のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

文字の大きさ
上 下
141 / 148

138

しおりを挟む
「どんな感じにしようか……」

 朝食後、ソランツェは素振りなどの日課をやりに外へ行き、ライアスは定期報告の為に自室に引っ込むというので、俺はダイニングに居残りノートとボールペンを出して鍛錬場&演習場の間取り的なものを考える事にした。
 今まで通り頭の中だけで考えるのでも良いんだけど、さすがに竜殺しドラゴンスレイヤーの相手はライアスが可哀想なんで何か案を考えようと思うので、それも同時にパパッと書き込めるように。因みに鍛錬場&演習場はこの謎物体製ハウスをいい感じに拡張して中に造ろうと思う。

 まずは、演習場の方は後回しにして、先に鍛錬場をどうにか……って言っても俺には鍛錬ってものがあんまり判んないけど。
 とりあえずはスポーツジムみたいにトレーニングマシン置こう。あとは剣道の打ち込み台みたいな奴とか?
 バイクやトレッドミル、ショルダー・チェスト・レッグプレスとか色々記憶の中にぼんやりと存在していた自分が知ってる範囲のマシンを頭に浮かべる。うーん、外観は思い浮かぶけどマジで構造が判んねえ。それにソランツェには通常の物だと負荷が全然足らない様な気がするのに気付いたけども……。
 でもまあ、そこら辺は魔法(アシュマルナ)がどうにかしてくれるかなと思い至る。よし、頼んだ。ノートに置きたい物リストとしてメモしておこ~♪――って……
 
「あれ?」

 俺……なんか普通に魔法(アシュマルナ)が~って考えたけど、これってOKなやつ?いや、OKなやつも何もこれまで散々考えてきたし、色々けど?
 例の頼るって? え? あれ? もしかして、俺って今まで自覚無いだけで散々頼って……る?頼るっつーか?え?魔法での色んな補完テクニカルサポートはまだしも、ソランツェ達の水着出してとかキャンピングカーの模型作ってとかってのはよく考えると普通にしてた事になってる?なってない?……いや、なってる?なってるようななってないような?――と、いう事は?

「という事は? は? あれ? 何?」

 なってるようななってないようなって話じゃなくて、何かが引っ掛かるけど……あれ?

「なんだ?」

 え?ん?いや?とかブツブツ一人で呟きながらノートを?マークの落書きで埋めていく。普通におねだり?

「普通……いや、何かおかしい……んー……?」

 ――ふつう……っつーか、んん?ちょっと待って?

「いや? いやいや?!」

 ちょっと気付いたけど

「あれ?!」

 今まで引き換え条件って?

「……無い?」

 よな?

「…………」

 うっっわ、やられた!!!

「クソチョロいの俺の方じゃねえか!!」

 あぁ、クソほどチョロいぞ俺。マジで。引き換え条件云々って言っちゃったの俺だ!ああ、バカ。俺の”とりあえずアシュマルナの事を訝しむ”という警戒心が仇となって……今思えばアシュマルナの奴、なんか俺のそれ警戒心にノって来た感があるかも?そもそも空き部屋の事なんて考えてなかったのかもしれないのに俺がそう考えてたから『ならばその様に』的に、俺が同居欲出させちゃった感じ?あー……あり得るかもしれない。笑ってたのって、か……?

「うーわー……」

 気付いた事実にテーブルに突っ伏していると頭上から、

『まあ、今更遅いがな』

 なんて聞こえる。聞きたくねえ。お前の声は、今。

『私を訝しみ、尚且つ先走る。愛らしいものよ』
「うっぜぇぇぇ~……」

 響く高笑いが癇に障る。が、もういいや。部屋なんて好きにしやがれ。






++++++






「で、何?」

 用も無いなら出て来て欲しくないんだけど、という気持ちをたっぷりと視線と声色に乗せてアシュマルナにぶつける。余すことなく伝われ、俺の想い。

『準備が出来た。行くぞ』
「は?」

 どこに?と訊く前に体がふわりと浮いてパッと景色が切り替わる。うお~自力以外の転移って慣れねえ~!

「――って、ん?」

 切り替わった先は家具も何もない普通の室内でっていうか、多分例の空き部屋。

「何これ?」

 その部屋の真ん中に直径二メートルくらいの大きさの丸いほわほわ光る透明な物体が浮いている。光ってる以外はシャボン玉みたいなんだけど、じっと見ていると何だか吸い込まれそうな……手で触れたくなるような不思議な感覚がする。

『そのまま触れてみよ』

 誘われる様に無意識のうちに前に出ていたらしい腕をそのまま背後からアシュマルナに取られて、光るシャボン玉に近付けられる。

「え?」

 アシュマルナに触られたのは初めてで、その大きな手にちょっと驚く。触られた事が嫌だったからって訳でもなく、ただ純粋に大きいなってだけなんだけど。
 今は俺に合わせて出来るだけ体を小さくしてくれてはいるけれど、それでもソランツェよりも大きなアシュマルナに背後から腕を添えられ誘導されているとまるで大人と子供だな、と思う。髪色一緒で見た目も似てるからパッと見は親子に見えるかもな――っつーか俺ら一応親子だった、そういえば。

「触っても平気なやつ?」
『大丈夫だ』
「本当かよ?」

 アシュマルナに俺の反応を面白がっている様なニュアンスもないし、アシュマルナの言葉を実際疑ってる訳でもない。でも、これが何かの説明がないから触るのがやっぱりちょっと不安ではあるかもしれなくて……。
 なので、チラッと振り返ってアシュマルナの顔を見てみたら、とても穏やかな優しい顔で俺を見ていて目が合うといつもの胡散臭い笑顔じゃない少し崩れた感じがする本物っぽい笑顔になって。
 何だろう?何だか表現難しいけどそれがすごく嬉しく思えて安心したというか、触っても大丈夫なんだろうなって思える様になるっていう何とも言えない本当によく判らない状態になったぞ。何だろう、これ。

























※一応念の為追記しておきますが、ソランツェ×リヒトは固定です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...