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117 ◆挿絵あり(風景なだけ)
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ライアスが言っていた場所に干潮の時間を待って行ってみた所、聞いた通りの光景が目の前に広がっていた。
「本当に道が出来てる」
「面白いな」
「問題なく歩けそうですね」
干潮までの時間を潰している間、ソランツェは日課、俺とライアスはトゥアンニコ中央教会の神官さんや働いている人達にもうな重(意訳)を作ったりしていたのだけど、その時に聞いた話によると、今から行く予定の島は、その中央あたりに洞窟の入口があってそこに湖があるのだそう。その湖にお金を投げ入れ祈ると願い事が叶う事があるとか……?
で、それを目的に国内外からトゥアンニコに来る人達が多くいて観光名所となっている様だ。弱いものだが魔物がいるので全く戦えない人達は観光ガイド的に地元の冒険者を雇ったりするらしい。
「でも、人いないね」
「あの魔物騒動があったせいでここに来るのを取り止めたとかじゃないか?」
「そのままここから逃げたりしているでしょうしね」
「俺が倒したしもう出て来ないんだけど……そういうのって尾を引くからなあ」
このままトゥアンニコに来る人が減っちゃうかもしれない……。そうならないといいんだけど。
「とりあえず、行ってみよう」
++++++
砂で出来た道を歩いて島へ上陸し、雑木林の中にある人が踏み均す形で出来上がっていた道を辿って目的地まで行く。
道の途中には社員旅行で沖縄に行った時に見た記憶のあるプルメリアに似た花や何やら色々な果実が生っていたりして見ていて面白い。
いっぱいあるので収穫されて売られたりされてそうなものだけどと不思議に思い、中でも一番美味しそうな葡萄の様な形で生っていたピンク色の果実を鑑定してみると、味は木苺の様だが毒があるらしく人が食用とするには向かないと出た。その他の果実もほぼ同様で毒ばかり……勿体ないなあと思うけど、無駄に島が荒らされないのでいいのかもしれない。
「俺とソランツェなら毒でも気にせず食べられるね」
「毒だと判っている物を食べたいとは思わないな」
「えー? 美味しそうなのに」
「大丈夫なのかもしれませんが、やめて頂きたいです」
「そうだな」
「……はーい」
と、言いつつやっぱり気になるのでしれっと食べてみようかと思ったが、二人共何やら察知したのか採りに行けない様に右手はソランツェ左手はライアスに繋がれてしまって好きに動けない……。
「ほら、行くぞ」
「石が増えてきましたので足元お気をつけ下さい」
くっ……二対一……引き下がるか。今は。
そのままの、というより寧ろ両方ともがっつり腕を組んだ状態で少し歩いて行くと小さめの岩山があり、そこに中に入れるような穴がぽっかり開いているのを発見。
「見たまんま洞窟だ」
「魔物の気配は無いな」
LEDランタンを取り出し魔法で浮遊させるという方法で明かりを確保してから、中に入ってみると地下へ降って行くように岩が階段状になっているのが判った。
全体的にゴツゴツとした岩で足元が悪い為、先導しているライアスに手を引かれ、反対側ではソランツェにがっちり支えられて降って行く。か、過保護~!!
そのまま下へ下へと進むに連れて空気がひんやりとしてきて、下まで行き着いてみれば結構な寒さ。外気温との差が凄くて非日常感があるから人が来たがるのもちょっと判るかも。
そこから奥へ五十メートルほど進んで行くと目的地の湖が現れる。
「おぉ、綺麗……」
目の前にある湖は、高い天井に所々空いた穴から差し込む光によって湖面がキラキラと光り、青く澄んだ水がすごく綺麗だった。
「神秘的な光景ってこんなのを言うんだろうな」
「これは人が見に来るのも判るな」
「祈ってしまう者がいるのも判ります」
近付いてみれば湖の底には無数のコインが沈んでいる。金貨だったり銅貨だったりそれはそれは沢山。願い事が叶いますようにって事だけど……
「そもそも何でそんな話になったんだろう?」
「そうだな」
『あの世界に金の斧の話があっただろう?』
「ああ、うん 小さい頃図書館で読んだ記憶あるな」
『それと似た事をここでなけなしの金を落とした貧しい男に試してみた事がある。そこの時間で言えば二百年ほど前になるのかの』
「へえ」
『それがいつしかコインを入れれば願いが叶うという話に変わっていた』
「口承の結果か……って、ナチュラルに会話混ざってんじゃねえよ」
呼びかけてもいないのにいきなりアシュマルナが混ざってきたせいでライアスが固まっている。気を失う事はしなかったが体が竦んでしまって可哀想に……。
「ライアス大丈夫だから」
「……すみません」
「気にするな、俺も少々驚いた」
背中を撫でて落ち着かせる。どう考えてもアシュマルナが悪いが、ライアスもこれから追々慣れていって欲しいと思う。
「で、その話が続いてるって事は願い事叶えてあげたりしてんの?」
『いや』
「でも、叶ったって思った人もいるんだろうし……気の持ちようみたいな話?」
『面白い話よの』
そう言ってアシュマルナは高笑いと共にフェードアウトしていった。くそ迷惑。
「……地上に戻ろうか」
「あぁ」
「そうですね」
とりあえず、この風景が綺麗な事は変わらないので写真はいっぱい撮っておいた。
「本当に道が出来てる」
「面白いな」
「問題なく歩けそうですね」
干潮までの時間を潰している間、ソランツェは日課、俺とライアスはトゥアンニコ中央教会の神官さんや働いている人達にもうな重(意訳)を作ったりしていたのだけど、その時に聞いた話によると、今から行く予定の島は、その中央あたりに洞窟の入口があってそこに湖があるのだそう。その湖にお金を投げ入れ祈ると願い事が叶う事があるとか……?
で、それを目的に国内外からトゥアンニコに来る人達が多くいて観光名所となっている様だ。弱いものだが魔物がいるので全く戦えない人達は観光ガイド的に地元の冒険者を雇ったりするらしい。
「でも、人いないね」
「あの魔物騒動があったせいでここに来るのを取り止めたとかじゃないか?」
「そのままここから逃げたりしているでしょうしね」
「俺が倒したしもう出て来ないんだけど……そういうのって尾を引くからなあ」
このままトゥアンニコに来る人が減っちゃうかもしれない……。そうならないといいんだけど。
「とりあえず、行ってみよう」
++++++
砂で出来た道を歩いて島へ上陸し、雑木林の中にある人が踏み均す形で出来上がっていた道を辿って目的地まで行く。
道の途中には社員旅行で沖縄に行った時に見た記憶のあるプルメリアに似た花や何やら色々な果実が生っていたりして見ていて面白い。
いっぱいあるので収穫されて売られたりされてそうなものだけどと不思議に思い、中でも一番美味しそうな葡萄の様な形で生っていたピンク色の果実を鑑定してみると、味は木苺の様だが毒があるらしく人が食用とするには向かないと出た。その他の果実もほぼ同様で毒ばかり……勿体ないなあと思うけど、無駄に島が荒らされないのでいいのかもしれない。
「俺とソランツェなら毒でも気にせず食べられるね」
「毒だと判っている物を食べたいとは思わないな」
「えー? 美味しそうなのに」
「大丈夫なのかもしれませんが、やめて頂きたいです」
「そうだな」
「……はーい」
と、言いつつやっぱり気になるのでしれっと食べてみようかと思ったが、二人共何やら察知したのか採りに行けない様に右手はソランツェ左手はライアスに繋がれてしまって好きに動けない……。
「ほら、行くぞ」
「石が増えてきましたので足元お気をつけ下さい」
くっ……二対一……引き下がるか。今は。
そのままの、というより寧ろ両方ともがっつり腕を組んだ状態で少し歩いて行くと小さめの岩山があり、そこに中に入れるような穴がぽっかり開いているのを発見。
「見たまんま洞窟だ」
「魔物の気配は無いな」
LEDランタンを取り出し魔法で浮遊させるという方法で明かりを確保してから、中に入ってみると地下へ降って行くように岩が階段状になっているのが判った。
全体的にゴツゴツとした岩で足元が悪い為、先導しているライアスに手を引かれ、反対側ではソランツェにがっちり支えられて降って行く。か、過保護~!!
そのまま下へ下へと進むに連れて空気がひんやりとしてきて、下まで行き着いてみれば結構な寒さ。外気温との差が凄くて非日常感があるから人が来たがるのもちょっと判るかも。
そこから奥へ五十メートルほど進んで行くと目的地の湖が現れる。
「おぉ、綺麗……」
目の前にある湖は、高い天井に所々空いた穴から差し込む光によって湖面がキラキラと光り、青く澄んだ水がすごく綺麗だった。
「神秘的な光景ってこんなのを言うんだろうな」
「これは人が見に来るのも判るな」
「祈ってしまう者がいるのも判ります」
近付いてみれば湖の底には無数のコインが沈んでいる。金貨だったり銅貨だったりそれはそれは沢山。願い事が叶いますようにって事だけど……
「そもそも何でそんな話になったんだろう?」
「そうだな」
『あの世界に金の斧の話があっただろう?』
「ああ、うん 小さい頃図書館で読んだ記憶あるな」
『それと似た事をここでなけなしの金を落とした貧しい男に試してみた事がある。そこの時間で言えば二百年ほど前になるのかの』
「へえ」
『それがいつしかコインを入れれば願いが叶うという話に変わっていた』
「口承の結果か……って、ナチュラルに会話混ざってんじゃねえよ」
呼びかけてもいないのにいきなりアシュマルナが混ざってきたせいでライアスが固まっている。気を失う事はしなかったが体が竦んでしまって可哀想に……。
「ライアス大丈夫だから」
「……すみません」
「気にするな、俺も少々驚いた」
背中を撫でて落ち着かせる。どう考えてもアシュマルナが悪いが、ライアスもこれから追々慣れていって欲しいと思う。
「で、その話が続いてるって事は願い事叶えてあげたりしてんの?」
『いや』
「でも、叶ったって思った人もいるんだろうし……気の持ちようみたいな話?」
『面白い話よの』
そう言ってアシュマルナは高笑いと共にフェードアウトしていった。くそ迷惑。
「……地上に戻ろうか」
「あぁ」
「そうですね」
とりあえず、この風景が綺麗な事は変わらないので写真はいっぱい撮っておいた。
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