83 / 148
81
しおりを挟む
ハッと目を開けると俺はあの豪華絢爛な部屋のベッドに横たわっていた。
「返事くらいしてから行動してくれればいいのに……」
ベッドの天蓋を見つめ小さく呟く。元々静かな場所だけれど、別物の静けさが部屋に広がっている様で小さな呟きなのに大きく部屋に響いた気がした。
「ソランツェは……」
横を向くと人一人分のスペースを挟んだ場所で俺と同じ様に、ソランツェは寝かせられている。
何か変わったのかな……?
時間が飛んでるって事は何かしらアシュマルナ達がやったんだろうけど、見た目には変化はない。俺も転移したばかりの時は、今の見た目じゃなかったし、何か見た目に変化がある訳じゃないか。
「ソランツェ、起きろよ」
揺すってみても眠りが深いのか反応はなく規則正しい寝息も乱れない。元々気配に敏感なソランツェは寝ていても小さい物音ですぐに起きられるらしいので、これで起きないって珍しい事だ。
「おーい?」
顔を近付けて耳元で声を掛けてみても頬を抓ってみても反応がないので、どうしたものかと思う。
「んー……?」
あいつら何か仕掛けでもしてるんだろうか。これで息してないとかだったら大慌てだけど、とりあえず息はしてるから……。えーっと、眠りから覚ます方法ねえ?魔法?……いや、
「定番はコレだよなあ」
眠るソランツェの唇に軽くキスを落とすと、パアッとソランツェの体が光り出した。ほら、やっぱりな、としばらく見守っていると次第に光が消えていく。
「ソランツェ」
声を掛けるとすぐに目が開かれる。覗き込む様にして顔を近付けると、ふにゃっとした様な柔らかい笑顔を見せてくれた。
「よかった」
「ああ。声は聞こえていたが体を動かせなかった」
「ええ?」
何か普通に目覚めさせたら面白くないなと、そうされたらしい。
「アシュマルナ?」
「トリラウーユ様だ」
「いや、誰だよっ!……って、多分判るけど」
一応、ツッコミ入れておこうかと……。アシュマルナの伴侶だろ?と訊くと肯定された。なんか、二人と色々お話してきたらしいよ。へえ。
「我が子の取り扱いについて」みたいに俺の事について全て聞いてきたらしい。ああ、そう……いや、説明が省けていいけど何をどう聞いて来たんだか気になるところ。つーか、話してきたって言っても多分、色々と嘘、というか都合が悪い事はボカされて話されている様な気はするが……まあいいや。
俺の事についてソランツェに話そうと思っていたけど、よくよく考えれば上位世界の事をどこまで言っていいのか俺には判断出来ないからアシュマルナ達が説明したもので納得しているならその方が良さそうだし。
「じゃあ、俺が戻って来た時のあれ、アシュマルナじゃなかったって確定だな」
口出しはしてただろうけど。
「なんでそうなったのか言ってた?」
「いや?リヒトにはただ二人で見守って行くことにしたと伝えればいいと」
「え?……ああ、そう」
アシュマルナの監視かな。ざまあ~!と思うが、少々引っ掛かる……あとで聞こうかな。
++++++
「何か変化してる事あるのかな?」
「そうだな」
確認してみようかと、ソランツェがステータスを開いてみれば前と少し変わっていた。
======
■ソランツェ・ルーダル
性別:男 種族:獣人(1/4) 年齢:―(24)
職業:護衛騎士 体力:∞ 魔力:∞
出身:ビスラトイルム帝国
剣術:SS 双剣術:SS 弓術:SS 索敵:SS
火属性魔法適性:MAX 風属性魔法適性:MAX
ギルドランク:B+
□神の子の護衛騎士
>能力値補正
□神の子の伴侶
>能力値・魔力共有
□神アシュマルナの加護
>対物無効・対魔無効・状態異常無効
======
「アシュマルナ様の加護……?」
「今になって判った事だけどここら辺は生身じゃないって事の証明だなあ」
加護って事にして反映してんのか。
「それに使える属性は変わらないが魔法適性ランクが上がって体力や魔力が∞になっているな」
「俺と繋がってるからって事?」
俺の能力自体加護によるもので下駄履かせてる状態なのにそれ反映されるのか?つーか、俺体力∞だっけ?と不思議に思ったので自分のステータスを表示してみる。
======
■リヒト・ソメヤ
性別:男 種族:人 年齢:―(30)
職業:無 体力:∞ 魔力:∞
全属性魔法適性・無属性魔法適性:MAX
□神トリラウーユ・神アシュマルナの愛し子
□神アシュマルナの加護
>対物無効・対魔無効・状態異常無効
======
「あ、微妙に違うっぽい」
「本当だな」
どうやらこれが真のステータスって事っぽいな。加護の内容から魔法適性が飛び出している事からして、魔法適性ランクの高さは俺の元々の能力だったのを加護の中に入れて今まで偽装してたって事か。下駄じゃなかったって事ね。だから、ソランツェにも反映されると。
「改めて見ると、本当に恵まれた能力値だね」
「ああ」
「ホントこれは使ってこそ、だなって思う」
時間は俺が飽きてもどうにも出来ない程あるんだし、開き直って色々やってみようかな。
「返事くらいしてから行動してくれればいいのに……」
ベッドの天蓋を見つめ小さく呟く。元々静かな場所だけれど、別物の静けさが部屋に広がっている様で小さな呟きなのに大きく部屋に響いた気がした。
「ソランツェは……」
横を向くと人一人分のスペースを挟んだ場所で俺と同じ様に、ソランツェは寝かせられている。
何か変わったのかな……?
時間が飛んでるって事は何かしらアシュマルナ達がやったんだろうけど、見た目には変化はない。俺も転移したばかりの時は、今の見た目じゃなかったし、何か見た目に変化がある訳じゃないか。
「ソランツェ、起きろよ」
揺すってみても眠りが深いのか反応はなく規則正しい寝息も乱れない。元々気配に敏感なソランツェは寝ていても小さい物音ですぐに起きられるらしいので、これで起きないって珍しい事だ。
「おーい?」
顔を近付けて耳元で声を掛けてみても頬を抓ってみても反応がないので、どうしたものかと思う。
「んー……?」
あいつら何か仕掛けでもしてるんだろうか。これで息してないとかだったら大慌てだけど、とりあえず息はしてるから……。えーっと、眠りから覚ます方法ねえ?魔法?……いや、
「定番はコレだよなあ」
眠るソランツェの唇に軽くキスを落とすと、パアッとソランツェの体が光り出した。ほら、やっぱりな、としばらく見守っていると次第に光が消えていく。
「ソランツェ」
声を掛けるとすぐに目が開かれる。覗き込む様にして顔を近付けると、ふにゃっとした様な柔らかい笑顔を見せてくれた。
「よかった」
「ああ。声は聞こえていたが体を動かせなかった」
「ええ?」
何か普通に目覚めさせたら面白くないなと、そうされたらしい。
「アシュマルナ?」
「トリラウーユ様だ」
「いや、誰だよっ!……って、多分判るけど」
一応、ツッコミ入れておこうかと……。アシュマルナの伴侶だろ?と訊くと肯定された。なんか、二人と色々お話してきたらしいよ。へえ。
「我が子の取り扱いについて」みたいに俺の事について全て聞いてきたらしい。ああ、そう……いや、説明が省けていいけど何をどう聞いて来たんだか気になるところ。つーか、話してきたって言っても多分、色々と嘘、というか都合が悪い事はボカされて話されている様な気はするが……まあいいや。
俺の事についてソランツェに話そうと思っていたけど、よくよく考えれば上位世界の事をどこまで言っていいのか俺には判断出来ないからアシュマルナ達が説明したもので納得しているならその方が良さそうだし。
「じゃあ、俺が戻って来た時のあれ、アシュマルナじゃなかったって確定だな」
口出しはしてただろうけど。
「なんでそうなったのか言ってた?」
「いや?リヒトにはただ二人で見守って行くことにしたと伝えればいいと」
「え?……ああ、そう」
アシュマルナの監視かな。ざまあ~!と思うが、少々引っ掛かる……あとで聞こうかな。
++++++
「何か変化してる事あるのかな?」
「そうだな」
確認してみようかと、ソランツェがステータスを開いてみれば前と少し変わっていた。
======
■ソランツェ・ルーダル
性別:男 種族:獣人(1/4) 年齢:―(24)
職業:護衛騎士 体力:∞ 魔力:∞
出身:ビスラトイルム帝国
剣術:SS 双剣術:SS 弓術:SS 索敵:SS
火属性魔法適性:MAX 風属性魔法適性:MAX
ギルドランク:B+
□神の子の護衛騎士
>能力値補正
□神の子の伴侶
>能力値・魔力共有
□神アシュマルナの加護
>対物無効・対魔無効・状態異常無効
======
「アシュマルナ様の加護……?」
「今になって判った事だけどここら辺は生身じゃないって事の証明だなあ」
加護って事にして反映してんのか。
「それに使える属性は変わらないが魔法適性ランクが上がって体力や魔力が∞になっているな」
「俺と繋がってるからって事?」
俺の能力自体加護によるもので下駄履かせてる状態なのにそれ反映されるのか?つーか、俺体力∞だっけ?と不思議に思ったので自分のステータスを表示してみる。
======
■リヒト・ソメヤ
性別:男 種族:人 年齢:―(30)
職業:無 体力:∞ 魔力:∞
全属性魔法適性・無属性魔法適性:MAX
□神トリラウーユ・神アシュマルナの愛し子
□神アシュマルナの加護
>対物無効・対魔無効・状態異常無効
======
「あ、微妙に違うっぽい」
「本当だな」
どうやらこれが真のステータスって事っぽいな。加護の内容から魔法適性が飛び出している事からして、魔法適性ランクの高さは俺の元々の能力だったのを加護の中に入れて今まで偽装してたって事か。下駄じゃなかったって事ね。だから、ソランツェにも反映されると。
「改めて見ると、本当に恵まれた能力値だね」
「ああ」
「ホントこれは使ってこそ、だなって思う」
時間は俺が飽きてもどうにも出来ない程あるんだし、開き直って色々やってみようかな。
53
お気に入りに追加
3,358
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる