136 / 148
133
しおりを挟む
植えた苺に水魔法を使って雨を降らせるように一気に水やりをした後、家に入って作戦(?)会議。
とりあえず、じゃがいもに関しては切って植えるのかもそのまま植えるのかも判らないけれど、収納から何個か取り出して芽出しの為にキッチンの片隅に放置しておいた。芽出しの正解の方法が判んないけど、過去に使い忘れていたじゃがいもが芽を出してるなんて事はたまにあったので放置でいいはず。
「さて、勉強って言ってもなあ……」
何か軽く食べつつ話そうかとダイニングで椅子に座って待つ二人に目線を向けてみるが『さっぱりわからん』って顔。そりゃそうだろうな。俺の先生な二人も農業は完全に専門外。戦力にならず。
どうしたものかと考えつつ、おにぎり・バゲットサンド・スープ・デザートと用意して三人で食べる。バゲットサンドはいつもステーキ肉だったのを今回は鶏ハムにしてみたがライアスが気に入った様でペースが早い気がする。美味いよな、鶏ハム。つーか、二人とも美味しいってパクパクパクパク食べてるけど、味の感想は良いので畑の事をちょっとは考えて欲しい。食べつつ話そうかって言ったの忘れてるよな。
俺がサンド一つを食べ終わるまでに、スープ二杯にサンド三つは食べるっていうペースで食べしっかり腹が満たされた二人がようやく話す雰囲気になったので本題に。
「種がそのまま手に入る物以外の野菜たちの種が欲しいっつーか、そもそも種が売ってたら楽なんだけどそういう店ってある?」
ニンジンとか葉物とかは手持ちにある出来上がった物からは種なんか取れない訳で。あるなら買いたい。いっぱい買いたい。
そういう店があれば他にも判らない事訊けば教えてくれそうかなとも思うから、専門外とは判っているが一応訊いてみたけど、
「私は聞いた事がありませんし、そういう店自体あるのでしょうか?」
予想通りの返答にそもそもこの世界に園芸店的なのって存在するのかどうかという所の指摘。うぅ。
「ユグイトを色々見て回った中ではなかったはずだな」
「……まあ、あったなら多分、とりあえず買っておこうって俺言ってると思うしな……」
もう既に望みが薄い。ペラペラ。
「ユグイトで話を聞いた店主がダンジョンで苗や種を調達する事もあると言っていた気がするが」
「あ、言ってたな。そういえば」
ダンジョンに採りに行けば?って言われた時にそんな話聞いたな。ダンジョン行きを即行で却下した所為か頭からすっかり抜けていた。
「でも、ダンジョンはやはり危険ですし毎回という訳ではない気がしますから、基本は自分で育てた物から取っているという事なのでは」
「あー……」
多分そうだなっていうか絶対そうだ。販売分以外で種が出来るまで育ててっていうサイクルで、それは多分ユグイトに限らずの話。
「他の場所の農家さん達もやっぱり自家採取でやってんだろうから……」
だから、そうなってくると売り物ではない種を売ってくれって言っても簡単に売ってくれそうなものでもない。種として採取するのは次回分の必要量のみだろうし……。
俺の畑は言ってしまえばお遊び・趣味だけど、農家は生業だもん。「(やってみたいんで)種売って下さい、育て方教えて下さい」ってのはなんか言い辛い気がするぞ。失礼過ぎて。
えー、だの、うー、だの唸っていたら、そういう事ならばやはりダンジョンに採りに行けばいいんじゃないか?とソランツェが言ってくるけど、それは……それしかない?のか?いや、でも、行ったせいでもしもの環境変化があったら困るからなあ。
『やれやれ』
どうしようかなと考えていたら、いきなり聞こえた聞き覚えのある声。
呼んでもないのに何だ?とスマホを取り出してみるも画面は黒いまま。あれ?と思い三人で画面を覗き込んで名前を呼んでみても反応がない。
「おーい、アシュマルナー?」
『どこを見ておる』
「「「!?」」」
すぐ近くというか頭上から聞こえる声に反応して急いで顔を上げてみると、いたよ。いましたよ。俺は勿論ライアス・ソランツェにも勘付かれる事無く頭上に浮かんでニコニコしてやがる。無駄に花びらは舞ってるしキラキラしてるし(直接は)初対面のライアスは例の如く沈没したし。
『いつ頼ってくるかと待っておったが』
待てずに出て来た……と?
「うえぇぇ……」
とりあえず、じゃがいもに関しては切って植えるのかもそのまま植えるのかも判らないけれど、収納から何個か取り出して芽出しの為にキッチンの片隅に放置しておいた。芽出しの正解の方法が判んないけど、過去に使い忘れていたじゃがいもが芽を出してるなんて事はたまにあったので放置でいいはず。
「さて、勉強って言ってもなあ……」
何か軽く食べつつ話そうかとダイニングで椅子に座って待つ二人に目線を向けてみるが『さっぱりわからん』って顔。そりゃそうだろうな。俺の先生な二人も農業は完全に専門外。戦力にならず。
どうしたものかと考えつつ、おにぎり・バゲットサンド・スープ・デザートと用意して三人で食べる。バゲットサンドはいつもステーキ肉だったのを今回は鶏ハムにしてみたがライアスが気に入った様でペースが早い気がする。美味いよな、鶏ハム。つーか、二人とも美味しいってパクパクパクパク食べてるけど、味の感想は良いので畑の事をちょっとは考えて欲しい。食べつつ話そうかって言ったの忘れてるよな。
俺がサンド一つを食べ終わるまでに、スープ二杯にサンド三つは食べるっていうペースで食べしっかり腹が満たされた二人がようやく話す雰囲気になったので本題に。
「種がそのまま手に入る物以外の野菜たちの種が欲しいっつーか、そもそも種が売ってたら楽なんだけどそういう店ってある?」
ニンジンとか葉物とかは手持ちにある出来上がった物からは種なんか取れない訳で。あるなら買いたい。いっぱい買いたい。
そういう店があれば他にも判らない事訊けば教えてくれそうかなとも思うから、専門外とは判っているが一応訊いてみたけど、
「私は聞いた事がありませんし、そういう店自体あるのでしょうか?」
予想通りの返答にそもそもこの世界に園芸店的なのって存在するのかどうかという所の指摘。うぅ。
「ユグイトを色々見て回った中ではなかったはずだな」
「……まあ、あったなら多分、とりあえず買っておこうって俺言ってると思うしな……」
もう既に望みが薄い。ペラペラ。
「ユグイトで話を聞いた店主がダンジョンで苗や種を調達する事もあると言っていた気がするが」
「あ、言ってたな。そういえば」
ダンジョンに採りに行けば?って言われた時にそんな話聞いたな。ダンジョン行きを即行で却下した所為か頭からすっかり抜けていた。
「でも、ダンジョンはやはり危険ですし毎回という訳ではない気がしますから、基本は自分で育てた物から取っているという事なのでは」
「あー……」
多分そうだなっていうか絶対そうだ。販売分以外で種が出来るまで育ててっていうサイクルで、それは多分ユグイトに限らずの話。
「他の場所の農家さん達もやっぱり自家採取でやってんだろうから……」
だから、そうなってくると売り物ではない種を売ってくれって言っても簡単に売ってくれそうなものでもない。種として採取するのは次回分の必要量のみだろうし……。
俺の畑は言ってしまえばお遊び・趣味だけど、農家は生業だもん。「(やってみたいんで)種売って下さい、育て方教えて下さい」ってのはなんか言い辛い気がするぞ。失礼過ぎて。
えー、だの、うー、だの唸っていたら、そういう事ならばやはりダンジョンに採りに行けばいいんじゃないか?とソランツェが言ってくるけど、それは……それしかない?のか?いや、でも、行ったせいでもしもの環境変化があったら困るからなあ。
『やれやれ』
どうしようかなと考えていたら、いきなり聞こえた聞き覚えのある声。
呼んでもないのに何だ?とスマホを取り出してみるも画面は黒いまま。あれ?と思い三人で画面を覗き込んで名前を呼んでみても反応がない。
「おーい、アシュマルナー?」
『どこを見ておる』
「「「!?」」」
すぐ近くというか頭上から聞こえる声に反応して急いで顔を上げてみると、いたよ。いましたよ。俺は勿論ライアス・ソランツェにも勘付かれる事無く頭上に浮かんでニコニコしてやがる。無駄に花びらは舞ってるしキラキラしてるし(直接は)初対面のライアスは例の如く沈没したし。
『いつ頼ってくるかと待っておったが』
待てずに出て来た……と?
「うえぇぇ……」
37
お気に入りに追加
3,348
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
自己評価下の下のオレは、血筋がチートだった!?
トール
BL
一般家庭に生まれ、ごく普通の人生を歩んで16年。凡庸な容姿に特出した才もない平凡な少年ディークは、その容姿に負けない平凡な毎日を送っている。と思っていたのに、周りから見れば全然平凡じゃなかった!?
実はこの世界の創造主(神王)を母に持ち、騎士団の師団長(鬼神)を父に持つ尊い血筋!? 両親の素性を知らされていない世間知らずな少年が巻き起こすドタバタBLコメディー。
※「異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ」の主人公の息子の話になります。
こちらを読んでいなくても楽しめるように作っておりますが、親の話に興味がある方はぜひズボラライフも読んでいただければ、より楽しめる作品です。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい
夜乃すてら
BL
一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。
しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。
病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。
二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?
※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。
※主人公が受けです。
元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。
※猫獣人がひどい目にもあいません。
(※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)
※試し置きなので、急に消したらすみません。
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜
琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。
ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが………
ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ……
世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。
気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。
そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。
※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる