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※本日(10/19)、三話上げておりますのでアプリの「最新話を読む」ボタンで来られた方は話数にご注意ください
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「俺は魔法が使えるんだから神を信じるべきだとか言ってるんじゃないです。ただ信じていないと言うならそれなりの生活をした方がいいんじゃない?って思ってるだけですよ」
黙ってしまった騎士団長は、ここで売り言葉に買い言葉で試す事にして本当に消されたら生活に困るし、その後に返してもらうにしても試す事自体を拒否するにしても、神や神の力を信じていないというくせに魔法に頼った生活したいんだなって周りに認識されて二枚舌と揶揄される未来しかないって事に気付いたのかな。
この世界で有無を言わせぬ実績と信用のある、ドラゴンスレイヤー・ソランツェが「あいつマジで力持ってるよ」ってわざわざ教えたんだから、それを信じてあの時に普通に謝ってくれたら良かったのに。
それだったら俺も大人気ない・性格悪いと言われちゃいそうなくらい徹底的に追い詰める事はしなかったのになあ、と思いつつ手に目薬を隠して出す。お望み通り見た目も使ってやろう。
「え? そんな……酷い!」
殊更大きな声を出し、信じられない耐えられない、という様な顔をして手で覆う。
そして、体を翻し馬車へ向かって走り出す。走りながら涙を拭う振りをして目薬の仕込みもOK。
突然の俺の行動に、ソランツェやライアス達も驚き、黙って俯いたままだった騎士団長や、黙っている騎士団長に自分達はどうすればいいのかと戸惑っていた第三王子や兵士達も、ギャラリー達も一斉に俺に注目する。
「リヒト?!」
「リヒト様?!」
あまりにも予想外の行動に驚いたせいで初動が遅れ慌てて追いかけて来たソランツェ達をギャラリー達のいる規制線の傍らの馬車の位置まで引き付けてから、顔を上げる。
そこには涙(目薬)に濡れ儚げさがアップした(と思われる)俺の顔。不本意ながらも麗しいと言われる容姿の俺が泣いているから、ソランツェ達以外にギャラリー達も一体どうした事かと大騒ぎしだした。
「どうしたんだ、リヒト?」
「アシュマルナ様のお声が聞こえたんです……」
「「……ん?」」
ギョッとするソランツェとライアスに、話を合わせろやコラと目で訴える。そんな俺達に気付かずギャラリー達は『お告げか?!』なんて盛り上がる。いいぞ、もっと注目してくれ。
「……先程からあちらの方達は私に対しておかしな態度でしたでしょう?」
「……あ、あぁ」
「リヒト様のお力を疑っておられる様でしたね……。お力を見せても、なお信じもせず……」
ライアスいいぞ、その調子だ。ソランツェは頑張って!
一緒になって話を聴いているギャラリー達はさっきの火球と氷柱を出した経緯が判ってざわつきだした。
「何故彼らがその様な態度を取ったのか、アシュマルナ様が今教えて下さったのですが……私、恐ろしくなってしまって……」
ざわつくギャラリー達の側で泣きながら何かを話している俺が気になったのか、第三王子や領主さんも近くへやって来た。それを確認してから
「実は彼らは、私をなんの根拠もなく詐欺師と呼ばわり、捕まえる為にここへ来たようなのです。だから……。私はただトゥアンニコを護りたくて脅威を排除するお手伝いをさせて頂こうとしただけなのに……」
悲しい、と目を伏せソランツェに寄りかかる。目を伏せつつも、何で知られているんだと青褪め狼狽える第三王子の顔はちゃんとチェック済み。
そして、そんな話の内容にギャラリー達は騒然となり、第三王子達に一体どういう事か説明しろと迫る声もちらほらと上がり出す。
「リヒト様、少しお気持ちが落ち着かれるまで馬車の方へ」
ライアスいいぞ、お前は出来る子だ。
「ま、待ってくれ……!」
民衆の敵意が明らかに自分達に向いたのが判り焦った第三王子は俺を引き留める声を出すが、続く言葉が出ず口をパクパクさせている。金魚かよ。さあ、そんな君にダメ押しだ。
「ファルレイさん……、私を自分の所有物としたい、という貴方の画策までもアシュマルナ様は教えて下さいました……」
「っ?!?」
驚愕に目を見開き言葉が出て来ない第三王子をそのまま残し、ソランツェとライアスと一緒に馬車へ入る。
馬車の扉が閉まった途端、第三王子を罵倒する声がどっと溢れすごい音量になった。
「(わ~、すっごい声)」
「(リヒト様……)」
「(程々にしようと言ったじゃないか……)」
「(失脚コース行けるかな)」
やるなら、しっかり。
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「俺は魔法が使えるんだから神を信じるべきだとか言ってるんじゃないです。ただ信じていないと言うならそれなりの生活をした方がいいんじゃない?って思ってるだけですよ」
黙ってしまった騎士団長は、ここで売り言葉に買い言葉で試す事にして本当に消されたら生活に困るし、その後に返してもらうにしても試す事自体を拒否するにしても、神や神の力を信じていないというくせに魔法に頼った生活したいんだなって周りに認識されて二枚舌と揶揄される未来しかないって事に気付いたのかな。
この世界で有無を言わせぬ実績と信用のある、ドラゴンスレイヤー・ソランツェが「あいつマジで力持ってるよ」ってわざわざ教えたんだから、それを信じてあの時に普通に謝ってくれたら良かったのに。
それだったら俺も大人気ない・性格悪いと言われちゃいそうなくらい徹底的に追い詰める事はしなかったのになあ、と思いつつ手に目薬を隠して出す。お望み通り見た目も使ってやろう。
「え? そんな……酷い!」
殊更大きな声を出し、信じられない耐えられない、という様な顔をして手で覆う。
そして、体を翻し馬車へ向かって走り出す。走りながら涙を拭う振りをして目薬の仕込みもOK。
突然の俺の行動に、ソランツェやライアス達も驚き、黙って俯いたままだった騎士団長や、黙っている騎士団長に自分達はどうすればいいのかと戸惑っていた第三王子や兵士達も、ギャラリー達も一斉に俺に注目する。
「リヒト?!」
「リヒト様?!」
あまりにも予想外の行動に驚いたせいで初動が遅れ慌てて追いかけて来たソランツェ達をギャラリー達のいる規制線の傍らの馬車の位置まで引き付けてから、顔を上げる。
そこには涙(目薬)に濡れ儚げさがアップした(と思われる)俺の顔。不本意ながらも麗しいと言われる容姿の俺が泣いているから、ソランツェ達以外にギャラリー達も一体どうした事かと大騒ぎしだした。
「どうしたんだ、リヒト?」
「アシュマルナ様のお声が聞こえたんです……」
「「……ん?」」
ギョッとするソランツェとライアスに、話を合わせろやコラと目で訴える。そんな俺達に気付かずギャラリー達は『お告げか?!』なんて盛り上がる。いいぞ、もっと注目してくれ。
「……先程からあちらの方達は私に対しておかしな態度でしたでしょう?」
「……あ、あぁ」
「リヒト様のお力を疑っておられる様でしたね……。お力を見せても、なお信じもせず……」
ライアスいいぞ、その調子だ。ソランツェは頑張って!
一緒になって話を聴いているギャラリー達はさっきの火球と氷柱を出した経緯が判ってざわつきだした。
「何故彼らがその様な態度を取ったのか、アシュマルナ様が今教えて下さったのですが……私、恐ろしくなってしまって……」
ざわつくギャラリー達の側で泣きながら何かを話している俺が気になったのか、第三王子や領主さんも近くへやって来た。それを確認してから
「実は彼らは、私をなんの根拠もなく詐欺師と呼ばわり、捕まえる為にここへ来たようなのです。だから……。私はただトゥアンニコを護りたくて脅威を排除するお手伝いをさせて頂こうとしただけなのに……」
悲しい、と目を伏せソランツェに寄りかかる。目を伏せつつも、何で知られているんだと青褪め狼狽える第三王子の顔はちゃんとチェック済み。
そして、そんな話の内容にギャラリー達は騒然となり、第三王子達に一体どういう事か説明しろと迫る声もちらほらと上がり出す。
「リヒト様、少しお気持ちが落ち着かれるまで馬車の方へ」
ライアスいいぞ、お前は出来る子だ。
「ま、待ってくれ……!」
民衆の敵意が明らかに自分達に向いたのが判り焦った第三王子は俺を引き留める声を出すが、続く言葉が出ず口をパクパクさせている。金魚かよ。さあ、そんな君にダメ押しだ。
「ファルレイさん……、私を自分の所有物としたい、という貴方の画策までもアシュマルナ様は教えて下さいました……」
「っ?!?」
驚愕に目を見開き言葉が出て来ない第三王子をそのまま残し、ソランツェとライアスと一緒に馬車へ入る。
馬車の扉が閉まった途端、第三王子を罵倒する声がどっと溢れすごい音量になった。
「(わ~、すっごい声)」
「(リヒト様……)」
「(程々にしようと言ったじゃないか……)」
「(失脚コース行けるかな)」
やるなら、しっかり。
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