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 植えたラリアフに水魔法を使って雨を降らせるように一気に水やりをした後、家に入って作戦(?)会議。
 とりあえず、じゃがいもに関しては切って植えるのかもそのまま植えるのかも判らないけれど、収納から何個か取り出して芽出しの為にキッチンの片隅に放置しておいた。芽出しの正解の方法が判んないけど、過去に使い忘れていたじゃがいもが芽を出してるなんて事はたまにあったので放置でいいはず。


「さて、勉強って言ってもなあ……」

 何か軽く食べつつ話そうかとダイニングで椅子に座って待つ二人に目線を向けてみるが『さっぱりわからん』って顔。そりゃそうだろうな。俺の先生な二人も農業は完全に専門外。戦力にならず。  
 どうしたものかと考えつつ、おにぎり・バゲットサンド・スープ・デザートと用意して三人で食べる。バゲットサンドはいつもステーキ肉だったのを今回は鶏ハムにしてみたがライアスが気に入った様でペースが早い気がする。美味いよな、鶏ハム。つーか、二人とも美味しいってパクパクパクパク食べてるけど、味の感想は良いので畑の事をちょっとは考えて欲しい。食べつつ話そうかって言ったの忘れてるよな。



 俺がサンド一つを食べ終わるまでに、スープ二杯にサンド三つは食べるっていうペースで食べしっかり腹が満たされた二人がようやく話す雰囲気になったので本題に。
 
「種がそのまま手に入る物以外の野菜たちの種が欲しいっつーか、そもそも種が売ってたら楽なんだけどそういう店ってある?」

 ニンジンとか葉物とかは手持ちにある物からは種なんか取れない訳で。あるなら買いたい。いっぱい買いたい。
 そういう店があれば他にも判らない事訊けば教えてくれそうかなとも思うから、専門外とは判っているが一応訊いてみたけど、

「私は聞いた事がありませんし、そういう店自体あるのでしょうか?」

 予想通りの返答にそもそもこの世界に園芸店的なのって存在するのかどうかという所の指摘。うぅ。

「ユグイトを色々見て回った中ではなかったはずだな」
「……まあ、あったなら多分、とりあえず買っておこうって俺言ってると思うしな……」

 もう既に望みが薄い。ペラペラ。

「ユグイトで話を聞いた店主がダンジョンで苗や種を調達する事もあると言っていた気がするが」
「あ、言ってたな。そういえば」

 ダンジョンに採りに行けば?って言われた時にそんな話聞いたな。ダンジョン行きを即行で却下した所為か頭からすっかり抜けていた。

「でも、ダンジョンはやはり危険ですし毎回という訳ではない気がしますから、基本は自分で育てた物から取っているという事なのでは」
「あー……」

 多分そうだなっていうか絶対そうだ。販売分以外で種が出来るまで育ててっていうサイクルで、それは多分ユグイトに限らずの話。

「他の場所の農家さん達もやっぱり自家採取でやってんだろうから……」

 だから、そうなってくると売り物ではない種を売ってくれって言っても簡単に売ってくれそうなものでもない。種として採取するのは次回分の必要量のみだろうし……。
 俺の畑は言ってしまえばお遊び・趣味だけど、農家は生業だもん。「(やってみたいんで)種売って下さい、育て方教えて下さい」ってのはなんか言い辛い気がするぞ。失礼過ぎて。


 えー、だの、うー、だの唸っていたら、そういう事ならばやはりダンジョンに採りに行けばいいんじゃないか?とソランツェが言ってくるけど、それは……それしかない?のか?いや、でも、行ったせいでもしもの環境変化があったら困るからなあ。


『やれやれ』


 どうしようかなと考えていたら、いきなり聞こえた聞き覚えのある声。
 呼んでもないのに何だ?とスマホを取り出してみるも画面は黒いまま。あれ?と思い三人で画面を覗き込んで名前を呼んでみても反応がない。

「おーい、アシュマルナー?」
『どこを見ておる』
「「「!?」」」

 すぐ近くというか頭上から聞こえる声に反応して急いで顔を上げてみると、いたよ。いましたよ。俺は勿論ライアス・ソランツェにも勘付かれる事無く頭上に浮かんでニコニコしてやがる。無駄に花びらは舞ってるしキラキラしてるし(直接は)初対面のライアスは例の如く沈没したし。

『いつ頼ってくるかと待っておったが』

 待てずに出て来た……と?

「うえぇぇ……」
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