116 / 148
114
しおりを挟む
食事が終わって、例の如く教会の一番良い部屋に案内された後は用意されていたお風呂に二人で入ってまったり中。ソランツェに凭れ掛かる様にして座ってるけど、ソランツェって大きいから安定感がある。いい。
「しかし、まあ、置いてある調度品が一々高そうで落ち着かない」
「装飾過多ではあるな」
二人で入ってもめちゃくちゃ余裕のある広さはいいんだけど、風呂だけをとっても分類としては豊かな国であるガルゴドン王国第二の都市・トゥアンニコの一番大きい教会のものと言えば、豪華な造り過ぎてどこか微妙に落ち着かない。大理石の様な石で出来た壁やら天井やら至る所が金の装飾で彩られていたり金の花瓶にこれでもかってくらい生花が活けられていたりとか風呂には必要ないのでは……。
「それにしても、皆の胃袋どうなってんのってくらいすごかった……」
「リヒトが小食なだけじゃないか?」
「俺は普通だってば……」
鰻(海蛇)の美味しさを噛み締めた後、ソランツェやライアス含め皆にも勧めると躊躇いなく食べ始め絶賛し始めたので、嬉しくなって追加はいっぱい出来るから遠慮せず食べてと言ってみた所本当に遠慮されなかった。すごかったよ……。結局、本焼きも魔法でやらないと皆の胃袋を満たせないっていう。皆食べ方はガツガツしてなくて綺麗なんだけど、飲み物かな?ってくらい早かったし……。
「あれだけ食べてもまだまだ身はいっぱいあるし、定期的に用意しようかな」
「ライアスの部隊以外も付いてきそうだな」
「それはヤダなあ……今でさえ多いと思ってんのに。まあ、ライアスだけはもう別にいいけど――って痛っ」
もう色々バレているライアスなら道中も居てもあんまり気にならないかなと思っていれば、俺を抱きかかえる様にして前に回っていたソランツェの手が両側の脇腹を抓ってきた。ソランツェ感覚では軽くかもしれないけど、結構痛いんだぞ、もう!
「何すんだよ」
「面白くないなと思って」
「何? ……もしかして嫉妬してんのか?」
「しないと思うか?」
「えー……?」
色々バレたせいで急に距離が近くなった様に感じられるのが嫌なんだそうで……。
「ライアスはなんか”友達”って感覚に近いからそんな事思ってもみなかったんだけど」
バレた事により、チーム愛し子の同僚感よりは近くなったと思うけど、俺の中ではソランツェが心配する様なポジションにはないんだけどなあ。
「リヒトはそうかもしれないが、リヒトの無邪気な誘惑を経験した身としては……」
「大丈夫と思うんだけどなー……?」
俺には全くその気がないのは判っているが、兎に角嫌なんだって。とゆーか、無邪気な誘惑って何だよ。何の話?俺何かしたか?
「……アシュマルナ様から……」
「ん?」
俺が自らの行動を脳内で検証していると、ソランツェが小さく呟きだしたので聞こえやすい様に耳を寄せるとギュッと抱き締められる。俺の肩に顔を乗せたソランツェは耳をしょんぼりさせ少し拗ねる様な声色でボソボソと喋り続きを聞かせてくれたが……。
「前にアシュマルナ様から、俺があの時にあそこを通らずリヒトに出会わなかった場合、今の俺の立ち位置はライアスのものだったと聞かされた……」
「んん?」
立ち位置?どういう事?俺とソランツェがあそこで会うのってアシュマルナに仕組まれた事だったはずだけど……?何かしらの繋がりを持たせないとって事で……。
「ライアスと会う事は確定だったそうだからな……」
「あ、そうなの?――って、そうか。そうだろうな」
『神の子』降ろすよって言ってたから、ソランツェが居ても居なくてもララタスでもララタスじゃなくても関係なく総教国から護衛は絶対用意される事だったもんな。で、その場合聖騎士団の中で一番優秀なライアスが選ばれてない訳がないから確定って事か。
ソランツェがいなかった場合、街への入場の段階で多分躓いていて、その後護衛を付けるって提案を普通に受け入れてるかもだろうし……。というか、そもそも大神殿に降ろされてそうだな。
俺が『繋がり』をソランツェと結べなくても保険があったって言ってたのがライアス、という事だけど、アシュマルナはソランツェには俺達の出会いは偶然のものと言ってるんだな。
「アシュマルナ様が、もしも俺が会っていなかった場合リヒトの横に立つのはライアスで……その……俺とリヒトの様に二人は惹かれ合っていたかもしれないなと……仰られて」
「だから、気が気じゃないと」
「ああ。思い出してしまう」
アシュマルナめ……余計な事言いやがって!何してくれてんだ。ソランツェいじめるんじゃねえ。そんな事ある訳ないだろ。そもそもライアスはかっこいい方だが顔が好みのタイプじゃないし。いやいや、男で好みのタイプって何だよ。
「その立ち位置を奪われぬ様にリヒトの事だけを思い精進せよとも言われた」
「あー……」
アシュマルナ……。
つーか、ライアスは立ち位置奪うとかいうそんな命知らずな事しないと思うよ、うん。
「とりあえず、言えるのはこういう事するのソランツェ以外無理だから安心して」
前から言ってるだろ、とソランツェに軽くキスすると、しょんぼりしていた耳が復活する。か、可愛い……!
「……ああ」
「しかし、まあ、置いてある調度品が一々高そうで落ち着かない」
「装飾過多ではあるな」
二人で入ってもめちゃくちゃ余裕のある広さはいいんだけど、風呂だけをとっても分類としては豊かな国であるガルゴドン王国第二の都市・トゥアンニコの一番大きい教会のものと言えば、豪華な造り過ぎてどこか微妙に落ち着かない。大理石の様な石で出来た壁やら天井やら至る所が金の装飾で彩られていたり金の花瓶にこれでもかってくらい生花が活けられていたりとか風呂には必要ないのでは……。
「それにしても、皆の胃袋どうなってんのってくらいすごかった……」
「リヒトが小食なだけじゃないか?」
「俺は普通だってば……」
鰻(海蛇)の美味しさを噛み締めた後、ソランツェやライアス含め皆にも勧めると躊躇いなく食べ始め絶賛し始めたので、嬉しくなって追加はいっぱい出来るから遠慮せず食べてと言ってみた所本当に遠慮されなかった。すごかったよ……。結局、本焼きも魔法でやらないと皆の胃袋を満たせないっていう。皆食べ方はガツガツしてなくて綺麗なんだけど、飲み物かな?ってくらい早かったし……。
「あれだけ食べてもまだまだ身はいっぱいあるし、定期的に用意しようかな」
「ライアスの部隊以外も付いてきそうだな」
「それはヤダなあ……今でさえ多いと思ってんのに。まあ、ライアスだけはもう別にいいけど――って痛っ」
もう色々バレているライアスなら道中も居てもあんまり気にならないかなと思っていれば、俺を抱きかかえる様にして前に回っていたソランツェの手が両側の脇腹を抓ってきた。ソランツェ感覚では軽くかもしれないけど、結構痛いんだぞ、もう!
「何すんだよ」
「面白くないなと思って」
「何? ……もしかして嫉妬してんのか?」
「しないと思うか?」
「えー……?」
色々バレたせいで急に距離が近くなった様に感じられるのが嫌なんだそうで……。
「ライアスはなんか”友達”って感覚に近いからそんな事思ってもみなかったんだけど」
バレた事により、チーム愛し子の同僚感よりは近くなったと思うけど、俺の中ではソランツェが心配する様なポジションにはないんだけどなあ。
「リヒトはそうかもしれないが、リヒトの無邪気な誘惑を経験した身としては……」
「大丈夫と思うんだけどなー……?」
俺には全くその気がないのは判っているが、兎に角嫌なんだって。とゆーか、無邪気な誘惑って何だよ。何の話?俺何かしたか?
「……アシュマルナ様から……」
「ん?」
俺が自らの行動を脳内で検証していると、ソランツェが小さく呟きだしたので聞こえやすい様に耳を寄せるとギュッと抱き締められる。俺の肩に顔を乗せたソランツェは耳をしょんぼりさせ少し拗ねる様な声色でボソボソと喋り続きを聞かせてくれたが……。
「前にアシュマルナ様から、俺があの時にあそこを通らずリヒトに出会わなかった場合、今の俺の立ち位置はライアスのものだったと聞かされた……」
「んん?」
立ち位置?どういう事?俺とソランツェがあそこで会うのってアシュマルナに仕組まれた事だったはずだけど……?何かしらの繋がりを持たせないとって事で……。
「ライアスと会う事は確定だったそうだからな……」
「あ、そうなの?――って、そうか。そうだろうな」
『神の子』降ろすよって言ってたから、ソランツェが居ても居なくてもララタスでもララタスじゃなくても関係なく総教国から護衛は絶対用意される事だったもんな。で、その場合聖騎士団の中で一番優秀なライアスが選ばれてない訳がないから確定って事か。
ソランツェがいなかった場合、街への入場の段階で多分躓いていて、その後護衛を付けるって提案を普通に受け入れてるかもだろうし……。というか、そもそも大神殿に降ろされてそうだな。
俺が『繋がり』をソランツェと結べなくても保険があったって言ってたのがライアス、という事だけど、アシュマルナはソランツェには俺達の出会いは偶然のものと言ってるんだな。
「アシュマルナ様が、もしも俺が会っていなかった場合リヒトの横に立つのはライアスで……その……俺とリヒトの様に二人は惹かれ合っていたかもしれないなと……仰られて」
「だから、気が気じゃないと」
「ああ。思い出してしまう」
アシュマルナめ……余計な事言いやがって!何してくれてんだ。ソランツェいじめるんじゃねえ。そんな事ある訳ないだろ。そもそもライアスはかっこいい方だが顔が好みのタイプじゃないし。いやいや、男で好みのタイプって何だよ。
「その立ち位置を奪われぬ様にリヒトの事だけを思い精進せよとも言われた」
「あー……」
アシュマルナ……。
つーか、ライアスは立ち位置奪うとかいうそんな命知らずな事しないと思うよ、うん。
「とりあえず、言えるのはこういう事するのソランツェ以外無理だから安心して」
前から言ってるだろ、とソランツェに軽くキスすると、しょんぼりしていた耳が復活する。か、可愛い……!
「……ああ」
47
お気に入りに追加
3,358
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる