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「もう行かれますか」
「はい。あんまり長居するのも悪いなって思うので」
翌日、予定通りファンディオのダンジョンに行った後はガルゴドン王国に行く事にした。ジェロイスさんは昨日の事もあったしもう少し体を癒されては、と引き留めたかったみたいだけど、ただでさえ扱いを気を付けてくれていた俺達の部屋付きの人達に昨日のアレもあって余計に気を遣わせてしまうのが心苦しくて。
ソランツェは気にする事は無いと言うけど、王族生まれで養子に出されたとはいえ、そこも力を持った貴族家で常に自分付きの人がいるって環境で途中まで育ってきたからさ、基本の価値観が違うので……。まあ、俺のその気持ちを理解はしてくれるのでいいんだけど。
「残念です」
「言っても無理な話かもしれませんが、昨日のアレ、気にしないで下さいね」
アレが結構軽い気持ちで行われたんだろうなあ、なんて事は俺以外に判りようがないので仕方ないけど、一応言っておく。
実はアレがあった時、ソランツェがアシュマルナ達から聞いた話ではこの城っつーか、宮殿内や大神殿以外の場所に居る人達は、全て時を止められていたらしいので、その事からも今の所本気じゃないんだなって判った。アシュマルナ達が本気でやるならこの世界全部巻き込むだろうから。自分の足元にいるんだから、お前達は判っておけよってくらいの軽い脅しだ。物騒な感じになったので効果有り過ぎだけどね。
「信仰の度合いも人それぞれ、色んな人もいますし………、他人の信仰心の強弱にとやかく言うのは違うと俺は思いますから」
ジェロイスさん達にアレを体験した人間は限定的だという事は言っておいた方がいいかなと思ってそう伝えたが、後からそのせいでアレを体験した人の中に『俺を侮る』者が居たってのが浮き彫りになってしまうと気付いたんだよ。あの言い方じゃ、俺が石碑に引き入れられたのはその人達のせいみたいな感じになっちゃってるのに、それは駄目だと……ね。だから、一応こう言うしか無い。
俺がちゃんと目覚めたって事はその人達の中で俺を侮る気持ちは消えたって事なんだろうから問題にして欲しくないけど……。
「承知しております」
ジェロイスさんの、その柔和な笑みを浮かべた顔を信じるしかない。またここに来た時にルイスさんにちゃんと会えるといいなあ~と思いました。ワッハッハッ!
++++++
ガルゴドン王国に行くにあたって総教国内を移動するのだけど、国土の三分の一をシシュヴァルト山が占めているらしい事を聞いた。
総教国は(アシュマルナの足元の為、何らかの加護によりだと思うが)力は圧倒的に強いけれど国土は大きくないそうで、便宜上王都と言っているこの場所の他に都市はそう多くない。この王都からガルゴドン王国に行く道では途中で小さな宿場町が二つあるだけの模様。
ぶっちゃけ居心地の悪いここから兎に角出発したいから、転移でガルゴドン王国へ行ってもいいが、何の為の馬車なんだと思うので国内は馬車移動を選択。王都を出るまでは護衛としてライアス達が付くから、王都を出てライアス達と別れたらファンディオのダンジョンへ転移で行き用事を済ませ、また戻って来て宿場町を目指す事にした。
「王都内はブランで良いのか?」
「うん。王都がどんな感じか見たいし」
本当は手持ちの馬車が良いけどあれは異質過ぎてここで出す訳にはいかないかなと思うし、用意してくれる馬車は大層豪華で王様乗ってそう!みたいな立派なもので、一応サスペンション?とかあるみたいだが最新技術の粋を集めた自動車に乗り慣れた俺にとっては乗り心地が良いとは思えないだろうし、慣れない振動で酔う事になりそうなのであまり乗りたくない。
そうなると、姿を隠したりは出来ないけど、アシュマルナの力のおかげで乗りやすいブランの方が用意された馬車より良いと思うのでブランで移動する事にしたのです。……いや……状態異常無効だろうがなんだろうが、俺は乗りたくないのだ……派手過ぎるから……。
出発しようとブランを喚び出してみると、ちょっと元気がない感じだった。しょんぼりした感じ……。
「あれ?どうしたの?」
「元気が無いな」
顔を覗き込んで、どうしたんだろうかと撫でながら不思議に思っていたけど、思い出した。
「あー、ブラン、あれ気にしてるのか……」
俺は色々あり過ぎて今この時まですっかり忘れていた事だけど、ブランはそうじゃなくて、俺の言葉に申し訳無さそうに頷くブランが可哀想で……。堪らない気持ちになってしまい、いっぱい撫でる。
「気にしなくて大丈夫。怒ってなんかないし、今、俺楽しいよ。これから色んな所に俺達を運んで行ってね」
そう伝えて撫でた後、よろしくねと鼻先に軽くキスをするとブランは喜びの嘶きをあげた。うんうん、かわいいぞ~。
「はい。あんまり長居するのも悪いなって思うので」
翌日、予定通りファンディオのダンジョンに行った後はガルゴドン王国に行く事にした。ジェロイスさんは昨日の事もあったしもう少し体を癒されては、と引き留めたかったみたいだけど、ただでさえ扱いを気を付けてくれていた俺達の部屋付きの人達に昨日のアレもあって余計に気を遣わせてしまうのが心苦しくて。
ソランツェは気にする事は無いと言うけど、王族生まれで養子に出されたとはいえ、そこも力を持った貴族家で常に自分付きの人がいるって環境で途中まで育ってきたからさ、基本の価値観が違うので……。まあ、俺のその気持ちを理解はしてくれるのでいいんだけど。
「残念です」
「言っても無理な話かもしれませんが、昨日のアレ、気にしないで下さいね」
アレが結構軽い気持ちで行われたんだろうなあ、なんて事は俺以外に判りようがないので仕方ないけど、一応言っておく。
実はアレがあった時、ソランツェがアシュマルナ達から聞いた話ではこの城っつーか、宮殿内や大神殿以外の場所に居る人達は、全て時を止められていたらしいので、その事からも今の所本気じゃないんだなって判った。アシュマルナ達が本気でやるならこの世界全部巻き込むだろうから。自分の足元にいるんだから、お前達は判っておけよってくらいの軽い脅しだ。物騒な感じになったので効果有り過ぎだけどね。
「信仰の度合いも人それぞれ、色んな人もいますし………、他人の信仰心の強弱にとやかく言うのは違うと俺は思いますから」
ジェロイスさん達にアレを体験した人間は限定的だという事は言っておいた方がいいかなと思ってそう伝えたが、後からそのせいでアレを体験した人の中に『俺を侮る』者が居たってのが浮き彫りになってしまうと気付いたんだよ。あの言い方じゃ、俺が石碑に引き入れられたのはその人達のせいみたいな感じになっちゃってるのに、それは駄目だと……ね。だから、一応こう言うしか無い。
俺がちゃんと目覚めたって事はその人達の中で俺を侮る気持ちは消えたって事なんだろうから問題にして欲しくないけど……。
「承知しております」
ジェロイスさんの、その柔和な笑みを浮かべた顔を信じるしかない。またここに来た時にルイスさんにちゃんと会えるといいなあ~と思いました。ワッハッハッ!
++++++
ガルゴドン王国に行くにあたって総教国内を移動するのだけど、国土の三分の一をシシュヴァルト山が占めているらしい事を聞いた。
総教国は(アシュマルナの足元の為、何らかの加護によりだと思うが)力は圧倒的に強いけれど国土は大きくないそうで、便宜上王都と言っているこの場所の他に都市はそう多くない。この王都からガルゴドン王国に行く道では途中で小さな宿場町が二つあるだけの模様。
ぶっちゃけ居心地の悪いここから兎に角出発したいから、転移でガルゴドン王国へ行ってもいいが、何の為の馬車なんだと思うので国内は馬車移動を選択。王都を出るまでは護衛としてライアス達が付くから、王都を出てライアス達と別れたらファンディオのダンジョンへ転移で行き用事を済ませ、また戻って来て宿場町を目指す事にした。
「王都内はブランで良いのか?」
「うん。王都がどんな感じか見たいし」
本当は手持ちの馬車が良いけどあれは異質過ぎてここで出す訳にはいかないかなと思うし、用意してくれる馬車は大層豪華で王様乗ってそう!みたいな立派なもので、一応サスペンション?とかあるみたいだが最新技術の粋を集めた自動車に乗り慣れた俺にとっては乗り心地が良いとは思えないだろうし、慣れない振動で酔う事になりそうなのであまり乗りたくない。
そうなると、姿を隠したりは出来ないけど、アシュマルナの力のおかげで乗りやすいブランの方が用意された馬車より良いと思うのでブランで移動する事にしたのです。……いや……状態異常無効だろうがなんだろうが、俺は乗りたくないのだ……派手過ぎるから……。
出発しようとブランを喚び出してみると、ちょっと元気がない感じだった。しょんぼりした感じ……。
「あれ?どうしたの?」
「元気が無いな」
顔を覗き込んで、どうしたんだろうかと撫でながら不思議に思っていたけど、思い出した。
「あー、ブラン、あれ気にしてるのか……」
俺は色々あり過ぎて今この時まですっかり忘れていた事だけど、ブランはそうじゃなくて、俺の言葉に申し訳無さそうに頷くブランが可哀想で……。堪らない気持ちになってしまい、いっぱい撫でる。
「気にしなくて大丈夫。怒ってなんかないし、今、俺楽しいよ。これから色んな所に俺達を運んで行ってね」
そう伝えて撫でた後、よろしくねと鼻先に軽くキスをするとブランは喜びの嘶きをあげた。うんうん、かわいいぞ~。
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