88 / 148
86
しおりを挟む
ダンジョンってどんなんだろう?と思っていたが、目の前にあるのは日本でも山にあったりする普通の洞窟の入口みたいだった。鍾乳洞とか。
ゲームでも見た目こんな感じだったな……と昔ゲームをプレイした記憶を思い出す。
そういえば、実家の俺の部屋のクローゼットとかに昔のゲーム機があった様な気がするけど、動くかな?RPGのソフトとかも一緒にあると思うし、攻撃魔法とか付与魔法付きの武器や防具とか参考になりそうかも。
あとでスマホから収納物見てみようかな。
話を聞くとソランツェは行った事はないそうだが、場所によっては国により入口周辺も綺麗に整備されている所があるらしい。大きなダンジョンの入口の側には元冒険者達が勝手に作った小さな集落がある場所もあったりするそうだ。
「大事な収入源な訳ね」
「ここは小さいしからそういう事もないがな」
力を使えば外からでも余分な魔物の処理は簡単だけど、一応中がどんな感じなのか見てみたいので少しだけ入ってみる事にした。
中に入ると外からの光が届かない位置までうっすら明るくて不思議な造りだなと思うが、ダンジョンはどこもそうなっているらしい。そもそもダンジョンの発生原因なども含めて判らない事が多いと言われているそうだが、うん、全部アシュマルナの匙加減だから……。
百メートル程進むと大きな空間があって、下へ降りる階段がある。その反対側には、各階層から脱出する為らしい青く光る円形の魔法陣みたいな物が床に設置されていた。
ここには他にも今から出発する人達や戻って来た人達が居て、俺達に気付くとギルド内のあの出来事を知っているらしく軽く会釈されたりもする。
「今から潜るんですか?」
「ああ、少しだけ行こうかと思うが」
戻ってきた人達の中にいた、十代後半から二十代前半くらいの男の子二人と女の子一人の三人組パーティーの人が話かけて来た。男の子達はソランツェに会えて結構興奮しているっぽい。ヒーローには憧れるものだよね。
ソランツェは男の子達に中の魔物の様子などを聞いていて、特に問題無さそうなら何もしなくていいかなと思って見ていたら、視線を感じ、そちらを見ると、女の子とばっちり目が合ってしまった。なんだかそのまま目を逸らす訳にもいかないかなあと思ってニコリと有名バーガーチェーンでもらえそうなスマイルで挨拶をする。スマイル0円!
「こんにちは」
「ひえっ?! あっ、は、は、はい、あの、こんにちは! ごめんなさい! つい、見惚れてしまって!」
俺に話し掛けられると思っていなかったのかめちゃくちゃ慌てていて、逆にスマンな少女よ……と思ってしまった。顔は真っ赤になってしまっているし可哀想な事をした……。
どうしよう?会話続けようかな?と笑顔の裏で考えていたら、聞き覚えがあるというか少し慣れがあるので感じ取ったというか、耳に微かにゴーッと聴こえる。これは……
「地震来る!!!」
俺は大声で叫ぶのと同時に目の前の女の子を引き寄せ庇い、反応速度の早いソランツェはその俺をすかさず庇う。と、同時に大きな縦揺れとゴゴゴゴッと轟音が起こり、パラパラと落ちてくる小石にあちこちで悲鳴が上がっている。こんな所で地震なんて最悪だ。
長い揺れが収まり、下の階層はどうだか判らないが、ここの天井が崩落する気配もなさそうなので女の子を開放する。
「ごめんね、いきなり引っ張っちゃって。吃驚させたでしょ? 大丈夫?」
「いえ、あ、あの、ありがとうございます」
「妹を、ありがとうございます!!」
本人以上に一人の男の子からものすごく感謝されてしまったが、言葉通りどうやらこの女の子・ミレスはその男の子・ウォーグの妹らしい。もう片方はトッシュと言って二人の幼馴染みだそう。
崩落しなくて良かったよ、と兄妹と話していたが、その間トッシュの視線がどうも俺に突き刺さる感じなのは、そういう事なんだろう。咄嗟だったし、しょうがないじゃん……。
「それにしても、よく判ったな」
「元々地震が頻発する国に住んでたから、慣れかな? たまに前兆で音が聴こえるっていうか空気が変わるのを感じる時があって」
「空気……? あの変な感じがそうなのか」
ソランツェは空気が変わった事に気付いていても、地震に遭った経験がほぼないので、それが何なのか判別出来なかったらしい。
それにしても地震とかやめて欲しいんだけどアシュマルナふざけんなと思っていると、何やら魔法陣の方に人が集まり騒がしくなってきた。地震があったので一旦帰ってきた人達もいるみたいだ。
「どうしたんだろ?」
「何かあったのか?」
聞こえてくるのは戸惑いの声ばかりで、不思議に思って三人組と行って見れば、さっきまで青く光っていた魔法陣が打って変わって赤く光っている。みんなの戸惑いの原因はそれらしい。
「色、変わってるけど?」
ソランツェに何か知っているか聞いてみると、他の人達もこちらに注目しだす。
「いや、赤いものは見た事も聞いた事もない……」
「えぇ?」
あぁもう!!だから、何かするなら事前に言えってば!!!!!!!
ゲームでも見た目こんな感じだったな……と昔ゲームをプレイした記憶を思い出す。
そういえば、実家の俺の部屋のクローゼットとかに昔のゲーム機があった様な気がするけど、動くかな?RPGのソフトとかも一緒にあると思うし、攻撃魔法とか付与魔法付きの武器や防具とか参考になりそうかも。
あとでスマホから収納物見てみようかな。
話を聞くとソランツェは行った事はないそうだが、場所によっては国により入口周辺も綺麗に整備されている所があるらしい。大きなダンジョンの入口の側には元冒険者達が勝手に作った小さな集落がある場所もあったりするそうだ。
「大事な収入源な訳ね」
「ここは小さいしからそういう事もないがな」
力を使えば外からでも余分な魔物の処理は簡単だけど、一応中がどんな感じなのか見てみたいので少しだけ入ってみる事にした。
中に入ると外からの光が届かない位置までうっすら明るくて不思議な造りだなと思うが、ダンジョンはどこもそうなっているらしい。そもそもダンジョンの発生原因なども含めて判らない事が多いと言われているそうだが、うん、全部アシュマルナの匙加減だから……。
百メートル程進むと大きな空間があって、下へ降りる階段がある。その反対側には、各階層から脱出する為らしい青く光る円形の魔法陣みたいな物が床に設置されていた。
ここには他にも今から出発する人達や戻って来た人達が居て、俺達に気付くとギルド内のあの出来事を知っているらしく軽く会釈されたりもする。
「今から潜るんですか?」
「ああ、少しだけ行こうかと思うが」
戻ってきた人達の中にいた、十代後半から二十代前半くらいの男の子二人と女の子一人の三人組パーティーの人が話かけて来た。男の子達はソランツェに会えて結構興奮しているっぽい。ヒーローには憧れるものだよね。
ソランツェは男の子達に中の魔物の様子などを聞いていて、特に問題無さそうなら何もしなくていいかなと思って見ていたら、視線を感じ、そちらを見ると、女の子とばっちり目が合ってしまった。なんだかそのまま目を逸らす訳にもいかないかなあと思ってニコリと有名バーガーチェーンでもらえそうなスマイルで挨拶をする。スマイル0円!
「こんにちは」
「ひえっ?! あっ、は、は、はい、あの、こんにちは! ごめんなさい! つい、見惚れてしまって!」
俺に話し掛けられると思っていなかったのかめちゃくちゃ慌てていて、逆にスマンな少女よ……と思ってしまった。顔は真っ赤になってしまっているし可哀想な事をした……。
どうしよう?会話続けようかな?と笑顔の裏で考えていたら、聞き覚えがあるというか少し慣れがあるので感じ取ったというか、耳に微かにゴーッと聴こえる。これは……
「地震来る!!!」
俺は大声で叫ぶのと同時に目の前の女の子を引き寄せ庇い、反応速度の早いソランツェはその俺をすかさず庇う。と、同時に大きな縦揺れとゴゴゴゴッと轟音が起こり、パラパラと落ちてくる小石にあちこちで悲鳴が上がっている。こんな所で地震なんて最悪だ。
長い揺れが収まり、下の階層はどうだか判らないが、ここの天井が崩落する気配もなさそうなので女の子を開放する。
「ごめんね、いきなり引っ張っちゃって。吃驚させたでしょ? 大丈夫?」
「いえ、あ、あの、ありがとうございます」
「妹を、ありがとうございます!!」
本人以上に一人の男の子からものすごく感謝されてしまったが、言葉通りどうやらこの女の子・ミレスはその男の子・ウォーグの妹らしい。もう片方はトッシュと言って二人の幼馴染みだそう。
崩落しなくて良かったよ、と兄妹と話していたが、その間トッシュの視線がどうも俺に突き刺さる感じなのは、そういう事なんだろう。咄嗟だったし、しょうがないじゃん……。
「それにしても、よく判ったな」
「元々地震が頻発する国に住んでたから、慣れかな? たまに前兆で音が聴こえるっていうか空気が変わるのを感じる時があって」
「空気……? あの変な感じがそうなのか」
ソランツェは空気が変わった事に気付いていても、地震に遭った経験がほぼないので、それが何なのか判別出来なかったらしい。
それにしても地震とかやめて欲しいんだけどアシュマルナふざけんなと思っていると、何やら魔法陣の方に人が集まり騒がしくなってきた。地震があったので一旦帰ってきた人達もいるみたいだ。
「どうしたんだろ?」
「何かあったのか?」
聞こえてくるのは戸惑いの声ばかりで、不思議に思って三人組と行って見れば、さっきまで青く光っていた魔法陣が打って変わって赤く光っている。みんなの戸惑いの原因はそれらしい。
「色、変わってるけど?」
ソランツェに何か知っているか聞いてみると、他の人達もこちらに注目しだす。
「いや、赤いものは見た事も聞いた事もない……」
「えぇ?」
あぁもう!!だから、何かするなら事前に言えってば!!!!!!!
48
お気に入りに追加
3,358
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる