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「どんな感じにしようか……」
朝食後、ソランツェは素振りなどの日課をやりに外へ行き、ライアスは定期報告の為に自室に引っ込むというので、俺はダイニングに居残りノートとボールペンを出して鍛錬場&演習場の間取り的なものを考える事にした。
今まで通り頭の中だけで考えるのでも良いんだけど、さすがに竜殺しの相手はライアスが可哀想なんで何か案を考えようと思うので、それも同時にパパッと書き込めるように。因みに鍛錬場&演習場はこの謎物体製ハウスをいい感じに拡張して中に造ろうと思う。
まずは、演習場の方は後回しにして、先に鍛錬場をどうにか……って言っても俺には鍛錬ってものがあんまり判んないけど。
とりあえずはスポーツジムみたいにトレーニングマシン置こう。あとは剣道の打ち込み台みたいな奴とか?
バイクやトレッドミル、ショルダー・チェスト・レッグプレスとか色々記憶の中にぼんやりと存在していた自分が知ってる範囲のマシンを頭に浮かべる。うーん、外観は思い浮かぶけどマジで構造が判んねえ。それにソランツェには通常の物だと負荷が全然足らない様な気がするのに気付いたけども……。
でもまあ、そこら辺は魔法(アシュマルナ)がどうにかしてくれるかなと思い至る。よし、頼んだ。ノートに置きたい物リストとしてメモしておこ~♪――って……
「あれ?」
俺……なんか普通に魔法(アシュマルナ)が~って考えたけど、これってOKなやつ?いや、OKなやつも何もこれまで散々そう考えてきたし、色々やってもらってるけど?
例の頼るって? え? あれ? もしかして、俺って今まで自覚無いだけで散々頼って……る?頼るっつーかおねがい?おねだり?え?魔法での色んな補完はまだしも、ソランツェ達の水着出してとかキャンピングカーの模型作ってとかってのはよく考えると普通におねだりしてた事になってる?なってない?……いや、なってる?なってるようななってないような?――と、いう事は?
「という事は? は? あれ? 何?」
なってるようななってないようなって話じゃなくて、何かが引っ掛かるけど……あれ?
「なんだ?」
え?ん?いや?とかブツブツ一人で呟きながらノートを?マークの落書きで埋めていく。普通におねだり?
「普通……いや、何かおかしい……んー……?」
――ふつう……っつーか、んん?ちょっと待って?
「いや? いやいや?!」
ちょっと気付いたけど
「あれ?!」
今まで引き換え条件って?
「……無い?」
よな?
「…………」
うっっわ、やられた!!!
「クソチョロいの俺の方じゃねえか!!」
あぁ、クソほどチョロいぞ俺。マジで。引き換え条件云々って言っちゃったの俺だ!ああ、バカ。俺の”とりあえずアシュマルナの事を訝しむ”という警戒心が仇となって……今思えばアシュマルナの奴、なんか俺のそれにノって来た感があるかも?そもそも空き部屋の事なんて考えてなかったのかもしれないのに俺がそう考えてたから『ならばその様に』的に、俺が同居欲出させちゃった感じ?あー……あり得るかもしれない。笑ってたのってそういう事で、か……?
「うーわー……」
気付いた事実にテーブルに突っ伏していると頭上から、
『まあ、今更遅いがな』
なんて聞こえる。聞きたくねえ。お前の声は、今。
『私を訝しみ、尚且つ先走る。愛らしいものよ』
「うっぜぇぇぇ~……」
響く高笑いが癇に障る。が、もういいや。部屋なんて好きにしやがれ。
++++++
「で、何?」
用も無いなら出て来て欲しくないんだけど、という気持ちをたっぷりと視線と声色に乗せてアシュマルナにぶつける。余すことなく伝われ、俺の想い。
『準備が出来た。行くぞ』
「は?」
どこに?と訊く前に体がふわりと浮いてパッと景色が切り替わる。うお~自力以外の転移って慣れねえ~!
「――って、ん?」
切り替わった先は家具も何もない普通の室内でっていうか、多分例の空き部屋。
「何これ?」
その部屋の真ん中に直径二メートルくらいの大きさの丸いほわほわ光る透明な物体が浮いている。光ってる以外はシャボン玉みたいなんだけど、じっと見ていると何だか吸い込まれそうな……手で触れたくなるような不思議な感覚がする。
『そのまま触れてみよ』
誘われる様に無意識のうちに前に出ていたらしい腕をそのまま背後からアシュマルナに取られて、光るシャボン玉に近付けられる。
「え?」
アシュマルナに触られたのは初めてで、その大きな手にちょっと驚く。触られた事が嫌だったからって訳でもなく、ただ純粋に大きいなってだけなんだけど。
今は俺に合わせて出来るだけ体を小さくしてくれてはいるけれど、それでもソランツェよりも大きなアシュマルナに背後から腕を添えられ誘導されているとまるで大人と子供だな、と思う。髪色一緒で見た目も似てるからパッと見は親子に見えるかもな――っつーか俺ら一応親子だった、そういえば。
「触っても平気なやつ?」
『大丈夫だ』
「本当かよ?」
アシュマルナに俺の反応を面白がっている様なニュアンスもないし、アシュマルナの言葉を実際疑ってる訳でもない。でも、これが何かの説明がないから触るのがやっぱりちょっと不安ではあるかもしれなくて……。
なので、チラッと振り返ってアシュマルナの顔を見てみたら、とても穏やかな優しい顔で俺を見ていて目が合うといつもの胡散臭い笑顔じゃない少し崩れた感じがする本物っぽい笑顔になって。
何だろう?何だか表現難しいけどそれがすごく嬉しく思えて安心したというか、触っても大丈夫なんだろうなって思える様になるっていう何とも言えない本当によく判らない状態になったぞ。何だろう、これ。
※一応念の為追記しておきますが、ソランツェ×リヒトは固定です。
朝食後、ソランツェは素振りなどの日課をやりに外へ行き、ライアスは定期報告の為に自室に引っ込むというので、俺はダイニングに居残りノートとボールペンを出して鍛錬場&演習場の間取り的なものを考える事にした。
今まで通り頭の中だけで考えるのでも良いんだけど、さすがに竜殺しの相手はライアスが可哀想なんで何か案を考えようと思うので、それも同時にパパッと書き込めるように。因みに鍛錬場&演習場はこの謎物体製ハウスをいい感じに拡張して中に造ろうと思う。
まずは、演習場の方は後回しにして、先に鍛錬場をどうにか……って言っても俺には鍛錬ってものがあんまり判んないけど。
とりあえずはスポーツジムみたいにトレーニングマシン置こう。あとは剣道の打ち込み台みたいな奴とか?
バイクやトレッドミル、ショルダー・チェスト・レッグプレスとか色々記憶の中にぼんやりと存在していた自分が知ってる範囲のマシンを頭に浮かべる。うーん、外観は思い浮かぶけどマジで構造が判んねえ。それにソランツェには通常の物だと負荷が全然足らない様な気がするのに気付いたけども……。
でもまあ、そこら辺は魔法(アシュマルナ)がどうにかしてくれるかなと思い至る。よし、頼んだ。ノートに置きたい物リストとしてメモしておこ~♪――って……
「あれ?」
俺……なんか普通に魔法(アシュマルナ)が~って考えたけど、これってOKなやつ?いや、OKなやつも何もこれまで散々そう考えてきたし、色々やってもらってるけど?
例の頼るって? え? あれ? もしかして、俺って今まで自覚無いだけで散々頼って……る?頼るっつーかおねがい?おねだり?え?魔法での色んな補完はまだしも、ソランツェ達の水着出してとかキャンピングカーの模型作ってとかってのはよく考えると普通におねだりしてた事になってる?なってない?……いや、なってる?なってるようななってないような?――と、いう事は?
「という事は? は? あれ? 何?」
なってるようななってないようなって話じゃなくて、何かが引っ掛かるけど……あれ?
「なんだ?」
え?ん?いや?とかブツブツ一人で呟きながらノートを?マークの落書きで埋めていく。普通におねだり?
「普通……いや、何かおかしい……んー……?」
――ふつう……っつーか、んん?ちょっと待って?
「いや? いやいや?!」
ちょっと気付いたけど
「あれ?!」
今まで引き換え条件って?
「……無い?」
よな?
「…………」
うっっわ、やられた!!!
「クソチョロいの俺の方じゃねえか!!」
あぁ、クソほどチョロいぞ俺。マジで。引き換え条件云々って言っちゃったの俺だ!ああ、バカ。俺の”とりあえずアシュマルナの事を訝しむ”という警戒心が仇となって……今思えばアシュマルナの奴、なんか俺のそれにノって来た感があるかも?そもそも空き部屋の事なんて考えてなかったのかもしれないのに俺がそう考えてたから『ならばその様に』的に、俺が同居欲出させちゃった感じ?あー……あり得るかもしれない。笑ってたのってそういう事で、か……?
「うーわー……」
気付いた事実にテーブルに突っ伏していると頭上から、
『まあ、今更遅いがな』
なんて聞こえる。聞きたくねえ。お前の声は、今。
『私を訝しみ、尚且つ先走る。愛らしいものよ』
「うっぜぇぇぇ~……」
響く高笑いが癇に障る。が、もういいや。部屋なんて好きにしやがれ。
++++++
「で、何?」
用も無いなら出て来て欲しくないんだけど、という気持ちをたっぷりと視線と声色に乗せてアシュマルナにぶつける。余すことなく伝われ、俺の想い。
『準備が出来た。行くぞ』
「は?」
どこに?と訊く前に体がふわりと浮いてパッと景色が切り替わる。うお~自力以外の転移って慣れねえ~!
「――って、ん?」
切り替わった先は家具も何もない普通の室内でっていうか、多分例の空き部屋。
「何これ?」
その部屋の真ん中に直径二メートルくらいの大きさの丸いほわほわ光る透明な物体が浮いている。光ってる以外はシャボン玉みたいなんだけど、じっと見ていると何だか吸い込まれそうな……手で触れたくなるような不思議な感覚がする。
『そのまま触れてみよ』
誘われる様に無意識のうちに前に出ていたらしい腕をそのまま背後からアシュマルナに取られて、光るシャボン玉に近付けられる。
「え?」
アシュマルナに触られたのは初めてで、その大きな手にちょっと驚く。触られた事が嫌だったからって訳でもなく、ただ純粋に大きいなってだけなんだけど。
今は俺に合わせて出来るだけ体を小さくしてくれてはいるけれど、それでもソランツェよりも大きなアシュマルナに背後から腕を添えられ誘導されているとまるで大人と子供だな、と思う。髪色一緒で見た目も似てるからパッと見は親子に見えるかもな――っつーか俺ら一応親子だった、そういえば。
「触っても平気なやつ?」
『大丈夫だ』
「本当かよ?」
アシュマルナに俺の反応を面白がっている様なニュアンスもないし、アシュマルナの言葉を実際疑ってる訳でもない。でも、これが何かの説明がないから触るのがやっぱりちょっと不安ではあるかもしれなくて……。
なので、チラッと振り返ってアシュマルナの顔を見てみたら、とても穏やかな優しい顔で俺を見ていて目が合うといつもの胡散臭い笑顔じゃない少し崩れた感じがする本物っぽい笑顔になって。
何だろう?何だか表現難しいけどそれがすごく嬉しく思えて安心したというか、触っても大丈夫なんだろうなって思える様になるっていう何とも言えない本当によく判らない状態になったぞ。何だろう、これ。
※一応念の為追記しておきますが、ソランツェ×リヒトは固定です。
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