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「じゃあ、出発しようか」
「「「「はっ!」」」」
王都を出るまで自分達もと見送りをしたがったジェロイスさん達を断り宮殿内までにしてもらい、少数で出発する事になった。
でも、少数と言ってもブランに乗った俺達の周りをライアス達の部隊十名が馬に乗りそれで囲んでの移動、それも腕利きな人ばかりとあって威圧感が半端じゃない感じだ。あと、俺達が行く道は交通規制が敷かれた上に、聖騎士団による規制線も張られ物々しい雰囲気なのが正門を出てすぐ判った。
王都内だから安全だろうしここまでガッツリしなくても……とちょっと思うが、安全だとかそうじゃないとかそういう話では無いんだなってのはもう理解している。しかし、だよ……
「ホント慣れない……」
「仕方ない事だな」
聖騎士にがっつり護られている俺達に街行く人達が誰なんだと戸惑っているが、この人達が俺の正体を知るのは明日。本当は昨日処理される予定だったらしいが、それどころではなかったので、明日世界各地の教会に例のアレが配られるらしい。この先どう変わるかなあ。
王都の街並みはテレビとかで見た事しかないが、ヨーロッパの古い街並みのそれとあまり変わらない感じ。だけど、石畳一つすら傷んでいる様な所は見当たらない綺麗な街だった。
正門から出て少しの所にはデカい円形の広場があり、その中心には天に伸びているかのように背の高い一本の木があって、その木には見覚えのある花がいっぱい咲いている。
「あの木の花……」
「あの花は季節が変わろうとも常にあの様に咲いておりまして、”神の花”と呼ばれております」
前を行くライアスが説明してくれたのは、あの花は数百年以上も咲き続けているらしいという事。ライアスも小さい頃からずっと見ているが散ったのを見た事が無いそうだ。他の都市にも同様の木があってここの物より大きくはないが街の中心に植えられているのは変わらないらしい。過去の記録を見ても何の意味があってそこに在るのかは判らないとの事。
「へえ」
何となく飾りたかっただけでそんなに深い意味は無いと思うけどと思って見ていたが、よく見ると何かが木から空に向かって煙の様に出ていて、それを追って空を見てみると薄い膜の様な物が王都を覆っているのが判った。もしかすると、結界みたいなやつか?と思ってソランツェにも訊いてみる。
「あれって何かな?」
「何がだ?」
「木の上?とゆーか、上空」
「何かあるか?」
「あれ?見えるのって俺だけ?」
何が見えるのでしょうか、とライアスからも訊かれたので木を中心に膜みたいなやつが王都を覆っている事を教える。
「はっきり判らないけど多分結界とかなんじゃないかと思うよ。何かしらの加護の力でここは護られてるんだろうね」
「何と……」
ライアスはすごく驚いていてこれは大神官様にお伝えせねばと言っている。アシュマルナが自分の足元にいるくせに的な感じだったのはこういう事なんだろうかね……。
++++++
「ようやく二人きりだ~」
「ああ」
道を規制していたお蔭で思ったよりも早く城壁門に到着しライアス達と別れる。ガルゴドン王国との国境に近い方の宿場町で一度連絡を入れるという事になったので、それまでは二人きりに戻れるよ。やったね。
そのまま振り返っても見えないぐらいブランを走らせ離れてから、ファンディオのダンジョンへ転移する為に一旦停まる。そこでブランから降りニンジンをあげたり撫でたりしてから指輪に戻し終えた後、ソランツェの方をなんとなく振り返って見てみると、気付いたソランツェはどうした?と少しだけ口角を上げた見惚れる様な微笑みをくれて、その全くの不意打ちに胸がやられて顔がカーッと熱くなった。
「いきなり可愛い顔になってるが……」
「……いや、待って待って……いやいや、破壊力よ……」
ソランツェの笑顔の威力に崩れ落ちそうになる。イケメンってすごいね……びっくりだよ……。
あの部屋でも二人きりになる事はあったけど、豪奢な部屋に兎に角俺は落ち着かなくてキスまでは出来てもそういう雰囲気にはならなかったからか折角出来ていた耐性が全部吹っ飛んだ感じに……。
「あーもー……あついよー……」
顔の熱さが引かなくて涙目で手で一生懸命仰いでいると、ソランツェが近付いて来て俺の両手を掴んで止める。なんだろう?と首を少し傾げてみるとそのまま顔が近付いて来てチュッとキスされた。
「……堪らない」
と、そんな事を息を吹きかける様に耳元で囁くから完全に腰が抜けてしまってソランツェに抱え上げられてしまった。
「ダンジョンは後回しだな」
「……うん」
馬車、出すね。
「「「「はっ!」」」」
王都を出るまで自分達もと見送りをしたがったジェロイスさん達を断り宮殿内までにしてもらい、少数で出発する事になった。
でも、少数と言ってもブランに乗った俺達の周りをライアス達の部隊十名が馬に乗りそれで囲んでの移動、それも腕利きな人ばかりとあって威圧感が半端じゃない感じだ。あと、俺達が行く道は交通規制が敷かれた上に、聖騎士団による規制線も張られ物々しい雰囲気なのが正門を出てすぐ判った。
王都内だから安全だろうしここまでガッツリしなくても……とちょっと思うが、安全だとかそうじゃないとかそういう話では無いんだなってのはもう理解している。しかし、だよ……
「ホント慣れない……」
「仕方ない事だな」
聖騎士にがっつり護られている俺達に街行く人達が誰なんだと戸惑っているが、この人達が俺の正体を知るのは明日。本当は昨日処理される予定だったらしいが、それどころではなかったので、明日世界各地の教会に例のアレが配られるらしい。この先どう変わるかなあ。
王都の街並みはテレビとかで見た事しかないが、ヨーロッパの古い街並みのそれとあまり変わらない感じ。だけど、石畳一つすら傷んでいる様な所は見当たらない綺麗な街だった。
正門から出て少しの所にはデカい円形の広場があり、その中心には天に伸びているかのように背の高い一本の木があって、その木には見覚えのある花がいっぱい咲いている。
「あの木の花……」
「あの花は季節が変わろうとも常にあの様に咲いておりまして、”神の花”と呼ばれております」
前を行くライアスが説明してくれたのは、あの花は数百年以上も咲き続けているらしいという事。ライアスも小さい頃からずっと見ているが散ったのを見た事が無いそうだ。他の都市にも同様の木があってここの物より大きくはないが街の中心に植えられているのは変わらないらしい。過去の記録を見ても何の意味があってそこに在るのかは判らないとの事。
「へえ」
何となく飾りたかっただけでそんなに深い意味は無いと思うけどと思って見ていたが、よく見ると何かが木から空に向かって煙の様に出ていて、それを追って空を見てみると薄い膜の様な物が王都を覆っているのが判った。もしかすると、結界みたいなやつか?と思ってソランツェにも訊いてみる。
「あれって何かな?」
「何がだ?」
「木の上?とゆーか、上空」
「何かあるか?」
「あれ?見えるのって俺だけ?」
何が見えるのでしょうか、とライアスからも訊かれたので木を中心に膜みたいなやつが王都を覆っている事を教える。
「はっきり判らないけど多分結界とかなんじゃないかと思うよ。何かしらの加護の力でここは護られてるんだろうね」
「何と……」
ライアスはすごく驚いていてこれは大神官様にお伝えせねばと言っている。アシュマルナが自分の足元にいるくせに的な感じだったのはこういう事なんだろうかね……。
++++++
「ようやく二人きりだ~」
「ああ」
道を規制していたお蔭で思ったよりも早く城壁門に到着しライアス達と別れる。ガルゴドン王国との国境に近い方の宿場町で一度連絡を入れるという事になったので、それまでは二人きりに戻れるよ。やったね。
そのまま振り返っても見えないぐらいブランを走らせ離れてから、ファンディオのダンジョンへ転移する為に一旦停まる。そこでブランから降りニンジンをあげたり撫でたりしてから指輪に戻し終えた後、ソランツェの方をなんとなく振り返って見てみると、気付いたソランツェはどうした?と少しだけ口角を上げた見惚れる様な微笑みをくれて、その全くの不意打ちに胸がやられて顔がカーッと熱くなった。
「いきなり可愛い顔になってるが……」
「……いや、待って待って……いやいや、破壊力よ……」
ソランツェの笑顔の威力に崩れ落ちそうになる。イケメンってすごいね……びっくりだよ……。
あの部屋でも二人きりになる事はあったけど、豪奢な部屋に兎に角俺は落ち着かなくてキスまでは出来てもそういう雰囲気にはならなかったからか折角出来ていた耐性が全部吹っ飛んだ感じに……。
「あーもー……あついよー……」
顔の熱さが引かなくて涙目で手で一生懸命仰いでいると、ソランツェが近付いて来て俺の両手を掴んで止める。なんだろう?と首を少し傾げてみるとそのまま顔が近付いて来てチュッとキスされた。
「……堪らない」
と、そんな事を息を吹きかける様に耳元で囁くから完全に腰が抜けてしまってソランツェに抱え上げられてしまった。
「ダンジョンは後回しだな」
「……うん」
馬車、出すね。
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