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現在、大神殿内のサロンみたいな所で俺があの石に引き込まれた後の話を皆さんから聞いております。
まず、時間が動き出した後ソランツェはあの石碑に直ぐに斬りかかったらしいが、何かに弾かれてしまい真後ろにいたライアス諸共外まで吹き飛ばされたそう。で、ライアスと聖騎士四名は、吹き飛ばされても直ぐに立ち上がって向かって行こうとするソランツェを五人掛かりで必死に止めていたらしい。五人掛かりってすごいね……。
ルイスさんはルイスさんで、大変な事が起こったと大急ぎでジェロイスさんに知らせようとしたらしいが、突如として太陽が凄い速さで厚い雲に隠され、一気に辺りが暗くなって気温が下がり、雷鳴が轟きだし幾筋もの稲光が空を走り地響きが聴こえ……っていう終末感漂う感じに慄いて動けなくなってしまったそうです。
我を失いそうだったソランツェも辺りのその異様な様子に気付き、石碑へと向かって行く動きを止めライアスと共にジェロイスさんの元へ知らせに行ったらしい。で、ジェロイスさん達も普通では考えられないただならぬ事態に、もしや俺に何かあったのではと大神殿前辺りまで急いで来ていて合流したのが俺が目を覚ましたあの場所。
俺が消えてしまった経緯をジェロイスさんに説明した後、一度石碑を確認してみようと続々と集まってくる人達も含めて移動しようとしたところ、全員の足がその場に縫い止められたように動かなくなってしまい、全員がこれは確実に神の御業によるものだと理解したらしい。
その内に、空を走る雷が自分たちの頭上を中心に集まり光の玉を形成しだし、しばらくすると巨大な球体が出来上がった、と。
「そして、その時神の声が聞こえたのです。それは荒々しく巨大な雷鳴の様な恐ろしさを感じさせるものでした」
「なんて言ってたの?」
「我が子を侮るものがおるようだ、と」
「えぇー……」
判らせようとしてんだろうけどちょっとやり過ぎじゃないだろうかと思うも、どうもアシュマルナではない感じがする……。荒々しいって所が、ねえ。どういう事だ……。
「しかし、それよりも、とーー」
ジェロイスさんはチラッとソランツェの方に視線を送るとソランツェは頷いてそれを受け取り話し出す。
「神は俺に問いかけられた」
恐ろしく響くその声は、ソランツェに俺を返して欲しいかと問いかけてきたそう。
「勿論、俺は返して欲しいと答えた」
「しかし、続けて彼にまた質問されたのです」
「死する事のない我が子と人を捨て永遠を生きる覚悟はあるか、と」
「……え?」
何だそれ……っつーか、人を捨て永遠を生きる覚悟って……永遠?……と、戸惑ったがすぐに頭の中でもしかしてと一つの可能性に辿り着く。
「ちょっ……「あると答えた」
その可能性を思うと続きを聞きたくなくて一旦止めようとする俺を遮るようにソランツェは続ける。
「…………嘘だろ」
俺が考えついた可能性は唯一つ。ザッと全身の血が引いていく感覚に気が遠のきそうになる。
「何があっても揺るがないと、彼が言い切ると神は楽しげに笑い『真にその覚悟が出来たのならば我に申せ』と仰ったのです」
そして、それと同時に頭上の光の球体は弾ける様に割れ、太陽を覆い隠す厚い雲を強い風で吹き飛ばして暖かさと平穏をその場に戻し、弾けた光は再び集まり出して俺の体を形作ったそう。
「彼以外の者たち、つまり我々がリヒト様と共に在りたいと思えばリヒト様は目覚め、それは神が我々と共に在る事と繋がると」
「その言葉とともに暖かな光に包まれ眠ったままリヒトは俺の元へ降りて来たんだ」
++++++
多分、アシュマルナはこんな感じにする予定じゃなかったはずで……ただ単に俺をいっぱい飾り立てて無数の花や光とかと一緒にふわふわキラキラと空を下ろしちゃえ~!くらいのもっと平和な感じだったんだろうと思うんだけど、結果はこの荒々しい降臨イベントだった訳で、本当に頭を抱えたくなる。
そういえば、乱暴者のバブちゃんは上司(伴侶)似だって言ってたような……?もしかして性格がって事?
アシュマルナとは違う部類の俺様な気配に考えれば考えるほど、なんて事だよ、と気分が悪くなってしまって横に座るソランツェに凭れ掛かると
「リヒト、顔色が悪い」
「そうですな。お部屋に戻られて少しお休みになられた方がよろしいかと」
「そうだな」
俺が返事をする前にソランツェは俺をサッと抱え上げて歩き出した。あっ、と思ったがお姫様抱っこ状態に何だかもう抵抗の声を上げる気力もなくてそのまま部屋に戻る道を二人だけで行く。
これから二人でちゃんと話さなくてはいけないんだろうけど、それよりも先に一番聞きたい大事な事を訊かなくては。
「ソランツェは……本当に何も、されて……ない?」
「ああ」
「よかった」
「何も、の部分が正確には何を意味するのかは判らないが……凡そ見当がつく」
「……そっか」
それきり俺が黙ってしまうとソランツェはフッと笑って俺の頬へキスしてくる。
「俺はリヒトと離れる気はない。リヒトから言われてもな」
離さないぞ、と。
まず、時間が動き出した後ソランツェはあの石碑に直ぐに斬りかかったらしいが、何かに弾かれてしまい真後ろにいたライアス諸共外まで吹き飛ばされたそう。で、ライアスと聖騎士四名は、吹き飛ばされても直ぐに立ち上がって向かって行こうとするソランツェを五人掛かりで必死に止めていたらしい。五人掛かりってすごいね……。
ルイスさんはルイスさんで、大変な事が起こったと大急ぎでジェロイスさんに知らせようとしたらしいが、突如として太陽が凄い速さで厚い雲に隠され、一気に辺りが暗くなって気温が下がり、雷鳴が轟きだし幾筋もの稲光が空を走り地響きが聴こえ……っていう終末感漂う感じに慄いて動けなくなってしまったそうです。
我を失いそうだったソランツェも辺りのその異様な様子に気付き、石碑へと向かって行く動きを止めライアスと共にジェロイスさんの元へ知らせに行ったらしい。で、ジェロイスさん達も普通では考えられないただならぬ事態に、もしや俺に何かあったのではと大神殿前辺りまで急いで来ていて合流したのが俺が目を覚ましたあの場所。
俺が消えてしまった経緯をジェロイスさんに説明した後、一度石碑を確認してみようと続々と集まってくる人達も含めて移動しようとしたところ、全員の足がその場に縫い止められたように動かなくなってしまい、全員がこれは確実に神の御業によるものだと理解したらしい。
その内に、空を走る雷が自分たちの頭上を中心に集まり光の玉を形成しだし、しばらくすると巨大な球体が出来上がった、と。
「そして、その時神の声が聞こえたのです。それは荒々しく巨大な雷鳴の様な恐ろしさを感じさせるものでした」
「なんて言ってたの?」
「我が子を侮るものがおるようだ、と」
「えぇー……」
判らせようとしてんだろうけどちょっとやり過ぎじゃないだろうかと思うも、どうもアシュマルナではない感じがする……。荒々しいって所が、ねえ。どういう事だ……。
「しかし、それよりも、とーー」
ジェロイスさんはチラッとソランツェの方に視線を送るとソランツェは頷いてそれを受け取り話し出す。
「神は俺に問いかけられた」
恐ろしく響くその声は、ソランツェに俺を返して欲しいかと問いかけてきたそう。
「勿論、俺は返して欲しいと答えた」
「しかし、続けて彼にまた質問されたのです」
「死する事のない我が子と人を捨て永遠を生きる覚悟はあるか、と」
「……え?」
何だそれ……っつーか、人を捨て永遠を生きる覚悟って……永遠?……と、戸惑ったがすぐに頭の中でもしかしてと一つの可能性に辿り着く。
「ちょっ……「あると答えた」
その可能性を思うと続きを聞きたくなくて一旦止めようとする俺を遮るようにソランツェは続ける。
「…………嘘だろ」
俺が考えついた可能性は唯一つ。ザッと全身の血が引いていく感覚に気が遠のきそうになる。
「何があっても揺るがないと、彼が言い切ると神は楽しげに笑い『真にその覚悟が出来たのならば我に申せ』と仰ったのです」
そして、それと同時に頭上の光の球体は弾ける様に割れ、太陽を覆い隠す厚い雲を強い風で吹き飛ばして暖かさと平穏をその場に戻し、弾けた光は再び集まり出して俺の体を形作ったそう。
「彼以外の者たち、つまり我々がリヒト様と共に在りたいと思えばリヒト様は目覚め、それは神が我々と共に在る事と繋がると」
「その言葉とともに暖かな光に包まれ眠ったままリヒトは俺の元へ降りて来たんだ」
++++++
多分、アシュマルナはこんな感じにする予定じゃなかったはずで……ただ単に俺をいっぱい飾り立てて無数の花や光とかと一緒にふわふわキラキラと空を下ろしちゃえ~!くらいのもっと平和な感じだったんだろうと思うんだけど、結果はこの荒々しい降臨イベントだった訳で、本当に頭を抱えたくなる。
そういえば、乱暴者のバブちゃんは上司(伴侶)似だって言ってたような……?もしかして性格がって事?
アシュマルナとは違う部類の俺様な気配に考えれば考えるほど、なんて事だよ、と気分が悪くなってしまって横に座るソランツェに凭れ掛かると
「リヒト、顔色が悪い」
「そうですな。お部屋に戻られて少しお休みになられた方がよろしいかと」
「そうだな」
俺が返事をする前にソランツェは俺をサッと抱え上げて歩き出した。あっ、と思ったがお姫様抱っこ状態に何だかもう抵抗の声を上げる気力もなくてそのまま部屋に戻る道を二人だけで行く。
これから二人でちゃんと話さなくてはいけないんだろうけど、それよりも先に一番聞きたい大事な事を訊かなくては。
「ソランツェは……本当に何も、されて……ない?」
「ああ」
「よかった」
「何も、の部分が正確には何を意味するのかは判らないが……凡そ見当がつく」
「……そっか」
それきり俺が黙ってしまうとソランツェはフッと笑って俺の頬へキスしてくる。
「俺はリヒトと離れる気はない。リヒトから言われてもな」
離さないぞ、と。
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