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馬車を少し規制線から離れた位置に移動してもらって、作戦(?)会議。
「リヒト、この後はどうするんだ?」
「実はなーんにも考えてないん――ッて、痛い痛い!」
正直に言ったのに食い気味で遠慮なしに頬を抓られる。痛い!何でこういう時は痛覚あるんだよ!
「助けてライアス!」
「うっわ、ちょっとやめて下さいって俺まだ死にたくないです」
ソランツェの横の座席から、向かい側のライアスの横の座席へ逃げてライアスを盾にする為に抱き着こうとすると素早くソランツェの隣の席へ逃げられる。
「くっ……逃げられた……つーか、ついに素な感じが出たな」
「出たな」
「失礼いたしました」
「いや、素で行こうよ。素で。もう慣れて来たでしょ、俺に」
「はぁ……まあ、はい。色んな意味で敵にしたくない方だなあって思いました」
「ふははっ」
「素直でいいじゃないか」
++++++
作戦会議の結果、とりあえず領主さんに現時点で判っている話を詳しく聞きたいね、となり馬車まで来てもらう事にした。因みに第三王子たちは現在元の位置まで逃げて小さくなっている様だ。これからどうするんだろうね。俺は知らない。
「先程は貴方も驚かれたでしょう? ごめんなさい」
「い、いえ、私は……そんな……」
「そんな怯えなくても大丈夫ですよ~って俺が言っても駄目か」
「そうだな」
「あはは~」
ガチガチの態度は無理もないって判ってるから大丈夫ですよ。俺は基本温厚だし。
さて、例の魔物の話だが詳しくはどんな感じなのかと訊くと、沖の方をウロウロとして留まってはいるが偵察の為に船を出そうとすると二匹が動き出し港の近くへやってきて頭や尻尾を使い高波を作り出したり渦を作り出したりして船を転覆させようとしてくるらしい。地味に嫌な動きだな……。
「船を出そうとしなければ動く事はないというのが現時点で判っている事なのですが、ここは海の街です。海に関わって生計を立てる者が多く、このままでは漁にも行けず……」
それにこの先これ以外の行動を取って来るかもしれない、と。
「もしも、陸に上がって来るような事があればどうしたらいいのか」
「ん-、とにかく現物を確認するしかないよな」
いつもの様に例のパネルを出現させると、初見のライアスと領主さんは驚いていたがソランツェの「そういうものだ」という乱暴な説明で全てを納得させられていた。うん、そういうものなんだよ。
魔物に焦点を当て映像を映すと、そこには大きな双頭の蛇が海上を我が物顔で悠々と泳いでいる姿が映った。
見て判る範囲としては、
・顔は蛇というよりもウツボの様な顔をしているがちゃんと蛇の鱗もあり爬虫類っぽい
・全体のデザインは白黒のギザギザの縞模様
・一匹には体の両サイドに黄色のラインが入っており個体差がある
・鋭い牙が無数に生えている
・額には石みたいな物が埋まっているが、黄色のラインの入っている個体は青いもの、入っていない個体は赤いものとなっている
あと、二匹は時折絡み合っては合計四つの頭をお互いに擦り付け合い何だか仲睦まじい感じだ。
「思ってたよりもそのまんま蛇だな。もっと首長竜みたいなやつかと思ってたのに」
「首長竜、ですか?」
「りゅ、りゅりゅ……竜?!」
「そんな物がいるのか?」
「あー……いないのかなー……どうだろう」
竜とか言ったもんだから領主さんがかなり青褪めている。ごめん。何でもかんでも考えなしに言えないなあ。今更ながら気を付けよう。
「それにしても、種族は同じ様だが……」
「見た目がちょっと違うよな」
雄雌の違いかなと見当を付けつつパネルを操作し鑑定結果を表示させてみたが、名前の欄には『※※※※※※』と長ったらしい文字が並んでいた。何語だよ。発音もよく判らないし、俺以外パネルの文字は読めないし適当でいいかな。
「えー……っとよく判らない長ったらしい名前なので『双頭の海蛇』と呼びます」
「そのままだな」
「判り易いのが大事なんだって」
呼称『双頭の海蛇』の鑑定結果を詳しく見ていくと、
・金属の様な硬い鱗に覆われている
・黄色のラインが入っていて青い石の方がオス、赤い方がメス
・こちらが直接攻撃しなければ攻撃して来ない
・頭が二つある内の右側はオス・メス共通して吸うと即死する猛毒のブレスを広範囲に吐き出す
・左側はオスは氷系のブレス・メスは炎系のブレスを吐き出す
・陸にも上がれる
・トゥアンニコを住処及び産卵場所にしようとしている
・首を二つ同時に切り落とすか額の魔石を二つ同時に壊せば死ぬ
という事が判り領主さんはもう虫の息だ……。
大丈夫だよ、俺が倒すし!と思いはするがちょっと厄介じゃないか?
「こいつら攻撃手段がエグ過ぎ」
「猛毒のブレスとは厄介だな」
「反撃されない様に一発勝負なのに硬い鱗に覆われてる首を二つ同時に切り落とせとかさあ……」
「魔石の方でも二つ同時で壊せなければ猛毒ブレスで死にますね」
「俺以外無理ゲーにも程がある」
「リヒト、この後はどうするんだ?」
「実はなーんにも考えてないん――ッて、痛い痛い!」
正直に言ったのに食い気味で遠慮なしに頬を抓られる。痛い!何でこういう時は痛覚あるんだよ!
「助けてライアス!」
「うっわ、ちょっとやめて下さいって俺まだ死にたくないです」
ソランツェの横の座席から、向かい側のライアスの横の座席へ逃げてライアスを盾にする為に抱き着こうとすると素早くソランツェの隣の席へ逃げられる。
「くっ……逃げられた……つーか、ついに素な感じが出たな」
「出たな」
「失礼いたしました」
「いや、素で行こうよ。素で。もう慣れて来たでしょ、俺に」
「はぁ……まあ、はい。色んな意味で敵にしたくない方だなあって思いました」
「ふははっ」
「素直でいいじゃないか」
++++++
作戦会議の結果、とりあえず領主さんに現時点で判っている話を詳しく聞きたいね、となり馬車まで来てもらう事にした。因みに第三王子たちは現在元の位置まで逃げて小さくなっている様だ。これからどうするんだろうね。俺は知らない。
「先程は貴方も驚かれたでしょう? ごめんなさい」
「い、いえ、私は……そんな……」
「そんな怯えなくても大丈夫ですよ~って俺が言っても駄目か」
「そうだな」
「あはは~」
ガチガチの態度は無理もないって判ってるから大丈夫ですよ。俺は基本温厚だし。
さて、例の魔物の話だが詳しくはどんな感じなのかと訊くと、沖の方をウロウロとして留まってはいるが偵察の為に船を出そうとすると二匹が動き出し港の近くへやってきて頭や尻尾を使い高波を作り出したり渦を作り出したりして船を転覆させようとしてくるらしい。地味に嫌な動きだな……。
「船を出そうとしなければ動く事はないというのが現時点で判っている事なのですが、ここは海の街です。海に関わって生計を立てる者が多く、このままでは漁にも行けず……」
それにこの先これ以外の行動を取って来るかもしれない、と。
「もしも、陸に上がって来るような事があればどうしたらいいのか」
「ん-、とにかく現物を確認するしかないよな」
いつもの様に例のパネルを出現させると、初見のライアスと領主さんは驚いていたがソランツェの「そういうものだ」という乱暴な説明で全てを納得させられていた。うん、そういうものなんだよ。
魔物に焦点を当て映像を映すと、そこには大きな双頭の蛇が海上を我が物顔で悠々と泳いでいる姿が映った。
見て判る範囲としては、
・顔は蛇というよりもウツボの様な顔をしているがちゃんと蛇の鱗もあり爬虫類っぽい
・全体のデザインは白黒のギザギザの縞模様
・一匹には体の両サイドに黄色のラインが入っており個体差がある
・鋭い牙が無数に生えている
・額には石みたいな物が埋まっているが、黄色のラインの入っている個体は青いもの、入っていない個体は赤いものとなっている
あと、二匹は時折絡み合っては合計四つの頭をお互いに擦り付け合い何だか仲睦まじい感じだ。
「思ってたよりもそのまんま蛇だな。もっと首長竜みたいなやつかと思ってたのに」
「首長竜、ですか?」
「りゅ、りゅりゅ……竜?!」
「そんな物がいるのか?」
「あー……いないのかなー……どうだろう」
竜とか言ったもんだから領主さんがかなり青褪めている。ごめん。何でもかんでも考えなしに言えないなあ。今更ながら気を付けよう。
「それにしても、種族は同じ様だが……」
「見た目がちょっと違うよな」
雄雌の違いかなと見当を付けつつパネルを操作し鑑定結果を表示させてみたが、名前の欄には『※※※※※※』と長ったらしい文字が並んでいた。何語だよ。発音もよく判らないし、俺以外パネルの文字は読めないし適当でいいかな。
「えー……っとよく判らない長ったらしい名前なので『双頭の海蛇』と呼びます」
「そのままだな」
「判り易いのが大事なんだって」
呼称『双頭の海蛇』の鑑定結果を詳しく見ていくと、
・金属の様な硬い鱗に覆われている
・黄色のラインが入っていて青い石の方がオス、赤い方がメス
・こちらが直接攻撃しなければ攻撃して来ない
・頭が二つある内の右側はオス・メス共通して吸うと即死する猛毒のブレスを広範囲に吐き出す
・左側はオスは氷系のブレス・メスは炎系のブレスを吐き出す
・陸にも上がれる
・トゥアンニコを住処及び産卵場所にしようとしている
・首を二つ同時に切り落とすか額の魔石を二つ同時に壊せば死ぬ
という事が判り領主さんはもう虫の息だ……。
大丈夫だよ、俺が倒すし!と思いはするがちょっと厄介じゃないか?
「こいつら攻撃手段がエグ過ぎ」
「猛毒のブレスとは厄介だな」
「反撃されない様に一発勝負なのに硬い鱗に覆われてる首を二つ同時に切り落とせとかさあ……」
「魔石の方でも二つ同時で壊せなければ猛毒ブレスで死にますね」
「俺以外無理ゲーにも程がある」
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