のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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 ダンジョンってどんなんだろう?と思っていたが、目の前にあるのは日本でも山にあったりする普通の洞窟の入口みたいだった。鍾乳洞とか。

 ゲームでも見た目こんな感じだったな……と昔ゲームをプレイした記憶を思い出す。
 そういえば、実家の俺の部屋のクローゼットとかに昔のゲーム機があった様な気がするけど、動くかな?RPGのソフトとかも一緒にあると思うし、攻撃魔法とか付与魔法付きの武器や防具とか参考になりそうかも。
 あとでスマホから収納物見てみようかな。



 話を聞くとソランツェは行った事はないそうだが、場所によっては国により入口周辺も綺麗に整備されている所があるらしい。大きなダンジョンの入口の側には元冒険者達が勝手に作った小さな集落がある場所もあったりするそうだ。

「大事な収入源な訳ね」
「ここは小さいしからそういう事もないがな」


 力を使えば外からでも余分な魔物の処理は簡単だけど、一応中がどんな感じなのか見てみたいので少しだけ入ってみる事にした。
 中に入ると外からの光が届かない位置までうっすら明るくて不思議な造りだなと思うが、ダンジョンはどこもなっているらしい。そもそもダンジョンの発生原因なども含めて判らない事が多いと言われているそうだが、うん、全部アシュマルナの匙加減だから……。


 百メートル程進むと大きな空間があって、下へ降りる階段がある。その反対側には、各階層から脱出する為らしい青く光る円形の魔法陣みたいな物が床に設置されていた。
 ここには他にも今から出発する人達や戻って来た人達が居て、俺達に気付くとギルド内のあの出来事を知っているらしく軽く会釈されたりもする。

「今から潜るんですか?」
「ああ、少しだけ行こうかと思うが」

 戻ってきた人達の中にいた、十代後半から二十代前半くらいの男の子二人と女の子一人の三人組パーティーの人が話かけて来た。男の子達はソランツェに会えて結構興奮しているっぽい。ヒーローには憧れるものだよね。
 ソランツェは男の子達に中の魔物の様子などを聞いていて、特に問題無さそうなら何もしなくていいかなと思って見ていたら、視線を感じ、そちらを見ると、女の子とばっちり目が合ってしまった。なんだかそのまま目を逸らす訳にもいかないかなあと思ってニコリと有名バーガーチェーンでもらえそうなスマイルで挨拶をする。スマイル0円!

「こんにちは」
「ひえっ?! あっ、は、は、はい、あの、こんにちは! ごめんなさい! つい、見惚れてしまって!」

 俺に話し掛けられると思っていなかったのかめちゃくちゃ慌てていて、逆にスマンな少女よ……と思ってしまった。顔は真っ赤になってしまっているし可哀想な事をした……。
 どうしよう?会話続けようかな?と笑顔の裏で考えていたら、聞き覚えがあるというか少し慣れがあるので感じ取ったというか、耳に微かにゴーッと聴こえる。これは……

「地震来る!!!」

 俺は大声で叫ぶのと同時に目の前の女の子を引き寄せ庇い、反応速度の早いソランツェはその俺をすかさず庇う。と、同時に大きな縦揺れとゴゴゴゴッと轟音が起こり、パラパラと落ちてくる小石にあちこちで悲鳴が上がっている。こんな所で地震なんて最悪だ。

 長い揺れが収まり、下の階層はどうだか判らないが、ここの天井が崩落する気配もなさそうなので女の子を開放する。

「ごめんね、いきなり引っ張っちゃって。吃驚させたでしょ? 大丈夫?」
「いえ、あ、あの、ありがとうございます」
「妹を、ありがとうございます!!」

 本人以上に一人の男の子からものすごく感謝されてしまったが、言葉通りどうやらこの女の子・ミレスはその男の子・ウォーグの妹らしい。もう片方はトッシュと言って二人の幼馴染みだそう。
 崩落しなくて良かったよ、と兄妹と話していたが、その間トッシュの視線がどうも俺に突き刺さる感じなのは、そういう事なんだろう。咄嗟だったし、しょうがないじゃん……。

「それにしても、よく判ったな」
「元々地震が頻発する国に住んでたから、慣れかな? たまに前兆で音が聴こえるっていうか空気が変わるのを感じる時があって」
「空気……? あの変な感じがそうなのか」

 ソランツェは空気が変わった事に気付いていても、地震に遭った経験がほぼないので、それが何なのか判別出来なかったらしい。

 それにしても地震とかやめて欲しいんだけどアシュマルナふざけんなと思っていると、何やら魔法陣の方に人が集まり騒がしくなってきた。地震があったので一旦帰ってきた人達もいるみたいだ。

「どうしたんだろ?」
「何かあったのか?」

 聞こえてくるのは戸惑いの声ばかりで、不思議に思って三人組と行って見れば、さっきまで青く光っていた魔法陣が打って変わって赤く光っている。みんなの戸惑いの原因はそれらしい。

「色、変わってるけど?」

 ソランツェに何か知っているか聞いてみると、他の人達もこちらに注目しだす。

「いや、赤いものは見た事も聞いた事もない……」
「えぇ?」


 あぁもう!!だから、何かするなら事前に言えってば!!!!!!!
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