しい野菜や果物作ってやる!やり方知らないけど!
そういえば、俺の好きなショルフジュース量産の為に、ショルフの実を発芽させたのを一つ植えて成長させてみた所、出来たのはそりゃそうだってくらい予想通りのココヤシ(ショルフ)だった。
で、二十本くらい植えたらそこだけ南国感いっぱい。大きな湖かプールでも作って南国リゾート風区画でも作ろうかなって血迷うくらいには南国感。……いつか作ろう。
++++++
果てしない未来に思いを馳せつつ拠点に戻ると、鍛錬から戻っていたライアスがリビングで待っていた。
「先程、国の方から連絡が御座いまして」
「ん?」
ライアスは何か戸惑っているのかちょっと微妙な表情だったので、総教国からって何かあったんだろうか?と夕飯を後回しにして訊いてみる。
「各国特有の作物の種や苗など御用意した、と……」
「は?」
「その様な連絡が……」
「えー……?」
何故……?と驚いていると経緯を簡単に教えてくれる。
まず、ライアスのする定期報告では『俺の言動』が(例外はあるが)つぶさに総教国に伝えられているそうな。まあ、そりゃそうだろう。そこに疑問は無い。
それで、俺が野菜とか作ろうとしていて、でも種や苗がなくて困っていた事。しかし、それが”神の御業”により元々の手持ち分や買い集めた作物については不自由なく入手できる様になった、という事まで午前中に報告していたらしい。
「で?」
「その時に私が、新たに入手された物ついても適用される事でリヒト様は”今後色んな国をそういう目的でも訪問なされるかもしれない”と一言……」
書き添えたと。ふむ。
「まあ、そこはライアスの予測通りだが」
「だなあ。それを受けて手配してくれたって事か」
「国交のある国の物のみですが……その……」
ずっと困っているというか何というか、さっきから歯切れの悪いライアスの姿にちょっとピンッと来る。
「あ、うん。察した」
普通に受け取れば、すごく甘やかされちゃってて有難い事だけども。
「ライアスが微妙な顔してたのは、余計なお世話かもしれない+俺の受け取り方が心配だったって事?」
「……はい」
「やっぱりか~。俺、捻くれてるもんな~」
ライアスよく判ってんじゃん!アッハッハッハッ~!と笑えば、ライアスがすみませんって顔で焦ってる。
『そんな事の為にむやみやたらに動かれると困ると総教国側が思ってそういう事したんじゃないか』って俺が捉えるかもしれないから、言うのに微妙な顔してたって事だな。言わない訳にもいかないしなあ。お疲れ様。
まあ、すぐに察したって事で、うん。間違ってない。うん。
でも、気分を害したって事はなくて。やっぱりさ、総教国としてはいくらあの”降臨”イベントを経たとしてもポッと出の俺には大人しくしておいて欲しいって気持ちがない訳じゃないだろうなって思うよ、俺は。そう思うのも当たり前。
どう処理されたか知らないけどガルゴドンでの事とかあるしさ。
勿論純粋に手助けって気持ちの方が正解かもしれないしそこは知らない判らない。
「折角だし受け取るけど……どういう意図があるにせよ俺が自由にウロウロする予定なのは変わんないからなあ。気にしないでいいぞ」
「はい」
「物体転移で拾いあげておくから、あの例の岩の前にでも置いてくれって伝えて」
「承知致しました」
思いがけずコンプリートへ向け数歩前進。
色々手に入る事になっちゃったけど、ありとあらゆる物って訳でもないだろうし、国交がある国の物のみって事だしコンプリートはまだまだ先。
まあ、のんびり行くぞ~。
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