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ユグイトに到着してまず驚いたのは、街とダンジョンの距離が二百メートルも離れていない事。元々、ダンジョンに挑戦していた冒険者達が入口の側でよく野営していたらしい事から年月をかけて村になって都市になって……という歴史らしい。入場の時に通った建物の中に『この街の歴史』的な絵画と説明文があって非常に勉強になりましたっと。
それにしてもこんなに近くて、ダンジョンから魔物がいっぱい出てくるとかいうもしもの時に大丈夫なのかと思ったが、一応少しの対策はされていた。
ダンジョンの入口は後付けで作った石造りの大きな建物の中にあり、その建物の周囲に少し広めの空堀。で、その際や堀の中には尖った杭だとか罠がいっぱい設置されてあって、ダンジョン側に行くには街側から下ろしている跳ね橋を渡っていくしかない造り。ダンジョンに異変があり魔物が溢れて来る様な事があれば、橋を上げてしまうそうだ。これで多少の時間稼ぎは出来る、と。
ここは立地柄そういう覚悟が出来ている現役冒険者や元冒険者が数多く住んでいるので戦闘の準備が出来る時間が稼げるだけでいいらしいよ。うわぁ戦闘民族~!
「まずは、宿を手配していますのでそちらに向かいましょうか」
「え、あ……?」
街の中に入ってすぐの場所にある広場で、街の簡易地図が描かれている掲示板を見に行こうとしているとライアスから止める声がかかり、そう言われる。
「その後、リヒト様ご希望の市場など商業地区を巡りましょう。では、先導致します」
「……う、うん」
いや、宿の手配っていつの間に……?
あまりにも当たり前のようにサラッと言われてしまったし、ライアスはさっさと歩き出してしまったのでツッコミのタイミングを逃してしまったけどどういう事?ソランツェに目で訊ねてみるも首を傾げているし……。
宿探しをしなくても良いと考えるなら、まあ……いいんだけど。いつの間にって、な?
夜にでも聞こうかと思いつつライアスに付いて、酒場や宿屋が連なる通りを行っていると、突き当りに周囲と比べて一際大きな立派な洋館が見えてくる。他と比べるとTHE高級宿!みたいな外観で、まさかここじゃないよな?なんて思っていたら、これまた当たり前のようにライアスが宿の前で立ち止まる。
「到着しました」
「うーん……まさかを行くのか……」
「お気に召しませんか?」
「……いや、大丈夫」
だけども。うん。
宿の受付はライアスがやってくれるというので、俺とソランツェはロビーのソファで待機中。
中に入ってすぐど真ん中にドーンと階段があって右側に受付、左側はソファとかがある休憩スペース。座ったままクルッと周囲を見てみれば内装も豪華な感じで『金持ってないと泊まれません』な空気が凄い。いやまあ、外観の段階で予想付いてましたけど。
「落ち着かねえよ……」
「多少派手か」
「多少ねえ……」
キラキラし過ぎじゃね?って言いたくなるシャンデリアがあるのが全然おかしくないこの空間が”多少”派手とは……マジで生育環境の違いだよな……とか考えていたら受付を終えたライアスがやって来た。
「一度部屋に向かわれますか?」
「あー、どうする?」
荷物は全部亜空間収納の中だから邪魔だし置いていくかっていう荷物も無いし別に部屋に行かなくても問題は無し。
一応、ソランツェにも訊くと、
「どちらでも」
「じゃあ、帰って来てからでいいや」
「承知致しました」
じゃあ、目的の買い物ツアーに行くぞ~。
++++++
宿から出て商業地区に向けて歩き始める前、ふと見るとソランツェとライアスが目で会話をして何かを確かめる様に無言で頷き合うという事をしていた。なんだ?
「どうした?」
何となく気になったので何かあったのかと首を傾げてみると、何でもない大丈夫だとソランツェに言われ、ライアスからは市場はあちらの道からですなんて言葉が続く。むむむ?
「……何?」
「何、とは?」
「何かあった?」
二人して流す気満々に感じたので少し不機嫌そうな声で問うと、またもライアスと目で会話したソランツェは子供を宥めるみたいな顔で、ただこれから人の多い場所に行くから何かあった場合に於ける動きの確認をしただけだと答えてくれたが……本当にそれだけか?そもそも目だけで動きの確認なんて出来るのか?
何だろうなあ、何だか気になるんだよなあ……。
それにしてもこんなに近くて、ダンジョンから魔物がいっぱい出てくるとかいうもしもの時に大丈夫なのかと思ったが、一応少しの対策はされていた。
ダンジョンの入口は後付けで作った石造りの大きな建物の中にあり、その建物の周囲に少し広めの空堀。で、その際や堀の中には尖った杭だとか罠がいっぱい設置されてあって、ダンジョン側に行くには街側から下ろしている跳ね橋を渡っていくしかない造り。ダンジョンに異変があり魔物が溢れて来る様な事があれば、橋を上げてしまうそうだ。これで多少の時間稼ぎは出来る、と。
ここは立地柄そういう覚悟が出来ている現役冒険者や元冒険者が数多く住んでいるので戦闘の準備が出来る時間が稼げるだけでいいらしいよ。うわぁ戦闘民族~!
「まずは、宿を手配していますのでそちらに向かいましょうか」
「え、あ……?」
街の中に入ってすぐの場所にある広場で、街の簡易地図が描かれている掲示板を見に行こうとしているとライアスから止める声がかかり、そう言われる。
「その後、リヒト様ご希望の市場など商業地区を巡りましょう。では、先導致します」
「……う、うん」
いや、宿の手配っていつの間に……?
あまりにも当たり前のようにサラッと言われてしまったし、ライアスはさっさと歩き出してしまったのでツッコミのタイミングを逃してしまったけどどういう事?ソランツェに目で訊ねてみるも首を傾げているし……。
宿探しをしなくても良いと考えるなら、まあ……いいんだけど。いつの間にって、な?
夜にでも聞こうかと思いつつライアスに付いて、酒場や宿屋が連なる通りを行っていると、突き当りに周囲と比べて一際大きな立派な洋館が見えてくる。他と比べるとTHE高級宿!みたいな外観で、まさかここじゃないよな?なんて思っていたら、これまた当たり前のようにライアスが宿の前で立ち止まる。
「到着しました」
「うーん……まさかを行くのか……」
「お気に召しませんか?」
「……いや、大丈夫」
だけども。うん。
宿の受付はライアスがやってくれるというので、俺とソランツェはロビーのソファで待機中。
中に入ってすぐど真ん中にドーンと階段があって右側に受付、左側はソファとかがある休憩スペース。座ったままクルッと周囲を見てみれば内装も豪華な感じで『金持ってないと泊まれません』な空気が凄い。いやまあ、外観の段階で予想付いてましたけど。
「落ち着かねえよ……」
「多少派手か」
「多少ねえ……」
キラキラし過ぎじゃね?って言いたくなるシャンデリアがあるのが全然おかしくないこの空間が”多少”派手とは……マジで生育環境の違いだよな……とか考えていたら受付を終えたライアスがやって来た。
「一度部屋に向かわれますか?」
「あー、どうする?」
荷物は全部亜空間収納の中だから邪魔だし置いていくかっていう荷物も無いし別に部屋に行かなくても問題は無し。
一応、ソランツェにも訊くと、
「どちらでも」
「じゃあ、帰って来てからでいいや」
「承知致しました」
じゃあ、目的の買い物ツアーに行くぞ~。
++++++
宿から出て商業地区に向けて歩き始める前、ふと見るとソランツェとライアスが目で会話をして何かを確かめる様に無言で頷き合うという事をしていた。なんだ?
「どうした?」
何となく気になったので何かあったのかと首を傾げてみると、何でもない大丈夫だとソランツェに言われ、ライアスからは市場はあちらの道からですなんて言葉が続く。むむむ?
「……何?」
「何、とは?」
「何かあった?」
二人して流す気満々に感じたので少し不機嫌そうな声で問うと、またもライアスと目で会話したソランツェは子供を宥めるみたいな顔で、ただこれから人の多い場所に行くから何かあった場合に於ける動きの確認をしただけだと答えてくれたが……本当にそれだけか?そもそも目だけで動きの確認なんて出来るのか?
何だろうなあ、何だか気になるんだよなあ……。
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