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「ヤバ、寝てた……」
眠気を感じた瞬間に眠りに落ちてしまっていたらしい。ソランツェの肩に凭れてぐっすりだったようだ。
「おはよう」
「うん」
あくびと伸びをしながら周りを見てみれば、ライアスも戻って来ていて時間もそろそろ昼ご飯に丁度いい時間。
「よく寝ていたな」
ソランツェからこめかみにチュッと本日二度目のおはようのキスをもらい、「ここに」という様に無言で差し出された頬にお返しを返す。
「眠いって思ったら一瞬だったよ。寝る気なかったんだけど」
なかったんだけどがっつり寝てしまった。話し相手がいない時に暇だからって寝てばかりいたらこの先そのまま駄目人間になりそうなので、何かする事ちゃんと見つけようっと。
就職してからはキャンピングカー購入の為だけに働いていたから趣味の時間って考えた事無かった気がするんだよな。俺ってば無趣味人間なんじゃん。
一応、好きな事って強いて言うなら料理かなって感じだけど趣味ってほどではない様な……いや、それは趣味でいいのかな?うーん……魔法に頼らず時間かけて作る様な料理しようかな?あ、あと保存食作りとか?いや、保存食?うーん。
「料理以外に何かする事……」
「紀行文を書くのではなかったか?」
「ああ、そういえばそんな事言ってたな」
「紀行文……本にされるのですか?」
「いや? 軽い覚え書きくらいなもんだし……本に出来る様なちゃんとした文章書けないし」
「リヒト様が書くだけで価値があると思いますが」
「えぇー……?」
いや、ソランツェも喜ぶ人がいるとか言ってたけど俺が書くものにそんな価値……あるのか……いや、あるんだろうな、無くても出来ちゃうんだろうな、価値。ちょっと嫌だなあ。
「まあ、価値云々は抜きにして書いてみればいい」
「本が読める人には紀行本はとりわけ人気ですからね。引退した冒険者や商人が書いていたりしますよ」
「そうなんだ?」
「自分では行けない場所の事や体験が手軽に知れるしな。いい娯楽だ」
「あー、はい」
この世界の娯楽って、無い訳じゃないがあまり多くないんだろうなって考えられる。TVなんかも勿論無いんだし。本が娯楽。で、旅行も娯楽だよな。
総教国内は加護のおかげか用心棒無しの旅行者もいっぱいいたけど、総教国以外、基本的には『旅行』なんてのは街の外に魔物がいるんだから気軽には行けないものなんだろうか。だから、自国外の事が色々書かれている紀行本は娯楽として人気が高いという事?
いや、行く人もいるんだろうけどな。見たし。そういう人達ってみんなもれなく自分で戦えるんだろうか?つか、全く戦えない人達は用心棒を雇うとかだよな?トゥアンニコの例の地底湖観光もそうだし……。あとは用心棒付きの乗り合い馬車で移動とかあったりしてそれで移動するんだろうか?
普通の人達(?)はそこまでして『旅行』なんか行かないから本を読みたいって事?んー……まあ、なんにせよ元世界よりは確実にハードルは高いよな。
で、そこら辺を考えると俺の書いた物が『娯楽を提供する物になる』という事ならば……まあ、いいかなと思えるかも。写真を付けていれば簡単なメモ程度でも良さそうだよな、字が判らない人達にも写真だけで楽しんでもらえる?
印刷や製本といった生産に関する心配は魔法処理で出来るから全くないし、試しに例の湖&ビーチ編作ってみようかな。
「ちょっとやってみるかな」
ノートパソコン出してのんびりとやろう。
++++++
昼食は魚の煮つけと卵焼きとララタスで買っておいたナスっぽい野菜で作った仮称焼きナス、あとは味噌汁にご飯とサラダを用意した。足りなさそうなソランツェには、いるって言うから肉も焼いてあげた。よく飽きないな……。因みに今回は久し振りに魔法は無し。いやあ、改めて魔法って本当に便利だなって思う。
「んー……野菜が足りない気がする」
「そうか?」
「煮物作りたいし芋とか根菜が欲しい。葉物も」
「別に気にならないが……」
「ソランツェはな」
肉があればいいだろうし。でも、野菜食えよ、肉だけじゃなく。っと、そうだ。忘れてた。
「ライアス、苦手だったり嫌いな物があったら言えよ。今更だけど」
「はい、お気遣いありがとうございます。ですが、リヒト様が用意して下さる物は初めて口にする味や物がありますが、どれも美味しく頂いておりますよ」
「そう? それならいいけど、何かあれば言えよ」
「はい。リヒト様は本当に料理上手でいらっしゃいますね」
「あぁ、そうだろう」
ライアスの褒め言葉に俺よりも先にソランツェが反応してドヤってる。尻尾揺れててすごい上機嫌。可愛い。
訊かなくても理由は判るがなんでソランツェが得意気なんだよ、と一応ツッコミを入れてみれば、
「伴侶が褒められて嬉しくない訳がないだろう」
「あはは、ありがと」
「仲がよろしい様で何よりです」
眠気を感じた瞬間に眠りに落ちてしまっていたらしい。ソランツェの肩に凭れてぐっすりだったようだ。
「おはよう」
「うん」
あくびと伸びをしながら周りを見てみれば、ライアスも戻って来ていて時間もそろそろ昼ご飯に丁度いい時間。
「よく寝ていたな」
ソランツェからこめかみにチュッと本日二度目のおはようのキスをもらい、「ここに」という様に無言で差し出された頬にお返しを返す。
「眠いって思ったら一瞬だったよ。寝る気なかったんだけど」
なかったんだけどがっつり寝てしまった。話し相手がいない時に暇だからって寝てばかりいたらこの先そのまま駄目人間になりそうなので、何かする事ちゃんと見つけようっと。
就職してからはキャンピングカー購入の為だけに働いていたから趣味の時間って考えた事無かった気がするんだよな。俺ってば無趣味人間なんじゃん。
一応、好きな事って強いて言うなら料理かなって感じだけど趣味ってほどではない様な……いや、それは趣味でいいのかな?うーん……魔法に頼らず時間かけて作る様な料理しようかな?あ、あと保存食作りとか?いや、保存食?うーん。
「料理以外に何かする事……」
「紀行文を書くのではなかったか?」
「ああ、そういえばそんな事言ってたな」
「紀行文……本にされるのですか?」
「いや? 軽い覚え書きくらいなもんだし……本に出来る様なちゃんとした文章書けないし」
「リヒト様が書くだけで価値があると思いますが」
「えぇー……?」
いや、ソランツェも喜ぶ人がいるとか言ってたけど俺が書くものにそんな価値……あるのか……いや、あるんだろうな、無くても出来ちゃうんだろうな、価値。ちょっと嫌だなあ。
「まあ、価値云々は抜きにして書いてみればいい」
「本が読める人には紀行本はとりわけ人気ですからね。引退した冒険者や商人が書いていたりしますよ」
「そうなんだ?」
「自分では行けない場所の事や体験が手軽に知れるしな。いい娯楽だ」
「あー、はい」
この世界の娯楽って、無い訳じゃないがあまり多くないんだろうなって考えられる。TVなんかも勿論無いんだし。本が娯楽。で、旅行も娯楽だよな。
総教国内は加護のおかげか用心棒無しの旅行者もいっぱいいたけど、総教国以外、基本的には『旅行』なんてのは街の外に魔物がいるんだから気軽には行けないものなんだろうか。だから、自国外の事が色々書かれている紀行本は娯楽として人気が高いという事?
いや、行く人もいるんだろうけどな。見たし。そういう人達ってみんなもれなく自分で戦えるんだろうか?つか、全く戦えない人達は用心棒を雇うとかだよな?トゥアンニコの例の地底湖観光もそうだし……。あとは用心棒付きの乗り合い馬車で移動とかあったりしてそれで移動するんだろうか?
普通の人達(?)はそこまでして『旅行』なんか行かないから本を読みたいって事?んー……まあ、なんにせよ元世界よりは確実にハードルは高いよな。
で、そこら辺を考えると俺の書いた物が『娯楽を提供する物になる』という事ならば……まあ、いいかなと思えるかも。写真を付けていれば簡単なメモ程度でも良さそうだよな、字が判らない人達にも写真だけで楽しんでもらえる?
印刷や製本といった生産に関する心配は魔法処理で出来るから全くないし、試しに例の湖&ビーチ編作ってみようかな。
「ちょっとやってみるかな」
ノートパソコン出してのんびりとやろう。
++++++
昼食は魚の煮つけと卵焼きとララタスで買っておいたナスっぽい野菜で作った仮称焼きナス、あとは味噌汁にご飯とサラダを用意した。足りなさそうなソランツェには、いるって言うから肉も焼いてあげた。よく飽きないな……。因みに今回は久し振りに魔法は無し。いやあ、改めて魔法って本当に便利だなって思う。
「んー……野菜が足りない気がする」
「そうか?」
「煮物作りたいし芋とか根菜が欲しい。葉物も」
「別に気にならないが……」
「ソランツェはな」
肉があればいいだろうし。でも、野菜食えよ、肉だけじゃなく。っと、そうだ。忘れてた。
「ライアス、苦手だったり嫌いな物があったら言えよ。今更だけど」
「はい、お気遣いありがとうございます。ですが、リヒト様が用意して下さる物は初めて口にする味や物がありますが、どれも美味しく頂いておりますよ」
「そう? それならいいけど、何かあれば言えよ」
「はい。リヒト様は本当に料理上手でいらっしゃいますね」
「あぁ、そうだろう」
ライアスの褒め言葉に俺よりも先にソランツェが反応してドヤってる。尻尾揺れててすごい上機嫌。可愛い。
訊かなくても理由は判るがなんでソランツェが得意気なんだよ、と一応ツッコミを入れてみれば、
「伴侶が褒められて嬉しくない訳がないだろう」
「あはは、ありがと」
「仲がよろしい様で何よりです」
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