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「とりあえず、冒険者ギルドに知らせた方が良さそうだな」
「早く行った方がいいかも。また地震起きるかもしれないし」
起きた現象に心当たりは無いが、それをやりやがった奴には心当たりがある……。でもまあ、そんな事はここでは勿論言えないので、ソランツェと目で会話をし、自分達が急いで報告に行くという事にしてからダンジョンから出る事にした。
崩落したら大変だという事で、俺達の他にも外へ出て来る人達も大勢いるので使うか迷ったが、明日には各地でポスター貼り出されるんだしもういいかと諦めて転移で移動する。力を使って行こうじゃないか。
ファンディオの第一城門近くへ転移し、不可視&防音結界を張り先に事情聴取だとスマホを取り出し、
「おい、アシュマルナ! あれ、なんだよ!」
『なんだとは、なんだ。相変わらずお前はうるさいの』
スマホへ向かって話し掛けると、すぐにアシュマルナが画面に現れた。うるさいとか言いつつ嬉しそうなのが何とも言えないが、それよりも。
「あの地震だよ! お前あれ何かやっただろ!」
『判っておるが……私ではない』
「はあ?」
アシュマルナじゃなかったら一体誰がするんだよ、と食ってかかろうとしていたが、それより先にソランツェがアシュマルナに問いかける。
「トリラウーユ様でしょうか?」
『そうだ』
「誰だそれ、って、あー、はいはい」
俺のもう一人の親ね。アシュマルナとは違う意味で問題がありそうな。
『ちょっと待て』
「?」
何だ?と思ったらソランツェの動きが止まってしまって理解する。
そこまでは詳しく話してないんだな。
++++++
『そこは何かと”融通の利く”世界だろう?』
「ああ、うん」
『そこが気に入ったらしくてな……』
「ん?」
トリラウーユは(勝手に俺の元へ行かないように)アシュマルナを監視する為に、自分も一緒にここを管理とゆーか”見る”と言い出したのはいいが、結構好き放題出来るこの世界の造りをどうやら気に入ったそうで……。
元々トリラウーユも、俺の感覚からすると数千年以上の遥か昔にアシュマルナと同じ様に違う界を管理していたが、トリラウーユの性格的に武力が勝つ!みたいな世界が多かったそう。勿論そればかりではなかったらしいけど。
『見るだけだと言うておったのに、久し振りにやりたいと』
「弄ってきたっつー訳な」
『一応、お前の為だと思ってやっておるらしいがな』
「はあ?」
『しかし、やり方が荒くて、ああなった』
例の天変地異的なやつは”俺にやらせろ”と予想通りトリラウーユの仕業で決定だったが、ソランツェへの問い掛けもそうらしく、アレって実は『君はうちの子を幸せに出来るのかね』的なアレだったらしい。うわぁ……。
アシュマルナは、自分に俺を別物と思えと説教を垂れるのに彼奴だって別物と思っておらんのだ、とぷりぷりしている。つーか、お前それもう認めてるじゃん……。
「駄目だったらどうしてたんだ……」
『”一掃”だろうな』
「えー……物騒過ぎ……」
『あの小僧ならば問題無いのは判っていたから好きにさせたが』
「あ、そう……ですか」
顔、熱いんですが……。
「……で、今回のは一体何だよ」
気を取り直して、続けよう。うん。
『あのダンジョンを拡張したらしい』
「はあ?なんで?」
『お前達が暮らしていくのに一応、金がいるだろう?』
「ん?うん」
なんつーか、本当に一応だけどね。それとこれで一体何がどうしてああなるんだ?
『今そこの世界に造ってあるダンジョンは全て最終階層まで到達済みなのだ』
「へえ?」
『転移陣が青くなっていたであろう?』
「あー、もしかして未到達の場合は赤って事か」
『そういう事だ』
色の謎はすぐ解けたが、だから何でだっつー話は続く。
ダンジョンには、中身が一定時間経つと復活する中身ランダム宝箱と最終階層に一回だけのSS級な物が入っている宝箱がある。
しかし、今はどのダンジョンも過去に到達(回収)済みとなっているので新たなSS級は手に入りはしない。が、一応、中身ランダム宝箱でもS級くらいは極々稀に出るのでそれを求めてダンジョンへ潜る冒険者もいる。
そして、SS級は勿論の事、S級のそういう物を巡り王族やら貴族・大商人やらの間で大きい金が動いたりしている。
という事は、あれか。
「拡張して未到達扱いになったって事は、そこで新たなSS級が手に入ると」
『そうだ。お前達の資金集めの為に用意したという事だな』
「なんだそれ……」
『どこでも行けるお前には関係ないが、おそらくお前達以外は最終階層まで辿り着けぬ難易度になっておるだろうな』
難易度も含めて、この世界の金の動きに合った俺の為のお膳立てっつー事か。直接俺にSS級物品渡すよりは『未到達ダンジョン』が出現した方が出所が判って良いと。
一応、ちゃんと考えられていて感心したよ、ダンジョン利用の仕送りシステムに。
「でも、人がいない時にやって欲しかったわ。危ないし」
『やり方が荒いのだ』
「ホントだよ」
因みに、拡張するにも何であそこのダンジョンなんだろうと思っていたが、俺が気に掛けるイルム達がファンディオにいるからじゃないかとの事。ダンジョン大きくなる→冒険者増える→テッドさん達の宿屋が繁盛する→イルム達安泰→俺が喜ぶって事か。
「俺基準にも程がある……」
いや、何かもういいよ。好きな様にやってくれ。
「早く行った方がいいかも。また地震起きるかもしれないし」
起きた現象に心当たりは無いが、それをやりやがった奴には心当たりがある……。でもまあ、そんな事はここでは勿論言えないので、ソランツェと目で会話をし、自分達が急いで報告に行くという事にしてからダンジョンから出る事にした。
崩落したら大変だという事で、俺達の他にも外へ出て来る人達も大勢いるので使うか迷ったが、明日には各地でポスター貼り出されるんだしもういいかと諦めて転移で移動する。力を使って行こうじゃないか。
ファンディオの第一城門近くへ転移し、不可視&防音結界を張り先に事情聴取だとスマホを取り出し、
「おい、アシュマルナ! あれ、なんだよ!」
『なんだとは、なんだ。相変わらずお前はうるさいの』
スマホへ向かって話し掛けると、すぐにアシュマルナが画面に現れた。うるさいとか言いつつ嬉しそうなのが何とも言えないが、それよりも。
「あの地震だよ! お前あれ何かやっただろ!」
『判っておるが……私ではない』
「はあ?」
アシュマルナじゃなかったら一体誰がするんだよ、と食ってかかろうとしていたが、それより先にソランツェがアシュマルナに問いかける。
「トリラウーユ様でしょうか?」
『そうだ』
「誰だそれ、って、あー、はいはい」
俺のもう一人の親ね。アシュマルナとは違う意味で問題がありそうな。
『ちょっと待て』
「?」
何だ?と思ったらソランツェの動きが止まってしまって理解する。
そこまでは詳しく話してないんだな。
++++++
『そこは何かと”融通の利く”世界だろう?』
「ああ、うん」
『そこが気に入ったらしくてな……』
「ん?」
トリラウーユは(勝手に俺の元へ行かないように)アシュマルナを監視する為に、自分も一緒にここを管理とゆーか”見る”と言い出したのはいいが、結構好き放題出来るこの世界の造りをどうやら気に入ったそうで……。
元々トリラウーユも、俺の感覚からすると数千年以上の遥か昔にアシュマルナと同じ様に違う界を管理していたが、トリラウーユの性格的に武力が勝つ!みたいな世界が多かったそう。勿論そればかりではなかったらしいけど。
『見るだけだと言うておったのに、久し振りにやりたいと』
「弄ってきたっつー訳な」
『一応、お前の為だと思ってやっておるらしいがな』
「はあ?」
『しかし、やり方が荒くて、ああなった』
例の天変地異的なやつは”俺にやらせろ”と予想通りトリラウーユの仕業で決定だったが、ソランツェへの問い掛けもそうらしく、アレって実は『君はうちの子を幸せに出来るのかね』的なアレだったらしい。うわぁ……。
アシュマルナは、自分に俺を別物と思えと説教を垂れるのに彼奴だって別物と思っておらんのだ、とぷりぷりしている。つーか、お前それもう認めてるじゃん……。
「駄目だったらどうしてたんだ……」
『”一掃”だろうな』
「えー……物騒過ぎ……」
『あの小僧ならば問題無いのは判っていたから好きにさせたが』
「あ、そう……ですか」
顔、熱いんですが……。
「……で、今回のは一体何だよ」
気を取り直して、続けよう。うん。
『あのダンジョンを拡張したらしい』
「はあ?なんで?」
『お前達が暮らしていくのに一応、金がいるだろう?』
「ん?うん」
なんつーか、本当に一応だけどね。それとこれで一体何がどうしてああなるんだ?
『今そこの世界に造ってあるダンジョンは全て最終階層まで到達済みなのだ』
「へえ?」
『転移陣が青くなっていたであろう?』
「あー、もしかして未到達の場合は赤って事か」
『そういう事だ』
色の謎はすぐ解けたが、だから何でだっつー話は続く。
ダンジョンには、中身が一定時間経つと復活する中身ランダム宝箱と最終階層に一回だけのSS級な物が入っている宝箱がある。
しかし、今はどのダンジョンも過去に到達(回収)済みとなっているので新たなSS級は手に入りはしない。が、一応、中身ランダム宝箱でもS級くらいは極々稀に出るのでそれを求めてダンジョンへ潜る冒険者もいる。
そして、SS級は勿論の事、S級のそういう物を巡り王族やら貴族・大商人やらの間で大きい金が動いたりしている。
という事は、あれか。
「拡張して未到達扱いになったって事は、そこで新たなSS級が手に入ると」
『そうだ。お前達の資金集めの為に用意したという事だな』
「なんだそれ……」
『どこでも行けるお前には関係ないが、おそらくお前達以外は最終階層まで辿り着けぬ難易度になっておるだろうな』
難易度も含めて、この世界の金の動きに合った俺の為のお膳立てっつー事か。直接俺にSS級物品渡すよりは『未到達ダンジョン』が出現した方が出所が判って良いと。
一応、ちゃんと考えられていて感心したよ、ダンジョン利用の仕送りシステムに。
「でも、人がいない時にやって欲しかったわ。危ないし」
『やり方が荒いのだ』
「ホントだよ」
因みに、拡張するにも何であそこのダンジョンなんだろうと思っていたが、俺が気に掛けるイルム達がファンディオにいるからじゃないかとの事。ダンジョン大きくなる→冒険者増える→テッドさん達の宿屋が繁盛する→イルム達安泰→俺が喜ぶって事か。
「俺基準にも程がある……」
いや、何かもういいよ。好きな様にやってくれ。
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