122 / 148
120
しおりを挟む
「いや、完全に酔ってたな」
目が覚めて第一声で言いたくなるくらい覚えてるよ。いい気分で飲み過ぎたって思う。
「おはよう、リヒト」
「……おはよ」
先に起きていたらしいソランツェからおはようのキスをもらった後、もそもそと起き上がる。二人ともしっかりガウンに着替えていたけどそこの記憶は飛んでるっぽい。そもそもいつ寝たのか。まあ、いいや。頭が痛かったり吐きそうで気持ち悪かったりなどはもちろん無いのは助かる。
「えーっと、昨日言ってた事なんだけど……」
「あぁ」
「あれ、どう思う?」
「個人的な感情としては微妙な所だが、好きに動き易くなると思えば悪くはないな」
「だよな」
俺がいらないって言ったから妥協案で今の運用になってるんだが?って話だけど、なんつーか、言い方が悪いけどライアスがいると色々と便利だなって思っちゃったから変えたい。
旅先での地元民(主に平民)とのふれあい?みたいなのはいいけど、そうじゃない人達と接触する機会は極力減らしたい俺には、そうじゃない人達とのそこら辺の事を色々と勝手に処理してくれそうなライアスが必要かもって。
っていうか、海蛇の事もあの人達の事も総教国への報告だとか、多分何かしらあったであろう処理は勝手にしてくれてるっぽいんだよな。出来る子だ。
「ライアスの事振り回してるのは申し訳ないんだけど……」
「それは気にする事じゃないな」
「わかってるよ、一応」
友達っぽい感じ。感じ、なだけ。
「まあ、やっぱりそういう訳で付いて来てよ」
「承知しました」
下に降りて改めてライアスに『お前使えそうなんで有効活用したい』的な話をする。一応、オブラートに包みつつって感じだけど、要はそういう話……。
「思いっきり便利屋扱いなのが申し訳ないし、……嫌かもしれないけど」
「いえ、それは私の働きをリヒト様がお認め下さったという事ですので嬉しく思っておりますが……」
チラッと目線をソランツェの方に向ける。ライアスが遠慮したいって言ってたのは、はっきり言わなくても伝わるあの問題。
「その問題はリヒトがただ気を付けていればいいだけの話だな」
「そうですね」
ライアスの言いたい事をちゃんと汲み取ったソランツェにすぐさま同意を示し、『お前マジで頼むぞ』的な目をこっちに向けてくる。うん、判ってる。言いたい事は判ってるから。軽率な行動は慎むので、はい。
「いまいちラインが判んないけど(嫉妬心を煽らない様に)気を付けるよ」
「はい、(嫉妬心を煽らない様に)くれぐれもお願いします」
種類は違うが俺とライアス二人の安全の為に気を付けよう。
++++++
付いて来る事になったので、馬車の設備を紹介。反応としては驚きはするが、あんた神の子だしもう何でもありっスよねーみたいな感じだった。深く考えない、というソランツェの事前アドバイスが効いてるらしい。それがいい。鈍感に生きる方が楽しいよ。多分。
「そういえば、ライアスって何歳なんだ?」
一通り説明も終え馬車の内部を改装してライアスの寝室を作ろうとした時に、ふと歳くらいは訊いておこうかと思い付く。ステータス詳細は、俺達と比べるとね、まあ、『人』なので特に訊かなくてもいいんだけど、年齢くらいは知っておこうかと。
「22歳です」
「え、若っ」
「思っていたよりも若いんだな」
確実に俺よりは若いけど、ソランツェとは同じくらいかと思ってた。
ここは成人が早いせいなのか、しっかりしてるっつーか、あれ?もしかしなくても最年長の俺が一番落ち着いてないとか?あはは。
……話変えよ。
「部屋の希望、何かある?」
「特にありませ……あ、」
「ん?」
「……いえ、お気になさらず進めて下さい」
絶対何かありそうなのに、どうしたんだ?
「何かあるなら言えよ。何でも出来るし」
外から見た大きさ以上の部屋作る事だって可能なんだし何でもいいぞ。どんと来い。
「……いえ、あの」
「どうした?」
「遠慮せずに言っていいんだぞ?」
二人で顔を覗き込んで訊ねてみれば、非常に言い辛そうに声を絞り出して一言。
「音漏れを……その、はい」
あー、はい。昨日の朝ね、はい。
「……おう、任せろ」
目が覚めて第一声で言いたくなるくらい覚えてるよ。いい気分で飲み過ぎたって思う。
「おはよう、リヒト」
「……おはよ」
先に起きていたらしいソランツェからおはようのキスをもらった後、もそもそと起き上がる。二人ともしっかりガウンに着替えていたけどそこの記憶は飛んでるっぽい。そもそもいつ寝たのか。まあ、いいや。頭が痛かったり吐きそうで気持ち悪かったりなどはもちろん無いのは助かる。
「えーっと、昨日言ってた事なんだけど……」
「あぁ」
「あれ、どう思う?」
「個人的な感情としては微妙な所だが、好きに動き易くなると思えば悪くはないな」
「だよな」
俺がいらないって言ったから妥協案で今の運用になってるんだが?って話だけど、なんつーか、言い方が悪いけどライアスがいると色々と便利だなって思っちゃったから変えたい。
旅先での地元民(主に平民)とのふれあい?みたいなのはいいけど、そうじゃない人達と接触する機会は極力減らしたい俺には、そうじゃない人達とのそこら辺の事を色々と勝手に処理してくれそうなライアスが必要かもって。
っていうか、海蛇の事もあの人達の事も総教国への報告だとか、多分何かしらあったであろう処理は勝手にしてくれてるっぽいんだよな。出来る子だ。
「ライアスの事振り回してるのは申し訳ないんだけど……」
「それは気にする事じゃないな」
「わかってるよ、一応」
友達っぽい感じ。感じ、なだけ。
「まあ、やっぱりそういう訳で付いて来てよ」
「承知しました」
下に降りて改めてライアスに『お前使えそうなんで有効活用したい』的な話をする。一応、オブラートに包みつつって感じだけど、要はそういう話……。
「思いっきり便利屋扱いなのが申し訳ないし、……嫌かもしれないけど」
「いえ、それは私の働きをリヒト様がお認め下さったという事ですので嬉しく思っておりますが……」
チラッと目線をソランツェの方に向ける。ライアスが遠慮したいって言ってたのは、はっきり言わなくても伝わるあの問題。
「その問題はリヒトがただ気を付けていればいいだけの話だな」
「そうですね」
ライアスの言いたい事をちゃんと汲み取ったソランツェにすぐさま同意を示し、『お前マジで頼むぞ』的な目をこっちに向けてくる。うん、判ってる。言いたい事は判ってるから。軽率な行動は慎むので、はい。
「いまいちラインが判んないけど(嫉妬心を煽らない様に)気を付けるよ」
「はい、(嫉妬心を煽らない様に)くれぐれもお願いします」
種類は違うが俺とライアス二人の安全の為に気を付けよう。
++++++
付いて来る事になったので、馬車の設備を紹介。反応としては驚きはするが、あんた神の子だしもう何でもありっスよねーみたいな感じだった。深く考えない、というソランツェの事前アドバイスが効いてるらしい。それがいい。鈍感に生きる方が楽しいよ。多分。
「そういえば、ライアスって何歳なんだ?」
一通り説明も終え馬車の内部を改装してライアスの寝室を作ろうとした時に、ふと歳くらいは訊いておこうかと思い付く。ステータス詳細は、俺達と比べるとね、まあ、『人』なので特に訊かなくてもいいんだけど、年齢くらいは知っておこうかと。
「22歳です」
「え、若っ」
「思っていたよりも若いんだな」
確実に俺よりは若いけど、ソランツェとは同じくらいかと思ってた。
ここは成人が早いせいなのか、しっかりしてるっつーか、あれ?もしかしなくても最年長の俺が一番落ち着いてないとか?あはは。
……話変えよ。
「部屋の希望、何かある?」
「特にありませ……あ、」
「ん?」
「……いえ、お気になさらず進めて下さい」
絶対何かありそうなのに、どうしたんだ?
「何かあるなら言えよ。何でも出来るし」
外から見た大きさ以上の部屋作る事だって可能なんだし何でもいいぞ。どんと来い。
「……いえ、あの」
「どうした?」
「遠慮せずに言っていいんだぞ?」
二人で顔を覗き込んで訊ねてみれば、非常に言い辛そうに声を絞り出して一言。
「音漏れを……その、はい」
あー、はい。昨日の朝ね、はい。
「……おう、任せろ」
18
お気に入りに追加
3,358
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる